DRIVEインターン大学1・2年生からはじめる本気のインターンシップ

アジア発のLINEを世界に通用するサービスに

稲垣あゆみさん

現在の所属:LINE株式会社

インターン先:楽天株式会社/NPO法人ETIC.

【プロフィール】
稲垣あゆみ/NHN Japan 株式会社 ウェブサービス本部 UXデザイン室 UXチーム 1982年、東京都生まれ。一橋大学社会学部卒業。 大学時代に国内外の9社でインターンシップを経験。 IT関連企業、中国の検索エンジン「Baidu」の日本法人を経て、2010年よりNAVER Japan(現NHN Japan)に入社。LINEの企画を担当。
大学1年の4月から事業計画講座に参加して、「学園祭の出店でいかに利益を上げるか」必死に取り組んでいました。

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まず、学生生活から伺って行きたいのですが、稲垣さんがETIC.に初めていらっしゃったのは、高校生の時と聞いております。そもそも、なぜETIC.を知ったのか、きっかけを教えていただけますでしょうか。

高校2年生の時、進路を考えるにあたって、様々な本を読んでいました。その中に、AERAムックという、日本各地の様々な専門分野を持った人が、その専門の入門書のようなものを執筆しているシリーズがあったんですが、私は、アルバイトや学級委員長等のリーダー経験から、経営学に興味を持っていたので、「経営学がわかる」という本を手に取ったんです。その中にETIC.代表の宮城さんのインタビューがありました。「ETIC.がコーディネートするインターンは、半年とか一年とか企業に入ってやっていって、ベンチャー企業で社員みたいに働くスタイルなんです。」というメッセージにピンときて、大学に入ったらETIC.に連絡しようと決めました。なぜ宮城さんのメッセージにピンときたかというと、自分自身のアルバイト経験の中で、いくら能力があるアルバイトがいても、社員の方が上に立ちますよね。そういう中で「もっと社員のように働いてみたい。」というすごく気持ちがあったからですね。これが、私がETIC.を知ったきっかけで、大学に合格した3月位に「あ、そういえば」と思ってETIC.に連絡しました。

ETIC.を訪れて、すぐにインターンを開始したのですか?

すぐにインターンを始めたわけではなくて、最初にETIC.を訪ねた高校3年生の時は、ETIC.インターンシッププログラムの卒業生のインタビューに同席させてもらいました。 大学入学後、4月頃から、ETIC.主催でベンチャーキャピタリストの小松さんがやっていた事業計画講座に参加して、「学園祭の出店でいかに利益を上げるか」というテーマで真剣に事業計画のエッセンスを学んだり、実際に財務諸表を書いたりしていました。 その事業計画講座と並行して、大学1年生の夏休みから、楽天でインターンをしました。その他にも、もともと私はアントレプレナーシップだとか、ベンチャー企業とかNPOなどの動きにも興味があって、大学でNPOの導入ゼミを履修していました。「私は、ソーシャルビジネスにも興味があるんだ!」という話を宮城さんにしていたら、「ETIC.もソーシャルベンチャー支援をやるので、あゆみちゃんも一緒にやろう」という話になり、大学1年の終わり位からETIC.の中でSTYLE(※1) とかNEC社会起業塾(※2) といった、社会起業家育成の動きにも参画させてもらいました。その後1年生の3月から2年生の7月ぐらいまでカフェの立ち上げをするインターンをしました。ETIC.を通して正式にインターンしたのはその楽天株式会社(以下、楽天)と、カフェの2つですね。

インターン1社目を楽天に決めた理由はなんですか?

私はもっと「どベンチャー」に行きたかったんですが、ETIC.のみんなが、「あゆみちゃんは最初はもっと大きな組織を見た方が大きく育つんじゃないか」みたいなことをアドバイスされたので楽天にしました。多分ETIC.で大学1年生がインターンするっていう心配もあったんでしょうね。(笑)その他には、学生のころ、お金があって裕福だったら慶應大学湘南藤沢キャンパス(=SFC)も行きたいなと思っていたんです。でもそれは諦めて、一橋大学に進学したのですが、楽天はSFCの学生だった本城さんと一橋出身の三木谷さんで起業したんですよね。そのドキュメンタリーを高校のときに見ていて、楽天には興味があったんです。それで決めました。

当時の楽天のどの位の規模で、実際どんな仕事をされていたんですか?

200人位ですね。まだ六本木ヒルズに行く前で、中目黒のちっちゃいビルでした。ちょうど株式上場をして、他の会社のM&Aに力を入れていた頃で「上の階にこのあいだ買収したオンラインのブックストアが入るらしいよ。」とか、そんな話をしていました(笑) 楽天大学という、ECサイトのノウハウを楽天に出店する店舗さんに教える部署があって、そこでのアシスタント業務だったりとか、実際の店舗さんに向けて個別に提案したりしていました。インターンは、私だけ1年生で他はみんな3年生か院生でした。そのまま入社したメンバーも2,3人いましたね。

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楽天インターンの経験の後、STYLEとか、NEC社会企業塾とかETIC.のソーシャルベンチャーの支援に関わり出すというお話でしたが、当時まだそういったソーシャルベンチャーの動きは、ほとんどなかったですよね。そんな中、稲垣さんはどういう所に興味があったのですか?

高校の頃、98年頃でしょうか、阪神大震災の後だったので、NPO、ボランティア関連ですごい世間が騒がれていた時期だったんです。なので、そういった時代背景が影響しているのかもしれません。NPO法もちょうど成立した時期でした。

なるほど、その後カフェの立ち上げのインターンをされるんですか?

そうですね、もうすごく大変でした。カフェの箱(店舗)は決まっていたんですが、それ以外は何にもない。メニューもないし人もいないし、物もない。けれども、新聞とかにカフェがオープンするという事だけが発表されているという状況でした。(笑)私も含めて10人くらいのインターンがプロジェクトの中心になって、みんなで分担して、「メニューがどうしようか」とか、「コーヒー豆をどうするか」「紅茶をどこから仕入れるか」などいろいろ必要なものを全部ピックアップして取り寄せたりし、寝ずにやって、という仕事でした。

なぜカフェの立ち上げインターンをされようと思ったんですか?

1年生のときに受けていた小松講座、事業計画講座がきっかけです。1年間ずっと慶應の三田祭でどれだけ儲けるか、というのを緻密に計算しながら、実際に自分たちで商売するとどれだけハプニングがあって、どれだけ予想していた収支バランスが崩れるのか、というのを体験する講座だったんですけど、そのプロジェクトが、最後まで残ったメンバーは今も仲良いのですが、途中で結構抜けてしまうメンバーがいたり、無償のプロジェクトに参加し続けてもらうモチベーションを維持していく事とか、難しいところが多々あったんですよね。その体験があって、プロジェクトマネージメントを、もう1回やりたいなと思っていたんです。カフェには参加する学生スタッフが100人くらいいたんですが、そのメンバーをどうやってまとめてくのかっていうのをただやりたくて、インターンを決めました。その100人の学生は、「経営をやりたい!」というよりかは、「カフェ大好きな女の子」という感じで、そこをうまくどうやってまとめるかが私なりの課題でしたね。

カフェのインターン後はどういった活動をされていたんですか?

そのあと3年生の前半は政治に関心を持ったので、選挙時に政党のPRを担当した会社で働いたりしていました。3年の後半は、就職活動をしつつ、ETIC.以外の企業でインターンをしたりしていました。ですが、就職する前に、海外に住みたいという思いが芽生えたので、そっちをやろうと思って、4年生の時に休学しました。留学でもよかったのですが、大学の留学は、夏に申請しても、実際に留学に行くのは次の学年だったり、時間がかかるんですよ。だからそれも待てないと。それで、ボランティアという形で海外に行くことを決めました。

どちらに行かれたんですか?

先ほども言いましたが、私の世代的に「これからはアジアだ!」という事がよく言われていた、という事もあり、ずっとアジアに興味があって、第二外国語で中国語、一般教養で韓国語を学んでいました。それで結局韓国のオルタナティブスクールにボランティアとして行く事にしました。孤児の子たちが集まっている施設に行ったり、ハンセン病の人を隔離した島に行ったりとかしました。韓国語は日常会話くらいできるようになりました。

LINEも今までは日本とかアジアで人気ですけど、これをもっと世界に負けないようにしていきたいというのが一つのテーマです。

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現在のNHNJapanに入社してLINEの開発に携わるまでの経緯を教えていただけますか?

入社したのは2010年5月でした。最初は『pick』とか『cafe』っていう別のソーシャル系のサービスをちょっと手伝っていて、2010年の年末くらいに、「リアルな人間関係をベースにした新しいサービス」について、何がいいのかを考えるプロジェクトが12月くらいに始まりました。私はそのチームに入って、3人のメンバーで、半日調査して、半日ブレストみたいなのを1~2ヶ月ぐらいずっとやっていました。 そのあと3月になって最初は写真系のサービスを先に進めようと決めていたんですけど、震災が起きて、「インフラとしてメッセージサービスが日本でも本当に必要だ」という話が出て、市場としてもメッセージのアプリがこれから伸びてくのではないかなど、いろんな経営判断で、のちに『LINE』となるメッセージングのアプリプロジェクトを最優先でやるという決定が4月にでました。

『LINE』はリリース直後に予想以上のユーザーが登録し、しかも海外でも人気が出たみたいですが?

そうですね。最初の目標よりどんどん速いスピードで日本でも世界中でもユーザーが増えていてどんどん目標を上方修正していったので、いつまで経っても目標が達成できなかったです(笑)。最初100万ユーザーの目標を達成したら、またプラス100万、500万ユーザーいったと思ったらまた200万プラスという感じでした。

まさにサービスの立ち上げ期にいらっしゃったんですね。そういったところを通じて思う仕事の面白さを教えて頂けますか?

振り返ると高校の時代から立ち上げばかりやっています。高校生の時のモスバーガーのアルバイトも、もともと五反田のモスバーガーで働いていたのですが、引っ越して、その引っ越し先のモスバーガーの新店舗でオープニングスタッフとして働いていたんです。社員の方とエクセルでパートの人のシフトを組むとか、棚の配置を考えるとか、そういう事をやっていました。私が『本当にゼロから作る』という事をした初めてのことですね。大学2年の時のカフェでのインターンも同じで、オープンはいつまでと決まっていたので、最後にこういう状況を作らなきゃいけないから、それまでにこうやらなきゃいけないなど、オープンに向けてとても慌ただしく過ごしていたのを覚えています。私としては今回のLINEも6月末までに絶対リリースと決まっていたので、時間のない中、毎日みんなで慌ただしく仕事を進めていました。私は、そういう混沌した環境で自分の力が最大限に発揮されるので、立ち上げの仕事はとても好きですね。 LINEの場合は、今でこそ多くの皆さんに利用していただいていますが、立ち上げの時は、普通のメッセージングサービスと比べて「何でLINEじゃなきゃいけないのか」という差別化がポイントだったんですね。6月リリースの後も、どんな新しい機能をアプリに入れていくかという話し合いも隔週ペースでずっと繰り返していました。こういう風に、新しい課題、テーマを決めて、それに向かって何かを作るという事も、私は好きですし、自分のスタイルに合っていると思いますね。

個人として、今後こういうことを挑戦していきたいというテーマはありますか?

私はちょうど今年30歳になりますが、20代は「アジア」と「インターネット」というテーマは決めていました。これに関しては、振り返るとすごくいい感じで歩んでいました。自分が本当にやりたいことばかりやらせてもらって、アジアでも働けて、韓国にも中国にもいっぱい仲間が増えて本当ラッキーだったと思います。これだけ大きいプロジェクトにも、20代最後で取り組めたし、ずっとこれからもアジアで、世界で戦えるサービスを作りたいというのはあります。 ネット業界は今、Twitterすごい、Facebookすごい、Pinterestもすごい、アメリカのサービスは何でもすごいという風潮があって、でもアジアの技術力もすごいし、デザインもすごいし、アジア発のいいサービスが沢山あるんですよね。なのでLINEも今では日本とかアジアで人気ですけど、これをもっと世界に負けないようにしていきたいというのが一つのテーマでもあります。他の部分でもやっぱり日本人は、「アジアのもの」というと勝手に作った先入観がありますよね。例えば中国で急成長しているミニブログ「Weibo」なんかは、「あんなのツイッターの偽物じゃん」とバカにしたりしますが、 日本で、Twitterぐらいユーザーに使われているサービスを日本国内会社は、どこも出せてないじゃないですか。私はこういうアジアのサービスや技術を見下さないで、いいものはいいと認めてほしいという気持ちがすごく強いです。 なので、あえてアジア資本の会社でリリースしたサービスをアジアで認めてもらいたいということが20代のひとつの目標だったので、それをLINEで実際に実現できているのはすごく嬉しいです。そこからステップアップして、日本やアジアを世界に発信するという事もやっていきたいです。

アジアというところに可能性をすごく感じていらっしゃるようですが、それはどういったところからでしょう。

単純に自分が会ったアジアの同世代の人たちが優秀だったからです。一橋の留学生もそうでしたが、日本人と意識が全然違うんですよね。私はずっとインターンとかをしていたので、大学に入って遊びましょうというような日本のまわりの学生たちと空気が合わなかったんです。一方で留学生たちはもっと真剣ですよね。 自分が韓国にボランティアに行った時、韓国はIMFの通貨危機があって失業率がすごく高かった直後だったんです。なので、同じ学生でも就職活動とかは戦争張りの戦いなんですよ。中国で会った人たちも、どうやって国政と家計を発展させるかという規模の話をしょっちゅうしていました。そうしたアジアの人たちと触れる中で、「このままじゃ日本はダメだ」と思うようになったんです。それから、自分は学生時代から今までアジアの良いところやとても優秀な人たちをたくさん見て来たので、アジアにすごく可能性を感じています。

自分のアンテナに何がひっかかるのかを常に考えるようにした結果、「アジア」とか、「インターネット」とか「自分に素直に生きる」という価値観や軸が形成されていきました。

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今の稲垣さんにとってインターンやETIC.の存在がどのような影響を与えていますか。

私は、働くことへの価値観、生きる価値観とかはETIC.で得たものが多いです。それはインターンというよりは社会起業家のみんなからですね。かものはしプロジェクトの村田早耶香ちゃん、CANVASの石戸奈々ちゃんとか仲良くしていたみんなから刺激されたところがすごく大きかったです。 早く社会起業の世界で起業しようとか、いろんな社会起業家を紹介してくれたりですとか、今でもよくお誘いをいただいています。ただ、いま社会起業家として活躍している人たちは、多くが大学1、2年生の頃に自分自身で取り組むべき課題を見つけているんですよね。例えば、かものはしの早耶香ちゃんは児童買春の問題を、駒崎君が病児保育の問題をそれぞれ学生時代に見つけたり、その問題の原因を調べたりしたように。私はそれがすごくうらやましかったんです。私はずっと社会起業家支援のプログラムを運営する側でみんなを送り出す側だったんですね。その中で私もどういう社会問題にどんなアプローチで取り組むのか結構悩んで、考えていたんです。 例えば、かものはしの早耶香ちゃんがたまたまタイのスタディツアーで買春問題の被害にあっている子に出会った。この問題に出会った日本の大学生は、たぶん早耶香ちゃんの他にも沢山いるんですよね。別に早耶香ちゃんがその買春問題をやらなくても良いんですよ。でも早耶香ちゃんがその問題を、自分が解決しなくちゃいけない問題だと思って、今まで学生時代からずっと、かものはしプロジェクトの活動を続けている。それってある意味、運命というか、思い込みというか、「自分が解決するんだ」と思ってしまう事で道が決まるわけであって、頭でいくら「社会問題がなんだ」「自分がどんな社会問題を解決していいきたいんだろう」なんて考えても自分が取り組む課題やテーマが決められるわけではないというのを、大学2、3年の時に気づいたんです。私は、自分がそのとき興味ある事というか、アンテナにひっかかることをやっていけば、そのうち何かに出会って、その時が自分で社会起業するなり、何か動き出す時なんだとすごく腹に落ちたんです。これに気づけたのは、自分は学生時代にETIC.に集まる色んな人と話したり、いろんなインターンをしたり、いろんなことに真剣に取り組む中で、自分のアンテナに何がひっかかるのかを自分で常に考えるようにした結果、「アジア」とか、「インターネット」とか「自分に素直に生きる」という自分の大事にしたい価値観や軸が形成されていきました。

これからインターンを考えている学生や起業したいという人たちに何かメッセージをお願いします。

自分が興味ある事をやったらいいと思います。大学の時期は自分がいろんな可能性を溜めている時期だから、私は様々な企業で、できるだけ沢山働いてみたかったし、いろんな職種にチャレンジしたかったんです。数ヶ月だけ会社の仕事できる機会なんて、社会人になったら無いですから、様々な企業に学生時代に触れて、その中から自分が興味あるものを見つけるというのが学生時代の最初からのテーマでした。 そういう意味で、インターンという機会はすごく魅力的でしたね。当たり前ですが、社会人の人は仕事を本気でやるんです。学生団体という選択肢もありましたけど、企業に入って社会人と一緒に働くのが一番好きかもしれないと思ったんですね。本当に学生の時しかこんな会社にお邪魔して、後腐れなく「ありがとうございます」と言ってよい関係を築ける機会は、インターンじゃないとないので、本当に興味ある会社や事業、職種などがあればどんどんチャレンジしてみるのがいいんじゃないかなと思います。OB訪問をするよりよっぽどいいと思います。

※1 STYLE

2002年~2007年まで開催された、NPO法人ETIC.主催の、日本で初めての社会起業向けビジネスプランコンテスト。NPO法人かものはしプロジェクトの村田早耶香ら、多くの社会起業家を輩出した。

※2 NEC社会起業塾

情報格差の解消・社会変革に資する起業家育成・創造力を育む青少年教育・地球環境保全と生物多様性配慮・多様性豊かな社会の実現等のテーマに取り組む若き社会起業家のスタートアップを支援するプログラム。 NPO法人ETIC.とNECとが連携し2002年より開始、これまでに34団体の社会起業家のスタートアップを支援している。

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