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「投資銀行から社会起業家的働き方へ」ハーバード・ビジネス・スクールの学生、東北復興に挑む起業家に学ぶ

2014.01.29 739view 

東日本大震災から約3年が経過する中で、続々と新しい事業が生まれてきている東北。革新的なビジネスを創出しようと試みるベンチャーから、地域コミュニティの新たなあり方を追求するNPOまで、様々な事業者が地域で活動を始めています。12月以降のDRIVE掲載プロジェクトだけを見ても、4プロジェクトが東北の新規事業となっています。

■東北発、人材募集中のプロジェクト(最新4件)

漁師や地域住民と共に築90年の廃校をゼロから再生する! 公益社団法人sweet treat 311@宮城県石巻市雄勝町

目指すのは「福島の未来創造」-そのチカラ、福島の復興に 一般社団法人ふくしま連携復興センター@福島県福島市

南三陸での持続可能な循環型地域モデルのプロジェクトです! 株式会社アミタ持続可能経済研究所@宮城県南三陸町

あなたの1年で、1,000人の子どもの人生が変わる。 特定非営利活動法人アスイク@宮城県仙台市

こういった事業に注目しているのは、日本国内の関係者だけではありません。震災から3年が経過した今でも、海外から継続して注目を集めています。今回はその一例として、ハーバード・ビジネス・スクール(Harvard Business School、略してHBS)によるImmersion Experience Program (略してIXP)という取り組みを紹介したいと思います。

この取り組みの趣旨については、プログラムのコーディネートを担当されたハーバード・ビジネス・スクール日本リサーチ・センターの山崎繭加さんがブログで簡潔にまとめられています。(ブログ)

ケースディスカッションによる疑似体験だけではなく、直接的現地に行ってそこの空気を吸い人と交わり肌で感じる体験をしてもらおうということで、授業がない1月に、学生が世界の国や地域にグループで出かけ、特定のテーマについて調べ体験しまとめる、というImmersion Program(「どっぷり漬かるプログラム」とでも訳せようか)

震災から3年続けてHBSが被災地を訪問していることも要注目なのですが、特筆すべきは彼らの訪問先の変化です。2012年には「大災害からの復旧」をテーマに、ファストリテイリングや、ローソンなどの大企業を対象としてケーススタディを執筆したそうですが、以下の訪問先リストから分かるように、2014年は「地域の起業家(アントレプレナー)」が対象となっています。

  • RCF復興支援チーム(東京・岩手県釜石市)
  • 気仙沼ニッティング(宮城県気仙沼市)
  • GRA(宮城県山元町)
  • エルファロ(宮城県女川町)
  • 小野花匠園&復興応援団(宮城県南三陸町)
  • 斉吉商店(宮城県気仙沼市)

ハーバード・ビジネス・スクールといえば、大企業によるビジネスを題材としたケーススタディという印象がありますし、卒業生の主な進路も、コンサルティングファームや投資銀行、そしてグローバル企業のマネジメント職だと聞きます。では彼らはなぜ今、創業間もない地域の起業家に注目しているのでしょうか。 東京におけるIXP参加メンバーとのディスカッション風景

写真:東京におけるIXP参加メンバーとのディスカッション風景

今回は、彼らが復興に取り組む起業家から、何を感じ学んだのかを明らかにするため、帰国直前のHBS訪日メンバーにインタビューを実施しました。以下では、数多くいただいたコメント中の一部を紹介します。

  • ニュース映像でみた津波からは想像できない光景が被災地にはあった。建物がまったくない様子をみて、心から驚いた。そういった想像を絶する状況にもかかわらず、地域の人たちが笑顔を絶やさず将来の希望を語っていたことに感銘を受けた。リーダーシップのあり方を考えさせられた。
  • ハーバード・ビジネス・スクールにおいても、学生の価値観や職業観が変化してきている。旧来のようなCEOやコンサルティング、投資銀行でのキャリアに加えて、特定の地域や課題に専心し、社会に貢献することにやりがいを見出す人が増えつつある。
  • ハーバード・ビジネス・スクール以前は投資銀行に勤務していたが、卒業後は社会にインパクトを生み出す方向に自分のリーダーシップを活用していきたい。教育分野の取り組みがあれば、被災地の現場ではたらくことも考えている。
  • 被災地の現場での取り組みは、非常にイノベーティブ(革新的)であると感じた。地域からうまれる地に足の着いた取り組みを、パブリックセクター(政府・行政)やビジネスセクターが支援していくことが重要だ。
  • 日本の企業は長寿であると聞いた。最初はなぜか分からなかったが、地域で出会ったリーダーが、短期的な収益以上に、長期的な社会的価値を重視している姿をみて、なぜ事業が永く継続していくのかを理解できたように思う。

熱のこもったコメントからは、復興に取り組む起業家の姿から、HBSの学生が多くを学んだことが伝わってきました。IXPプログラムは来年度も継続して実施するそうです。今回来日したハーバード・ビジネス・スクールのメンバーが、東北の起業家の活躍をどのようにケーススタディにまとめるのか、今から楽しみです。

■ ハーバード・ビジネス・スクールがIXPを創った背景、そして昨年のIXPプログラムについて詳しく知りたい方へおすすめする記事 ハーバードビジネススクールのカリキュラムが変わります:ThinkingからDoing 、そしてBeingへ(山崎繭加さんブログ) HBSミーツ東北:ハーバードビジネススクールの学生30名が復興をテーマに来日しました(山崎繭加さんブログ)

■ 関連記事 「なぜ今、企業がNPOのリーダーシップに注目するのか?」ジョンソン・エンド・ジョンソン日色社長とNPOリーダーの対話から

この記事を書いたユーザー

石川 孔明

石川 孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)とお茶と自然を愛する。

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