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充実したプロボノやボランティアのために知っておきたい「責任のバイアス」と「百時間ルール」

2015.01.20 

年度末が近づきつつあります。年度末といえば、転職や異動の季節。自然に、将来について考える機会も増えてこようと思われます。そんな中「今年はひとつプロボノ(専門的なスキルを活かしたボランティア)でもやってみよう!」という方もいらっしゃるかもしれません。

今回は、そんな方に向けて、プロボノあるいはボランティアを充実させるために、知っておきたい調査結果を2つご紹介します。 心理学

1. 「責任バイアス」を理解して、行き違いを防ぐ

人間は他人が提供してくれた価値を過小評価する傾向があるそうです。

 

『GIVE&TAKE 与える人ほど成功する時代』では、「責任のバイアス」として、ある興味深い実験を紹介しています。それによると、夫婦それぞれに、ゴミ出しや食事作りなど家事について、自分がどれほど貢献しているのかを100パーセント中の何パーセントにあたるか評価してもらったところ、3/4の夫婦は100%を大幅に超えたそうです。

 

もっと最近のハーバード大学による調査でも、MBAの学生それぞれに「チーム作業への自分の貢献度」を尋ねたところ、合計値は139%になったと言います。なんとなく情景が想像できる調査結果です。

 

こんな感じで、人々は自分の貢献度をちょっと過大評価する傾向にあります。言い換えると、人間は他者の貢献度を低く見積もりがちなのです。 せっかくプロボノに取り組むわけですから、「頑張ったけど、あまり感謝されなかったなぁ」という事態は避けたいものです。プロボノを導入する事業者にとっても、「あまり活躍してもらえなかったなぁ」ではせっかく働いてもらった意味がありません。

 

こういった残念な結果が起こる背景には、往々にして「プロジェクトにおいて成し遂げること」がはっきりしていないという原因があります。そもそも組織文化が違い、共通言語に乏しいわけですから、どういったゴールに、どのように向かうのかをお互いしっかり握っておくことが重要です。

 

とにかく猫の手でも借りたい、人はいないよりいてくれたほうが嬉しいとばかりに、プロボノ・ボランティアを募集してしまうNPOは少なくありません。あなたがその事業者のことをどれほど気に入っているとしても、プロボノまたはボランティアとして「具体的に何をするのか」のイメージが湧くようにしてから、活動に取り組みたいものです。

3. 「百時間ルール」を参考にして、燃え尽きない

プロボノにおいて意外と大事なのが「やりすぎない」ということ。無償での貢献をやりすぎると、次第に義務感が出てきてしまい、かえってパフォーマンスや満足度が落ちることがあります。

 

何より、普段の仕事や家事・育児に取り組みながら、ボランティアに時間を割きすぎると、よほどのスーパーマン&ウーマンでない限りは疲弊して、どこかに無理が出てきます。 前掲『GIVE&TAKE』では、「百時間ルール」という興味深い調査結果が紹介されています。

 

百時間というのは、「与える」うえでのマジックナンバーのようだ。六十代半ばのオーストラリア人男性二千人を調査した結果、年間百?八百時間ボランティア活動をしている人は、年間百時間未満、もしくは八百時間以上ボランティア活動をしている人よりも、幸福度と人生への満足度が高かった。ところが、ボランティア活動も百時間を超えると、まったく意味をもたらさなかった。(太線引用者)

 

ちょっとわかりにくいですが、自己の満足度を考える限り、ボランティア活動の最適活動時間は年間百時間だということです。(それ以上は、かけた時間に比例して満足度が上がることはない)なお、同書で紹介されている別のリサーチでは、こんな結果も出ていたそうです。

 

週二、三時間のうちは、着実に知識やスキルを得ていたが、週五時間以上になると、ボランティア活動の見返りは少しずつ減り、一時間増えるたびに、学べることが減っていったのだ。そして週十一時間を超えると、時間を増やしたところで新しい知識もスキルももはや学べなくなったのである。

 

なお、プロボノ・コーディネートのパイオニア・NPO法人サービスグラントでは、プロボノに使う時間の目安は週に5時間となっています。もうちょっとやりたいなぁ、というくらいの時間内でしっかり成果を出しきることが、仕事だけでなく、プロボノにおいても重要であるようです。

参考になるブログ・WEBサイト

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この記事を書いたユーザー
石川 孔明

石川 孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)とお茶と自然を愛する。

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