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東北のリーダー・右腕が語る「地域の資源を生かして、新しい商品・サービスを生み出す仕事」(後編)

2015.04.09 62view 

なぜ今、東北のスタートアップの現場へ飛び込むのか。東日本大震災から丸4年を目前とした2015年2月23日、NPO法人ETIC.では「東北のリーダー・右腕が語る! 連続セミナー第4回?地域の資源を生かして、新しい商品・サービスを生み出す仕事?」を開催しました。 「右腕」とは、東北をフィールドに新しい事業・プロジェクトに取り組むリーダーのもとに、ETIC.が取り組む「右腕プログラム」によって送り出された意欲あふれる若手経営人材のこと。彼らはリーダーたちの「右腕」となり、その事業を支えています。

中編では、NPO法人東北開墾日本初の食べる情報誌「東北食べる通信」プロジェクトに参画されていた鈴木英嗣さん、一般社団法人東の食の会・「東の食の会」プロジェクトに参画されていた小沼利幸さん、そして現役右腕として気仙沼水産食品事業協同組合・「リアスフードを食卓に」プロジェクトにて活動中の小林 幸さんが、「右腕」を選択肢として選んだ理由、実際に経験して向き合った壁や手ごたえについてお伝えしました。

後編では、3人が「右腕」を経験して学ばれたことをお伝えしていきます。

≫前編はこちら:東北のリーダー・右腕が語る「地域の資源を生かして、新しい商品・サービスを生み出す仕事」(前編) ≫中編はこちら:東北のリーダー・右腕が語る「地域の資源を生かして、新しい商品・サービスを生み出す仕事」(中編)

東北開墾

地域の資源はまだまだ眠っている

山内:実際経験してみて、ご自身にとって右腕期間というのはどういう意味を持つものだったのか、感じたギャップだったり、難しかったことだったりを含めてお話いただければと思います。

小沼:そうですね、職場環境に関しては、リーダーを中心に一緒に働く方々に非常によくしてもらって、とても充実した時間を過ごせました。

あとは、東北の生産者の方とお話をさせていただく機会がたまにあるんですけど、販路を増やしていきたいとか色んなニーズがあっても、例えば営業・商品開発の体制をうまく作れず、首都圏へのアクセスもこまめにできないような状態の事業者さんも多いようで。そのために、東北の食品関連企業、ひいては地域の食品関連企業ではノウハウを積み重ねていくのが中々難しいのかなと感じています。

私たちも「東京ランチ商談会」をやったり、人材育成の勉強会をしたりとかで、少しでも東北の方々がそういったノウハウの蓄積をできるような取り組みをしているんですけども、今後、首都圏から右腕として東北に入る方にも、取り組んでいただけると嬉しいですね。自分自身としても、非常に充実した時間を過ごせたので。

山内:なるほど。実際に営業をされてきた中では、地域の自然や地域が持つ可能性についてはどういったものを感じられてきましたか?

小沼:首都圏の食品関連企業のバイヤーさんは、地域の資源を探しに行く時間を見つけるのが難しいということをよく耳にします。私どもは、およそ300ほどの東北の生産者さんとこの問題に取り組んできた実績があり、地域の資源を紹介することは首都圏の食品関連企業のバイヤーさんなどにとても喜ばれるという実感があります。

物そのものを紹介するだけでも新鮮に感じてもらえますし、地域の資源はまだまだ眠っているんですよね。そういう意味では、可能性だらけといいますか。もちろんその見せ方っていうのも、生産者の皆さまに色々ご提案していかなきゃいけないというのはあるんですけど。

山内:小沼さんご自身は、この後はどうしていかれるんですか?

小沼:そうですね、やはり販路側でお役に立ちたいなって思っていて。実際にリアルの店舗に立つとか。

山内:それは、東の食の会としてですか?

小沼:いや、私個人としてもですね。そういう構想もあたためつつ、基本軸は地域の食に携わる皆さまのために、販路側を一応知っている人間として皆さんのお役に立っていきたいなと思っています。

あとは、地域の商店街にある「八百屋さん」って元気がないなと感じていて。元気のあるとこもあるんでしょうけど、なかったりするところが多いと思うので、そういう昔ながらの「八百屋さん」をひとつの地域のコミュニティの場所として活性化していくことに関わっていきたいです。

東の食の会

夢を実現させるマインドセットに

山内:鈴木さんはどうでしょうか?

鈴木:そうですね、正直1年間かなりきつかったです。だいぶボロボロにはなりましたが、それは多分さっき話したとおりマインドセットの問題があったんだなと思っています。

ちょっとくさいこと言いますと、東北開墾のメンバーを見てるとできることじゃなくて夢を語るんですよね。まずはそこから語って、じゃあそれをどうやって実現させていこうってなるんです。僕にはそのマインドセットがなかった。そこでついていけなかったんですよね。

「アイディアがあってね」って色々言われて、それが極端な話、ちょっと鬱陶しく感じたりする時期も正直ありました(笑)。でも、そこのマインドセットを変えることでどんどん楽しくなってきたし、それが自己実現というか、自分の成長に大きくつながったっていうのは振り返って感じています。そこに本当に感謝していますね。

山内:僕らはスタートアップの現場に人を送り込むことを大学生のインターンも含めて97年から3000人近くやってますが、まさにそのマインドがどう変わるかっていうところがすごく勝負のポイントなんですよね。よく変えられましたね。

鈴木:頑張りました。

山内:何かきっかけがあったんですか?

鈴木:かなり自問自答を繰り返しましたね。「やりたいことやってるのに何でしんどいの?」って問うたら、その答えは自分自身の考え方を変えるか、自分自身も夢を語るだけでよかったんです。あとは、そういう環境に自ら積極的に身を置く、慣れの問題もあるのかなっていうのは思いました。

山内:東北開墾は本当に夢を語る集団ですからね。でも、そういう人が出てこないとエネルギーが出ないし、そうやって色んなトライアンドエラーを続けるというのは本当に大事。

東北開墾2

「東北食べる通信」がいらなくなるような社会づくりを

山内:鈴木さんご自身は今、そういう意味でも独立してフリーランスとして始められたわけですけど、今後の展望はいかがですか?

鈴木:僕はやっぱり旅をテーマにずっと活動していて、そこはあまり変わっていかないかなと思います。 地域活性、地域創生とかっていうのは、オンライン上で人と人をつなぐのも有効な手段だとは思いますけど、結局は一人一人が現地に行って魅力を感じてくるのが最も効果的だと僕は思っていて、その手段としては旅が一番だという思いがあるんですよ。だから、いかにその魅力を発信して旅に出る人を増やしていくかっていうのをやってきているんです。

極端な話「東北食べる通信」はなくなってしまえばいいと思っていまして。というのは、今せっせと届けてます、読んでもらって知ってもらっています。でも、そうじゃなくて現地に行けば一発なんですよね、その魅力を知るには。もうそっちの方に向かわせて「東北食べる通信」は別にいらないでしょ?っていう。そういう状況や社会づくりをやりたいなって。

山内:東北開墾では、マーケットイン――市場があるからやる・やらないっていう発想じゃなくて、その課題・本質に対してどうやって知恵を出して持続可能な仕組みを作るかっていうことを学んだとのことでしたが、今日のひとつのテーマ「地域の資源」という意味で取材してまわってみて、東京で旅雑誌の編集をされてたころと比べて発見したり気づいたことは何かありましたか?

鈴木:資源っていうことでいうと、僕は「人」だと思いますね。「東北食べる通信」も、食べ物の情報誌というか「人の情報誌」なんですよね、結局は。だとしたら、食べ物の雑誌ですけど主役は食べ物じゃなくて人なんですよね。ようはメインコンテンツはその人のストーリーで、食べ物はおまけでついてくる。なので、グッドデザイン賞も雑誌のデザインが評価されたんじゃなくて、コミュニティデザインが評価されたんです。

やっぱりそれは、僕は「人と人との関係性を築いた」っていうところかなと思っています。それを旅でやっていこうと自分自身が考えたときに、今はグリーンツーリズムとかエコツーリズムとか色々ありますけども、「ヒューマンツーリズム」っていうテーマで今後活動していきたいなって思ってるんです。

自分が今まで知ってた方法がすべてじゃない

山内:小林さんはいかがですか?ちょうど半分ぐらい経ったころで、まだ冷静に振り返れないところもあるとは思うんですけど。

小林:ブランド作りに少なからず携わってきた中で、これまで私が知っていたやり方は、最初に調査をしてそこから色んなものを抽出して、さらに物事を組み立てていくという流れのやり方だったんです。そんな流れが一般的かなと思っていたところに、入ってみたら真逆の物作りでした。

加工品会社なので、商品をすでに持っているんですよね。これをどう違うブランドに変えるとか、こういう魚があるから、こういう商品を作ろうとか。どこの、誰に向けて何を作っていくのかっていうのと逆の発想だという事に気づくまで、時間がかかりましたし、手探りで分からないことだらけでした。

でも、リーダーやメンバーとコミュニケーションを取る中で、私が今まで知ってた方法がすべてじゃないなっていうことに気づかせてもらいましたね。

山内:それはどうやって気づかれたんですか?

小林:色んな方にアドバイスをもらう中で、このプロジェクトの場合はこの流れでいこうよというか、そういうやり方もあるよねという意見をいただけたのは大きかったなと思います。

山内:そういう意味でいうと、最初に受け入れるっていうのは、特に実際の現場に入るときにすごく大事なんですよ。右腕がうまくいかないケースって、自分の経験を押しつけちゃってたりするんです。

もちろん、現場側も以前から言われていて分かってることだったりするんですよ、意外と。その意見が正しいかもっていうことも思ったりするんだけれど、本人たちは震災以降緊張感がある中でずっと頑張ってきていて、提案してくれていることなんだけど、色んなこと言われるとできてないことの粗探しをされてるみたいな気持ちになっちゃうみたいで。

過去に実際あったのが、よかれと思って提案してるんだけど、提案されるたびにとにかくダメなとこ探しをされてるような気分になっちゃって、右腕始まって3日目くらいにそのリーダーの方から「もう話したくないんだけどどうしたらいい?」っていう電話がかかってきたこともありました。最終的には親子のようなすごくいい関係になって、今も関係が続いてるんで本当によかったと思うんですけど。

最初って、そういうことがあるんですよね。だから、まずは向こうの人のやり方に馴染みつつ。きっと今までやってこられた経験って、絶対無駄にはなってないし、それがうまくアジャストしていくトレーニングっていうのもあるんでしょうね、きっと。

リアスフードを食卓に

東北でこその、ゼロイチを生み出していく経験

山内:とにかくスタートアップの現場が数多くあるのが今の東北だと思うし、そのようなゼロから立ち上げていく感覚を知ってるか知らないかっていうのは、その人の先々にすごく大きく影響してくる気がするんですよ。

大きい会社の中で、もちろん専門性が身についていく部分もあると思います。でも、何かを作り出す中でパートパートを担当していくっていうことと、小さいながらもゼロイチで全体を見ながらやっていくっていうことは違いますよね。いま東北が色んな支援していただいている中で、逆に提供できることがあるとしたら、そういったスタートアップのゼロイチを生み出していく環境の経験なんじゃないかっておっしゃってくれた方もいらっしゃいました。

「右腕」の3名

いま東北では、地域内でのエネルギーや経済の循環、豊かな素材を活用した農業漁業の六次産業化など、地域の資源を活かし地域に新たな経済や豊かな暮らしを創り出すプロジェクトが続々と生まれています。 優れたビジョン・戦略を持つ東北のリーダーが、スタートアップのゼロイチをともに生み出していく仲間を募集しています。興味を持たれた方は、まずは「新みちのく仕事」サイトへ、アクセスしてみてください。

「リアスフードを食卓に」プロジェクト右腕募集中!

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この記事を書いたユーザー

DRIVE編集部・桐田理恵

DRIVE編集部・桐田理恵

NPO法人ETIC. DRIVE編集部。1986年生まれ、茨城県育ち。大学時代は文芸の研究をしつつルワンダ人とのコミュニケーションを楽しみ、2011年より医学書専門出版社にて企画・編集職に就く。精神医学や在宅医療、緩和医療の書籍づくりを経て、2015年よりDRIVE編集部の担当としてNPO法人ETIC.に参画。

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