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「日本初の教育バウチャーで子供に夢を」公益社団法人チャンス・フォー・チルドレン代表理事 今井悠介さん

2015.05.29 467view 

日本における「子供の貧困率」が2012年時点で16.3%と、過去最悪を更新した。(2014年7月15日付、厚生労働省発表)*

なかでも東北地方は、東日本大震災後、経済的理由で塾や習い事に通えなくなった子供たちが増えている。こうした現状に向き合い、日本初のバウチャー(クーポン)という仕組みで経済的格差による教育格差をなくそうと活動する若者がいる。チャンス・フォー・チルドレン(以下、CFC)代表理事の一人、今井悠介さん(27)だ。彼は震災をきっかけに会社を退職し、この団体を仲間と立ち上げた。

*「子供の貧困率」とは、平均的な所得の半分を下回る世帯で暮らす18歳以下の子供の割合のこと。2012年の子供の貧困率16.3%は、所得減少を主な原因に、2009年時点より0.6%悪化している。(厚生労働省「国民生活基礎調査」)

今井さん

チャンス・フォー・チルドレン代表理事・今井悠介さん

ボランティア活動で知った、誰かの役に立てる喜び

兵庫県で育った今井さんは、本人いわく「ふつうの学生」だった。教育関係に興味を持ち始めたのは大学に入ってから。1年生のとき、兵庫県を中心に展開する学生主体のNPO法人ブレーンヒューマニティーに誘われて入り、小中学生を対象としたワークキャンプや不登校児向けの家庭教師の活動に携わるようになったのがきっかけだ。後に共同代表となる奥野慧さんとも、この活動を通して出会った。

「最初は裏方の仕事がほとんどでしたが、人から必要とされる喜びを感じていました。また、引きこもりを克服したい人たちとのキャンプにも参加し、彼らが抱えている“生きづらさ”や、課題の深刻さにも触れました」

今やらないと後悔する

大学卒業後は、日本公文教育研究会に就職した。そして入社2年目に3・11の震災が起きる。今井さんは小学2年生の時に、阪神・淡路大震災を経験していた。

「海外からの支援やボランティア活動など、多くの人が東北の人のために行動するのを見て、阪神・淡路大震災でも同様に支えられていたことに気付いたんです。でも僕自身は、3・11の震災直後、会社や自分のことで精一杯になってしまって、寄付以外は何もできず悔しかった」

大学時代に出会ったような困難を抱える若者たちのために何かしたいという思いも募っていた。その時、ブレーンヒューマニティー代表の能島裕介さんから、学校外教育バウチャー(クーポン)の提供をするプロジェクトを東北で展開したいと声をかけられた。

「自信があったわけではなかったけれど、やるしかないと思いました。今、動かなければずっと後悔するだろうと。その後、奥野と一緒にやることになって、学生時代から仲間として信頼していた奥野となら出来るかもしれないと思いました」

今井さんたちは4月半ばから準備を進め、2011年6月、CFCを設立した。その翌月、今井さんは会社を辞めた。

ゼロからのスタートだったが強いニーズを感じた

CFCの支援の特徴は、現金ではなく、教育サービスのみに使えるクーポンを発行・配布すること。企業や市民から集めた寄付が確実に子供たちの教育に使われる、この仕組みには可能性を感じていた。

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チャンス・フォー・チルドレンの支援の仕組み

しかし、それ以外は、何ひとつ確かなものはなかった。特に寄付金集めには苦労をした。立ち上げたばかりの団体のため活動実績もない。1年目は約200社の企業に電話をして面会できたのは約20社。1年目の終わり頃からは連日知人たちに直筆の手紙を送り続け、その数は2年間で数百通を超えた。その一方で、支援を求める電話は鳴りやまない。初年度、クーポン利用の応募者は1700通も集まった。

「こんな小さな団体の細々とした広報にも関わらず、問い合わせが殺到した。現地のものすごく強いニーズを感じていました」

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発行している教育バウチャー(クーポン券) ©「photo by Natsuki Yasuda studio AFTERMODE」

東北の子供たちと一緒に未来を切り拓く

活動開始から2年たった頃、ETIC.が主催する社会起業塾イニシアティブにも参加した。

「震災を機に始めた活動だけれど、立ち向かう課題は“教育の格差”。この大きな課題に本気で取り組むのなら、東北だけではなく、他地域への展開も進めたほうがいいのだろうかと考えたんです。社会起業塾では、起業家の先輩たちやメンターの方々から容赦のない問いを投げ続けられました。そこで“まずは東北の地で信念を持って活動を続ける”と覚悟が決まりました。現状維持ではなく、東北の子どもたちに変化を起こす支援をする、と」

「自分には特別な力はないし、ごく普通の市民です。そんな僕が起業したのは、困難な若者たちや仲間たちとの出会いがあったから。ただ、今は、たとえ明日どうなるかわからないという状況が続いても、責任を背負う覚悟さえあれば、本当に意義のある結果が出せると思っています。東北でしっかりと結果を出してこそ、ほかの地域でもチャレンジする意味があると思っています。」

※この記事は、2014年8月6日にヨミウリオンラインに掲載されたものです。

この記事を書いたユーザー

たかなし まき

たかなし まき

1971年愛媛県生まれ。松山東雲短期大学英文科卒業後、地元の企業に就職。その後上京し、業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。いろいろな人と関わりながら新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。

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