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Session 3 2020年までの東北と企業の関わりを考える 11/16開催レポート(4)

2016.02.15 194view 

「地方創生チャレンジ in 東北シンポジウム〜東北を舞台に進める、地方創生の社会実験と企業の関わり方を考える〜」Session 3では、製薬、情報機器、自動車という異なる業種の企業が、東日本大震災に際して、どのようなCSR(企業の社会的責任)活動を展開してきたかを振り返り、今後に向けた課題が議論されました。

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それぞれの業種を活かした活動

はじめにモデレーターを務めたETIC.理事・事業統括ディレクターの山内幸治が、このSessionではより具体的に、東日本大震災に応じて企業が実施してきたCSR活動について報告・議論していく、と主旨を説明しました。

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日本電気株式会社(NEC)のコーポレートコミュニケーション部CSR・社会貢献室 兼 東北支社復興支援推進室の池田俊一氏は、「社会価値創造型企業」へと転換してきた同社の震災復興への取り組みについて、まずは、がれきの撤去など「できる限り職種を問わず、ボランティア活動に参加してもらうことから始めました」と話しました。

コミュニケーションロボットやタブレット端末の実証実験へ

やがて同社の活動は、まちづくりや子育て、就労などにかかわるNPOなどへの支援、コミュニケーションロボットやタブレット端末など仮設住宅での情報技術の実証実験、地デジの空きチャンネルを利用したコミュニティテレビなどへと広がっていきました。また、南三陸町と復興連携協定を結び、社員のキャリアを活かしたボランティア活動として、南三陸町観光協会のマーケティング業務の支援などを開始しているとのことです。「なぜ南三陸町なのか?」ということについては、「防災庁舎で弊社の社員が1人犠牲になっているのです」と、その理由を明かしました。

彼はいま漁師見習いです

ロート製薬株式会社の広報・CSV推進部部長の河崎保徳氏は、大阪に本社を置く同社が震災復興に取り込んだことの原点として「阪神・淡路大震災の経験」があることを確認しました。

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「最初は、がれきとの戦いでした」。バスを出して、全社員の半分に当たるのべ750人がボランティアに参加しました。牡鹿半島では、被災した家を掃除していたメンバーが、がれきの中で同社の主力製品「新V・ロートEX」を見つけて涙が止まらなかったといいます。「そのことが僕らの活動の起点になりました」と河崎氏は話します。活動を続けるなかで知り合った雄勝町の漁師に、河崎氏らが「何がほしいですか? お金ですか?」と尋ねると、「いえ、人です」と答えられたので、「私は部下を1人、その場に置いていきました。彼はいま漁師見習いです(会場笑)」。

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また同社は、震災遺児たちの高校卒業後の進学環境を奨学金で支援する「みちのく未来基金」を、カゴメやカルビーとともに設立(後にエバラも参加。支援企業は約700社)。そのほか石巻市で、イスラム教徒向けの「ノンアニマル・ノルアルコール食」を開発するなど、同社の活動範囲は幅広いものです。

『クルマを止めない』ということをこころがけてきました

いすゞ自動車株式会社CSR推進部社会貢献グループ担当部長の山田和光氏が説明を始める前に、ETIC.の山内が東北を支えていく現地のリーダーたちを企業が支援し、地域の復興を支えることを目指す企業コンソーシアム「みちのく復興事業パートナーズ」の概略を説明しました。

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山田氏は「いすゞ自動車は『みちのく復興事業パートナーズ』の7番目のパートナーとして参加しました。社会貢献の経験が浅い会社であります」と謙虚に話し始めたものの、震災発生直後から自衛隊や消防の災害支援車両や物資運搬車両などの点検・修理・部品供給に取り組み、また、運行情報システム「みまもりくん」を搭載した車両のデータを集約し、被災地域のトラック運行実績情報マップを提供してきたといいます。「『クルマを止めない』ということをこころがけてきました」と山田氏。

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「復興期に入ったころ、その段階ではなかなかニーズが見えていなかったのですが、2013年3月に『みちのく復興事業パートナーズ』のシンポジウムに参加したことでわれわれに転機が訪れ、同パートナーズに正式に参加することになりました」。同社は、被災地の子どもたちにものづくりを知ってほしいと考え、南相馬市や女川町など現地のNPOなどと協力して、「ものづくり体験ワークショップ」(いもの教室とデザイン教室)をこれまでに12回開催しました。「小学生が対象だったのですが、ひきこもりの若者たちにも感謝されました」。現在、同社では新しいプログラムも生まれつつあり、「徐々にではありますが、社内に社会貢献への意識が広がりつつあります」と山田氏は言います。

「やるからには長くやっていかないと」

山内が3人に「これまで難しかったことは何でしょうか?」と尋ねると、池田氏は「現地のニーズをどうとらえるか、ということでした。自己満足にしたくはありませんでした。東北の社員やNPOとも積極的に連携しながら、効果的にやろうとしてきました」と言います。

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河崎氏は「基金をつくったのはいいのですが、使い途への懸念がありました。株主から叱られるかと思ったら、総会では『よくやった!』といわれました」と振り返ります。

山田氏は「やっぱり考えたのは、一時的な活動にはしたくないな、やるからには長くやっていかないと、ということでした。本業や会社の資産を活かして、です。何をやったらいいかという壁にもぶつかりましたが、幸いにも『パートナーズ』という機会にも恵まれましたし」。

最後に山内が「課題はやまほどあります。これまでの東北でやれたことを、これからの東北で活かしていきましょう」とSessionをまとめました。

一時的ではなく、長期的な活動を

ある参加者はアンケートで「長期に取り組む重要性をあらためて考えさせられました。しかし、個人の意志や突発性ではなく企業のトップがコミットすることや、風土、資金の面が課題だと思いました」と感想を述べました。「一時的ではなく、長期的な活動を」ということは、シンポジウムを通じて繰り返し主張されたことですが、あらためて確認されました。

東北は「学びの多い場」

すべてのSessionが終わった後、共催団体の1つ、公益財団法人地域創造基金さなぶりの鈴木佑司専務理事があいさつしました。「今日のシンポジウムで共通しているのは、みなさんの笑顔が非常に印象的だったことです。企業と地域との新しい関係が生まれているのだ、と。非常に刺激的で、印象的な数字などもありました。この後に続くきっかけもあったと思います」

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それを受けてETIC.の山内は「東北は実験場になりうるかを考えてきたのですが、非常に学びの多い場だということを改めて確認できました」と話しました。

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「それぞれのSessionでテーマは異なるものの、『東北の地方創生』に対する企業としての関わり方が提示され、5年という節目を迎えたいま、今後の方針を立てる上で参考になるエッセンスが多様に盛り込まれていました」とある参加者はアンケートに書きました。

今後もこのプロジェクト「THINK TOHOKU 2011-2021 これまでの5年とこれからの5年」では、シンポジウムや研究会、フィールドワークなどを続けていくことが予告され、シンポジウムは幕を閉じました。

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この記事を書いたユーザー

粥川 準二

粥川 準二

1969年生まれ、愛知県出身。明治学院大学ほか非常勤講師。著書『バイオ化する社会』(青土社)など。監修書『曝された生』(アドリアナ・ペトリーナ著、森本麻衣子ほか訳、人文書院)。

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