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#ローカルベンチャー

ブラザー工業創業100周年からうまれた、東海圏における起業の生態系の10年を振り返る

2017.10.24 335view 

東海若手起業塾は、ブラザー工業が東海地方の起業家、社会起業家を支援する私塾で、今年は10年目のプログラムになります。前前回前回に続いて、最終回は運営側として塾を支えてきた公益財団法人あいちコミュニティ財団代表理事、コミュニティ・ユース・バンクmomo代表理事の木村真樹さんと、NPO法人ETIC.の山内幸治の対談をお届けします。

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(*) 東海若手起業塾は、東海地域の若手起業家を対象にした、事業支援のプログラム。愛知県に本社を構えるブラザー工業の創業100周年記念事業として、2008年にはじまり、これまで9期41名、様々な分野とステージにまたがる起業家をサポートしてきました。(この記事はブラザー工業の提供で制作しています)


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ーーーお二人とも、東海若手起業塾の初期からの関わりになると思いますが、立ち上げの前後の、ご自身の活動状況やどういう想いで創っていったのか、というところからお話いただけますか。

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ETIC.山内幸治(以下 山内):ブラザー工業さんが創立100周年ということで、2007年に社会貢献事業のテーマとして「若者✕チャレンジ」というお題を頂いたのがはじまりでした。

ETIC.はそのとき、ソーシャルビジネスの支援プロジェクト(社会起業塾)を2002年から、また地域で若者と経営者を繋ぎ経営革新をしていくプロジェクト(チャレンジコミュニティプロジェクト)を2004年からスタートしていましたが、地域における起業支援の経験はなかったんです。でも地域の中でハンズオンで起業支援をサポートするコミュニティというものができたら面白いなと思っていました。そんな時にブラザー工業さんからお話しを頂き、立ち上げに関わらせていただきました。1期の立ち上げは2008年でしたね。

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momo 木村真樹さん(以下木村):ぼくはmomoというNPOバンクを2005年に愛知で立ち上げて、2007年に第一件目の融資を実行したころでした。最初の融資先はこうじびら山の家という団体だったんですが、彼らは東海若手起業塾の1期生でもありました。地域の中で若者たちの挑戦を、お金を通じて応援するということをはじめた頃で、モデルもノウハウも無い中で試行錯誤をしていましたね。

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山内:100周年ということで「これは絶対に失敗できない」というプレッシャーが当時僕の中にはありました(笑)。それにふさわしい、意味のあるものにしたかったですし、かつ100周年だけで終わらずに、どうしたら続いていくのかということも考えていました。

最初の1年はまずリサーチをしようということで、東海圏での起業に関わることで困りごとはなにか、プレイヤーは誰がいるのか、候補者のリストなどを調べました。ただ私たちは拠点が東京なので、東京から遠隔で関わるのも限界がある。地域の仕事は地域の人たちが思いを持ってやっていくのがいいだろうと、チャレンジコミュニティでの経験からも思っていたので、東海圏で当時ご縁があった、G-netの秋元さん、アスクネットの毛受さん、そしてmomoの木村さん、起業支援ネットの関戸さんたちにお声がけしたんですよね。

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木村:起業支援ネットの関戸さんがぼくたちの先輩として東海圏での起業支援をすでになさっていて、ある意味で土地を耕していてくださったのは大きかったですね。起業支援ネットさんは「起業の学校」もやっているので、その卒業生が東海若手起業塾に来るといったこともありましたし、momoの融資先が東海若手起業塾に来る、G-netさんでインターンしていた学生が来る、そういうつながりの中でさらにつながりを作っていったというか。

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ーーー印象に残っていることなどがあれば教えてください。

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山内:初期はほんとうに自分たちも必死だったので、いろいろなことが記憶に残ってますね。

起業塾1期生のいちじく農家の鈴木さんなんかは、豪雨の被害にあって農場のビニールハウスが水浸しになってしまったとき、ボランティアでブラザー工業さんの従業員さんが駆けつけて来てくれたり、そういう密な関係がありましたよね。1期生だったピアの佐藤真琴さんは、今はメンターとして後輩の伴走者になっていますが、東海若手起業塾という場のモラルを、ひとつ高いところに持っていってくれた存在だった。初期のこうした濃いコミュニティが、今に至る、雪だるまの芯みたいなものになったかもしれません。お互いにリソースを最初にガっと投入したので、濃い関係ができたというのはあったかもしれません。

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ーーー起業家たちだけでなく、運営側も含めてのコミュニティ、生態系ができていたということですね。

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木村:起業家が育つのと同時に支援側のコーディネーターの育成にもなっていたというのは、レバレッジポイントだったと思います。今はOka-Bizで大活躍している当時G-netの秋元さんや高嶋さん、momoを一緒に立ち上げて今は三重県多気町で仕事をつくっている西井勢津子さんなんかも、この場で学んだことが多いんじゃないでしょうか。たしかに火種になったんだと思います。

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ーーーETIC.としても、ローカルベンチャーという仕掛けをしていたり、木村さんも、momoやあいちコミュニティ財団といった地域の課題解決に地域の“志金”を生かす仕組みをつくったりと、今の活動につながる部分もあったのではと思うのですが?

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山内:”地域で起業をする”とはどう成り立っているのか、地に足をつけて事業をするということのリアリティ、それにコミットすることの面白さを学ばせてもらいました。地域の中だからできること、そして地域の起業家同士のコミュニティをつくる、ということの原体験は東海若手起業塾での取り組みでした。

それがまず東北で、震災の後の地域の新規創業・事業支援をするときに活きました。震災後の5年で、支援したNPOの全体の売上が32億円くらいまでいって、あらためて地域の中には新しい経済をつくっていく余白がまだまだあることがわかりました。人とお金と知恵とネットワークを正しく耕していけば、地域での起業がある程度の規模になる、という確信は持てましたね。

それがやれたのは民間の支援があったからで、東海ならブラザー工業さんの支援があったから。東北でも民間の支援を得られたからできたんです。今やっているのは、政策や制度と絡めてここに行政のお金を入れるのが大事だろうという試みで、それが10の自治体と取り組んでいるローカルベンチャー推進協議会という取り組みです。

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木村:もうこの先、行政だけでは地域の課題を解決できない、税金だけではまかなえないという状況の中で、僕のミッションは地域の課題解決に地域のお金を生かす「お金の地産地消」を推進することです。財源は地域にある、それが行き渡ってないだけだ、とずっと考えてきて、今年7月には『はじめよう、お金の地産地消』という本も出しました。

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その循環を起こすために進める必要があるのは、「金融機関のソーシャル化」と「NPO等ソーシャルビジネスの事業化」です。金融機関のソーシャル化というのは、金融機関の意識や行動を変えることです。地域の金融機関がNPOなりソーシャルセクターにお金をふつうに融資するような状況ですね。最終的にはmomoという存在が必要なくなればいいと。東海若手起業塾が担っているのは後者、ソーシャルビジネスの事業化で、自分たちの活動に直結していると思います。

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ーーーこの先の東海若手起業塾について、地域におけるソーシャルビジネスの支援という視点から考えをお聞かせ願えますか。

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木村:地域や社会の状況の変化もあります。最近大企業の方と話していると、新規事業開発の話等で「社会課題の解決」というテーマがよく話題にあがります。企業として、地域や社会の課題解決に向き合っていくことが徐々に本業に近づきつつある。企業とソーシャルセクターの意識合わせのフェイズはもう終わって、実際に両者が繋がっていく段階に入っていると思います。はじまりは社会貢献でしたが、社会貢献からCSR(企業の社会的責任)、そしてCSV(共通価値の創造)へ、次のフェイズにいく段階かもしれませんね。

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山内:上場や売却などをExitとするベンチャーの起業を支えるエコシステムというのは、ビジネスの視点からも成立するのですでにありますよね。でも社会的な課題に取り組もうというプレイヤーのように、そういったExitを持たない事業に対する支援の仕組みをどうつくるのかというのが、ETIC.としてこれまでやってきたソーシャルビジネス/ベンチャー支援のテーマでした。それが、木村さんが仰るように、企業にとっても社会貢献ではなく、事業になりうるという状況が近づいてきています。

行政の視点、とくに小さな自治体にとっては、これまで自分たちが担ってきた公的なサービスが担いきれないという強烈な危機感がある。そういう場所で、自分たちでは手が届かないところへのきめ細やかなサービスを、地域に根ざしたベンチャーが提供していける事例が出てきている。そして事業として回るのであれば税金を使わない、むしろ税金が入ってくる構造にもなりうる。じゃあそこにしっかり投資をする必要があるんじゃないかと。地域に企業誘致をするのとはまったく違う考え方ですよね。

その重要性に行政なども関心を持ってきていて、そういうエコシステムができつつあるというのが、この10年で劇的に変わってきたところだと思います。昔だったら絵空事として聞かれていたかもしれないことが、実際に成果も事例もできてきているわけです。

そういう中で東海若手起業塾の役割ということでいうと、いかに東海地域の他の企業も巻き込んだ動きにできるか。あとは自治体との動きにできるか。そうしたところは期待もしていますし、自分たちもその役割を果たせていけたらと思っています。

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NPO法人ETIC.のDRIVE事務局です。ワクワクドキドキする記事を皆さんにお届け出来るよう、日々駆けずり回っています。

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