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2020年に主役になるなら! U-30によるレガシーをつくるアジェンダ

2016.09.20 

2020年まであと4年! この4年をどう活かすか、活かせるか、というテーマを考えたことがありますか? リオの大会が終わったばかりですが、これからの4年というのはきっとあっという間。でも、4年という時間があればできること、準備できることもたくさんあるでしょう。この機会を活かす、もっとワクワクする過ごし方がきっとあるはず! これからの4年間について考えるヒントになるトピックと、これからの4年を活かす機会についてのご紹介です。

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ロンドンの”レガシー”ってなに?

2012年のロンドンから特に注目されるようになった「レガシー(Legacy) 」という言葉。直訳すると「過去の遺産」という意味になりますが、この祭典においては、「長期にわたる、特にポジティブな影響」(IOC"OLYMPIC LEGACY")という意味になります。開催のためにつくられた競技場や施設などは、祭典期間に限定されることなく、引き続き社会にポジティブな影響をもたらすでしょう。大会を通じての有形無形の”いい”影響を指したのがこの言葉です。 IOCによると、レガシーには

  1. スポーツ
  2. 社会
  3. 環境
  4. 都市
  5. 経済

の5分野が挙げられるとのこと。さらにその概念への理解を深めるには、以下3つの軸が重要だとされています。

  1. ポジティブなものか、ネガティブなものか
  2. 有形のものか、無形のものか
  3. あらかじめ計画したものか、偶発的なものか

一般的にはインフラ整備などに焦点が当てられがちですが、無形なものもレガシーだと捉える、とても幅広い概念です。この「レガシー」を意図的に生み出していこう、レガシーを創ろうと、これまで世界各国の主催都市で、4年間たくさんのチャレンジが生まれてきました。

(出典:「レガシーとは何か」(3)レガシーの具体例,株式会社三菱総合研究所.  http://www.mri.co.jp/opinion/legacy/olympic-legacy/example.html)

(出典:「レガシーとは何か」(3)レガシーの具体例,株式会社三菱総合研究所.)

また、例えば株式会社三菱総合研究所では、2020年に向けて以下図のようなレガシープランを提案しています。

図2

(出典:「MRIの考えるレガシー」(3)レガシー・プラン,株式会社三菱総合研究所. )

50年前の若者たちの仕事

レガシーの一つの例として、1964年の日本大会での若者の活躍がもたらした”作品”を取り上げてみましょう。 1964年東京大会のシンボルマークやポスターは、当時49歳で油が乗り切っていたデザイナー、亀倉雄策さんの手によるもの。日本デザイン史の金字塔として今も参照され続けている名作です。亀倉さんは日本のデザイン界の伝説のような方で、その一つのピークがこの1964年の仕事でした。また聖火リレーで使われたトーチは、柳宗理さんのデザイン。1964年当時でなんと32歳! こうした若い才能が、世界の晴れ舞台で日本の伝統的な美的感覚をベースに(家紋を参照したと言われています)、新しいデザインを世界に発信したのでした(参照:JOCウェブサイト)。 またこの大会では、日本のデザイン史の中ではじめてピクトグラム(「絵文字」などと呼ばれる視覚記号の一つ。例えばトイレの男女マークなど)が社会に導入されるという画期的なタイミングでした。世界からのお客様が日本にやってきたとき、どこに食堂があり、トイレがあるのか、という言葉の壁の問題を解決するために、ひと目見ただけで意味を了解することができるサイン、ピクトグラムを大胆に展開したのです。 (c)公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団

(c)公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団

(c)公益財団法人交通エコロジー・モビリティ財団

デザイン専門委員会委員長だった美術評論家の勝見勝が、田中一光(無印良品の初期のデザイン監修などを担当)など若手のグラフィックデザイナーを招集します。ピクトグラムデザインという任務。彼らは一気に59種類のピクトグラムのデザインを作成します。陸上競技や水泳などの種目別のピクト、トイレや食堂、電話など社会装置を示すピクトが街中で花開きました。今は一般的になっている競技種目のピクトグラムは、実はこの東京大会がはじめてのお披露目で、その後も引き続き各主催国が主導でデザインされることになり、「絵文字の国際リレー」と呼ばれることになる、その端緒となったのでした。そして次のミュンヘンオリンピックを経て、アメリカの運輸省が地下鉄に導入し国際基準の潮流がつくられたといいます。 当時の日本のクリエイターたちの心意気を感じるのが、ピクトグラムの利用に関する権利を放棄するという署名に名を連ねたというエピソード。デザインは社会に広まり活用されることが第一の目的であると考え、その著作権や私的権利をオープンにしようと考えたのです。インターネット時代の公共というテーマにも繋がる高い意識を感じますね。

2020年に向けての誘い(いざない)

そしてまた2020年という絶好のタイミングが東京にやってきます。1964年当時の若者たちに負けない、いい仕事を残す、新しいプロジェクトをはじめる機会になるかもしれません。 そんな場になることを目指した動きが、これから始まる次世代共創シンポジウム・ワークショップ*です。 ユースプログラム① 次世代共創シンポジウムは、2020年という大きな機会を前に、ロンドンのレガシーのような、あるいは1964年の若手デザイナーたちの歴史に残る仕事のような、”前向きな影響”をつくるうねりを準備し、はじめるための場として開催されます。ここではスポーツに関わるものだけではなく、2020年、そして2030年のよき社会をつくるためのアジェンダを集め、アクションしていくための場になるでしょう。国境もセクターも超えた人々が、自らコミットしたいアジェンダに集い、コミュニティが生まれ、日本から世界に向けた前向きで具体的なアイディアとアクションが発信されていきます。 シンポジウムでは、日本と世界の将来を導くために必要な重要で具体的なアジェンダが設定されます。たとえば「超高齢化社会に向けたコレクティブインパクトアプローチ」。 超高齢化社会を迎える2030年には、47万人もの人が、亡くなる場所が定まらない「看取り難民」になると予測されています。全世界で急速に進展していく超高齢化社会をポジティブに迎えるために、良き人生の終え方を支える在宅医療サービスについて、現在日本で最先端の取り組みを行っている在宅専門医の市橋亮一先生と共に考えていくのがこのプロジェクトです。 ユースプログラム② その他のアジェンダは、以下(2016年9月現在。プロジェクトを起こす人からのテーマ提案をもとに設定していくため、今後変更の可能性があります)。

  1. パラスポーツの明日
  2. 貧困・ホームレス問題とチャレンジ・セーフティネット
  3. シェアリングエコノミー
  4. ロボット・AIと営む暮らし
  5. 超高齢化社会のヘルスケア
  6. 身体拡張と障害
  7. 芸術活動の推進と共生社会
  8. 多様性と共通理解~LGBT
  9. マイノリティの社会的包摂~外国人・難民
  10. 地域発、未来の産業のつくりかた
  11. 災害復興からの新しい価値・社会スタイルの創成
  12. 共につくり支えるみんなのための教育
  13. 働き方革命
  14. クロスセクターの協働によるコレクティブインパクト
  15. 生活困窮

これから取り組みたいテーマはありますか? 参加のための資格は、 「原則30歳以下(学生・社会人問わない)、持続可能な社会に貢献するプロジェクトを提案し、2020年をマイルストーンとして行動する意欲がある人」 です。この4年間、これらのアジェンダに共感し積極的に未来を創り出していきたいU-30の若者たちに、以下のリンクから名乗りをあげていただけることを楽しみにしています! 次世代共創シンポジウム・ワークショップ *. 次世代共創シンポジウムは、2020年という具体的な機会を見据え、国連がまとめたグローバルな課題、2030年の持続可能でより幸せな未来を先導するプロジェクトをつくる意思のある次世代リーダーが集い、共に語り、新しいアイデアを共に創り上げる場です。 2019年のラグビーワールドカップ、2020年のオリンピック・パラリンピック、そして2021年の関西ワールドマスターズゲームズ等を見据えて、政府が、世界経済フォーラムと連携し、自治体・経済団体等とともに推進する「スポーツ・文化・ワールド・フォーラム」のユースプログラムとして開催されます。 ”Co-Creation, Co-Growth for TOKYO 2020 and Beyond. 共に創ろう、新たな成長。”というフォーラムのコンセプトの下、国境や、スポーツ・文化・経済・行政・市民社会の領域を超えた協働、イニシアティブを生み出すことを目指すイベントです。 また、このユースプログラムのプレイベント・アフターイベントとして、併せて、スポーツ・文化・ワールド・フォーラム協賛イベント「次世代共創ワークショップ」を開催します。 文献:

  1. "Olympic Legacy Booklet" Gratton & Preuss,IOC,2008.
  2. “The Sports Pictograms of the Olympic Summer Games from Tokyo 1964 to Rio 2016”,IOC.
  3. “1964 Tokyo Olympic Games, A design Project “Japanese-ness” in Olympic Designs” Kida,Takuya.

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DRIVEメディア編集部です。未来の兆しを示すアイデア・トレンドや起業家のインタビューなど、これからを創る人たちを後押しする記事を発信しています。 運営:NPO法人ETIC. ( https://www.etic.or.jp/ )

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