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地域から経済を、価値観を変え、そして人類を進化させることができる 〜ブロックチェーンとSDGsの深い繋がりを実装する!

2018.03.30 

地方創生とSDGs、ICOにブロックチェーン。

バズワードを並べたようにも見える4つの間に、実に深く必然的な繋がりがあることを、九州は福岡県飯塚市から仕掛けているのが、ハウインターナショナルの正田 英樹さん。ブロックチェーンの可能性を誰よりも理解し、実践してきた正田さんが見ている地域の、そして人類の未来の姿とは? (★末尾に求人募集がございます!)

 

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 ローカルのラーメン選手権✕ブロックチェーン

———正田さんのブロックチェーンへの取り組みも2年以上も前からになりますか、かなり早かったと思うんですが、どういうきっかけがあったんですか?

 

正田:福岡県の飯塚市で、学生の人材育成のために、学生と地域の技術者による勉強会というのをずっとやっていました。飯塚市には九州工業大学の情報工学部と近畿大学の産業理工学部という2つの大学があるのですが、近畿大学の山崎重一郎教授に、「今ビットコインやブロックチェーンというのを研究しているのですが、一緒にやりませんか?」お声がけ頂き。

 

———今日は地方創生とブロックチェーン、ICO(*)のお話を伺いたいのですが、そもそもブロックチェーンを知ったのも地域、飯塚だったんですね。

(*)ICO(Initial Coin Offering):企業や団体が、トークンと呼ばれるデジタル権利証を発行し、それをユーザ(=出資者)に買ってもらうことで資金を調達する仕組み。その際、ユーザは円やドルなどの法定通貨ではなく、ビットコインやイーサリアムなどの仮想通貨で代金を支払う。トークン発行者は、取得した仮想通貨を、取引交換所で円やドルに換金し、事業に必要な資金を調達する。トークンは、発行者などが開発・提供するサービスの購入に使用したり、市場に流通した段階で取引交換所等で売買することも可能。

正田:はい。マウントゴックス事件(*)があった直後なんで、「大丈夫ですか?」と聞いたんですが、「マウントゴックスはダメです。でもブロックチェーンという技術はなかなかおもしろいんですよ」と言われるので、じゃあ一緒に勉強してみましょうということでスタートしました。最初は、門司港でやっていたから揚げ選手権やラーメン選手権の投票システムにブロックチェーンを使おう、というところからはじめました。技術はすごいんですが、やってることはラーメンイベントの集客を手伝ってました(笑)。

(*)マウントゴックス事件:2014年3月に、ビットコインの取引所であったマウントゴックスで115億円相当のビットコインが消失した事件。当初はサイバー攻撃によるものと思われたが内部横領説(当時の社長は逮捕・起訴されている)とも言われており、仮想通貨の存在とその信頼性が世間に広く知られるきっかけとなった。

 

———(笑)

 

正田:あれからもう3年くらい経ちますが、最初は正直よく分からなかったです。何に使えるんだろうなあ、と。でも、もともと私の活動は地域の活性化だったので、なんとか本来の目的に使いたいと思っていたんです。こんなふうに考えている人はおそらくまだ少ないと思いますが。

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チャレコミからICO・ブロックチェーンへ

———地方創生のどんなところにブロックチェーンやICOが使えると思ったんですか?

 

正田:2002年くらいからETIC.といっしょにチャレンジコミュニティ・プロジェクト(以下”チャレコミ”)という取り組みをしていました。そのころから、各地に居た仲間たちが、それぞれの地域で思い切り活動をするために、お金を集められる仕組みをつくらなきゃいけない、自治体が自力で予算を集める仕組みを作れないだろうか、とずっと考えていました。

 

———正田さんは福岡県飯塚市という人口13万人の街で、”アジアのシリコンバレーをつくる“という目標を掲げて、もう20年以上も若者の支援や地域を活性化していく事業をされていて、そのプロセスで、ETIC.もチャレコミでご一緒させていただきました。シリコンバレーで正田さんが衝撃を受けた、「挑戦の生態系」を日本にも、飯塚にも、という想いがおありだったと思うのですが、今取り組んでおられる、地方創生ICOのプロジェクトでも、その想いや意志はひとつづきだということになりますか。

 

正田:はい、一本の軸があるんです。チャレコミでは、あんなに優秀な人たちが地域に入ってやっているのに、なかなかうまく繋がっていかなかったり、お金が足りないという状況があった。そういう中で、ふと思いついたのが地方創生ICOなんです。使えるんじゃないかと。これによってチャレコミがもう一回復活するんじゃないかと思ってるんです。

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 ローカルがICOに関心をもつ理由

———北海道の下川町や岡山県の西粟倉村のような小さな地域の人たちが、いち早く反応しているということをお聞きしました。SDGsに則った地方創生をICOで支援するというこの仕組みに、どうしてそういった小さなローカル自治体の周辺から反応があるのでしょうか。

 

正田: たしかにまだこの話が分かる地域・自治体は本当にわずかしかありません。西粟倉だったらエーゼロの牧さんの様な優秀な人が地元に貼付いてやっていますが、そういう人がいないとまだまだ難しいところはあると思います。

下川町も、今回ジャパンSDGsアワードの内閣総理大臣賞を取ったように、思い切って自治体のグランドビジョンをSDGsと重ねて行こうとしている。その下川町にいる麻生翼さんのような人が、地方創生ICOの件で興味がある、ぜひやりましょう、という流れになってきた。

ただ、自治体が直接ICOをするというのは、今の地方自治法で明らかに無理なんですよね。お金をどうやって集めるのかという構造が、今までのやりかたと違いすぎて制度が追いついていない。基本的にこれまでだと、予算を立て、税収と国からの交付金を集めそれを実行する、というのが自治体の仕組みになっていますよね。全て国と紐付いている。これは明治維新からずっと同じ構造でやって来ているわけです。でもその仕組みで、これから税収が増えるのかというと、人口が減っているので難しい。では地域はこれからどうするんですかと。そういう危機感の中で、下川や西粟倉のような小さな地域が反応しているんだと思います。

 地方創生ICOの座組

———では実際に、地方創生ICOはどういう座組みではじめるんですか?

 

正田:ICOでトークン、貨幣の代用になるものを発行して購入してくれる人を公募するとして、「それがいくら集まるかは募集してみないと分かりません」という話では、自治体には通じません。なので、財団を作って、この財団と自治体が一緒に支援するという仕組みをつくっていきます。

そして、どんなことをするために集めたお金を使うのか、ホワイトペーパーに書いてリリースして資金を募集します。リンゴの6次産業化をしますとか、インバウンド観光で新しい開発をします、それにだいたいこのくらいの予算が欲しい、といった用途を示して募集をする。

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その用途が自治体の今後の方向性、自治体が考えるSDGsの方針やグランドビジョンと合っているかどうかを、自治体が認定するわけです。財団は、認定したものでないと集めたお金をそこに配分しませんと。自治体は直接ICOはしていないんだけど、認定していることによって担保させていこうという座組みにしています。これだと何とかなるんじゃないかなと。

ということでまずは財団を作ります。西粟倉だったら西粟倉で専用の財団を作る。同じ様に日本中に専用の財団を作っていき、それを我々が中間支援的にサポートするというモデルを作っていこうと考えています。あとは、ICOしたものを交換するときには取引所がいるので、仮想通貨取引所をつくります。

いまICOはイメージがとても悪いです。詐欺じゃないのかとか、出口の無いトークンを発行させてどうするのとか。期待感だけでお金を集めて半分逃げるみたいな話も実際あります。だから規制しようという話ももちろんでていますし、コインチェック事件みたいなことが起こって金融庁もぴりぴりしている、でもその金融庁にこの地方創生じゃあ、がんばってみましょうと。 

 

———なるほど。この仕組みはどう広げていきますか?

 

正田:広域連携モデルというのを考えています。自治体一つだけだといろいろな意味で難しいとしても、一定の商圏を共有している周辺の地域が3つか4つくらい集まってやるならやりましょう、というモデルです。隣の町がやるなら一緒にやらせてください、という。

 

———ハードルが下がりますね。

 

正田:はい。そういった形も含めて、地域での事例を3つ位、まずはファーストペンギンとしてモデルにしていただこうと。

ブロックチェーンの本質は価値の再定義

———この先にどんな展開がありますか?

 

正田:ICOは地方創生の入り口のひとつに過ぎません。地域で新しい挑戦に取り組もうという人々の営みであり、生き方であり、そこに喜びが生まれるというのが一番重要なんです。今まではそういった地域での生き方や喜びを見える化するテクノロジーが無かった。それをブロックチェーンやICOによって、価値を再定義して見える化することができる、と考えています。

 

———お金だけではない様々な関係の可視化ですね。

 

正田:人と人との関係性、人とモノとの関係性を、ブロックチェーンに書き込むことによって見える化していくことができるんですよ。価値の再定義というのがブロックチェーンの本質だと思います。まだまだ「仮想通貨に使われている技術ですよね」と思っている人も多いですが、あれはブロックチェーン全体のほんの一部の実装に過ぎない。本質は、人々の関係性を変える技術です。このブロックチェーンの技術を地方創生に活かせるんじゃないか、と思ったんですね。

東京はどうしてこんなに地価が高いのか? 資本主義、金融市場のものさしだけで土地を見ると東京の地価は高くなります。でもそうではない新しい軸、「人と人との関係性に価値がある」というところに軸を移していくとどうなるか?

田舎にある山とか川、古くからある建物は、単純な金融のものさしだけで見ると価値なんてほとんど無いような状態ですよね。ところが、人と山との関係性、人と川との関係性、人と古いモノとの関係性を見える化すると、これは価値があるんですよ。わたしという人間を主語にして、地域にあるものに光を当て直したときに、別の価値が見えてくるんです。たとえば、”柱の傷”を金融市場に載せたとしても、それはただの傷ついた木材です。ところがわたしにとっては本当にかけがえのない、身長120センチのときの跡なわけです。それぞれの人の思い出や想い、評価といった価値がブロックチェーンで改ざんできないデータとして書き込まれたら、本人以外や初めてその場所を訪れる人でもその価値を体感、体験することができます。それによって新しい人と人との関係による価値、そこを基準にする社会が生まれる。

  日本はブロックチェーンと相性がいい?

 

———地方にあるものの新たな価値が浮上してきている、というのはたしかに実感としても感じます。それがより見えやすく、わかりやすく可視化されてくるということですね。日本の田舎にはまだまだ埋もれている価値がたくさんありますよね。

 

正田:日本列島に住んでいた人はもともと、ブロックチェーンと相性が良いのじゃないかと思っているんです。八百万の神々がいた、木や川や山がそれぞれに神を宿していた、ありとあらゆる大自然に神々がいた。人とモノとの間に神さまというものが介在して、尊敬と畏敬の関係をつくってきた民族なんですね。そこに立ち戻ろうではないか、ということでもあります。

 

———たしかに日本にはまだそういった感覚が残っていますね。 

 

正田:そう。だから日本から、日本の地域からはじめるのがいいんじゃないかと思っているんです。地方創生ICOをして、地域でよりよい生活ができるような仕組みを、ITを使いながら作っていき、そこに八百万の神々的な関係性資本で、西粟倉や下川のような田舎町に新しい光を当てるということができる。そのとき、人類はバージョンアップするかもしれないとすら思ってるんですよ(笑)。

 

———人類は、感覚や人との関係、自然との関係のつくりかたに関しては、二千年前よりバージョンダウンしてるところもあるかもしれないですね。

 

正田:結局人間は昔から同じようなところで悩み、妬みや嫉みで問題を起こしたりしながら、一定の物質的な豊かさやテクノロジーによる便利さを得るまでは来たわけです。でも結局、人間自体ではなく、人間の周りのお金やモノに光を当てて評価するという価値基準になっているから、いつまで経ってもそこから抜け出していない。

関係性資本というのは、共感性を見える化しているということです。共感性資本と言ってもいいかもしれないですけど、共感をしてもらってることに価値があるということ、それがもっと指標になってくればいいと思うんです。今はまだ、共感がたくさんあるからといってお金を貸しましょうっていう銀行なんてないですよね。 

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———日本の地域だけではなく、世界中を飛び回ってらっしゃるとか。

 

正田:ボーダーを考えずに、我々が考えてることに一番共感してくれて、一番最初にフィールドを用意してくれる国でやろうと思って動いています。海外だと既にコンタクトがあったり今後のリストにあがっているのは、イギリス、カンボジア、カナダ、オーストラリア、インド、ラオス、カザフスタン、バングラディッシュ、ミャンマー、イギリス、エストニア、ブータンといった国々です。イギリスは大使館が来て、何か支援をできることは無いですか、と言ってきてくれている。ボーダーを付けない方がいいと思うんです。世界のどこでもいいと思う。一番最初にやれる国がいいんですよね。

 

———西粟倉とイギリスの話が同時進行で進んでいるわけですね。でも実際、国連でもブロックチェーンをすでに実装して動いているプロジェクトがたくさんあったり、この分野のスピードとボーダーレスな展開はすごいですね。SDGsの話もそうですが、ローカルだけどグローバルというのがふつうに現実化している。

 

正田:そう、ローカルもグローバルも一体なんですよね。 

2030年の日本の地域の姿

———2030年の世界はどうなってると思いますか。

 

正田:2030年はちょうどいいタイミングだと思います。明治維新のような、新しい時代に切り替わるような時がおそらく来ているのではないかと。

「資本主義の次の新しい時代は、なるほどこういうことなんだな」というのを、人々が実感として感じている。金銭的な価値だけではなく、もっと重要なのは人と人との関係性であり、人々の行動や行為、それによる共感、感謝、感動、信頼である、ということを人々は実感しはじめていると思いますね。

地域での生活についても、自然や社会に生かされているということの感謝を日々感じつつ、地域の価値というものがより可視化されているんじゃないでしょうか。ブロックチェーンのようなテクノロジーによって、金銭的、物質的な価値だけではなく、関係性による新しい価値が可視化されている。その新しい価値基準によって、日々の生活が営まれ、応援のネットワークも世界的に広がっている、そういう社会が来る気配を感じているタイミングではないかと思っています。そしてそれが人類をバージョンアップするための入り口になっていく。願いも込めてですけどね。

 

———小さな地域からはじまる、大きなビジョンですね。

 

正田:頭おかしいんじゃないの、と言われることもありますけど(笑)。でも吉田松陰先生ではないですが、狂うしかない。これは狂おうと。いい意味でね。

 

———松陰さんがそういうこと言っているんですか?

 

正田:「狂いたまえ」と。それが明治維新を起こさせたんですよね。私たちの業界的には、「狂ってますねー」というのは褒め言葉です。そうすると会いたい人がマグネットのように集まって来るんですよ。毎日そんなのばかりですよ(笑)。

 

———人材も大切ですね。今回は募集をされていますね。

 

正田:財団の立ち上げをいっしょにやってくれる人を募集しています。まずは私の会社であるチェーントープに所属してもらって、そこから財団の立ち上げをやってくれるスタッフを募集しています。

 

———大きなスケールのお話をいただきました。今日はありがとうございました。

 

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DRIVEメディア編集部です。未来の兆しを示すアイデア・トレンドや起業家のインタビューなど、これからを創る人たちを後押しする記事を発信しています。 運営:NPO法人ETIC. ( https://www.etic.or.jp/ )

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