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世界と繋がりたいイノベーターを募集!国連開発計画とシティグループによる若者の起業支援プログラム「Youth Co:Lab」

2019.08.23 

SDGs(持続可能な開発目標)達成に関連する、若者によるソーシャルイノベーションの事業やアイディアを支援するためアジア太平洋地域の20の国と地域で開催されてきたプログラム、「Youth Co:Lab(ユース・コーラボ)」が、今年、日本で初開催されます。

 

Youth Co:Labは、国連開発計画(UNDP)とシティ・ファウンデーション(シティグループ)が共同で実施し、これまでにシンポジウム、地域サミットやソーシャル・イノベーション・チャレンジに約48,000名が参加しました。2,500名以上の若手社会起業家が支援を受け、500の社会的事業の立ち上げやアクセラレーション(事業拡大)に繋がっています。

 

現在、SDGs達成に焦点を当てたビジネスモデルやアイディアを募集しているYouth Co:Labについて、日本の担当のUNDPの大阿久裕子(おおあく・ゆうこ)さんと、シティグループの矢部知美(やべ・ともみ)さんにお話を伺いしました。

 

※SDGs(持続可能な開発目標)とは:国際連合広報センターウェブサイト

170カ国に広がるネットワークを活かしたYouth Co:Lab

――Youth Co:Labの概要を教えてください。

 

大阿久さん:2017年よりアジア太平洋の20の国と地域で開催してきた、若者のソーシャルイノベーションや社会起業を支援するプログラムです。

現在、Youth Co:Labのホームページで社会課題の解決につながるビジネスアイディアを募集しています。これまでに、各国では、自殺予防のオンラインカウンセリング、島嶼国における自動化された水耕栽培システムや二次感染を防ぐための注射針の画期的な廃棄方法など様々なアイディアが集まりました。日本ではどんな応募があるのか楽しみです。

日本での受賞が決まると、スプリングボード・プログラムという、マッチング、ビジネスプランや英語のプレゼンテーションのブラッシュアップなどのサポートを受けられるプログラムに参加することができます。UNDPとシティグループのグローバルネットワークを活かし、各国・地域の大会で受賞した人たちと共に、プランを進化させる機会にしていただきたいです。

スプリングボード・プログラムを経て、日本からは2チームが、2020年4月にマレーシアで行われる、Youth Co:Labアジア太平洋サミットに招待されます。サミットには、各国・地域の受賞者、そして政府関係者や起業家、ソーシャルビジネスの支援組織等が集います。世界のソーシャルビジネスについての講義やノウハウの共有、何よりもネットワークの機会があります。最終日には、各国代表によるピッチコンテストがあり、そこでアジア太平洋地域における最優秀賞や各賞受賞者が決まります。

 

――なぜ、シティグループが若者のソーシャルイノベーションやアントレプレナーシップ(起業家精神)を支援するのでしょうか。

 

矢部さん:シティグループは金融機関として、成長と経済の発展に寄与することを会社のミッションとしています。将来の世界は、それを担う若者の経済的成功と密接に関わっていますが、世界には、就業していても貧困状態にある若者が未だ大勢存在し、7,100万人もの若者が失業しています。こういった背景から、若年層への就業に関わる支援を社会貢献活動のひとつの柱としており、Youth Co:Labの活動を若者のエンパワメントに繋げ、大きな原動力にしていこうと思っています。

 

――今回、Youth Co:Labが日本で初めて開催されますが、どんな背景があったのですか。

 

矢部さん:アジア太平洋地域内で最大規模のイノベーション活動であるYouth Co:Labをもっと広げようという動きと、多くのアイディアが集まることで、他の国にも寄与することができる、という背景です。日本は、起業への注目が高まってきていますし、SDGsを中小企業や個人レベルでの推進を目指す段階になってきていることもタイミングが合いました。

 

大阿久さん:韓国代表がYouth Co:Labサミットで発表した、注射針を画期的な方法で破棄するアイディアは、他の国でも活用できるということで国境なき医師団が主催するイノベーションのスキームに紹介されたという事例があります。日本の社会問題に取り組んでいるアイディアが他の国で役に立つかもしれません。日本からもたくさんのアイディアを集めていきたいです。

①DSC03786

UNDP担当者の大阿久さん

食堂で隣に座った人が、マレーシアの省庁幹部!?Youth Co:Labの魅力

――Youth Co:Labの特徴は何ですか。

 

矢部さん:ネットワークやメンターシップが充実していることです。先ほどの、韓国のアイディアの事例のようにUNDPがハブとなり、世界170カ国にあるネットワークに仲介されることが一番の強みだと思います。またメンターには、日本のシティグループ社員もボランティアとして参加します。世界の金融の最先端を見ている人たちから、ビジネスプラン、法務やマーケティングのアドバイスを受けることができます。

 

――前回はベトナムのハノイで開催された、Youth Co:Labのサミットの様子を教えてください。

 

矢部さん:サミットは4日間寝食を共にする合宿のようなものです。各国から集まってきた参加者と、お互いのビジネスプランについて話合ったり、意見を出し合ったりネットワーキングができます。また世界の社会起業家のケーススタディなどの講義の時間もあります。

参加者は、本当にパワーの塊でした。発表したビジネスプランは、アイディア段階の人から既に収益がある人、そして年齢も国籍も、取り組む課題もバラバラでした。それでも、熱いパッションがあるところは全員共通。これだけやる気や課題意識、それに対する解決案のある人達が、何らかの理由で実現できないということがあれば、それは世の中にとって大きな損失だと思いました。

 

――サミットにはどのようなゲストが集まるのでしょうか。

 

大阿久さん:シティグループやUNはもちろん、スタートアップの先輩、投資家、政府関係者が集まります。

 

矢部さん:ランチは、ゲストも含めた参加者が全員同じ場所でとります。たまたま隣に座られた方が、マレーシアの省庁幹部だったこともありました。そういった人たちと意見交換をすることができます。

 

大阿久さん:ゲスト参加者は自分の国でネットワークを持っている人が多いです。日本の若手起業家が他の国で事業を展開しようと思っていたら、その場でその国でのネットワークを築くこともできます。

②ハノイ写真

2019年、ハノイのサミットの様子

ひとりひとりの持つ力を活かしたい

――この仕事を通して、伝えたいことはありますか。

 

大阿久さん:私は栃木県の出身で、中学生の時に、父親の転勤でアメリカに行きました。高校生の時に日本食レストランで働いていた時に、メキシコからの不法移民の人たちが高校生の私の半分くらいの賃金しかもらえていないのを見て、おかしいと思いました。

そこから、ぼんやりと格差を解決する仕事をしたいと思い始めました。そして大学生の時に留学先のエクアドルで貧富の差を目の当たりにして、格差を無くすような仕事がしたいと確信しました。NGOで5年間働いた後、UNDPに転職し、スーダンとモルディブ事務所を経て、日本に戻ってきました。

モルディブでもYouth Co:Labに携わっており、若者一人ひとりが成長し、アイディアを形にしていく姿を見てきました。それを日本でもできるのは嬉しいです。

③DSC03828

(左)シティグループ担当者の矢部さん

矢部さん:高校生の時にアメリカに3週間留学して、驚いたんです。自分は勉強ができる方かと思っていましたが、現地の子たちは、みんな、テストができるという頭の良さだけではない力がありました。そこから、グローバルな環境で仕事ができる日本人になりたいと思いました。

これまで、日系企業や、PR会社で広報の仕事をしていました。シティグループは、160の国と地域でビジネス展開をしていて、金融の世界ではもちろんイノベーションの分野でも世界をリードしています。シティは、世界6つの拠点で独自の研究開発組織を持ち、250名以上の上級研究員が次世代ソリューションのプロトタイピングなどを行っています。また、シティは金融機関として初めて、「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」レポートを発行しました。

企業や政治家が動くだけではなくて、一人一人の行動が変わらないと、SDGsが対峙する課題は解決できません。例えば、ペットボトルを買わないで、タンブラーにしてプラスチックを削減しようといったことのように、人の価値観に影響できるのが広報職の魅力だと思い日々精進しています。メンターボランティアとして参加するシティグループ社員は、それぞれが様々な分野においてビジネス上の専門性を持っています。ご自身のビジネスプランをいつもと違う角度からブラッシュアップする機会として貰えたら嬉しいです。

④DSC03892

自分が問題だと思っていることが、実は他の国でも問題だと感じられているかもしれません。

――Youth Co:Labには、どんな人に応募してほしいですか。

 

矢部さん:ビジネス経験、学歴、または大学での専攻は問いません。世の中のためになるこんなことをやりたい!というパワーとやる気がある人のご応募をお待ちしています!

 

大阿久さん:「世界の問題を解決するようなソリューションを考えてみて」と言われても、分からないと思うんですよね。難しく考えずに、自分が問題と思っていること、素朴にこういうのがあったらいいなと思うことって、実はいろんな人が、いろんな国で思っていることかもしれません。小さなアイディアでもこんなことがあればいいなというものを、どんなものでも書いて、応募してほしいです。もちろん、すでに事業にしているものの応募も歓迎しています。

英語のことで不安な方もいるかもしれませんが、こちらでサポートもあります。スプリングボードやサミットは英語ではあるものの、これを学ぶ機会にしてもらえたら嬉しいです。自信がなくてもチャレンジしてください。サポートします。

 

――大阿久さん、矢部さん、心強いメッセージをありがとうございます!

 

⑤DSC03923

(右)UNDP 大阿久裕子:ユース連携コンサルタントとしてYouth Co:Labを主に担当し、若者へのSDGsの浸透を様々な方面から推進。(左)シティグループ 矢部知美:社内でカジュアル・フライデー導入を記念したシティポロ着用。ワークスタイルもよりサステナブルに。冊子は、ハノイのアジア大会参加者のビジネス・アイディア・カタログ。

 


 

<編集後記>

Youth Co:Labの意義や、ネットワーキングのようなここにしかない魅力を強く感じさせられました。強い意思と想いで社会を良くしたい!というパワー溢れる方、Youth Co:Labにチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

 

◇Youth Co:Labの概要はこちらから

◇応募締切:2019年9月17日(火)正午

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この記事を書いたユーザー
田村 千佳

田村 千佳

1995年生まれ、愛知県岡崎市出身。Leeds Beckett大学の平和学部を卒業後、ユニクロに新卒で入社。大事にしている価値観を体現したく、NPO法人ETIC.に参画。 毎日、たくさんの人からエネルギーをもらっています。

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