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#ローカルベンチャー

私たちは未来を諦めない西粟倉村の役場職員。今、新しい仲間を探しています。

2020.02.04 

TOP (1)

(※本記事は、岡山県・西粟倉村役場からお送りいただいた寄稿記事です)

 

西粟倉村役場が今、新たな仲間を求めて求人している。

この役場のある西粟倉村とは、岡山県の北端にある人口約1,500人の山に囲まれた村です。西粟倉村は平成の大合併の中、単独村として歩むと宣言し、百年の森林構想再生可能エネルギー、ローカルベンチャーと数々の挑戦を連鎖させてきました。

十数年前には起業家が生まれることは想像出来なかったそうですが、今では30社以上の起業が起こっていることもあり、ベンチャーの村とも表現されます。

 

そして村役場もまたベンチャーの1つと言われることがあります。

そう言われるのは総職員数43名(うち幼稚園教諭5名、保健師3名、看護師2名)と限られた人数の中で、住民の暮らしが滞ることなく機能するよう基盤を支えながら、地域の資源や地域の声から沢山の動きを創っていく、繋いでいく仕事をされているからでしょう。

 

すごい役場なのだろうと思われるかもしれません。

けれど、西粟倉村役場の方々は「すごい」という言葉には困ったように笑いながら首を傾けてしまいます。

「私たちは村を元気に残すために地道にやっていくだけです。

そして村を元気に残していくために必要な挑戦をしているだけですから。」

 

今回新たな仲間を募ること、その仲間となる人と共に組織として強くなることも西粟倉村役場の大きな挑戦の一つだそうです。

西粟倉村役場とはどんな場所でどんな人が集っているのか。

そして今、どんな仲間を求めているのか。

西粟倉村役場の採用の現場を伺いました。

人員を補充したいのではない、「新たな仲間」を求めている

まずは採用を担当されている西粟倉村役場総務企画課長の粟屋 聡さんにお話を聞きました。

 

━━今日はどうぞよろしくお願いします。さて早速ですが、今回求人を出された背景を伺っていいでしょうか?

粟屋:西粟倉村ではこれまでも色んなことが起こっていますが、これからもっと面白くなります。

でも正直、これからどんな面白いことが起こるかはわからないんです。(笑)

私たちは、まだ何が起こるかわからないけれど面白いそれらを支え、また村が元気に残る為に必要だと思うことは私たち自らも挑戦し、仕掛けていきます。

そこに一緒に臨む仲間を求めて、今回求人することにしました。

挿入写真1

西粟倉村では新しい動きが続いています。新庁舎も現在建設中で2022年に完成を予定しています。

 

今回の求人ではあえて「仲間」を募集していると言っています。

私たちは人員の頭数を揃えたいわけではありません。

挿入写真2

西粟倉村役場 総務企画課長の粟屋聡さん

 

━━どんな方に仲間になってほしいと思われているんでしょうか?

粟屋:「こんな人に来てほしい」というのは要項にも書いています。苦手なことであっても責任を持って、最後までやり遂げること、自己研鑽していけること、村民と積極的に会話・協議できること、村の取り組みに情熱を持って関われること。ここに挙げたのは今これらが満たされている人に来てほしいということではなく、ここに向かおうとする「意欲」を求めています。

今回の選考試験では人物重視しているので、面接は複数回行います。そこで意欲も含めて「その人」をしっかりと教えてもらいたいと思っています。

またこの面接では、私たちのことも知ってもらいたいです。

大切なのは西粟倉村役場の姿をそのまま知ってもらい、その上で来てもらうことだと思っています。

うちの役場での仕事が全ての人に合うとは思っていません。

「自分は合う」と思ってもらえた方に是非仲間になってほしいと思っています。

 

━━それでは西粟倉村役場の姿を改めて教えてください。西粟倉村役場とはどんな役場でどんな仕事をされているのでしょうか?

粟屋:もし「公務員」に対して収入の糧や、安定、ルーティンでの仕事とイメージしているとしたら、また西粟倉村の様々な挑戦や事例を知り、役場では先進的で大胆なことが出来るという期待を持たれているとしたら、そのイメージや期待とのギャップに驚くと思います。もっと言ってしまえば、そういうイメージや期待を持って入ってしまうと苦しくなると思います。

うちは今総職員数43人の小さな組織です。

その人数で他の行政と変わらない種類の仕事をしていますし、加えて挑戦する場面もあるので、正直とても忙しくてハードな部分があると思います。

そんな忙しい中、職員たちは高い視点で村の今と未来を意識しながら、目の前にある地道な業務をやり、少し先のことを仕掛けていきます。

ハードな仕事でもありますが、うちの役場の面白いところは「こんなことをしたい」ということがあれば責任を持ち取り組める環境があることだと思います。責任とは、本当に最初から企画し、予算をつけてもらい、実行し、報告まで行うこと、もし上手くいかなかったら頭下げるところまでするということです。

ここを面白いと思ってもらえる方がうちの役場に「合う」方かもしれませんね。

 

どんどんとやりたいことに責任持ち挑戦できることは文化として、役場を支える強みだと思います。この文化は私が入庁した時から今も変わらないですね。自分の入庁当時、実は安定を求めて入ってしまったところがあり、思っていた役場の仕事とは違って戸惑っていたんです。(苦笑)でも自分が続けてこられた理由は任された仕事の中で、こうしたいというのを伝えたら「やればいい」と言ってもらえ、そうして自分で企画して、決裁とって、実行するが出来た、その日々が楽しかったんです。

挿入写真3

ただ、この文化もいいものとして残していくためには、今私たちは努力しないといけない場面には来ていると思います。

これまで個々の職員の力量に頼って様々な挑戦を続けてきましたが、個人の力量に頼りすぎていた現状があったと思っています。

これは今、私たちが直面している課題です。

だとすれば個人の力に頼らない仕事をすればと言われるかも知れません。チームで分担して支えていけばいいと。

しかし、西粟倉村役場では引き続き個人の力はとても重要だと思っています。

なぜなら、私たちは「西粟倉村の役場職員」だからです。

 

西粟倉村ではこれからも面白いことが起こると言いましたが、それは未来を信じているから挑戦が連鎖していくということです。これは絶対に止めてはいけません。

小さな組織である我々がそれら挑戦を支えようとすると、どうしても個人の力が重要になってくるのです。

だから私たちは、「個人の力」をその人自身が更につけていける仕組み作りと、その人の頑張りだけに頼るのではなく「個人の力」を支えながら増幅させていけるチームや組織の在り方に役場全体で取り組んでいます。

今はこの挑戦に踏み出し、人材育成やチーム・組織作りの新たな段階に進もうとしている真っ最中です。

 

━━これから人を育てていきたい、いいチームを作っていきたい、個人とチームが相互に支え高めあう役場にしていきたいという意思を感じます。ここに共感して一緒に挑戦する人に来ていただきたいですね。

粟屋:はい。育成されるという受け身でなくて、一緒に挑戦するという気持ちで来ていただきただけると嬉しいです。

村役場職員の声を聞く。

西粟倉村役場の姿を知る為に、今役場でお仕事されている方のお話も聞かせていただきました。福井啓太さんと大室裕史さんです。

 

━━粟屋さんからお二人のご紹介お願いしてもいいですか?

粟屋:福井くんは生粋の西粟倉っ子です。小さな頃から知っていて、子供の頃からとても大人びた子どもでしたね。言うなら、可愛げのない子でした。(笑)

実は西粟倉に帰ってきたいと聞いた時にはちょっとびっくりしました。

今彼の仕事は広報と住宅政策を、光ファイバー関係、その他細々がいっぱいついている。大変だと思います。けれどすごく前向きに、どんな場面でも面白がって頑張ってくれています。

今後、将来描けるようになっていく、活躍が楽しみな1人です。

 

大室くんは林野庁というすごく興味深い経歴で2年前に転職してきてくれました。不器用だけど、自分の中で物事を整理して経験の中からいろんなノウハウを引っ張り出して対応できる人です。目の前の業務にものすごく真面目に取り組んでくれています。

 

━━ありがとうございます。ご紹介から、お二人が役場で働かれていることへの嬉しさが伝わります。それではまず福井さんよりこれまでのことを聞かせてください。

福井:はい。私は地元出身で、高校進学で村を出た時から村に帰ってきたいと思っていました。

もともと村での生活が好きでした。

子供時代、私は幼稚園まで歩いて通園していましたが、まっすぐ家に帰らない子で。道すがら近所のおばあちゃんとお茶したり、沢山寄り道しては色んなことを教えてもらいました。

自分が親になって改めて思いますが、西粟倉の大人の子どもへの接し方がとても好きです。自分の家の子どもではなくても、関係のない子どもではなくて、地域の子、村の子として関わってくれるところが好きです。

恩返しとまで言えないかもしれませんが、もらったものを返したいという思いがあって、どうせ面白いことをするなら村で、と思っていました。

挿入写真4

西粟倉村役場 総務企画課の福井啓太さん

 

前職は得意分野で力をつけたいとCM制作や広告写真を撮る仕事に就いていました。

そこを退職し、一旦村に帰ってきていた時に、役場の職員募集があることを知ったんです。

応募を決めた後、村の情報収集するために役場へ質問に行った時にも、職員の方が情報源を教えてくださったり、丁寧に対応してもらって、仕事への興味も湧いてきました。

自ら何か事業を起こしていきたいという想いがあったので、合格した際は、実は戸惑いがありました。でも、村で何をするにしても、役場には地域のニーズやどういう仕事が必要とされているか、誰がどんなことに取り組んでおられるのかといった情報が集まると思い、それを知りたくて入庁しました。

 

━入庁されてからはいかがですか?

福井:仕事は楽しいです。ただとても忙しいですが。(笑)

総務企画課での仕事は私が求めていたものとあっていました。自分が思ってもない情報や世界に触れることが出来ています。

 

━━では大室さんのこれまでの経緯や転職の動機も伺わせてください。

大室:私は林野庁の職員でした。全国の森林の2割位を林野庁が管理していて、その現場管理をしていました。この仕事は転勤が多い仕事なんですが、結婚をしてからずっと別居が続き、家族の時間を持ちたいと考えていました。その時、妻が西粟倉村にご縁があり西粟倉村役場の存在を知り、地方公務員の関心を持ちました。

挿入写真5

西粟倉村役場 総務企画課の大室裕史さん

━━西粟倉村役場に対して持たれていたイメージはありましたか?また入庁されて感じられたことはありますか?

大室:妻からの話を聞いていた時から、ちょっと変わっているイメージでした。

「公務員」というのは細部まで規則が決まっていて、ある程度の応用をすることはあっても、そこに基づいて働くのがイメージです。しかし、西粟倉村役場はその規則の捉え方も柔軟で業務もスピーディーな様子でした。

入庁した当時、業務に関してはそこまで驚きはなかったです。

ただ、自ら予算をとってくる、仕事の枠組みづくりから自分ですると言う点は、これまでの仕事とは明らかに違うと驚きました。

まるで中央省庁の方がしているようなことを、現場の仕事もしながら行う。これはここならではだと思います。

 

━━林野庁に勤められていたので、単純な考えだと林業関連につかれるのかと思いますが、今は総務企画課。林業関係とは違うお仕事とも言えますがそこに違和感はないですか?

大室:違和感はないです。

ただ、窓口は苦手なんですが。(笑)

私はそもそもコミュニケーションが得意じゃないので、勉強している最中です。苦手ですがやってみています。

現在の業務の1つに文書管理を担当して、国家公務員であれば2年目では、なかなか担当しないような重要な業務で大きな裁量が与えられてドキドキしながら、模索しながらやっています。必要があってやると決まったことはしっかりやっていくいこうと思います。

もちろん、わからないことばかりなので、聞きまくりながらやっています。

挿入写真6

━━粟屋さんから、西粟倉村役場は自ら仕掛けていける場所とも伺っています。今仕掛けていること、今後仕掛けたいことがあればお聞かせください。まず福井さんは広報誌の担当で、それは仕掛けられている1つかと思いますがいかがでしょう?

福井:個人的には広報誌もまだまだ仕掛けられていないなと思っています。本当は広報ってこうしたいというのがあって、それをかたちにする為に、今見えている細かな改善を繰り返しています。もっと「村のあるべき広報」を突き詰めてみたいと思っています。

挿入写真7

福井さんが担当する広報誌

実際の業務の中で仕掛けていくというのは、大胆な動きではなく、細かくマイナーチェンジを繰り返して積み上げていくしか無いと思っています。

逆に大きく仕掛けていく活動として、役場職員が自らプロジェクトを立ち上げる地方創生推進班の取組みがあります。

私は、村での教育をより価値のあるものにしていくためのプロジェクトと、地域を最新技術の研究フィールドにしようというプロジェクトの二つに、主に関わっています。

 

大室:自分はまだ入って2年目なので、村のこと、村役場のこと、村役場での業務のことは勉強中なのでこれからもっと経験を積んでからやりたいこと、仕掛けたいということは見えてくるのではと思っています。

 

━━西粟倉村役場の仕事の面白さはなんでしょう?

福井:フィードバックがすぐに来るところ、あと責任が自分に返ってくるところは大きいです。ミスや失敗があっても自分に直に返ってきて、またそのカバーも自分で出来る。

責任を持って出来るところ、自分がここを良くしたい!と思ったところを直ぐかたちにできるのは面白いところです。

また、「本当はこうしていきたい」をチームの中で言葉に出せるのはいいと思います。

こうしたいけど、どうしても出来ないということは現実としてあります。

そうした時、いずれこうしたいを意識しながら今できることをやりきる、そんな仕事の仕方が出来ることは面白さと言うか、いいところだと思っています。

挿入写真8

━━では最後に、これからの西粟倉村において、楽しみなことをお聞かせください。

福井:日本各地で、どうしようもない現実に対して、何か策は無いか、良くしていけないかと挑戦していく地域を、良いと言ってもらえる場面が増えてきたように思います。

でも西粟倉はこれまで、奇をてらったような変わったことではなく、泥臭いチャンレンジをしてきたと思います。

そして、これからもいい意味で泥臭いチャレンジを続けていくことで西粟倉村は変わっていくと思っています。

また、村の主体は村民というのが根本にあります。これまで役場が引っ張ってきたフェーズはあったと思います。でも今は村の人々がどんどん元気になってきているので、これからは人々がやりたいということをサポートしていく場面が役場の役割として増えていくのではと思っています。

村全体で取り組むチャレンジが増えていくのがとても楽しみです。

 

大室:私は、西粟倉村は子どもが暮らしやすい場所になればいいなと思っています。

私も親となり、村全体のあってほしい姿は村の子どものふるさとになれば嬉しいと思っています。

 

━━ありがとうございました!西粟倉の未来と今、そこに自らの未来を重ねてお仕事されているように感じます。このような方が居る西粟倉村役場だから、どんどんと変容する西粟倉を下支えすることが出来るのだと思います。

 


 

西粟倉村役場の仲間の1人になりませんか?今回の求人に関心を持たれた方は是非一度お問い合わせください。

【募集内容詳細】

西粟倉村役場ホームページ 求人詳細

応募締切:2020年2月28日(金)

応募書類:

1.受験申込書(必ず自署のこと)

2.小論文「役場の職員として、自らが住民のためにできること」

(様式自由、A4版1枚程度、パソコン作成可)

問い合わせ先:西粟倉村役場 総務企画課(担当:粟屋)

e-mail:s-awaya@vill.nishiawakura.lg.jp

電話番号: 0868-79-2111

 

西粟倉村役場 一般行政職員募集の詳細はこちら!

 

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この記事を書いたユーザー
林春野

林春野

京都出身。日本大学芸術学部演劇学科装置コースへ進学。舞台、映画、映像美術の現場に入り地域での映像監督も行う。2012年からNPO法人ETIC.に勤務。地域への第一歩を後押しするプログラム・イベントの企画運営の事務局が主な担当。2016年4月からは岡山県西粟倉村に移住、エーゼロ株式会社に入社。ローカルベンチャー発掘、育成に係るプログラムや事業全般に従事。2020年4月からは独立し事務局や記事制作、写真撮影等を行う。

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