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「ゲームを習う」という新しい文化をつくる〜ゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」代表・小幡和輝さん

2020.08.07 

ゲムトレ最新OGP

 

あなたが最後に、ゲームで遊んだのは、いつですか?

 

ついさっきまで遊んでいたという方もいれば、もしかしたら小中学校以来、まったくゲームをしていないという方もいらっしゃるかもしれません。

 

さて、記事のタイトルからすでに察している方もいらっしゃるかもしれませんが、ゲームは遊ぶだけにあらず。ゲームが習い事になったり、ゲームを教えることで収入を得たりすることが、近い将来、当たり前になっているかもしれません。

 

今回は、日本初、ゲームのオンライン家庭教師『ゲムトレ』というサービスを2019年10月に立ち上げ、新しい文化・職業を生み出そうとしている小幡和輝さんにインタビューを実施。

 

ご自身の著書『ゲームは人生の役に立つ。』では、「ゲームのイメージを変えたい」「ゲームは悪いものではなく、ゲームからたくさんのことを学んだ」と語っており、ゲームへの熱い想いも伝わってきます。

 

さてインタビュー当日は、当メディアを運営するNPO法人ETIC.(エティック)から鈴木も同席。ゲムトレにも参加経験のあるゲーム好きな息子がいる母親であり、小幡さんとも知り合いということで、話がとても盛り上がりました。ぜひお楽しみください!

 

聞き手:ETIC.鈴木、ライター保田

 

 

■日本初、ゲームのオンライン家庭教師『ゲムトレ』とは

ゲムトレは、これまでなかったゲームの習い事です。学校の部活でもeスポーツが広がってきました。囲碁や将棋を習うように、ゲームを習う文化を作っていきます。

ゲムトレには全国大会、世界大会経験者など、高い実力を持ったプロのゲームトレーナーが在籍しています。累計トレーニング回数は3,000回を突破!

ゲムトレは、プロゲーマーになるためのトレーニングではなく、ゲームを通じて脳を鍛えたり、コミニケーション能力を高める教育プログラムです。

WEBより抜粋

 

 

コロナ禍で子どもたちは、公園に集まるようにゲームの中で友達と会っている。

 

保田 小幡さん、本日はよろしくお願いします。さてさっそくですが、ここ最近のゲムトレの状況はいかがでしょうか?

 

小幡 印象的なのは「申込してくださる方々の動線が変わってきたこと」ですね。これまでは、僕が個人のSNS等で情報発信して、フォロワーの方々に申込いただくのが大半でした。しかし最近は、検索流入が増えてきました。「ゲームを習いたい」「ゲームの家庭教師」といったキーワードで検索された方々が、ゲムトレのサイトを訪れてくださっています。

 

保田 いつ頃から変化してきましたか?

 

小幡 コロナ禍における緊急事態宣言のタイミングだと思います。学校が休校になったり、子どもたちの習い事も休みになった状況で、子どもたちがみんな、家でゲームばっかりしていると(笑)

 

それこそeスポーツのように「しっかりゲームに取り組むとよいのでは」と考え始めた親御さんもいらっしゃるでしょうし、そもそもとして、今まで以上に「ゲームと関わる時間が増えたから」こそ、だと思います。

 

鈴木 今ずっとwithコロナだからね。親も、「学校生活とは違う場所で、子どもたちの個性や強みを伸ばしてあげたらよい」と思ったのかもね。

 

小幡 親御さんが、「子どもたちがみんな、ゲームの中で友達と会っていることに気づいた」ということもありますね。

 

鈴木 それはたしかにあると思う。

 

小幡FORTNITE(フォートナイト)」(*)でみんな会っているなと。

 

(*)アメリカに本社があるEpic Games(エピックゲームズ)が販売・配信する人気ゲーム。

 

鈴木 子どもたちがみんな繋がっててよかったって、ゲームで。そしてみんな楽しそうだし。

 

小幡 このゲームで集まる感覚って、親御さんの世代でいうと、「みんなで公園に集まって会っている」という感じと同じかなと。

 

鈴木 そうそう。逆に、新しい友達もゲームの中でできちゃったりしてね。

 

小幡 あぁ、そういうもんなんだなと、親御さんたちもわかってきた感じがしますね。

 

鈴木 ちなみにゲムトレでは、どんなモチベーションの子たちが習ってるの?

 

小幡 たとえば「ちゃんとゲームを習って、大会に出たい」「ゲームが上手くなりたい」という子がいますね。

 

鈴木 そういう意味で言うと、「勉強以外でも、子どもが楽しく取り組めるものがあれば、それを伸ばしてあげたい」っていう気持ちが、親にはあるのかもしれないね。「いいじゃん、勉強じゃなくて、ゲームでも」みたいな。コロナ禍で、私もいち親として、自分の子どもに対してそういう感覚はあった。「子どもが学校で活躍しなくてもいいや」っていう開き直りはあったかもしれないね(笑)

 

小幡 そうですね、少しずつ変わってきた感じはしますね。「オンラインでゲームして、友達とワイワイするっていいよね」って。

 

ゲムトレ画像1

ゲムトレWEBサイトより抜粋

 

ゲムトレ画像2

ゲムトレWEBサイトより抜粋

 

 

ゲムトレの先生には、プロゲーマーも!

 

鈴木 ゲムトレの先生は、どんな人たち?

 

小幡 年齢でいうと、平均して、だいたい二十歳ぐらいです。ほとんどが高校生や大学生で、勉強を教える一般的な家庭教師と同じような感じです。

 

鈴木 生徒は、どんな子たち?

 

小幡 小学生6割、中学生3割、高校生1割、そして一部が大人といった感じです。

 

鈴木 先生たちは、どんなモチベーションで教えてるの?

 

小幡 そもそもとして、ゲームを教えることでお金を稼げるという仕事が存在しないので、“新しい仕事”として魅力を感じてもらえていると思います。あと、生徒の子どもたちから「すげぇ」って褒められるのが、とても嬉しいみたいです。というのも普段ゲームをやっていて、褒められることって実は少ないので(笑)。トレーナー(=先生)たちのレベルは相当高いです。

 

鈴木 先生たちは、どのくらい上手いの?

 

小幡 プロで活動している子もいますね。フォートナイトのプロゲーマーもいます。プロにはなっていないけど、プロとチームが組めるレベルの子たちもいます。ゲムトレの採用基準のひとつに、「全国大会出場クラスの実績があること」があります。また各ゲームにそれぞれランクが存在するので、「最上位をとっている」というのも基準のひとつです。

 

スマブラで言うと、上位1%だけが入れるVIP部屋というものがあって、そこに入っていることが必須です。その上で人柄も見ます。ひとつのキャラクターだけ上手に使いこなせても教えることができないので、総合的にキャラクターを使えるかどうかもポイントですね。

 

フォートナイトだったら、公式の大会である程度結果を残しているのかどうかというところを見ます。うちのトレーナーだと、アジア圏内で300位以内です。

 

鈴木 へぇ、アジアで!そうなんだ、面白いね。その先生たちは応募で来るの?

 

小幡 そうですね。あと既存のトレーナーの紹介も多いです。ちなみにトレーナーになりたいという応募はほぼ毎日届きますね。

 

画像3

インタビューに同席しているETIC.鈴木の息子さんが、ゲムトレに参加したときの様子

 

 

「ゲームを教える」という新しい市場。今後どのように広げていくのか?

 

鈴木 ゲームの家庭教師っていう職業、他にないでしょ?

 

小幡 うちしかやってないですね、今は。

 

鈴木 そこが面白いよね。

 

小幡 ちゃんとこれを、もう少し広げていければと思っています。

 

鈴木 今までやってみて、どんな手応え?

 

小幡 ポテンシャルをめっちゃ感じています。まず、広告を使わずに集客ができているということ。また、体験会を実施しているのですが、体験会の参加から入会してくださるのが8割ぐらい。コンテンツ自体は、すごく刺さっているのだと思います。

 

広告を使っていないと言いましたが、Facebook広告やGoogle広告、YouTuberさんとコラボを以前に少し試したことがありますが、あまり刺さらなかったです。広告じゃないのかなと(笑)、広げ方に困ってます。

 

もしかすると、ママコミュニティやママさんたちのネットワークの中に、ゲムトレの情報をお届けしていくとよいかもしれません。振り返ってみると、一番ユーザーが増えたのは、ウーマンエキサイトさんから取材を受けたときでした。

 

鈴木 面白い、それだよ〜。「あ、こんなのあるんだ!」って。ゲムトレ自体が、本当に新しい市場だから、なんて言うんだろう、「ないものを検索する」みたいな世界だから。本当に試行錯誤だね。

 

小幡 あとテレビですかね。たとえばお昼の情報番組でゲムトレが紹介されるとどうなるんだろう。

 

鈴木 それは反響あるかもしれないね。

 

あとコロナ禍になって、私もますます、子どもが「学校に行ってもいかなくてもどちらでもいいや」となってきて。自分で自分を楽しませられるっていうことが大事かなと。プロゲーマーの市場も出てきて、以前は親御さんたちは「そんなことで生きていけるわけがない」って言ってたけど(笑)、今は「ゲームのプロで生きている人がいるんだ」って。その認知の向上とセットで、ゲムトレが広がっていくのはありかも。

 

小幡 最近はeスポーツの専門学校が少しずつ増えてきたり、高校の部活で全国大会も去年から始まったり、世の中にその地盤がちょっとずつできてきている気がします。

 

囲碁や将棋のように、プロ棋士だけでなく、教えることで稼いでいる人もいます。ゲムトレで、「ゲームを教えることでお金をもらえる市場」をつくることができれば、世の中の「ゲームに対するイメージ」もだいぶ変わっていくのではないかと思います。

 

鈴木 年を追うごとに、その当たり前の度合いが増してくるかもしれないね。

 

画像4

体験者の声《ゲムトレWEBサイトより抜粋》

 

画像5

体験者の声《ゲムトレWEBサイトより抜粋》

 

 

「ゲームを習う」という新しい文化

 

鈴木 コロナ禍ですごく感じたのは、子どもたちがゲームで繋がっているということ。うちの子どもは、ちょうど中学生に進級したタイミングだから、新しい学校に通いだしたんだけど、そこで新しい友達を作るのに今や欠かせないよね、フォートナイトとか。

 

小幡 そうですね。フォートナイト、めっちゃ多くの人が遊んでますからね。公式発表じゃないんですけど、国内で2〜3000万人、グローバルだと3億5千万人です。アカウント数なので重複もあったり、厳密な数字ではないですが。でも国内で実際に1000万人はユーザーがいそうですね。ほんと小学生男子はほぼほぼやってますからね(笑)

 

鈴木 「密」をさけるために、学校に2日に1回や、3日に1回しか行かないんだけど、オンラインで友達になるから、新しい環境に入った子もスムーズだなぁと。

 

小幡 そうだと思います。フォートナイトはその辺こだわっていますね。ゲームの域を超えて、SNSという範囲まで広げようとしています。Twitterみたいなコミュニティプラットフォームになっていると思います。

 

また銃を使うゲームですけど、血は出ません。グラフィックもすごくアニメっぽいです。子どもが遊んでもイメージが悪くないような、そういうゲームデザインをすごく大事にしていますね。あとチャット機能がなく、決められた言葉しか使えないので、暴言も吐けないようになっています。「子どもがやりやすいようなゲーム」として、とてもこだわっていますね。

 

鈴木 なるほどねー。

 

保田 さて少し話は変わってしまいますが、ご自身の著書「ゲームは人生の役に立つ。」の中で、“仕事をゲーム感覚で”という言葉もありましたが、ゲムトレを運営される中で、小幡さんご自身は、何にワクワクしていますか?

 

小幡 ゲムトレの数字(生徒の数や一人当たりの授業の数)が増えていくのはめっちゃ楽しいですね。「ゲームを習う」という新しい文化が受け入れられ始めている感じがします。トレーナーに毎月お金をお支払いするのですが、新しい仕事をつくってそれでお金をお支払いするという感じもすごく嬉しいですね。

 

自分が儲かるとかそういう話ではなく、たしかにもちろんそれも嬉しいですが、そういう次元でない嬉しさがあります。あと生徒の子どもたちが喜んでいるのもいいなぁ。

 

子どもたちも親御さんも、ゲムトレを習っていることを誇りにできるようにしていきたい。

 

保田 ゲムトレの、今後の展望もお伺いできればと思います。

 

小幡 僕らもこれから頑張らなきゃという話なのですが、親御さんたちが「自分の子どもがゲムトレを習っている」と積極的に言いづらいようです。どうしても周りの目が気になってしまうようで、申し訳ないと思っています。

 

先ほどもお話しましたが、早い段階でテレビに出たいですね。ゲムトレが取り上げられると、「うち、これ習っているやつ」って親御さんたちが言いやすくなるのではと考えています。誇らしげにゲムトレについて話していただけるようにしたいですね。引き続き、頑張っていきます。

 

保田 また、ゲムトレを運営する上で、小幡さんが大切にされていることは何ですか?

 

小幡 やはり「ゲムトレを習ってよかった」と思っていただけるものにしていきたいですね。「ゲームを習って何になるの?」って言われることがまだまだありますし、「意味がない、お金の無駄だ」と言われることもあります。でもそこをちゃんと、生徒たちが納得することはもちろん、親御さんたちが「ゲムトレを子どもに習わせてよかった」と堂々と周りの方々に言っていただけるようにしていきたいですね。それを大事にしています。

 

保田 ありがとうございます。まだまだお伺いしたいことはたくさんありますが、時間も迫ってまいりましたので、最後にぜひ、読者の方へメッセージをお願いします。

 

小幡 暇つぶしにゲームで遊ぶだけでなく、ぜひゲームを「競技」として捉えてみてください。つまり、ゲームが上手くなるためにはどうしたらよいのか。たとえばゲーム実況動画を見ながら、ゲームが上手い人を研究してみるのもいいかもしれません。

 

上手な人たちを見ると、やはり凄さと感じます。またそのためにも、自分自身もある程度ゲームをやってみないと、その凄さがわかりません。たとえば野球のピッチャーが150kmのボールを投げているのを凄いと感じやすいのは、自分はそれができなくて、その自分との差があるからだと思います。

 

ゲームに子どもたちはすごく熱狂しています。子どもたちはその凄さをわかっているからです。でも親御さんはそれがわからない。そこの温度差があると思います。そこをまず埋めるためにも、ゲームがどういうものなのか、ぜひ一度試しにゲームで遊んでみてください!

 

――本日はありがとうございました!引き続き、心から応援しております!

 

 

【8/16(日)オンラインイベントのご案内】

今回ご紹介したゲムトレの、ゲームトレーナーも参加するオンラインイベント『#不登校は不幸じゃない in オンライン』が8月16日(日)に開催されます。小幡さんは、毎年夏に開催している不登校を肯定するムーブメント#不登校は不幸じゃない の発起人でもいらっしゃいます。

 

もしご興味お持ちの方は、こちらをチェックしてみてください!

>> https://www.obatakazuki.com/fotoko816

 

 


 

 

【参考資料】

 

日本初、ゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」

https://gametrainer.jp

 

小幡さん著書『ゲームは人生の役に立つ。 ~生かすも殺すもあなた次第』

https://amzn.to/3hU0O5I

 

DRIVE過去取材記事(クリアできないゲームはない 〜引きこもりでゲーマーだった大学四年生の新しい考えかた) 2017年公開

https://drive.media/posts/16698

 

FORTNITE(フォートナイト)

https://www.epicgames.com/fortnite/ja/home

 

※本記事の掲載情報は、取材を実施した2020年07月22日現在のものです。

 

「高画質」 小幡和輝プロフィール 横長-2

 

ゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」代表/小幡和輝さん

 

1994年、和歌山県生まれ。約10年間の不登校を経験。当時は1日のほとんどをゲームに費やし、トータルのプレイ時間は30000時間を超える。その後、高校3年で起業。SNSのプロモーション企画やイベント事業などを行う。2019年10月より日本初、ゲームのオンライン家庭教師「ゲムトレ」を立ち上げる。ダボス会議を運営する世界経済フォーラムより、世界の若手リーダー『GlobalShapers』に選出。

 

著書に『学校は行かなくてもいい ――親子で読みたい「正しい不登校のやり方」』『ゲームは人生の役に立つ。 ~生かすも殺すもあなた次第』など

 

小幡和輝オフィシャルブログ

https://www.obatakazuki.com

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この記事を書いたユーザー
Ryota Yasuda

Ryota Yasuda

1989年生まれ。早稲田大学スポーツ科学部卒業。執筆・編集する、アート作品をつくる、ハンドドリップでコーヒーを淹れる、DJする、など。「多趣味多才」をモットーに生きている。2015年よりETIC.参画(〜2023年5月末まで)。DRIVEでの執筆記事一覧 : https://drive.media/search-result?sw=Ryota+Yasuda

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