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終身雇用が期待できない時代に、自分の成長を自分でマネージメントするには?【未来をつくる仕事への転職インタビュー:NPO法人シブヤ大学】

2020.08.19 

DRIVEキャリアを通じて、新しい挑戦へ向けて転職された方にお話を聞くシリーズ【未来をつくる仕事への転職インタビュー】。 今回は、まちのあらゆる場所を教室にして多様な授業を開催するNPO法人シブヤ大学に転職した、大澤 悠季さん(27)にお話を伺いました。

 

大澤さん丸抜き

大澤 悠季さん

1992年東京都生まれ。東日本大震災の直後に立教大学観光学部へ入学。留学先のイギリスで見た、社会的なトピックが気軽に話される光景に衝撃を受ける。卒業後は沖縄県今帰仁村にて高校魅力化プロジェクトに携わり、地域における大人の学び続ける姿勢の大切さに気付く。自分たちの生きる社会のことを安心して話すことができるプラットホームをつくるため、シブヤ大学で授業企画・ブランディングに取り組んでいる。

人づくりで、まちづくりがしたい。大学時代に学んだことが自分の「やりたいこと」の軸になる

 

2020年4月1日に、このシブヤ大学の学長に就任された大澤さん。その前年の2019年1月、DRIVEキャリアに掲載された求人記事よりシブヤ大学にエントリーしています。

 

当時、大澤さんは沖縄県今帰仁村(なきじんそん)の教育委員会に所属しながら、高校生向けの公営塾「夢咲塾」の運営をしていました。東京出身の大澤さんですが、新卒で沖縄に移住して「夢咲塾」の立ち上げから関わっていらっしゃいます。

 

この「夢咲塾」の仕事と、「シブヤ大学」には、ある共通の想いがあったと言います。

 

「大学の専攻が観光学部だったんです。日本各地を調べていると、経済を観光に依存している地域がある一方、リーダーシップをとれる人がいる地域は、地域活性が上手くいっていることに気づきました。

リーダーシップをとれる人とは、目先の利益にとらわれることなく、長期的な目線で動ける人たちです。インタビュー取材を重ねるうちに、学校教育というところ以外で、人材を育てることに関わりたい。そこを通してまちづくりが出来たら、と考えるようになりました。その気持ちは、大学の頃からシブヤ大学に至る今でもあまり変わっていません」

 

1.シブヤ大学授業「都市型工房と考える小さな一歩」

シブヤ大学授業「都市型工房と考える小さな一歩」

 

想いがあったとは言え、移住と転職を同時に行うのは、多くの人にとって勇気がいることだと思います。その決断がとれた背景をたずねると、次のように答えてくれました。

 

「たしかに、新卒で沖縄に行くっていった時は、友だちから『やめなよ』と言われました。でも、幼いころから両親に、『自分が良いと思ったら、みんなと同じじゃなくても良い』と言われて育ったのもあって、あまり気にしなかったです

 

採用担当者の左京さんのお話をお伺いしたとき、この大澤さんの「周りに流されることなく、自分自身で考えて決断してきた」ことが採用の決め手となったと聞きました。ご家族のエピソードに、大澤さんの“人となり”のルーツが垣間見えます。

 

「シブヤ大学の面接は、2時間くらいあったんですけど、『どんなヤツかな』と見られている感覚が少なかったんですね。いろいろ聞かれるんですが、シブヤ大学もチームの雰囲気を見せてくれようとしている感じが伝わってきました。

オンラインでの面接だったので、1回も直接会ったことなかったのですが『この人たちは実際に会っても変わらないだろうな』と思えました。自分が心地良いと思える職場であると分かったことも、転職を決断できた理由です」

自分自身の成長のために「どういう環境に身をおきたいか」を考えた

 

子どもの頃から沖縄が大好きだった、という大澤さん。沖縄を離れる決断をされたのはなぜでしょうか。

 

「そもそもが、3年間が任期の『地域おこし協力隊』での採用だったんですね。沖縄はものすごく好きな場所なので、本当にノンストレスで。生活しているだけで楽しいという環境でした。最初は沖縄に残る気でいたんです。地域コーディネーターという形で残ったり、教育委員会に籍をおいたりするのも考えました。

 

でも、20代後半にさしかかった時に、ここで楽しくやっているだけでいいんだろうか、と思い始めたんです。

 

沖縄では、みんな優しくて甘やかしてくれるんですけど、もっと上を目指したいというか。居心地のよい環境で今の自分に満足してしまうのではなく、鍛えられる経験をしたいなというのが、沖縄を出ようと思った一番のきっかけですね。

 

いわゆる終身雇用みたいな保証は、時代的にも無くなっていると思っていて。自分が次のステップに進むために、どういう環境に身をおきたいか、すごく内省をしました。どういうことができる職場がいいのか、どういう人たちと働きたいのか、ということを何度も考えました。

 

2.沖縄で働いていた時の大澤さん

沖縄で働いていた時の大澤さん

 

職場の人も優しいし、仕事も楽しい。でも、未来もずっと今の延長線でいくのは何か違う、という感覚。読者の方も共感される方は多いのではないかと思います。

 

大澤さんに、沖縄を離れようと思ってから転職するまでのプロセスをたずねると、次のように答えてくれました。

 

「勤続3年目に入ったくらいから、DRIVEキャリアのような、いわゆるソーシャル系の求人サイトを色々チェックしていました。シブヤ大学を狙って探していたというよりは、いろんな求人を見ていたんです。

まちづくり系の会社がいいかなぁと思っていた矢先に、シブヤ大学の求人がDRIVEキャリアに出てきて。『これもいい!』って思って。

シブヤ大学の名前は大学生の頃から知っていましたし、ホームページで『2代目学長を募集します』っていう求人も見ていたんですが、怖いなぁと思っていました(笑)。DRIVEキャリアの求人は、学長とか書いてないし、学長の人は見つかったのかなと思って応募しました」

 

学長は怖いな、と思ってDRIVEキャリアで応募された大澤さんですが、結果的に学長に。「シブヤ大学さんの作戦勝ちですね」と、笑いが起きました。

苦手なことや人との比較の中に、自分への新しい発見が生まれる

 

鍛えられる経験を積みたい、と転職された訳ですが、実際に入社されてみてどうだったのでしょうか。

 

「これまで、ずっと自分の好きなことだけをやってきたという感じがあるんです。今は、自分の苦手なこともやらざるを得ない環境にいます。授業の企画をつくるところは、もともと自分のやりたいことだったんですけど、人前で話すことだったり、自治体の人と話すことだったり、自分が苦手だなと思うことも容赦なくやらなければならなくて。

 

でも、やってみると『意外と出来るな』と思ったりとか、逆に得意だと思っていたことが苦手だったりとか、新しい発見がいろいろあります。また、同い年くらいの人と働くのが初めてだったので、いい意味で人と比べて自分の出来ていないところを認識できたのは、自分の中でも大きな変化でした。

 

自分はどこを突き詰めていきたいんだろう?ということは、今は見つけられてないんですけど、シブヤ大学で見つけていけたらいいな、と思っています

 

3.大澤さん

 

自分の暮らしと社会をつなげる。実現したい社会をつくる、みんなの学びの場へ

 

鍛えられる環境、と言えば、大澤さんの学長就任日は、2020年4月1日。コロナ禍の真っ最中です。人を集めて授業をしてきたシブヤ大学のこれまでのあり方も、根本的に見直さざるを得なくなりました。4月の就任から今まで、どのようにお仕事をされてきたのでしょうか?

 

「4月5月くらいは、がむしゃらにオンライン授業をやってみた、という感じでした。授業作って、オンラインで実験して、というのを繰り返していました。今まで月に1~2回はみんなで授業の振り返りをしていたのですが、3月末から在宅勤務に切り替わってしまい、授業の内部検証は試行錯誤しています。

6~7月頃から、ようやく今後の活動の方針や内容が出来始めたかな、という感じです」

 

4.シブヤ大学スタッフでの授業振り返りの様子 ★アイキャッチ★

コロナ禍以前のシブヤ大学スタッフでの授業振り返りの様子

 

コロナ禍でどのように方針や内容が変わったのでしょうか。

 

「オンラインで授業をやってみて、自分が学びたいことを大事にして授業をとり、他の人たちと一緒に学ぶ、というのは、オンラインでも出来るんだ、というのが分かりました。これからは、オンラインとオフラインの良さを使い分けながら両方やっていきたいと思っています。

今まで『人生を豊かにする学び』ってことを言ってきたんですけど、これからは実現したい社会への学びや、みんなで一緒に見つける学びなど、社会的なことにシフトしていこうと思っています。コロナ禍があったことによって、自分の暮らしと社会が近くなっている感じがあって。この感覚を大事に、自分が必要だと思ったことは授業にしていきたいですし、参加者がどう感じているかを知る機会もつくっていきたいと思っています」

 

5.シブヤ大学オンライン授業告知ページ

シブヤ大学オンライン授業告知ページ

 

未来を見据えながら、着々と経験を積み上げている大澤さん。最後に、転職するか悩んでいる方にメッセージをいただきました。

 

「どういう環境に身を置きたいのか、どういう人たちと働きたいのか、ということをたくさん考えた結果、シブヤ大学みたいな職場が見つけられました。この1年、経験できたことを考えると、シブヤ大学に行くっていう選択をしてよかったなと思っています。自分が心地よいと思う職場っていうのは誰にでもあると思うので、そこで働く人たちと一緒に働きたいかどうかで考えるのは、とても大切だなと思っています

 

大澤さんのお話を聞いて思ったのは、自ら成長をマネージメントできる方だな、ということ。

・「人づくりによるまちづくりがしたい」という軸をもとに現場に飛び込む

・上記の経験を元に、自分に足りないものを客観視する。自分を知る

・自分の成長に必要な環境を考える

・転職先を選ぶ

この大澤さんのステップは、ソーシャルベンチャーへの転職を考える多くの人に参考になると思います。

シブヤ大学採用担当者の左京さんの記事はこちらから読むことができます。採用担当者の目線の記事も合わせて御覧ください。

 


 

<お知らせ>

14周年を迎える9月に、「リニューアル特別授業」といった形で5つの特別授業(オンライン)を実施します。興味のある方は、ぜひこちらのページをご覧ください。

 

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DRIVE by ETIC.

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DRIVEメディア編集部です。未来の兆しを示すアイデア・トレンドや起業家のインタビューなど、これからを創る人たちを後押しする記事を発信しています。 運営:NPO法人ETIC. ( https://www.etic.or.jp/ )

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