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#スタートアップ

「誰でもできそうな事業をやっても、生きた心地がしない」PIXTA代表取締役・古俣大介さん―起業家七転び八起きvol.4

2014.11.28 

今回は、現在注目の起業家、インターネットにおける日本最大級の素材プラットフォーム「PIXTA」代表取締役 古俣大介さんに、これまでの起業家人生で大変だったことベスト3を伺いました。

古俣社長は現在までに3社を起業されているシリアルアントレプレナー。その起業家人生を通じての七転び八起きストーリーを伺いました。 古俣さん1 鈴木:起業家人生の中で大変だったことベスト3を教えて下さい。

 

古俣:一番辛かったのは資金繰りです。創業時の計画だと1年後には数百万円の売り上げが立っている予定でしたが、そこにたどり着くまでに、見事に3年もかかりました。

 

鈴木:その3年間は、どんな状態だったのですか?

 

古俣:まさにどん底でした。ちょうどリーマンショックの時期と重なり、資金調達が全く上手くいかず、苦しかったです。土日も、プライベートもなく、歯を食いしばって資金調達に駆けずり回り、サービスの改良を重ね、3年間本当に泣きながら頑張ったんですが、なかなか結果が出なかった。

 

鈴木:特に大変だった時期はいつ頃ですか?

 

古俣:創業から2年半後に、会社の口座にお金が0どころか、300万円足りないという事態になってしまったんです。

 

鈴木:マイナスですか!

 

古俣:もう完済した今だから話せますが、当時、個人のカードも限度額いっぱいに借り入れて資金繰りをしていましたが、資金が底を尽きるどころが、マイナスになってしまった。 この時、当時の社員十数人を集めて「このままだと来月から、給料が半分になってしまうかもしれない。」と宣言をしました。 そして、同時に僕自身は、最悪の事態を想定して、例え社員全員が去ってしまったとしても、いつか必ずこの事業を成功させるんだと、一人でもやり抜く覚悟を決めていました。すると、その翌月に奇跡的に2千万円の資金調達ができたんです。

 

鈴木:すごい!お給料を半分にしなくても良かったのですね。

 

古俣:はい。さらにその2か月後に売り上げがはねて、ひと月で、それまでの倍以上の売り上げを出し、そこから事業が軌道に乗っていきました。

 

鈴木:3年目にして一気に売り上げが上がったのは、何か仕込んでいたものが花開いたのですか?

 

古俣:そうです。いつ花開くか分からないものをやり続けていたんですけど、3年後にちょうど花開き、実を結んだんです。

 

鈴木:花開く前が、実は一番辛い時期だったのですね。

 

古俣:その辛い時期に学んだことは、想いが重要だという事と、諦めなければ、花開くための方法はいくらでもあるということです。これが駄目なら、次はこれ、次はこれって、覚悟を決めていれば、選択肢はいくらでも出てくるものです。それこそ、カードローンとかね(笑)

 

鈴木:そこまでの覚悟があったという事ですね。

 

古俣:例え皆が離れてしまい、一人になったとしても、この事業を絶対に成功させるんだ、自分の人生をかけるんだ、と自分自身に言い聞かせていました。その意気込みが色々な人に伝わって、徐々に出資をしてくれる方や、一緒に働く仲間が増えていきました。

 

鈴木:では、2番目に辛かったことは何ですか?

 

古俣:実は、PIXTAを創業する前に、実の兄と二人で健康グッズをインターネットで販売する会社を立ち上げ、経営していました。この会社は、創業から1年後には月商500万円、2年後には月商1千万円と粗利6割と急成長し、社員は僕と兄の二人だけでしたから、資金的には十分でした。ただ、その時は辛かった。事業がどんなに伸びても、僕の中で達成感が得られなかったんです。

 

鈴木:それは、何故ですか?

 

古俣:僕は、自分にしかできない事業を立ち上げて、世の中にインパクトを与えたいという思いが根本にあるのですが、その部分がずれてしまっていた。登る山を見失っている感じでした。 たまたまインターネットの知見があって、たまたま事業が軌道に乗って、でも人がつくった商品を多少人よりうまく売っているだけですから、自分自身は新たな価値を生み出している感覚が全くもてず、悶々と苦しんでいました。

 

鈴木:はたから見たら成功しているのに、その時期が起業家人生で2番目にくるくらい辛かったのですか?

 

古俣:本当に辛くて、生きている実感を持てませんでした。その後、自分は何をやるべきなのか1年半位考えて立ち上げたのがPIXTAです。アマチュアカメラマンの作品を売るんだ、自分の人生はこれにかけようと思った時、新たな起業を決断しました。

 

鈴木:当時はまだCtoCの写真のサービスはなかったですよね。周囲の反応はいかがでしたか?

 

古俣:大反対ですね。アホかと。順調にいっている事業を何故辞めるんだって。でも、僕の中での決意は固く、半ば強引に兄に株と社長を譲って、PIXTAを創業しました。

 

鈴木:なぜ、PIXTAに人生をかけるとまで思えたのですか?

 

古俣:コンテンツを作る方への尊敬の気持ちと、それを支えたいという思いが根本にあるからだと思います。 僕は、小学生の頃から漫画や小説、映画が大好きで、でも、自分にはそういうコンテンツを生みだす能力はないから、それができる方を尊敬する気持ちがずっとありました。

ある時、アマチュアカメラマンの方の高品質な作品がインターネットにどんどん投稿されていることに気づき、ネット上にこの素晴らしい作品をもっと活かせる場をつくれれば大きな価値を生み出せるのではないかと強く思いました。そして、結果的に人生を賭けられる事業に結びついたのです。 古俣さん2 鈴木:では、起業家人生の中で3番目に辛かったことはなんですか?

 

古俣:さかのぼること高校生か大学生の頃です。結構ぐれてたんですよ。人生の目的が全く見いだせず、ダラダラと過ごしていました。友達と遊んでも、本気じゃないから楽しくない。何にも必死になれない自分が不甲斐なく、辛い時期でした。そんな自分が変わったのは、20歳の時です。

 

鈴木:何があったのですか?

 

古俣:当時、叔母がイスラエルに住んでいて、20歳の夏に、初めての海外旅行でイスラエルに行きました。そこで、文化や常識の違いを肌で感じて、世界はこんなに広いんだ、今まで自分が悩んでいた世界は、なんて狭いのだろうと実感しました。

その時に偶然、孫正義さんの本を持って行っていて、その本を読んだら、世の中にはこんなすごい人がいるのか、とまた自分の知らない世界が広がって、一気に視野が広がった気がしました。僕もこんなエキサイティングな人生を送りたいと強く思ったのです。 その後、大学生活を送りながらECサイトを手掛けたり、当時インターネット業界で急成長を遂げていた株式会社ガイアックスでインターンシップを行ったり、主体的に人生を送れるようになりました。

 

鈴木:古俣さんは、人生に目的がないと辛くなってしまう方なんですね。

 

古俣:その裏返しには自身へのコンプレックスがあると思います。自分は常に劣っていると感じているから、目標を大きくもって達成したいという気持ちが強くあります。現状には、全然満足してません。現在の満足度は20%ぐらい。それで幸せかと聞かれたら、でも、それに向かっている時間は充実していると言えます。

 

鈴木:起業家の方はそういう方多いですね。常に現状に満足できない。そういう性質なんでしょうね(笑)。3つのお話に共通しますが、古俣さんの起業家人生は、ブレイクスルーする前が実は一番つらい時期で、その時にご自身と徹底的に向き合い、答えを出してきたのですね。ちなみに、どん底の時期を救った言葉ってあります?

 

古俣:起業の際にガイアックスの上田社長に言われた言葉です。「古俣君、会社やっていくのって、基本、辛いことばっかりやで。まともに対応していたら身が持たへんで。こんなのはゲームだと思わないとやっていけんで。」と言われました。

その後、辛い時には、自分はゲームの中にいる主人公で、生身の自分はそれを操作しているという感覚を持つようにして、どん底の状態でも冷静に次の一手を考えるようになりました。 あと、もう一つは、「クレジットカードは、作れる内にいっぱい作って、ここぞという時に借りられるようにしておけ」という言葉も、窮地を救いましたね(笑)。

 

鈴木:起業家にはそれ位の覚悟が必要だということですね。今日は貴重なお話をありがとうございました。

起業家七転び八起きシリーズ

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この記事を書いたユーザー
井上 陽子

井上 陽子

1981年生まれ。早稲田大学商学部卒業。学生時代にNPO法人ETIC.にてインターシップを経験し、人生を変えるような出会いに恵まれる。2005年から約5年間、日本テレビにてアナウンサーとして活動。スポーツ、情報番組などを担当する。その後、配偶者の転勤により、香港にて生活。帰国後、2014年1月よりDRIVEに参画。一児の母。

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