今回は、イギリスのオンラインニュースサイト"The Guardian"から、スウェーデン、ノルウェーなど北欧の社会起業家の動向に関する記事を紹介します。
福祉国家として知られる北欧諸国でも、行政による取り組みの隙間を埋めるように、近年社会起業家が活躍しているようです。 自助の精神が高いアメリカや、社会的インフラが整備されていない発展途上国と比べ、「行き届いた福祉」が提供されており、「社会課題は行政が解決するもの」という意識があるというスウェーデン。日本の状況にちょっと似ている北欧諸国の取り組みからは、多くを学ぶことができそうです。 以下は"Scandimania:'Stipsters', digital innovation and now, social business"の抜粋抄訳です。
- スウェーデンは、サスティナビリティやイノベーション、そして男女平等といった点について、世界的に高く評価されている。そうしたスウェーデンにおいて社会起業家の活躍が目立ってきているのは、ここ数年のことである。
- スウェーデンでは、「社会課題の解決は行政が担うもの」という意識が根強い。「社会起業家」というコンセプトも、まだまだ新しいものである。
- 近年の社会起業家の勃興の背景には、アショカ、Reach for change、SE Forum、Forum for Social Innovation Swedenといった、社会的投資ファンド(Social Investment Funds)や、支援組織が設立されたことがある。
- 歴史的な背景や政治の構造の影響も大きい。100年以上に渡って社会主義国家であったスウェーデンやデンマークでは、社会福祉の領域は行政が全て面倒をみるものとされており、個人が社会福祉を意識する必要はなかった。しかし近年状況は変化しており、社会起業家が社会福祉制度の隙間をうめる役割を果たしている。
- そういった経緯もあり、スウェーデンのソーシャルビジネスはアメリカやイギリスと比較すると、教育・ヘルスケアなど、社会福祉領域に関したものが多くみられる。
- スウェーデンの首都ストックホルムでは、数多くの若手社会起業家が生まれつつある。最近では、多くの若者が「社会起業家になりたい(when I grow up I want to be a social entrepreneur)」と言っている。「社会起業家」は、誰も知らない存在から、若者がなりたいと思う存在へと変わりつつある。
- ノルウェーは、まだまだ他の国々から学ぶことが多い。「社会起業家」という言葉もそれほど普及しておらず、スウェーデンやフィンランドとは状況が異なる。ノルウェーが他の北欧諸国と比較して経済的に豊かであったことが、理由のひとつとして考えられる。
- 全体として、北欧の社会起業家はまだまだアーリーステージ(創業期)にあると言える。今後は「社会起業家」、そして企業内から社会的事業を創り出す「社内社会起業家(Social Intrapreneur)」を支援する社会的インフラを構築していくことが重要だ。
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