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【起業家的人材採用のコツ】「想いを丁寧に伝え、組織の”人”を知ってもらう」福島の復興に取り組むNPO法人コースター

2013.12.12 

「創造的かつ持続的に自己変革していくことができる地域社会の実現」を目指し、福島県で活動するNPO法人コースター。2013年の新規事業となる福島県の田村市委託事業「田村市復興応援隊事業」に際してプロジェクトを立ち上げる人材が必要となったため、DRIVEにて求人募集を掲載したところ、事業の立ち上げ期にふさわしい起業家的な新メンバーが参画することになりました。(その時の募集ページはこちらから)。

今回のインタビューでは、その経緯や工夫したポイント、これから募集を行うソーシャルベンチャーへのメッセージを、代表理事の羽鳥圭さんに伺いました。 NPO法人コースターの活動風景

<写真:福島におけるコースターの活動風景>

地元だけでなく、東京やそれ以外の地域にもアプローチできる

岸:さっそく採用についてお聞きしたいのですが、DRIVEを使おうと思ったきっかけは何だったのでしょうか?

 

羽鳥:2013年から、「田村市復興応援隊事業」を始めることになっていました。その中でどのような人材を、どう採用していくかについて、ETIC.のメンバーに相談をしたことがきっかけです。

 

岸:今回は、全体としてどのような採用活動されたのでしょう?

 

羽鳥:(1)DRIVEへの掲載、(2)福島県田村市の広報を利用した市内への告知、(3)東京での説明会、(4)郡山市のコミュニティにて告知、の4つです。

 

岸:DRIVEに関して、他の採用活動との違いは何かありましたか?

 

羽鳥:複数名採用することが決まっていたので、多様な地元コミュニティ以外からも人を集めたいと考えていました。DRIVEを通して、東京をはじめとした全国の人にアプローチができることが良かったです。

なぜやっているのか、誰がやっているのか、を伝える

岸:立ち上げの事業での採用活動となったわけですが、特に工夫した点があれば、ぜひ教えてください。

 

羽鳥:コースターは事業構築中で、今回の募集対象は立ち上げのメンバーでした。また、通常のビジネスや非営利事業とは異なり、復興に関わる特殊な仕事でもあると思います。ですから、募集要項を作るというよりも、事業の内容を具体的に詳しく書き、なぜ取り組んでいるのかをしっかりと伝えることを意識しました。

 

岸:一般的に記載する「勤務条件」などだけでなく、なぜやっているのか、何をやっているのかをしっかり伝わるように工夫されたということですね。

説明会を開催して、コースターの中の「人」を知ってもらう

羽鳥:そうです。まず、類似事例も織り交ぜしながら、事業内容を具体的に伝えました。また、コースター自体及び、活動しているメンバー自身を知ってもらうということも大事にしました。また、説明会を実施したというのも工夫した点です。DRIVEやその他のメディアを使って、説明会の告知も同時に実施しました。

 

岸:募集だけでなく、説明会に誘導するという使い方をされたのですね。次にコースターに参画する仲間に、よく仕事や人を知ってもらうという点で、とても効果的だと思います。

 

羽鳥:はい。今回採用することになった方は、他の復興支援関係の事業にも、同時に内定が出ていたそうです。そこでコースターを選んだ決め手は、コースターが元々地域づくりをやって来たことと、一緒に仕事をするメンバーを実際に見て知ったことだと聞きました。やはり、説明会を実施してよかったなと思いますね。 NPO法人コースターの福島での活動風景

<写真:仮設住宅における田村市復興応援隊の活動風景>

仕事への強い想いを持った人と働きたい

岸:転職された方は、どんな方でしたか?

 

羽鳥:30代後半の男性で、前職では警備会社での企画営業を担当されていました。予備自衛官の方という、ユニークな経験を持つ方です。東京の予備自衛官は、震災時には投入されなかったので、ボランティアで震災復興に関わっていたそうです。

 

岸:コースターの事業への共感度が高そうですね。

 

羽鳥:元々は、ETIC.インターンの経験者の採用を期待していました(笑)。予備自衛官は全くの想定外でしたが、とても満足する結果となりました。

 

岸:採用の決め手は何でしたか?

 

羽鳥:仕事に対して、どういった想いを持っているのかを一番重視していました。新規立ち上げなので、高いストレスにさらされることはわかっていましたし、給料もそれほど高くありません。ですから、強い想いがないと続けていくことができないと考えていました。

 

岸:事業への情熱が重要ということですね。

 

羽鳥:当時はあまり意識していませんでしたが。今振り返って考えてみると、もう一つ大きかったのは、「自分たちが、想いをもった人と働きたかった」ということがあります。立ち上げ期には、ぶつかりあうことも少なくありません。そんな中でも、思いの部分がつながっていれば、一緒に乗り越えていけると思います。

 

岸:DRIVEのキーワードに、「起業家精神」というものがあります。復興支援に関わるNPOにとっての起業家精神とは、どういったものでしょうか。

 

羽鳥:まず起業家とは、事を起こす人ですよね。積極性、受け身ではない方、その場でできる貢献を追求できる方、そして自分で責任を引き受ける人だと思います。被災地ならではかもしれない点としては、事業に対する周りの期待値が高いことがあります。ですので、そこで何かを始める人は、その責任を受けざるをえません。起業家マインドが醸成されるチャレンジングな環境だと思います。

採用の成否は設計フェーズで決まる

岸:これから採用活動を行う団体にアドバイスをお願いします。

 

羽鳥:私は、事業は人が命だと思っています。今回は1カ月間で急ぎの採用活動をしたのですが、時間的な制約を感じることが多かったです。説明会も1回しかできませんでしたが、もし3回できたら、もっと多くの方にコースターを知っていただいた上で、採用を決めることができたと思います。スケジュールとしては最低3カ月、働き始めの日から考えると4か月は余裕を持って採用プランを設計していく必要があると思います。経験豊富なビジネスパーソンなどから、採用に関して事前にアドバイスをいただくのも効果的だと思います。

 

岸:採用ににおいても、設計の段階が重要だということですね。今回は貴重なお話をありがとうございました。

NPO法人コースター代表理事/羽鳥圭

慶應大学SFC・同大学院を卒業後、シンクタンクに就職。2012年春に退職し、ふくしま連携復興センターの右腕として福島に移住。2012年10月にコースターを設立し、共同代表に就任。

NPO法人ETIC. 聞き手/岸周平

1976年生まれ。千葉育ち。ETIC. インターンOB(Entrepreneur Internship Program)、株式会社VOYAGE GROUP初期メンバー、株式会社jig.jp創業メンバー、現取締役。現在はベンチャー求人情報「DRIVE」編集他。興味は世界一周。

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石川 孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)とお茶と自然を愛する。

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