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「あなたのNPOは、採用に成功してる?5W1Hで考える採用戦略」PubliCo・山元圭太さん(後編)

2014.12.10 

ここ2~3年で少しずつ増えているNPOやソーシャルビジネスの求人。前編に引き続き、採用にお悩みを持つNPOやソーシャルビジネスの中の人に向けて、「5W1Hで考える採用戦略実践講座」(運営:NPO法人NPOサポートセンター)の内容をお届けします。

今回は、採用説明会からクロージングまでの具体的な流れについて。採用活動に悩んでいる方にぜひ読んでいただきたい内容です。 PubliCo・山元さん

なんとなく・・・で採用活動せずに、数値目標をたてる

採用力は、複合的な力の結集。母集団形成や説明会実施などの「集める力」、面接で「選び抜く力」、クロージングで「動機づける力」の3つが必要です。企業でいうと、マーケティング力、いい素材を選ぶ購買力、営業力に例えることもできるかもしれません。 そして、必ず数値計画をたててから採用活動をやるようにします。

今の進み具合が好調か不調かを見える化するためにも、計画が必要です。採用する人数から逆算して、三次面接には何人必要、二次面接には何人必要…と、エントリーが何人必要かを考えていきます。一次面接では何割程度を残すなど、数値計画は他のスタッフとも共有しておく必要があります。 計画が作れた上で考えなきゃいけないのが、母集団形成です。告知文や求人票を作成したら、採用したいペルソナに近い人に見てもらって、フィードバックをもらうようにしましょう。

NPO独特の役職名などに関しても、伝わるかや魅力的に見えるかなども、意見を尋ねてみるといいと思います。WEBからの応募者が何名、説明会からの応募者が何名など、媒体ごとの目標数値を決めて動くといいでしょう。

いい人材のエントリーを逃さない採用説明会とは?

説明会実施のポイントは、3つ。1つ目は、ポジティブなことの打ち出し&ネガティブな部分の打消し。いいところを伝えるのはもちろん、お金の面など相手が心配・不安に思う部分に対して、ちゃんと説明できるようにしておきます。

2つ目は、集客・説明会などのコンテンツ・エントリーが一貫した流れになっていること、3つ目はスタッフ間の共有です。 説明会の目的は、エントリーを増やすという事が基本だと思います。その上で、説明会に来て共感してくださった方に、寄付会員になっていただくという目的もありうるかもしれません。社会問題そのものや、「NPOで働く」ということの啓発になる部分もあると思います。

何のためにやるのか、何を達成しようと思っているのか、他の運営スタッフにも共有して手伝ってもらいましょう。 また、転職を考えている人は、「話を聴きたい」というだけでなく、「話したい(情報交換したい、不安を相談したい)」というニーズを持っている場合があります。なので、参加者同士で話してもらう場を入れることも重要です。現在働いている人のキャリア事例を見せたり、WEBで調べるだけではわからない情報や機会を用意するのが大事です。

説明会後も、終わったらお開きではなく、いい人材は積極的に追いかける必要があります。「エントリーしますか?」という質問をアンケートで聞いて意向を確認することはもちろん、いいなと思う人へは「ぜひエントリーしてほしい」とその場で伝える。説明会後のメールでも、いつまでにエントリーしてくださいなど、丁寧にリマインドを行って、せっかく興味を持ってくれた人を逃さないようにします。

活躍する人材を見分けるために、確認することは?

さて、エントリーしてもらっていよいよ面接となりますが、面接では、行動面接手法、評価項目の設定、スタッフ間の申し送りが重要です。 行動面接手法とは、志望動機・過去の実績・原体験の順に、現在から過去へとさかのぼりながら、本質を掘り出していくものです。「なぜそうしたか?(WHY)」という行動質問を使用しながら行います。相手がどんどん話してくれて、「話してみて、はじめて気づきました」と言われたら、面接でちゃんと話を聞けていると考えていいでしょう。

過去を掘り返したあとは、将来の夢・キャリア観・組織に期待することなど、未来から現在へと、「もしそうするにはどうしますか?(if)」で尋ねていきます。 また、評価項目や、何を面接でチェックするかも設定する必要があります。それには、自団体で活躍している人間が、どういう強みを発揮して成功しているのかの分析をしなくてはいけません。

団体のミッションと個人のミッションのマッチング度が高いか、能力はあるか、一緒に働く主な既存メンバーとの相性はよさそうかなど、いくつか確認すべきポイントがあると思います。確認したいポイントが洗い出せたら、どういう質問でそれを確かめるか、考えていきます。また、面接が進むたびに何度も同じ質問を繰り返してしまわないよう、相手がどういう風に答えたかを、次の面接官へ申し送りしておくことも大事です。

最後の意思決定!クロージングにあたっての心構え

クロージングでは、その人の意思決定に影響する、影のキーマンを意識する必要があります。家族や恋人かもしれないし、尊敬する先輩かもしれません。家族を持っている方だったら、家族と一緒に団体の講演会やイベントに参加してもらうなども、意思決定を後押しするには大事かもしれません。NPOでは大量採用を行うようなことは少ないと思うので、相手にあわせたクロージングをしていくことが大事かなと思います。

「人材は、社会からの預かりものである。だからいつかは社会にお返ししなければいけない。その人をどれだけ社会に役立つ人にして、社会にお返しできるかが、会社の役割である」。

昔の職場の上司に言われたことなんですが、今もそれは大事なことだと思っています。応募してきてくれた人が自分の力を発揮して働いていけるように、キャリアの通過点として、機会を用意していくのが、採用する側にとっては必要だと考えています。

2016年9月現在、山元さんの株式会社PubliCoで、コンサルティング等人材募集中です!

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田村 真菜

フリーランス/1988年生まれ、国際基督教大学卒。12歳まで義務教育を受けずに育ち、野宿での日本一周等を経験。311後にNPO法人ETIC.に参画し、「みちのく仕事」「DRIVE」の立ち上げや事務局を担当。2015年より独立、現在は狩猟・農山漁村関連のプロマネ兼ボディセラピスト。趣味は、鹿の解体や狩猟と、霊性・シャーマニズムの探究および実践。