2035年までに「当たり前に木材のある社会」をつくりたいという理念を掲げ、様々な活動を展開している飛騨五木グループ。
森の川上(不動産・金融・林業)、川中(製材)、川下(工務店・六次産業)と幅広い分野を担う飛騨五木ですが、今回は特に人材に関する取り組みについて寄稿いただきました。
>>以前お話を伺った、飛騨五木㈱ 企画研究室長・井上さまのインタビューはこちら。
林業から製材、住宅からエネルギー、不動産、金融まで。日本一の森林面積岐阜県高山市からはじまる、森林利活用の最前線
“森ではたらく”という言葉からどのような仕事を思い浮かべますか?
木こり?
キャンプ場の管理?
環境教育のインストラクター?
思いのほかイメージが沸かなかった方も多いのではないでしょうか。実際、どんな仕事があるのかネットで情報収集をしてみても、例えば、希望するエリアで林業会社の事細かな情報を見つけ出せるのはごくわずか。というのも、林業や木材に携わる企業の多くが情報発信を得意としていなかったり、関連する業種・職種が幅広すぎたりと、業界に関する情報を把握するのが容易ではない現状があります。
裏を返せばそれは、“森ではたらく”ということが多様性に富んでいるということでもあるのです。では、具体的にどのような多様さ・可能性が潜んでいるのでしょうか。
探るための足掛かりとして、森林業界への就職をサポートしている、飛騨五木㈱就職支援事業の担当でもあり、国家資格のキャリアコンサルタント保有者でもある、渡邊杏奈さんに話を伺いました。
日本の森林を守り、切り開いていく。様々な形の“森ではたらく”
― “森ではたらく”、にはどんな多様性がありますか?
「“森”といえば木を伐採するシーンを思い浮かべることが多いと思いますが、実は想像以上に多様な仕事が存在しています。
例えば、資源量を把握するなどの森林調査、木造建築の設計、丸太を建築材などに加工する製材、木材を消費者のもとへ届ける流通、地場の木材を使った商品開発やマーケティング、木材を活用した施設開発などのディベロッパー、はたまた猟師などなど、ここには挙げきれないほどたくさんあります。
選択肢が広いからこそ、森林業界についてまずは知ることから始めよう!と、気軽な気持ちで飛び込んでいただきたいですね。意外にも、ご自身のキャリアや専門が活かせる職種が多く存在していることに驚く方もいらっしゃいます。一見、関係のなさそうなITやWEBのスキルだって、この業界ではとても重宝されます。
また、担い手不足な業界であるが故に、未経験者ウェルカムな企業も多く、森や木にまったく関わってきたことがなくても、新しいことに挑戦しやすい環境でもあります。
木を扱うか、スキルを高めるか、市場開拓していくか、段階も多種多様。その一方で共通するのは、日本の森林・未来を守り、切り開いていくという世界観です。」
― 日本の森を守る、とは具体的にどういうことですか?昔と今とで森の状況はどう変わってきているのでしょうか?
「エネルギー革命が起きる前までは、資源としての木材は大変重用されていました。燃料としての木炭や、暮らしを支える住宅資材・生活の道具、食料など利用は多岐に渡っていました。しかし、石油に代替されるようになったことで、木材の価値はどんどん下落していったのです。現在では資産価値としても森林はかなり低く評価されており、田畑よりも価値がないと見なされる森もあると言われています。
ですが、この一度見放された森林資源には、まだまだ底知れぬ可能性が眠っています。そして何よりも、資源がほぼ枯渇しないことが森林の大きな魅力です。適切に管理し計画的に利用していけば持続可能な資源サイクルをつくることができるようになります。
私たちが所属する飛騨五木グループは元々、林業や製材、木造建築に携わってきました。国内の木材の利用がどんどん減っていますが、地元に生えている木材を使って、その土地に建物を建てることは、しごく自然な営みだと思っています。そして、そういった営みを支える“森ではたらく”という選択には、地域の雇用を新たに創出し、地域全体を元気にする力があると確信しています。ゆくゆくは、地方にいる高校生が進学で都心の大学に行ったとしても、卒業後は生まれ育った森の近くではたらける、そんな環境を整えていきたいですね。」
― 地域で森と関わりはたらく醍醐味は何でしょうか?
「日本全体の森林率は約7割。どの都道府県にも山々に囲まれた地域が必ずあります。ですので、その土地の森林を中心とした産業を伸ばせば、自ずと地域全体が豊かになります。また、経済活動だけでなく、地域の人々の安全な暮らしを守ることにもつながっています。適切に管理して健全な森林を育むことで、集中豪雨が起きたときに流木が集落に流れ込んでしまうような被害を防ぐなど、地域社会における森林の存在は大きいです。自分の仕事が地域のためになっているんだと実感できることも多いはず。
森が身近にある暮らしは、食事や遊びなどで充実する時間が増えることも一つの魅力。山菜料理、キャンプ、スキー、川釣りなど、仕事と生活を十二分に楽しめることが大きな醍醐味だと感じています。」
森の仕事から暮らしまで、ともに考える
飛騨五木㈱では、森林業界に特化した、求職者と求人企業とのマッチングをサポートしています。個別に斡旋や求人サイトの運営などを通じて最適なマッチングを目指しています。
木や森が好きで、それを仕事にしたい人がいる一方で、そういった人材をなかなか見つけられない、募集が集まらないと嘆く企業もたくさんある、というのが現状です。求職者や企業にとって「ここに行けば必ず出会える」と思える場所をつくりたいと、求人サイトを中心としたプラットフォームづくりに励んできました。
また、愛知県名古屋市にある『MORIWAKU SPACE』では、“森のコンシェルジュ”と称して就職相談窓口を常設し、いつでも相談に乗れる体制を整えています。
こうした活動に加えて、2018年11月26日には、飛騨五木㈱と岐阜県、森のジョブステーションぎふ(岐阜県森林公社)による「森の仕事に係る担い手確保に向けた協定」を締結しました。人材確保のため、森林に関わる就職相談・イベントなどの開催を連携して取り組んでいきます。
さらに、就職イベントも定期的に開催しており、森林業界のさまざまな企業担当者と直に会話できる場を設けています。これまでの参加者は業務内容について細かく質問するだけでなく、「寒い土地での生活に不安があります」といった、生活に関する相談をする方もいました。
仕事を選ぶ際、「何ができるか」「何をしたいか」だけでなく、「どこではたらき、暮らしていくか」も自ずと考えることになります。
地域によって気候や文化はまったく別物。移住の場合は、新たな土地に慣れるのもひと苦労のはずです。特に林業や木材業は地方を拠点とする企業が多くあります。地方都市ならまだしも、田舎に住むとなると娯楽が充実しているとは言えません。仕事以外の時間にその地域でどのように過ごすのか。地元の伝統行事に参加したり、週末は近くの山で登山を楽しんだり。仕事を含めてその地域でどのように暮らし、生きていくのか考えることにつながります。
就職イベントの様子を見ていても、参加者一人ひとりが自分の大切にする基準をもとに、活躍の場を検討する姿は真剣そのものでした。
だからこそ、求職者との対話を大切に、その方の人生観を尊重しながらサポートしています。
“森ではたらく”をもっと具体的に考えたい方はこちらへ!
5月に東京と名古屋で開催される『日本中の森の仕事が見つかる!転職・新卒フェア』では、これからの木材業界をリードする企業が集結します。会社説明の後は少人数に分かれて、じっくり個別面談。企業担当者と近い距離感でコミュニケーションを取ることができますよ!
※過去のフェアの様子は以下でレポート記事をアップしています↓
https://moriwaku.jp/learn/5301/
※今年度の開催内容についてはこちらをご覧ください↓
https://job.moriwaku.jp/news/p1193/
<今春の開催日程>
2019年5月12日(日)東京
2019年5月19日(日)名古屋
ちょっと興味が湧いてきた方、本当に相談したい!という方は下記のサイトをご覧いただき、気兼ねなくお問い合わせしてみてください!
・WEBサイト「森、しごと、探す。」
・就職相談窓口が常設された「moriwaku space」
https://moriwakuspace.jimdofree.com/
はたらき方を変えることは、暮らし方・生き方をシフトチェンジしていくことにもなります。仕事を通じてその地域でどのように生きていきたいのか、どんな人でありたいのか、そんな根っこの部分も含めて、専門のキャリアコンサルタントとともに、じっくりゆっくり考えていきましょう。納得のいく道がきっと、見つかるはずです。
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<お問い合わせ>
運営会社:飛騨五木株式会社
担当:渡邊、鵜飼
電話:052-265-5327
E-mail:info@goboc.jp
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