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長期療養児とアスリート、オンライン交流で「青春」を諦めない―特定非営利活動法人Being ALIVE Japan

2021.09.22 

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この記事でわかること

★長期療養とは、長期間にわたり治療や療養を必要とすることです。

★現在、長期療養の子どもたちは全国に約25万人*いるといわれています(日本の子どもの約100人に一人**)。

★「みてね基金」に採択された「Being ALIVE Japan」は、スポーツを通じて長期療養の子どもたちが、最高のこども時代「青春」を実現できるようサポートしている団体です。今回、コロナ禍でもアスリートと交流できるオンライン事業で、子どもたちが「青春」を楽しむ機会をつくりました。

 

治療で「青春」を諦めさせない――。

長期療養の子どもたちが子ども時代にしか経験できない最高の「青春」を楽しめるように、スポーツを通じてそのきっかけとなる場や時間を提供するNPO法人があります。その名は、「特定非営利活動法人Being ALIVE Japan」。多くのアスリートを巻き込みながら、子どもたちの長期療養生活を支える活動を行っています。

新型コロナウイルス感染症の拡大後、長期療養の子どもたちは感染防止のために家族との面会や外出など大きな制限を余儀なくされました。「Being ALIVE Japan」の病院の中での支援活動が休止になり、長い療養生活を送る子どもたちにとって大切なモチベーションを維持する機会が一つひとつ消えかけていきました。

「Being ALIVE Japan」は子どもたちの「青春」を守るために、アスリートと交流できるオンライン事業をスタート。「みてね基金」は、コロナ禍における子どもたちのモチベーション維持の課題の大きさと「Being ALIVE Japan」のオンライン事業の重要性を感じ、採択を決めました。

「Being ALIVE Japan」の理事長である北野華子さんに活動を始めたきっかけ、オンライン事業で実現した子どもたちの「青春」についてお聞きました。

 

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※こちらは、「みてね基金」掲載記事からの転載です。NPO法人ETIC.は、みてね基金に運営協力をしています。

スポーツを通じて子どもたちと選択肢をつくる

 

長期療養の子どもは、全国に約25万人*いるといわれています(日本の子どもの約100人に一人**)。多くが、いつ病気が治るかわからない中で治療を続けている子どもたち。入退院を繰り返している子どもも少なくありません。

 

「Being ALIVE Japan」は、同じように5歳の頃から15年間、長期療養生活を送った理事長、北野華子さんの経験をもとに生まれた団体です。大学入学後にようやく病名がわかり、自分に合った治療法や薬が見つかったことで体調が落ち着いたという北野さん。

 

大学3年生だった2019年頃、長期療養の子どもたちを支えることを仕事にすると決め、大学の研究所員などを経て2013年にアメリカへ留学。訪問した病院で、治療中でも体調に合わせてスポーツができること、スポーツを通じて自分に自信を持ち、仲間をつくり、社会とつながれることに可能性を感じ、帰国後、2015年から活動を始めました。その後は、スポーツをきっかけに長期療養の子どもたちにとっての新しい価値観や当たり前をつくり出せるように、機会づくりを進めています。

 

「私もそうだったのですが、長期療養の子どもたちは、何か挑戦したいことがあっても『病気だから』『今は治療中だから』と、どうしても一歩を踏み出せなくなるところがあります。『Being ALIVE Japan』では、スポーツの力を信じて、前へ進めるような選択肢を子どもたちと一緒につくりたいと思っています。」

一人で病気と闘う子どもたちをアスリートと応援したい

 

「Being ALIVE Japan」の活動内容は主に三つ。一つめは、病院や地域でアスリートと子どもたちが一緒にスポーツができる機会を提供する活動。二つめは、プロや大学スポーツチームに子どもたちが4~6か月の間入団し、実際に練習や試合に参加する活動です。

 

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いずれも、新型コロナウイルス感染症が拡大してからは活動を休止しました。病院内では子どもたちのためのイベントがすべてなくなり、院内学級やプレイルームも閉鎖に。こうした状況下で始めたのが、三つめの活動である「長期療養児とアスリートが交流できるオンライン事業」です。コロナ禍でも子どもたちが「青春」を感じられるようにオンラインで支えます。

 

「コロナ禍では、ベッドの上で一人病気と闘う子どもが増えました。病院では面会の時間や回数が制限されるうえ、両親そろっての面会ができない場合があったり、自宅療養の子どもたちは外出制限をされたり。緊急性を感じる現状を病院やご家庭からたくさん聞いていました。いくつかの病院からは『オンラインで何か支援ができないだろうか』と相談も受けていました。」

 

団体として何ができるかを考えた結果、北野さんたちはオンライン事業を立ち上げます。「アスリートとつながることで、子どもたちにとって『ひと』『社会』との接点になれば」という想いからでした。

 

2020年春、アイデアを具体化するタイミングで「みてね基金」を知った北野さんたち。自宅療養の子ども、入院中の子どもを対象に実現の段階を踏んでいく中、「みてね基金」に採択されたことで、タブレットやネット環境の整備をはじめ、活動を拡充させていきました。

アスリートも企画から一緒に楽しむ

 

アスリートとのオンライン交流支援は、一回につき50分~60分間で行いました。一般的に小中学校では50分前後の授業が多いこと、子どもたちの集中力や体調面を考慮してのことです。また、この支援には、バスケットボール、フィールドホッケー、サッカー、アイスホッケー、ラグビーなどのプロアスリートたちが参画しました。

 

運営する中でこだわったのは、子どもたちがアスリートたちと積極的に交流したいと思えるように工夫をすること。アスリートには企画から関わってもらい、アスリートが子どもたちに何かをしてあげるのではなく、一緒に楽しんでもらえることを大事にしました。同じ時間を一緒に楽しむことで、アスリートと子ども、子ども同士など、支援を超えた横のつながりが生まれることを、北野さん自身、何度も実感していたのです。

 

病院の医療者の意見もふまえながら生まれたのは、スポーツがテーマのビンゴやスポーツの三択クイズ、ラグビーの動きと文化を取り入れた「ラグッパ体操」など。子どもたちにもアスリートたちにも無理なく、気軽に楽しめる企画を行っていきました。

 

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「これまで、アスリートの方には外国籍の方も含めて28名の方に参画していただいたのですが(20217月時点)、コロナ禍で自身の練習や試合など競技生活自体が自粛になった方が大半でした。自宅にいる時間も増えた中で『子どもたちに何かしたい』という方が多く、積極的に、楽しそうに子どもたちと交流してくれました。」

 

「シーズン中にも関わらず参加してくれたアスリートの方は、『競技生活の厳しい場面を乗り切るモチベーションの一つになった』とも言ってくれました。継続して参画してくれた方、子どもたちと交流した後に感想や想いを発信してくれた方もたくさんいます。」

 

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医療者が協力を惜しまない理由

 

アスリートとのオンライン交流支援では一つ大きな課題がありました。それは、病院で行う場合、どうしても医療者の負担が増えてしまうこと。コロナ禍では感染防止の面から「Being ALIVE Japan」が病院に訪問できないため、タブレットやWi-Fiの設定や子どもの付き添いが必要な時の対応など、子どもたちのサポートを医療者たちに担ってもらう必要があったのです。

 

「病院側の負担を減らすために、支援の準備段階から医療者と子どもたちへのアンケートを重視しました。結果をもとにできることから解決していき、オンライン交流支援が一回終わると、アンケートを取って、改善しながらまた一回開催して、を繰り返しました。」

 

オンライン交流支援に協力してくれた医療者たちについて、北野さんは言います。

 

「とても忙しい時間だったと思うのですが、それでも熱意をもって取り組んでくださいました。そのおかげで病院内でのオンライン交流支援が実現できたと思っています。」

 

「普段、医療者の方々の仕事は、治療が中心になると思います。でもその前提として、子どもたちの心のケアも大切だということは、近年の小児医療の現場でも理解が深まっています。このコロナ禍で長期入院をするこどもたちの心理面を支えるイベントや訪問事業がなくなってしまったので、今回のオンライン交流支援は実現しようと動いてくださったのだと思っています。」

 

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「きょうだいで一緒に頑張ろう」

 

アスリートとのオンライン交流支援は、2021年7月の時点で計22回開催しました。参加した子どもは163人。そのうち、長期療養の子どもは114人、きょうだいは49人です。

 

長期療養の子どもだけでなく、きょうだいも参加できる。きょうだいそろってアスリートと交流ができることも、この交流支援の特徴の一つです。

 

「一人のお子さんが病気になると、家族全体の生活のバランスも変わってきます。元気なきょうだいも日常生活の中で我慢をする場面が多くなり、一人で向き合わなくてはならないこともあります。そのあたりを含めてサポートすることを『Being ALIVE Japan』ではずっと大事にしてきました。アスリートとのオンライン交流支援では、『きょうだいが一緒に頑張ろうと思える機会になっています』という声もご家庭からいただいています。」

 

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「アスリートを応援したい」子どもたちの新たな行動につながった

 

「ラグビーの選手と触れ合った子どもやご家族からは、『ラグビーのことは全然知らなかったけれど、入院をしたからラグビーを知ることができたし、新しいことに触れられた』という声もいただいています。アスリートを応援したくて、試合を観に行った子もいるんです。オンラインでの支援なのですが、オフラインでの交流や社会に出るための自立心につながっていることを感じると、この交流支援を始めて本当によかったと思います。」

 

今後については、「病院側の負担を考慮して、月1回くらいをベースに定期開催しながら、病院内でオンライン支援の機会を増やしていきたい」と北野さん。さらに、「できることはいろいろある」と思い描く活動について話してくれました。

 

まず、ラグビー選手らと作り出した「ラグッパ体操」をはじめ、オンラインでもできるスポーツ活動を増やしていくこと。いつでも、子どもたちとアスリートたちが同じ場所で一緒にスポーツを楽しむオフラインでの活動を再開できるように。

 

また、海外の文化や言葉に触れられる外国籍のアスリートたちとの交流も、治療でなかなか海外旅行に行けない子どもたちに人気が高いため内容をより充実させていくとのこと。「将来的に、海外在住、また活躍するアスリートと子どもをつなげることもできたらと思っています」と北野さん。国内でも、居住地の近い子どもとアスリートが交流できる機会をつくっていきたいそうです。

 

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小さくてもできることに目を向けて

 

今回、アスリートとのオンライン交流支援では、長期療養の子どもたちのために、家族をはじめアスリート、医療者など多くの人が一緒に取り組みました。

 

「みてね基金」を通じて、「家族アルバム みてね」を知ったという北野さん。子どもたちの家族、アスリート、医療者など愛用している人が多かったことで、「みてね基金」への信頼感も高まったと話します。子育て中の親御さんたちにはこんな言葉を送ってくれました。

 

「コロナ禍では、いろいろな制限の中で生活されている方が多いと思います。その中でも、小さくてもできることに目を向けてみると何かが変わるのかなと思っています。」

 

「私たちも、『できることから』と活動を始めていきました。スポーツ活動も最初は『病院でスポーツなんて』と驚かれることもありましたが、少しずつ実績を作り、事業を拡げていきました。小さくてもできることに目を向けてほしいし、『Being ALIVE Japan』でも、できることから可能性を広げる機会を子どもたちに提供していきたいです。」

 

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取材して感じたこと

 

「Being ALIVE Japan」の活動では、最初はスポーツに興味を示さなかった子どもたちも、自由に意思表示しながらいつの間にか仲間に入り、楽しんでいるそうです。さらにオンラインの交流支援でも、長期療養の子どもだけでなくきょうだいが一緒に輪に入ることを当たり前としていました。すべての子どもがありのままの姿でアスリートたちや新しい友達と出会い、活力を得て、次のステップへとつなげていく。病気の治療を頑張る子どもたちが、まさに子ども時代の今を楽しむきっかけをつくるすばらしい活動だと思いました。

 

団体名

特定非営利活動法人Being ALIVE Japan

申請事業

長期療養児とアスリートが交流できるオンライン事業

 

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みてね基金新型コロナ
この記事を書いたユーザー
たかなし まき

たかなし まき

1971年愛媛県生まれ。松山東雲短期大学英文科卒業後、地元の企業に就職。その後上京し、業界新聞社、編集プロダクション、美容出版社を経てフリーランスへ。いろいろな人と関わりながら新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。

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