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#社会政策

社会をよくしたい資産家に新しい選択肢を。日本の社会貢献のあり方を変える一般財団法人リープ共創基金(REEP)

2022.02.24 

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SDGsなど、世の中の社会課題への関心が高まるにつれ、ベンチャー企業の経営者や外資系企業のトップ層の間でも、その資産を課題解決へ還元する動きが盛り上がりを見せています。

 

日本でも遺産などの資産の有効な活用への関心は年々増えているようです。一方で、多くの方はどのように使えばよいか迷っているのが現状。こうした迷いに伴走して質の高いプロフェッショナルサービスを提供しているのが、一般財団法人リープ共創基金です。

 

一般財団法人リープ共創基金の中核事業の「ギビングファンド」は、資産のある方が、低コストで長期的にNPOなどに寄付を続けられる画期的な仕組みだといいます。

 

また、同財団は、資金管理に特化した財団法人として、プロフェッショナルサービスを可能にする上でも、トップダウンの中央集権型ではなく、フラットで自律的な新しい働き方に転換し、プロジェクトの質を高めています。

 

今回は、一般財団法人リープ共創基金の団体設立の経緯や、具体的な活動、およびその働き方がもたらす効果について、代表理事の加藤徹生さんと、プロジェクトオーナーの兒玉義德さん、桝田 綾子さんにお話を聞きました(記事中は敬称略)。

 

「寄付が少ない」と言われている日本ですが、ギビングファンドの仕組みでそうした状況が変わる可能性を感じました。

ギビングファンドで社会に新しい「お金の流れを創る」

 

――一般財団法人リープ共創基金(以下、REEP)の主な事業について教えてください。

 

加藤 : REEPは、「最も困難な状況に置かれている人々に最高の支援を届ける」をミッションとし、2015年に設立された財団法人です。REEPの中核事業の「ギビングファンド」は、資金提供者からお預かりした資産を運用し、得られた運用益を社会課題解決に取り組むNPOなどに提供する仕組みです。資産を運用し、元本は維持したまま増えた分を寄付にしているので、継続的な助成が可能になります。

 

これまで日本では、このような仕組みは、数億円規模の財団を設立しないと実現できませんでした。しかし、ギビングファンドは、財団の中に「基金」という区分を設けて、管理するだけなので、大規模な個人財団のような法人格の設立は必要ありません。そして、REEPの特徴は、資金管理に特化した財団法人であるところです。そのため、提供を受けた資産の「運用」からNPOなどへの「資金提供」まで、幅広く高い質のサービスを提供できます。

 

このREEPのギビングファンドは、近年、米国や欧州を中心に広がっている仕組みであり、日本の制度下で再現したもの。低コストで長期的な社会変化を実現できると定評があります。

 

ただし、必要以上に大きな金額をNPOなどに提供することは、時に受け取った組織へマイナスの影響をもたらすこともあるので、資金提供をしないという選択も大切にしています。

 

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遺産の寄付などを考える方や、寄付を検討しているベンチャー企業の経営者など、社会課題解決に資金提供をしたい人は、徐々に増えつつあるように思います。

 

REEPは、今後増えていくであろう資金提供者のみなさんと、社会課題に対応しているNPOなどの間に立ち、社会のポジティブな変化につながるようサポートをしています。

 

――ギビングファンドのような新たな取り組みを実施されていますが、財団を設立した経緯や想いについて教えてください。

 

加藤 : 財団の設立以前は、2011年から社団法人を運営し、東日本大震災の被災地で社会起業家の事業の成長を支援していました。この活動を続けていた中、あるご家族から、3,000万円の寄付の相談を頂いたのが財団設立のきっかけの一つでした。

 

この相談がギビングファンドの一つ目の事例になり、「たつえ基金」と名付けられました。ただし、基金の運用までは経験したことがなく、やってみるのは自分自身でも大きな挑戦でした。当時、日本には「資金提供と資産運用をセット」でやるという資金提供者向けのサービスはありませんでした。

 

また、東日本大震災の時、寄付は集まる一方で、子どもには使えるが、地域には使えないなど、資金の流れが行き詰まる現状を目の当たりにしたことも挑戦を始めた大きな理由です。アメリカのように、効果的な寄付の流通の仕組みを構築する必要性を感じていたので、あえて、自分たちで財団をつくって、資金の受け皿をやるというチャレンジをしてみようと思いました。

 

REEPは、2015年にできたばかりの財団ですが、プロフェッショナルサービスの提供には自信があります。結果、幅広く資金提供の受け皿として受け入れられて来ており、2020年度と2021年度には休眠預金等活用事業の資金分配団体*にも採択されました。日本国内でも、資金提供規模の大きな団体のひとつに成長しています。

*休眠預金等に係る資金を原資として実行団体に対して助成を行う団体

 

――成長するREEP、事業の幅を広げ直接的な支援もされているようですね。

 

加藤 : REEPは、資金提供者の想いを受け止め、どのような仕組みが最適かを提案しています。その想いの中には、NPOなどへの資金提供だけでは物足りず、子どもの課題に対して直接的な支援をしたいとの要望も。

 

そこで、当事者に対して直接、資金を提供する「新しい奨学金」を始めることになりました。本来、奨学金は「学びたい」学生のためにあるものですが、一般的には、考査の過程があり、条件(学力・環境)が整わないと候補にすら選ばれません。奨学金から排除されてしまう苦学生も少なくないのです。

 

しかし、REEPの奨学金では、課題の最終評価だけではく、プログラムの前後での成長も評価の対象として重視しています。また、ワークショップ形式で、他の候補者へのフィードバックを実施し、そのフィードバックの質も評価します。参加した学生が選考過程を通じて成長できるようなプログラムになっています。

 

REEPの奨学金では、選考過程そのものを学びのプロセスに変えてみようというチャレンジをしています。本来、奨学金とは学びを「奨励」するためのものだからこそ、選考過程そのものも学びの機会に変えてみました。

 

なお、奨学金の使途については限定していません。学びに関係するものなら、なんにでも使うことができる点も、REEPの奨学金ならではではないでしょうか。

 

もし、REEPの奨学金に選ばれなくても、このプロセスで得た経験は必ず次に役に立つと信じています。この奨学金にチャレンジした結果、次の奨学金に挑む学生もいるはず。現状で「自分には奨学金など縁がない」と諦めかけている学生たちにこそチャレンジしてほしいですね。

中核スタッフの全てが自律的に意思決定する働き方が質の高いソリューションを生み出す

 

――多様な取り組みを進めるREEPでは、『ホラクラシー®︎』という働き方を導入しているそうですがどのようなものでしょうか。

 

児玉 : かつて、REEPは、トップダウン型の職場環境でした。しかし、案件の数や規模が大きくなる中、代表理事だけが常に「判断・決定」するのは限界に達していました。

 

それをきっかけに、中核スタッフの全てが自律的に意思決定をする「ホラクラシー®︎を使った自己組織化組織」(*)(以下自己組織化組織)という新たな働き方を、NexTreams合同会社の支援を得て導入しました。なお、私は導入を担当した理事でもあります。

 

自己組織化組織の働き方では、常に現場での判断が可能で、誰かの決裁を待つ必要はありません。状況をよく理解している担当が、判断・決裁できます。しかし、現場での判断となるとハードルが高く感じますが、実際は「ひとりで抱え込む」ことではありません。

 

それぞれが担当する事業は、ツールによって共有。誰が何を担当していて、どのような状況なのか、常に可視化されています。そして、自分が担当する事業に関連するような案件があれば、相談したり、具体的な作業を依頼したり、コミュニケーションを取ることができます。

 

ただし、ひとつひとつの現場では、意思決定で迷うことも出てくるのが当然。こうした迷いがある場合、週1回のミーティングで課題を共有しています。そして、他から意見をもらうことで迷いが解消されるサイクルが出来つつあります。組織として自己組織化組織の働き方になじむまで少し時間を要しましたが、今はうまく回り始め、新たなメンバーが参加しても、それぞれの活動の全貌が掴みやすい状況に変わりました。

 

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各業務を共有するツールの画面イメージ

 

(*)組織のパーパス、仕事内容とその階層構造、権限などが自己組織化で進化するためのルールをホラクラシー®︎で明確に定義し、働く一人ひとりがフラットにリーダーシップを発揮しやすくする組織形態。ホラクラシー®︎は、HolacracyOne LLC.の登録商標。

 

――具体的にはどのような働き方ですか。実践してみてどう感じていますか。

 

桝田 : 私は、昨年からREEPに参加しており、まだREEP歴はさほど長くありません。しかし、先ほどご紹介した奨学金の事業のプロジェクトオーナーであり、学生の評価シートの作成や募集にかかわる広報など、運営を担当しています。事業自体は、前任者から引き継いだのですが、NPO法人との連携や学生の選定プロセスなど、細かなところを作り上げています。

 

実は、自己組織化組織の働き方は前職でも導入されており、判断を任されるのは大変と感じる時もありました。責任も大きく、最初は慣れるまで時間がかかったのも事実です。しかし、プロジェクトオーナーとしての裁量が高いので、慣れてきた今では「自分の力でできている」と実感しています。一般的な働き方よりも自ら「決定」しているからこそ、やりがいも強く感じるのではないでしょうか。

 

――自己組織化組織がもたらす事業への効果とはなんでしょうか。

 

兒玉 : 自己組織化組織を導入してからは、以前よりも“困っている”ときに声を上げやすい環境になったと感じています。お互いに我慢して飲み込むことが続くようでは破綻してしまう。しかし、現状では「できない」「助けてほしい」など、誰かに忖度することなく共有でき始めています。言いたいことが伝えられる状況は、上下や中央集権的な組織ではなく、フラットであり自律的な組織として成長している証でしょう。

 

桝田 : 自己組織化組織を実践している現場として思うのは、自己組織化組織だと「組織のパーパス」に貢献しているという実感を得やすいということ。私の場合、REEPで働こうと思った一番の理由が、新しいお金の流れを社会につくるというパーパスに強く共感したためです。主体的に運営しているので、プロジェクトで自ら手がけた「仕組み」が、受益者へ変化をもたらす様子を近くで感じることができます。REEPを通じて、新たな社会変化に貢献している――この「実感」が、また次のプロジェクトへのモチベーションにつながっていると思います。

 

ふたり写真

初期の資金提供者の一人だったレイモンド・ウォングさん。現在はREEPの理事としても活動

 

社会課題解決のための “投資”を提案するチャンスがREEPにはある

 

――今後の展望について教えてください。

 

加藤 : 経済の動向にもよりますが、産業革命が実現すると、資産家が増え、財団も増える傾向にあります。今まさにその流れを感じると同時に、財団の在り方自体も変化の必要性を感じます。

 

一方、社会のために資金を提供したいと思われる資金提供者の方々ほど、孤独を感じているという実感があります。やはり、社会課題の解決に自分の資金を提供したいという思いがあるものの、どこにどのように資金を提供すればよいかわからず、結果として、裏切られたような感覚を抱く資金提供者も少なくありません。

 

資金には、パワーがあるので上手くコントロールするには良いパートナーが必要です。善意で寄付をしても、資金の額によっては、結果として、寄付先のNPOをおかしくしてしまうことも少なくありません。

 

多くの資金提供者は、信頼できるパートナーを探しているのが実情です。REEPは、資産提供者の期待に対応すべく、家族の一員であるかのような信頼関係を大事にしつつ、プロフェッショナルとして高品質なソリューションを提供していければと思っています。

 

――最後にひとことお願いします。

 

これから事業を広げながら、必要な支援が届くような社会変化をさらに加速させていくために、資金提供者の期待に応え、新たな提案もしていかなくてはいけません。広がる期待に対応するため、REEPでは、一緒にプロジェクトを進められるメンバーを探しています。

 

資金提供者のパートナーとして伴走しながら、意図にあう社会還元の仕組みを提案するなど、高いソリューションの提供にチャレンジしてみたい――こう思ったら、REEPにはその思いを実現できる機会があります。

 

メンバーの一員として共に日本の社会変化の一翼を担って頂けませんか?

 

 

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※本記事は、求人サイト「DRIVEキャリア」に掲載された企業・団体様に、スタッフが取材して執筆しました。

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望月愛子

望月愛子

フリーライター。 アラフォーでフリーランスライター&オンラインコンサルに転身。夫のアジア駐在に同行、出産、海外育児を経験し7年のブランクを経るも、滞在中の活動経験から帰国後はスタートアップや小規模企業向けにライティングコンテンツや企画支援サポートを提供中。ライティングでは相手の本音を引き出すインタビューを得意とする。学生時代から現在に至るまでアジア地域で生活するという貴重な機会に恵まれる。将来、日本とアジアをつなぐ活動を実現するのが目標。 タマサート大学短期留学、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科修了。

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