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NPOが「白書」をつくる?クラウドファンディングでの白書づくりに取り組むコミュニティ・ユース・バンクmomo

2014.11.13 132view 

近年、社会課題の解決に取り組むNPO法人による「白書づくり」が広がりつつあります。

NPOによる「白書」の事例として、産後女性の心身というNPO法人マドレボニータ『産後白書』や、NPO法人育て上げネット『若年無業者白書 その実態と社会経済構造分析』などがあります。若年無業者白書の成果は、最近話題の新書『無業社会 働くことができない若者たちの未来』に結実し、広く「無業社会」の実態を伝えました。

そもそも白書とは「データを元に、社会経済の実態や政策の現状を伝える中央省庁による刊行物」のこと。NPOによる「白書」とは、行政には手に負えない(あるいは対応が追い付いていない)、細分化した社会課題の現状と対策を、民間の立場から世間に伝えるものだと言えるでしょう。

今回は、白書づくり真っ最中だというコミュニティ・ユース・バンクmomoの代表理事・木村真樹さんに、白書作成の実際についてお話をうかがいました。momoは、出資者から配当のない出資金を集め、NPOや社会起業家など"地域の担い手"に融資するNPOバンク。東海地域を中心に活動しています。(過去記事「非営利の金融機関・NPOバンクとは?」)

木村真樹さん

写真:地域金融機関が参加するセミナーでの木村真樹さん

石川:早速ですが、なぜ白書をつくろうと思われたのですか?

木村:そうですね、第一には、momoがこれからやろうとしていることが、「単に私たちがやりたいことなのではなく、今の社会に足りないことなのだ」ということを、事実やデータに基づいて社会に伝えていきたいと思ったからです。

石川:それは、どういったことなのですか。

木村:momoは2005年の設立以来、NPOや実績のない起業家への融資に取り組んできました。それは、地銀や信用金庫などの既存の金融機関では彼らに融資することが難しかったからです。しかしながら、事業が成長して規模が拡大してくると、金融機関をしっかりと巻き込むことが重要になってきます。

momoは貸付限度額を500万円と設定しているので、それ以上の資金が必要な場合は金融機関から融資を受ける必要があります。でも、まだまだ現状は難しいと言えるでしょう。だから、地域の金融機関に働きかけて「これから、NPOや地域の起業家も融資対象としていくことが重要だ」という認識を広げていくことが大切なのです。

石川:白書作成の際は、誰に何を伝えてどう動いてもらうかが重要だと言われますが、そこを丁寧に設計されているんですね。

木村:もちろん地域金融機関とNPOというテーマに関心のある方全てを読者として想定していますが、一番の対象読者は熱意ある現場の金融パーソンです。彼・彼女らが上司や幹部を説得するためのツールとして使ってほしいと思っていますね。そのための鍵となるメッセージを、インパクトある数字で見やすく伝えるように紙面を工夫しています。

石川:例えば、どんなメッセージがありますか?

木村:作成中の白書の目次を見ていただけるとわかりますが、例えば、「実はNPO向けの融資は、貸し倒れが少ない」というものです。momoは2006年度から52件、累計1億2千万円超の融資をしてきましたが、これまで一件の貸し倒れもありません。

木村:それだけではなく、NPO向けの融資に力を入れてきた西武信用金庫(東京都)の実績では、NPO向け融資の貸し倒れは、過去10年間で203件中1件のみとなっているんです。

石川:それはすごい!「NPOは儲からないから、貸し倒れが多そう」という漠然としたイメージを覆すデータですね。

今日は、白書の目次(案)を初公開します!

1.預貸率とは? 2.愛知・岐阜・三重県の地域金融機関の預貸率 3.なぜ預貸率は下がっているのでしょうか? 4.これからはどんな融資先が有望なんでしょうか? 5.NPOとは? 6.NPOへの融資に関する事例 7.地域金融機関とNPOのギャップを埋める「プロボノプロジェクト」 8.プロボノプロジェクトによる連携事例 9.対談:これからの「人材育成×地域金融」を科学する 10.地域密着型金融の目指すべき方向性 ?momoのクラウドファンディングページより

木村:それに、預貸率(預金に対する貸出の割合)の低下という問題ももあります。例えば、愛知県の金融機関の預貸率は全国同様低下傾向にあり、2013年度では地方銀行は70%、信用金庫は50%を割っています。つまり、お金の貸し先がいなくて困っているわけです。地域に有効活用されていないお金があって、熱意のあるビジネスパーソンもいて、有望な起業家もいる。

でも、そこがうまく噛み合っておらず、すごくもったいないことになっているんですね。そこで白書を通して関係者にしっかりと事実を伝えていくことで、地域のお金の流れを変えていきたいと思っています。

hakusho1

写真:momoが2011年に発行した白書。当時取り組んでいた「あいちコミュニティ財団」の設立賛同者の巻き込みに大きく寄与したそうです。

石川:白書という手法に加えて、クラウドファンディングを活用されている点も興味深いですね。

木村:そうですね、白書をつくるプロセスにしても、そのための資金調達にしても、関係者を広く巻き込むことを大切にしています。先ほどの預貸率や貸し倒れ率の話は、東海地域だけの話ではありません。今回の白書は、全国に約600ある地域金融機関のどこでも、地域のNPOとの連携を進めていく上で活用できるものになると思います。

だから、地域に閉じることなく「地域金融機関とNPO支援」というテーマに関心のある人の参加をうながすツールとして、クラウドファンディングに挑戦しました。あと、以前DRIVE(NPO・ソーシャルベンチャー向け求人サイト)で、地域金融機関との連携担当を募集した際に、1万以上の「いいね!」が集まったんです。

そこでつながった人たちが、期せずしてパートタイムやプロボノなど色んな形で手伝ってくださって、今回のプロジェクトがあります。その方々に引き続き関わってもらう機会を提供するとともに「ありがとう」とお礼を伝えたい、という想いもあってのクラウドファンディングです。

石川:「社会を動かす」という目的からブレることなく、白書やクラウドファンディングを手段として活用している点が非常に参考になります。お話、ありがとうございました。白書の完成を楽しみにしています!

この記事を書いたユーザー

石川 孔明

石川 孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)とお茶と自然を愛する。

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