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「何のためにこの仕事を続けているのか?横浜の起業家に聞く事業継続のヒント?」by ETIC.横浜

2015.06.12 238view 

最新の内閣府による「我が国における社会的企業の活動規模に関する調査」によると、社会的企業の数は 20.5 万社(11.8%)、 社会的企業の付加価値額は 16.0 兆円(対 GDP 比 3.3%)、有給職員数は 577.6 万人と推計されており、これからも社会的企業がおよぼす影響力は高まっていくことが予想されています。

そんな中、今の時代に必要なサービスを時代に先駆けて提供し、15年以上事業を存続してこられたお二人の起業家がいらっしゃいます。一人目は、「天衣無縫」のブランド名で「オーガニックコットン」を広め市場を作ってきた立役者のお一人でもある株式会社新藤社長の藤澤徹氏、二人目は「お迎え付き夜間保育」や「学童保育」などのサービスを子どもたちがくつろげるおうち感覚で行い、働くパパ・ママから絶大な支持を集めている認定NPO法人あっとほーむ代表理事の小栗ショウコ氏です。今回はETIC.横浜ブランチより田中多恵が聞き手として、お二人に「事業継続のヒント」についてうかがいました。

インタビュー風景

株式会社新藤・藤澤徹氏、認定NPO法人あっとほーむ・小栗ショウコ氏

田中:どのような背景、またはきっかけで現在の事業を始められたのか教えてください。

藤澤:私はもともと、和装小物の卸業を営む一家の長男として生まれました。一度倒産して再建した新藤という会社に入社したのですが、売り上げと同じくらいの負債がある状態で「和装小物」の需要が減っていたこともあり、毎日使うものということで「タオル」に着目して販売を始めました。

89年の横浜博覧会をきっかけに業績が上向き、売上が2億円を突破しはじめた1993年に、たまたま新聞で農業で使用されている有害化学物質の総量の約25%が綿花の生産に使用されているという内容の記事を読みました。耕地面積が数%しかないにもかかわらず、です。ベトナム戦争で問題となった枯葉剤などが飛行機で散布されて、農業従事者や自然環境に深刻な悪影響を及ぼしているというのです。背景には貧困の問題、労働者の人権の問題もありました。このような綿を原料にしたタオルは作りたくないと強く思いました。

実は物心がついたころから地球環境問題に関心を持っており、大学を出てからも「沈黙の春」や「奪われし未来」なども読んでいました。1972年に世界中に衝撃を与えたローマクラブの「成長の限界」などのレポートも読んでいたんです。1994年にオーガニックコットン事業をはじめた背景にはそのような自分自身の問題意識があったと思います。

しかし1995年に「天衣無縫」というブランドを立ち上げ、1996年に百貨店内ショップで販売を始めましたが、まったく売れませんでした。今でこそ「オーガニックコットン」という言葉はかなり認知されるようになってきましたが、当時はこの言葉を知っている人は10人に一人くらいの割合でした。その後ビジネスチャンスと感じて多くの企業が参入してきましたが、簡単に利益が出る事業ではないと知って、かなりの企業がオーガニックコットン事業から撤退しています。

藤澤徹さん

小栗:私は男女雇用機会均等法が施行された年、ある会社の総合職に採用されて会社員として働き始めました。その中で精いっぱい努力して男性と同じように仕事をしていても、なかなか認められず、それでも9年間は働きましたが、職場における男女の扱いの差に失望して「このままこの会社にいても成長できない」と感じて退社しました。仕事を辞めてみて「さぁ何をしようか」と思っていたとき、保育士の資格を活かして保育を始めようと思い立ちました。

保育園の不足を理由に作ったのではなく、あくまでも親族の代わり・家庭の援助という位置づけで、働き続けたい女性のために一軒家で「お迎え付き夜間保育」と「学童保育」を行うようになりました。仮に、私や看護師として働く姉が結婚・出産後も働き続けるなら絶対に必要だろうな、と感じるサービスです。

私が会社員として働いていた当時は「結婚している女性が子どもを生んでも働き続ける」ことについて”わがまま”だと捉える風潮もあったけれど、事業開始後16年が経ち少子高齢化と言われる時代になってみて、これからはそんなことを言っていられない時代になってきていると思います。周囲がちょっとサポートすることで、例えば看護師・お医者さん・介護士など、社会を担う重要な役割を果たしている方たちが女性を含め働き続けられるなら、またより多くの人たちが、社会に貢献しながら子どもに「愛情いっぱいかけて育てる」ことができるなら、その方がいいと思っています。

小栗ショウコさん

田中:お二人の話をうかがっていると、日本に社会起業家やソーシャルビジネスといった言葉が紹介される以前から道を切り拓いてこられている印象を持ちます。

藤澤:「ソーシャルビジネス」という定義を改めてみたときに、振り返ってみれば自分のやってきたことがその範疇にあるのかもしれないとは思いましたが、それは人からの言われ方であって、自分は自分の思うことを粛々と進めてきたつもりです。

商売に疎い自分を助けてくれる人はたくさんいました。地元の紙問屋の社長さんが毎週事務所に来てくださって、素人の私に商売の基本を教えてくれたり、中小企業家同友会の仲間たちともより良い経営者になるために切磋琢磨し合ったり、ロータリークラブや縫製品組合などの諸先輩からは経営だけでなく人づきあいや人生についても多くの学びの機会をいただきました。

小栗:私もまったく同感で、「女性起業家」とか「コミュニティビジネス」「ソーシャルビジネス」など、呼ばれ方は変わりましたが取り組んでいる事業内容は変わっていません。その中で、地道な活動を正しく評価してくれる周囲の人に助けられて事業をしてきました。例えばずっとお世話になっている社労士さんから「NPO法人化したほうが良いよ」という言葉をいただいたり、夫からも背中を押されたりして、ちょっとずつ前進してきています。

藤澤:ソーシャルビジネスとは、儲かるとか儲からないとかいう次元をこえて、その事業に取り組むことが自分にとって避けては通れないという事柄に全力で取り組んだ結果として、お金にもなるということが真実ではないかと思います。今からソーシャルビジネスをめざす人も、最初から金儲けが目的だったら、そう簡単にいくものではありませんから、別のことをやられた方が良いと思います。

小栗:私もこの事業をやってきて、一番評価されたいのは、目の前にいる子どもたちと働く女性たちです。

田中:今回、お二人にはETIC.が横浜市経済局の受託事業として運営する「Yokohama Changemaker’s CAMP」で、メンターを務めていただきます。このプログラムでこれから出会う起業家への期待やメッセージをいただけたらと思います。

藤澤:若い人たちと一緒に取り組んでいくことが楽しみですね。「メンター」とかいう耳慣れない立場ではなく、企業家として同じ目線で真剣に向き合って、刺激や発見がお互いにあるという状態を目指したいです。

小栗:こういうことができたらいいなとあらかじめ決めるのではなく、出会いから始まる可能性を探っていきたいですよね。想定していなかったことが始まるような。

インタビュー風景2

田中:そうですね。ぜひ、お二人のように志高く、事業を通してこれからの社会課題の解決を担っていかれるような起業家の方たちに応募していただきたいと思っています。 本日は、インタビューへのご協力、本当にありがとうございました。

株式会社新藤・代表取締役社長/藤澤 徹

和装小物の卸業を営む一家の長男として横浜市南区永田町に生まれる。中学生の時に家業の倒産を経験する。36歳で再建された父の会社に入社。債務超過の(株)新藤を立て直すために様々な事業に取り組む。1988年に横浜市から提案された「横濱001」にエントリーし、市内百貨店との取引を開始する。1991年に社長に就任し、1994年よりオーガニックコットンを原料とした製品の製造販売を開始。「天衣無縫」というブランド名で東京、横浜に直営店を4店舗展開しつつ、奥出雲、宮古島、などでオーガニックコットンの生産を始めており、将来は横浜産のオーガニック製品をつくりたいという夢を持っている。

認定NPO法人あっとほーむ代表理事/小栗ショウコ

一般企業に勤務後、16年前に横浜市都筑区で保育園のお迎え付き夜間保育&学童保育所あっとほーむを創設。結婚・出産しても働き続けたい女性のために、家族のように子どもを見守る保育を行う。 保育事業のほか、大学、企業、行政等での講演やメディアでの発信で働く女性支援を推進。また、16年のスキルとノウハウを提供する子育て支援起業講座を開設し、子育て支援者のネットワークとしておうち保育園(R)協会を立ち上げている。 2009年神奈川県子ども子育て支援奨励賞受賞、2014年浜銀総研ビジネスウーマンアワード大賞受賞、2015年横浜市男女共同参画貢献表彰 推進賞受賞。

この記事を書いたユーザー

田中 多恵

田中 多恵

2009年4月よりNPO法人ETIC.にて 横浜市内のソーシャルビジネス起業支援事業「Yokohama Changemaker’s CAMP」や、地域未来創造型インターンシップ事業を立ち上げ、現在も横浜ブランチにて、ソーシャルビジネ スに関心のある経営者や起業家、支援者のコミュニティ作りに取り組んでいる。

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