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【調査レポート紹介】NPOへの就職・転職で最も不安なことは、「職場が求めているスキルと、自分の経験や専門性がマッチするかどうか」NPOサポートセンターによるNPOキャリアフォーラム東京2013報告書より

2014.01.23 

NPO業界への転職者が増えてきています。DRIVEを通してのマッチングも増えていますし、ETIC.や自分の周辺を見渡しても、企業からNPOへ転職するというキャリアは、それほど珍しくなくなっています。

ここで考えるのはNPO業界に飛び込んだ人たちの背後には、ずっと多くの「NPOではたらきたい人/はたらくことに関心のある人」がいるはずだ、ということです。

一方で、「仲間募集中のNPO」も数多くいます。では、どうしたらそういった潜在層をつなぐ”幸せなマッチング”を、適切なかたちで拡大することができるでしょうか。

ということで今回は、NPOと求職者・転職者の”幸せなマッチング”をぐっと増やすための要因を調べてみました。今回紹介するデータは、『NPOキャリアフォーラム東京2013報告書』を出典としています。

NPO・NGO向けの就職・転職合同説明会としては国内最大級の同イベントでは、イベント参加者・出展者の双方を対象にアンケートを実施し、「NPOへの就業希望者と採用サイドが何を考えているのか」をわかりやすく発信しています。本稿では、「新卒としてNPOで働く」でインタビューにも協力していただいた笠原孝弘さんが勤めるNPOサポートセンターに許可をいただき、調査報告書の一部を抜粋紹介しています。

(特活)NPOサポートセンター 『NPOキャリアフォーラム東京2013報告書』 NPO転職希望者が不安に思っていること

転職者は「就職先のNPOに貢献できるか?」を不安に思っている

「NPOへの就職で不安なこと」として最も多く回答されたのは「求められるスキル」、続いて「自分の能力・専門性がNPOで使えるかどうか」。この2つをまとめると、「自分は就職先のNPOに貢献することができるのか知りたい」となりそうです。

 

続いて「収入・報酬」があり、「働く場としてのNPOの将来性」となっています。これらは、「お金」の問題です。支払うことができる給与には予算の制約があるでしょうし、NPO業界の将来性については、単独ではどうしようもありません。採用サイドにとって、すぐには改善できない課題でしょう。

 

これらとやや間をあけて、「一緒に働く上司やスタッフとの人間関係」、「NPOの職場の雰囲気になじめるかどうか」。つまり「人間関係と雰囲気」が挙げられています。 まとめると、求職者・転職者は、いかにも気になりそうな「職場の雰囲気や人間関係」よりも、「自分は就職・転職先で貢献できるだろうか?」という本質的な点を不安に思っている、ということが言えそうです。重要なのは、これは、「給与」や「業界のイメージ」とは異なり、採用サイドの努力次第で改善できるということです。

ミッションを達成するための業務内容とスキルを明確にする

採用側NPO・NGOが重視していること では、こういった課題にNPO採用サイドは対応できているのでしょうか?

 

直接的ではありませんが、上記のデータからヒントを読み取ることができます。これによると、採用サイドが「採用時に最も求めること」の第一位は「団体のミッションの理解」、次に大きく間をあけて、「コミュニケーション力」と続きます。

 

この結果からは、採用サイドが団体のミッションを伝えることに注力している様子が伺えます。その際に、そのミッションを達成するために、どんな仕事があり、どういったスキルが必要とされるのかを明確に伝えることができているでしょうか。双方に納得感のあるマッチングを実現するためには、このことが重要だといえます。

 

採用サイドとしてのポイントは、「外部者の目線を持ち、担当する業務と求められるスキルを丁寧に伝える」ことです。NPO業界の内側にいると気づきにくいのですが、経験したことのない人にしてみれば、ビジョンに共感して参画したいと思っても、「実際に何をするのかは、全く想像がつかない」のです。

 

団体の事業や活動の内容は理解できても、働いている人がどのような事を考えているのか、どのような仕事をしているのかは、外からはほとんど知ることができません。その結果、「果たして自分は組織に貢献することができるだろうか」と不安になります。そうなると、採用のターゲットが自社のインターンとボランティアの経験者に限られてしまい、多くのご縁を逸してしまうことになります。

NPOのミッションを理解し、なぜ自分がそれを共有できるのかを伝える

求職者・転職者の方は、なるべく詳しく業務内容を問い合わせて理解し、できれば職場を訪問させてもらうべきでしょう。もちろん、職員と直接話してみることも有効です。

 

また、「ミッションに共感できる人と働きたい」という採用側の気持ちを理解することも重要です。ミッションにはまったく共感しないけれどNPOではたらきたい、という人は少ないでしょうが、それを職員にしっかりと伝えられるように準備しているでしょうか。なぜ自分がそのテーマに関心をもったのか、その背後にはどういった原体験があるのか、これから何をしたいのか。はたらく自分と、取り組む仕事、そして生み出したい社会変化の3つがどうつながっているのかを、わかりやすく伝えることが大切だと思います。 NPO/NGO合同説明会参加者の不安が解消されたか ちなみに、NPOキャリアフォーラムの参加者の75%は、「就職・転職合同説明会に参加することで、不安を解決する情報が得られた」と回答しています。

 

2014年も2月22日にNPO / NGO就職・転職合同説明会が開催されるそうですので、こういった機会を活用して、1人でも多くの団体やNPOスタッフと出会い、やりがいのある仕事や楽しい職場を見つけていただければと思います。

2014年2月22日(土)開催 「NPO×しごと」フォーラム2014 in 東京 (申込受付中)

(特活)NPOサポートセンター 『NPOキャリアフォーラム東京2013報告書』

(特活)NPOサポートセンター

「新卒としてNPOではたらく」笠原孝弘さんインタビュー

この記事を書いたユーザー
石川 孔明

石川 孔明

1983年生まれ、愛知県吉良町(現西尾市)出身。アラスカにて卓球と狩猟に励み、その後、学業の傍ら海苔網や漁網を販売する事業を立ち上げる。その後、テキサスやスペインでの丁稚奉公期間を経て、2010年よりリサーチ担当としてNPO法人ETIC.に参画。企業や社会起業家が取り組む課題の調査やインパクト評価、政策提言支援等に取り組む。2011年、世界経済フォーラムによりグローバル・シェーパーズ・コミュニティに選出。出汁とオリーブ(樹木)とお茶と自然を愛する。

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