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無限の豊かさは自然の中にあった! 大学生酒道家&昆虫食伝道師が夢中になっているモノ

2017.11.10 28view 

今回、お話をうかがったのは、大学生のおふたり。酒道家の大高尚人くんと昆虫食伝道師の篠原祐太くんです。それぞれ、日本酒と昆虫食というなかなか一般には広まりにくい分野を深く愛しながら、そのディープな世界をわかりやすく翻訳し、新しい価値を見出して届けるという仕事に取り組んでいます。自然の産物をいただく(食す、呑む)という活動領域の近さ、そして物事の面白がり方や取り組みへの真っ直ぐな姿勢など、いろいろな共通性を感じさせる2人のお話をうかがっていきます。

なおこの対談は、渋谷のコミュニティラジオである渋谷のラジオ<https://shiburadi.com>で毎月1回、DRIVE編集部がホストになって放送している「渋谷若者部」という番組<リンク>で行われました。原稿には収まりきらないおもしろい話もたくさん! 当日の音源はこちら<https://note.mu/shiburadi/n/nf9b2f9e5aa36>です。

日本の伝統×サイエンス。日本酒のプロフェッナルを目指す「酒道家」。

—まず、酒道家の大高くんにお話を伺います。あまり聞きなれない肩書きですね。

大高:勝手に名乗らせていただいているのですけど、昔、華道や茶道のように酒道というものがあったそうで、お酒は自然から造られているものなので、むやみに飲むのではなくて、しっかりと感謝の気持ちをもって嗜むということを突きつめて、勉強していくということで、酒道家という肩書きで活動しています。

—もともとは神事やお祭りで神様に捧げるのがお酒の飲み方ですものね。もともとお酒に出会ったきっかけは?

大高:お酒自体は、中学生の時に・・・。

—はやい(笑)。

大高:飲んではいないです。僕は修学旅行で京都・奈良で寺社仏閣をまわったり、伝統工芸の体験をしたりする中で職人気質な日本の伝統文化に憧れを持って。修学旅行に行く前から、侘び寂びには興味があって。

—中学生なのに、しぶいですね。

大高:でも、一般家庭からは職人になるのは難しいのかなと、それは憧れで終わって。僕は自然に囲まれて育って、理科が好きだったので、そういう道に進めたらいいなと思っていました。将来的には研究者になりたいなと思って、高校も応用化学科に進みました。僕は凝り性なんですけれど、つきつめることが好きなので、その道のプロフェッショナルになりたいなと。

—それから、どうやって日本酒の世界につながったんですか?

大高:将来自分が何をしたいか考えたとき、日本の伝統への憧れが戻ってきたんですね。それと自分の好きな化学や生物、両方を生かせることはないかなと考えたときに、発酵や醸造の分野を見つけて。その中でも繊細さや職人気質のある日本酒に魅力を感じて、大学で醸造科学科に進みました。

日本酒のことは、全部知りたい。

—日本酒を造ることを選んだんですね。

大高:はい。他には、日本酒を100種類以上売っている酒屋や日本酒専門メディアのSAKETIMESで働いたり、学生日本酒協会という学生団体の代表もしています。好きなものは、日本酒です。

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—まさに、酒びたりですね(笑)。そして、自分でも日本酒を造りたいと。

大高:酒造りは、実際に酒蔵に行って仕事をさせてもらったり、大学の実験で日本酒を造ったり、もう5,6回は経験しています。知りたいんでしょうね。好奇心につながるんだと思います。日本酒の場合は、原料の米から作りたい。水もどこから湧き出ているのか知りたい。そこの土壌のことも知りたい。

—造ることが、知ることにつながるんですね。

大高:作ると、自分で触れるじゃないですか。五感を大事にしたい。日本酒も自分で造ったものを口にすると感動する。僕は、人生の軸は日本酒と決めているので、お米や水から作った日本酒が、人の口に入るまでの全体を俯瞰して多角的に見るために、今、お酒を売ることや大学でアカデミックな視点から紐解くこともしています。

無限大に広がっていく日本酒の世界。

—日本酒はたくさん銘柄があるけれど、つい忘れちゃうんです。あとは、日本酒には辛口や甘口があるけど、どう違うのかといった日本酒リテラシーがわかりやすく伝わるといいですね。大高くんは、日本酒の利き酒選手権で優勝したそうですが、どうやって日本酒を覚えているのですか。

大高:僕はイメージです。頭の中に、日本酒ごとに色やイメージがあります。あとは、日本酒には輪郭があると思っていて、僕の中ではまるいボールのイメージで、膜の薄いボールなのか、ぶあついボールなのかといったイメージがあります。

—味の楽しみもそうですが、いろいろな入り口があるのも日本酒のいいところですよね。料理との相性もそうだし、とっくりなどの酒器もいろいろある。

大高:僕は日本酒に関わることが全部好きなんですが、その特徴は多様性があることなんです。日本酒は1500の酒蔵があって、そこが毎年違うお酒を作っている。酒器もたくさんあって。無限大の可能性をもっているところが好きです。

いつでも、どこでも美味しい日本酒が飲めるようにしたい!

—それは、ぜひシェアしてほしいですね。今、海外でもSAKEがブームになっています。

大高:僕は逆輸入みたいな感じになっているのが悔しいんですよ。僕には2段階の目標があって、まず日本全国どこでもおいしい日本酒が飲めるようにしたい。2段階目がワインやビールと同じくらい、世界で日本酒が飲めるようになってほしい。

「とりあえずビール」は日本の文化になっているけれど、日本酒は日常に根づいているよりサブカルやファッションみたいに扱われている気がして。そこを変えたいんです。

日本酒を初めて飲む人に素敵な1杯、素敵な出会いをあげたいなと思っています。イベントをしていると、日本酒はおいしくないというイメージを持っている人も、大高と会って日本酒が好きになったよと言ってもらえることもあるんです。

昆虫のことが好きすぎて…。

—さて、篠原くんにもお話しを聞きましょう。篠原くん、小さいときから昆虫が好きだったんだよね。

篠原:物心がついたときから好きで。

—子どものときは昆虫が好きでも、そのあと、電車が好きになったり、飛行機が好きになったり、興味がずれていく子も多いですよね。ずっと昆虫一筋?

篠原:周りの子も虫とりに行って楽しんでいたのは、幼稚園くらいまでで。小学生になると、「ゲームやろうよ」「サッカーしようよ」というのが多くなって、肩身が狭くなりましたね。僕の場合は、虫とりが好きで止まっていればよかったのですが、好きが高じて、虫と触れ合っているのが好きで、最終的には虫を食べるのも好きになって。それは3年前まで親にも誰にも言えなくて、めちゃくちゃ隠していました。

—そのことを言おうと思ったきっかけは、何だったんですか?

篠原:一生言わないでいこうという気持ちだったんですけど、3年前、国連食糧農業機関が、今後の環境問題の解決策として、昆虫食について書いていた。僕は好きだからやっていたのですが、こんなメリットがあるんだと背中を押してもらった感じがして。

でも、対面で言う勇気はなくて、最初はSNSで。実際ネガティブな反応も多かったですし、精神的にもきましたし、最初の頃はやっぱり言わなければよかったなと思うこともありました。

—受け入れてくれる人もいた?

篠原:「食べてみたい」「なにそれ、おもしろそう」という反応も一定数あって。それまでは一人でやっていたけれど、一緒にやる人が出てきました。

「昆虫食は、おいしい!」を伝える、昆虫食伝道師の仕事

—今は、どんなことをしているのですか?

篠原:一つは、飲食店との共同開発。虫を食べることは多くの人にとって、抵抗が強い。それをいかに食べてもらうかを考えたときに、おいしいものであることが絶対条件だなって。特に評判がよかったのは、コオロギでダシをとったラーメン。見た目ではわからないんですけれど、1杯につき200匹のコオロギからダシをとっています。

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コオロギでダシをとったラーメン!

—味の想像がつかないのですが、近しい味はあります?

篠原:食べてくれた人の感想では、煮干しや干しえび、するめいか系統の味です。ふだんイベントをすると昆虫食に興味がある人が来るけど、ラーメンはラーメン好きの人も興味をもってくれるんですよ。

—そっちの方が裾野が広いですよね。

篠原:あとは、フレンチや中華の飲食店とも一緒にやっています。あとは、虫料理のケータリングやイベントもやっています。それぞれの場所で、こんな虫を食べてみたいというリクエストを受けて、提供しています。

昆虫食の一例。

昆虫食の一例。

—どんなリクエストがあるんですか?

篠原:多いのは、サプライズや門出記念のパーティー。ちょっと違う演出で勝負をかけたい日に、おいしくて特別感のあるものを作ってほしいと。立食パーティーだったら、クラッカーの上に素揚げした昆虫をのせたり、パスタやピザを作ったりしています。

こんなおしゃれな昆虫食も!

こんなおしゃれな昆虫食も!

—イナゴや蜂の子は、地域によっては食べられていますよね。

篠原:そこには、数がとれるからという文化的な理由があったりするのですが、もっとおいしい昆虫はたくさんいるんです。10段階評価なら、イナゴや蜂の子は6か7くらい。8〜10の虫は食べる文化がなかったり、とるのが難しかったりして食べられていないのですが、僕はその層の虫を届けていくことがやりたいです。

虫とりは自然と自分の体の真っ向勝負。命をまるごといただく体験を届けたい。

—他にはどんな活動をしているんですか?

篠原:昆虫食の醍醐味は自分がとったものを食べられること。自分でつかまえて、料理して、食べてみるというツアーもやっていました。大人向けもあれば、子ども向けのツアーをします。

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—反応は、どうですか?

篠原:特に、子どもたちの反応は僕でもびっくりするくらいよくて。最初は、つかまえた虫をかわいがっていて、これを火に入れちゃうのはすごくいやだと。それを含めて食べるということだよねと言ったうえで、実際に調理して食べてみると、おいしいのでぱくぱく食べる。そういう反応を見ると、こういうことをやっていてよかったなと感じます。

—虫だと、自分でとったものを食べるという体験ができるんですね。

篠原:虫とりは、自然と自分の体の真っ向勝負というところがある。ぼくは手づかみするのがいちばん好きですが、相手は生き物なので、こうすれば絶対とれるという答えはないんです。この虫はどういう動きをするのかという駆け引きもあって。そうして自分でとった命をまるごといただくという体験ができる。

探究心を満たしてくれるのが昆虫食だった。

—大高くんと篠原くんは、もともと友達ですよね。大高くんは、篠原くんに会ったとき、どんな印象でしたか。

大高:篠原くんと出会ったのは、最近なんですよ。篠原くんの住んでいるシェアハウスによく遊びに行くようになって。それまでの僕のイメージでは、メディアに出ている人。僕も自然が好きなので、虫を食べている人なんだと好奇心が湧いて、会ってみたいなと思っていました。

—虫への愛も好奇心とつながりがありますよね。

篠原:好奇心や探究心を満たしてくれるのが昆虫や昆虫食だった。昆虫は種類もすごく多いし、同じ虫でも食べるときのコンディションや料理法で違う感覚があったりして。毎回新しい出会いがあるのが楽しくて。

四季によって変化する虫のおいしさを発見するプロセス。

—1年間、山の中に住んでいた時期があって、そこはカメムシがめっちゃ出て。地域の人と、これなんとかならないかと話し合ったときに、「食べてみようか」という話になって、素揚げにしてみたんですよ。そうしたら、香ばしくてすごく美味しくて。春のカメムシだったんです。で、秋にも出るので(笑)また食べてみたら、春とはまた味が違った。春の方が確実においしいことがわかった。同じ虫でも季節によって味が違うんだということが、食べてみてわかったんですよね。

篠原:日本は四季があるので、同じ虫でも季節によって味が違うんです。セミだと夏がいちばんおいしい。食べていると、今年も夏がきたなと感じる。

大高:羽化して、白くなったときがいちばんうまいんでしょ?

篠原:本当はそうなんですけれど、白くなったときに捕るのはアンフェアな感じがするので、僕はその状態(羽化の直後)になったらとらないとルールを決めていて。

—あとは、桜についている毛虫は桜の葉っぱの香りがするんですよね。

篠原:そうなんです。公園の木の下に落ちている毛虫がおいしいんですよ。あれは見た目に反して、上品な桜餅みたいな香りがして。そういうギャップがおもしろいですよね。頭では気持ち悪いと思っているのに、舌ではおいしいと思っちゃうところに感動があるんです。

みんな毛嫌いしていますが、めっちゃチャンスじゃんと思っているんですけれど。それを拾っていると駆除してくれてありがとうと感謝されるけれど、僕は独り占めしちゃっていいのかなって。

—虫を食べるということには、発見する過程があって楽しいですね。

篠原:それこそ無限大の可能性がある。種類も食べきれないくらい、たくさんいる。調理法でそれぞれ違う味を引き出せたりもする。そういうレパートリーも考えると、やりきれない。正解がない領域なので、毎回自分なりの答えをつきつめていく感覚がおもしろいです。

価値観がぐるっと変わる瞬間を生み出す、知らない世界の翻訳者。

—フロンティアが広がっているんですね。日本という単位で考えるとどうですか?

篠原:北海道から沖縄までいろいろな気候帯があるので、それぞれの地域にあった虫がいるんですよね。その地域では害虫でも、食べてみるとおいしかったり。

—価値観がぐるっと変わるのは、すごくおもしろいですよね。

大高:日本酒もそうだけど、本当においしいものを知らないのに、嫌いだと判断されるのは嫌だとか、地域性があるとか、無限大の可能性があるとか、篠原くんとやっていることは同じなんじゃないかなって。

—自然との向き合い方が似ているから、自ずと似てくるんですかね。

篠原:虫も日本酒も、人間が作ったものではなくて、自然のパワーによってできている。

大高:日本酒も自分で作っているとは思っていないんです。あくまで微生物に作ってもらっているものを僕らが下支えして、調整しているだけ。お米も水も自然からの贈り物だし。

—それぞれの世界の翻訳者として、その世界を知らない人たちに伝えていってくれるお二人の活動が楽しみです。

篠原:伝えたいことを伝えつつ、いかに相手に解釈の余地やスペースを与えることができるかを考えています。虫も日本酒も知られていなさすぎて、その幅がせますぎる。その幅を広げるのが僕の役割で、それ以上は押しつけになっちゃう。

大高:あくまでその世界に入るきっかけになるのが役割。そこで好きになってくれたら、自分で入りこんでいくと思うので。

—お話を聞かせていただき、ありがとうございました!

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