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「普通に就活するよりも、いろいろ考えたら会社を立ち上げたほうがいいと思った」株式会社ホープフィールドCOO 嘉数正人 (前編)

2016.06.10 

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1ヶ月で、わーっていう勢いでつくった折り畳み電動バイクがきっかけでした。

―嘉数さんがCOOをつとめる株式会社ホープフィールドは、どんな事業をやってる会社か教えてもらえますか?

 

嘉数正人さん(以下敬称略):はい、株式会社ホープフィールドは「夢ある中山間地農業の実現」という理念のもと、今は具体的に「獣害対策」「軽労化」の課題に取り組んでいます。日本中で問題となっているイノシシやシカ等の獣害に対し、センサや機械学習の技術で農地を守りつつ、効率的に駆除を可能にするシステムの開発と、電動運搬一輪車(電動ねこ車)の開発を進めています。 前編②

ホープフィールドが開発を進める電動ねこ車。坂道での荷物運搬等、重労働を軽労化する。

 

―電動ねこ車はどういう経緯で生まれたんでしょうか?

 

嘉数: TOKYO STARTUP GATEWAY(※1)ですね。大学3年生でそろそろ遊びもひと段落するくらいの時で、たまたまTOKYO STARTUP GATEWAYを見つけて。ビジネスコンテストなんて応募したことなかったんですけど、まあ何か始めようかなという時期だったんで、応募してみました。400字で応募できましたし。

(※1) 世界を変える若き起業家の輩出を目指し、東京都が主催、エティックが運営を委託されている400字でエントリーが可能なブラッシュアップ型ビジネスプランコンテスト。

嘉数さん写真①

TOKYO STARTUP GATEWAYのファイナルで電動ねこ車を披露する様子

 

―どんなビジネスプランだったんですか?

 

嘉数:ちょうどその時、個人的に電動自転車を自分でつくるみたいなことを知識もないながらにやっていたんです。その発展版として、折り畳み電動バイクっていうのを思いついて、その案で応募したんです。作ってもいないのに(笑)。そこから1か月間で30万円はたいて、わーって勢いでつくりました(笑)。

 

―それってここで言ってもいい情報なんですか?(笑)

 

嘉数:初めから言ってるので大丈夫です(笑)。でも、審査を通過して、電動バイクも勿論完成させたんですが、最終審査の前で、これはビジネスとしては難しいと考えました。それで、TOKYO STARTUP GATEWAYのメンターの方々と話しながら、同じ方向性で何かできないかと考えて、電動ねこ車にいきつきました。それでまたギリギリで試作してファイナルまで通ったという流れですね。 前編④

嘉数くんが製作した折り畳み電動バイク

 

楽をしたいっていうのがきっかけですね。1ヵ月調べてたらできました。

―そもそもなんですけど、電動自転車を自分でつくるって結構難しいことですよね? どうして買わないで、自分でつくろうと思ったんですか?

 

嘉数:もともと、移動が、特に歩くのが嫌いなんです。沖縄で育って、移動は車か自転車で。でも東京は歩くのがデフォルトになっていて、面倒くさい(笑)。あと暑がりで汗かきなんですよ(笑)。外を歩かされると汗だらだらで、ずっといらいらしながら歩いていて。

 

―面倒なことをラクにしたい、っていうのはエンジニアというか、ハッカーの心意気ですね(笑)。 前編⑤

折りたたんだ状態の折りたたみ電動バイク

  嘉数:大学まで自転車で5分の距離でも汗かくなあって思って、でも電動自転車って市販のものはダサいし、出力制限かかってるし。僕は調べるのは好きなんで、1か月間ずっと調べてたらできました。それで、次は電車に載せられるサイズが欲しいなあって思って、折りたたみ電動バイクのアイデアになりました。まあ、楽をしたいっていうのがきっかけですね(笑)。  

「お前こいつらと一緒に会社立ち上げるから!」って言われたんです(笑)

―共同で立ち上げたホープフィールドはどんなきっかけで生まれたんですか?

 

嘉数:これもTOKYO STARTUP GATEWAYがきっかけで、株式会社リバネス(※3)CEOの丸さんに色々と相談させてもらっていたのですが、その丸さんに、獣害対策に関する取組みをやっていた今の会社メンバーを紹介されました

(※2) 「科学技術の発展と地球貢献を実現する」という理念のもと、そこに集まる専門知識や技術・人などをつなぎ、組み合わせることによって社会に新たな価値を創出する研究者集団。

 

―そこで電動ねこ車と獣害対策がくっついたんですね。

 

嘉数:はい、同じく農業関係ですし、紹介されたその場で一緒になにかできたらいいですねって話してたんですけど、その数カ月後、丸さんが突然、「おい、お前こいつらと一緒に会社立ち上げるから!」って言われて(笑)。いつの間にかその人達と会社つくることになってた(笑)。で、

ほんとにそこで数分話して、あっちもその気だったので僕もやるやるってなって、その翌朝、皆で集まって、誰がどんな役割かみたいな話をして。今、34歳、30歳、20歳そして22歳の僕といったメンバーでやってます。不思議で面白いです。 前編⑥

ホープフィールドのメンバー。一番右が嘉数くん。

僕は挑戦する人間というよりは保険をかけていくタイプの人間なんです。

―嘉数くんは、TOKYO STARTUP GATEWAYに応募して賞を獲得したり、会社を共同で立ち上げて、経営を行ったりと色々なことに挑戦していますが、自分ではどういう性格だと思っていますか?

 

嘉数:僕は正直、挑戦する人っていうよりは割と保険をかけてくタイプの人間なんです。会社を立ち上げたのも、挑戦というよりは、色々と考えた上でこれが一番自分の経験になるなとか、ちゃんと儲かりそうだとか、失敗しても就職に困らなさそうだとか、そういうのを全部含めて普通に就活するより断然いいなという感じでした(笑)。

 

―合理的な判断をしてということですね。無理してジャンプしたりとか背伸びをするような瞬間はあまりないですか?

 

嘉数:ちょっとしたジャンプくらいしかないです(笑)。

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―もともと起業したいっていう気持ちはあったんですか?

 

嘉数:起業したい、はなかったんですけど、自分で稼ぐのが楽しいし、自由がきくなというのはありましたね。ネットに浸かり始めてから、なぜかお金稼ぎをしたくなって、高校時代にはヤフオクとかアマゾンとかでいわゆる”せどり”(※3)をやってました。

(※3)『同業者の中間に立って品物を取り次ぎ、その手数料を取ること。また、それを業とする人(三省堂 大辞林より)』を指すが、一般的には古本用語を元にした「掘り出し物を第三者に販売して利ざやを稼ぐ」商行為を指す言葉。

 

―自分で稼ぐっていうのはふつうの子はなかなかしないですよね。そういう人が周りにいたんですか? お家が商売をしていたとか?

 

嘉数:いや、両親は会社員と保育士です。両親に聞いてみると、小学校の頃はお小遣いが全然足りてなかったみたいで、自分でどうにかお金をつくり出そうとしていたみたいです(笑)。

 

―自分で稼いでたんですか? 才能の片りんを感じますね(笑)。

 

嘉数:当時流行っていたカードゲームの余ったカードを自分でパック詰めして、百円で売ってたりしていて、これが最初ですね。(笑)

 

(後編に続く)

★嘉数さんが挑戦した「TOKYO STARTUP GATEWAY」では、現在、2016年度のエントリー受付中です!(2016年6月12日(日)23:59エントリー締切)

http://tokyo-startup.jp/

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