2020年東京オリンピック・パラリンピックやSDGsを、個人と組織のアントレプレナーシップを解放する契機にしようと始まった「Social Impact for 2020 and Beyond」。プロジェクトの一環で、毎月1回「未来意志」を共有する仲間が集うマンスリーギャザリングを開催しています。
今月はアクションリーダーの方々によるピッチのあとに、各リーダーのみなさんから提案されたアジェンダについて参加者の皆さんとのアイデアブレストを行いました。医療、介護、集団訴訟、地域など、今月も多様なとりくみが盛りだくさん!
泣き寝入り被害者を無くす!集団訴訟プラットフォーム「enjin」
まずお話をいただいたのは、集団被害者と弁護士をつなぐ「日本初の集団訴訟プラットフォームenjin」代表の高山道亘さん。enjinでは、集団訴訟を起こすためのプロジェクトを被害者自ら立ち上げることが可能です。既に50以上のプロジェクトが立ち上がり、実際に訴訟まで進んでいる案件も10以上あるそうです。
高山さん「まだあまり馴染みのない集団訴訟という手段を、enjinを通してもっと多くの人に知ってほしいのです。少しでも多くの人が救われるように、少しでもより良い社会をつくっていくために、これからは社会的意義の高い案件も増やしていきたいと考えています。例えば、夫婦別姓やLGBT・同性愛者の問題、また、ブラック企業への残業代請求の問題にもアプローチしていきたいですね。被害者数の少ない案件であっても、社会的意義の高いプロジェクトをサポートし、すべての被害者が救われる社会を目指したいと考えています。」
企業も「健康」に力を入れよう!コミュニティナースカンパニー
続いてお話をいただいたのは、島根県雲南市を中心に「コミュニティナースカンパニー」を推進する矢田明子さん。コミュニティナースとは、普通は病院にいる看護師が地域に飛び出し、地域全体を健康にする活動をする医療人材のこと。コミュニティナースカンパニーでは、地域の医療機関や行政と連携しながら、”楽しい”や"安心“を切り口とした、住民の健康と幸福に寄与するさまざまな活動を実践しています。
矢田さん「私たちはこれまで『地域』をフィールドにした活動を進めてきました。ですが、地域だけではなく『会社』のなかにこそ、コミュニティナースによる”おせっかい”をしたほうがいい方々がいるのではないか?と気がつきました。そこで、これから竹中工務店と連携して、企業にいる方々を元気にする活動をはじめていこうと思っています。」
竹中工務店岡晴信さん「厚生労働省の調査で、企業で働く人々全体の6割が強いストレスを感じているというデータがあります。そういう企業の人たちにとってこそ、コミュニティナースが起爆剤となれるのではないかと思います。まず私たちが率先してコミュニティナースと連携し、企業で働く社員を元気にするモデルをつくりたいと思っています。」
好きな地域で元気に生きよう!キャリアフロンティア・リバーサーチ
続いてお話をいただいのは、株式会社キャリアフロンティア・リバーサーチ、元気に活きよう!事業部の川口喜久さん。キャリアフロンティア・リバーサーチでは、管理職・専門職人材を中心とした転職サービスを運営しています。川口さんは、社内発プロジェクト「好きな街で元気に活きよう!」を推進しています。
川口さん「私たちは、中高年世代が”今”を大切にして、笑顔で元気に生きる手伝いをしたいのです。実は私自身、20年以上、ただ会社と自宅を往復する日々でした。そんなある日、一般社団法人おせっかい協会と出会いました。おせっかい協会は、”おせっかい”を通じて介護の世界を変える活動をしています。そこのお手伝いをしているうちに、わたしも”自分らしく生きよう!“と決意し、ヘルスケア業界に進みました。人生は仕事が全てではありません。より多くの人が、楽しみながら自分らしく生きるサポートをしていくために、ゲームを通じてヘルスケア業界に貢献できないかと考えているところです。」
課題先進地域から、企業を巻き込んだ課題解決先進地域へ。雲南ソーシャルチャレンジバレー構想
人口減少、少子高齢化、エネルギー・・たくさんの課題が顕在化し、課題先進国とも呼ばれている日本。なかでも、島根県雲南市の高齢化率は36.5パーセントと国内でも上位に位置しています。ですが雲南市にとって、“課題"とは様々なセクターが協働するチャンスでもあるのです。そのように社会課題をポジティブに捉えたプロジェクトが、雲南市では数多く推進されているのです。NPO法人おっちラボ 代表理事小俣健三郎さんに、そんな雲南市での活動をご紹介いただきました。
小俣さん「僕らは雲南を、課題先進地域から課題”解決“先進地域にしようとしています。例えば、NPO法人カタリバによる“子どもチャレンジ“ では幼児期から高校までの発達段階に応じた雲南市独自のキャリア形成プログラムを推進しています。また、シニアのみなさんのための買い物や憩いの場をつくる地域自治の組織があります。また、
難病を持つ700万人の可能性を引き出すfeese
日本において難病や研究途上の疾患とされる病気を抱えている人の数は、700万人以上。当事者のみなさんの多くは外見から疾患を持っていることがわからないため、家族も含む周囲の人に辛さや痛みをなかなか理解してもらえず、病気のために継続して働くことも難しく、精神的・社会的に孤立しやすい状況です。重光喬之さんは、2016年、そんな希少難病の方々を支援するfeeseを立ち上げました。ご自身も脳脊髄液減少症という難病を持つ当事者として活動をしています。
重光さん「難病を持つ人は、たとえ病名や症状が違っても、仕事や暮らしのことなど悩みは共通している場合が多いのです。疾患を超えて、生き方や働き方の共有をしていきたい。feeseのウェブサイトではさまざまな難病を抱える皆さんのエピソードを公開しています。また、今取り組んでいるのは難病の方々の新しい働きかたをつくること。例えば、ずっと家にいる、という当事者の状況を強みと捉えたとき、どんな仕事をつくることができるか?ということなどを考えています。実際に、いくつかの企業と新しい働き方を模索しているところです。」
大都市と地方の人材シェアリングに取り組むJOINS
JOINSは、大都市から地域への経営人材が流動化することを目的に、大都市・大企業・ミドル世代を対象とした、地域企業の仕事を紹介をするサービスです。大企業の人材が、まずは会社を辞めずに、副業・兼業&リモートワークで地域中小企業の業務を行えることが特徴です。代表の猪尾愛隆さんからお話をいただきました。
「月に4日くらいの副業や兼業という形でも、コミットしてくれる人材を必要とする企業や団体は地方にたくさんあります。そんな働きかたを普及させるために企業との連携を進めていますが、いまいち反応が鈍いのです。実際に動く方が少ない。理由を聞いてみると、自分なんて外で役立てるスキルがないと決めている方が多かったり、外部との人間関係構築やネットワークづくりに恐怖心をいただいている人が多い。そこで、研修と組み合わせたプログラムができないかと考えています。どうしてこういう取り組みが必要なのか知っていただいた上で試しに現地に行っていただき、定着させることを狙っています。」
さまざまなテーマのピッチトークで盛り上がったイベント前半。レポート後編では、『うんなんバレー構想に企業が関わりやすくするにはどうしたらいいか?』というアジェンダを提案した小俣さんのグループにフォーカスして、議論の様子をお届けしています!
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