来る2020年。自分はどのような日常を過ごしているのか想像したことはありますか?
「2020年が契機となって、社会や人の生き方が進化した」と語られる日がくることを願って、NPO法人ETIC.は、さまざまな領域で挑戦を続ける起業家や行政の方々、大学生などたくさんのリーダーたちと、分野・業界を超えたうねりを創り出し、社会を変えていくためのアクションを仕掛けています。
2016年11月13日(日)の夜、そのキックオフとして、全国各地から約700名の方々が渋谷ヒカリエに集いました。
Mistletoe株式会社・代表 孫 泰蔵さんをはじめとするビジネスセクターの方々、渋谷区長・長谷部健さんをはじめとする行政の方々、そして認定NPO法人フローレンス・代表理事の駒崎弘樹さんをはじめとするソーシャルセクターの方々が、アジェンダを共有し、セクターを超えたアントレプレナーシップの連携を生み出そうと動き出しました。
4年かけて仕込んで、ものすごいインパクトの発想を「斜め上」から考える
2020へ向けた社会変革の提案が共有されたオープニングのトークセッションからスタート。
● 「発想の次元を変えて、ソーシャルインパクト創出!」Mistletoe株式会社 代表 取締役社長 兼 CEO 孫 泰蔵氏
● 「世界を変える新しいお金の流れ」マネックス証券株式会社 代表 取締役会長CEO 松本 大氏
● 「自治体・企業・社会起業家セクターを越えた協働が渋谷の未来をつくる」渋谷区長 長谷部健氏、認定NPO法人フローレンス 代表理事 駒崎弘樹氏
● 「ローカルベンチャー構想」エーゼロ株式会社 代表取締役 牧大介氏、 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 参事官 村上敬亮氏 他
● 「持続可能社会のための働き方改革。旧社会への挑戦」株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役社長 小室淑恵氏
● 「在宅医療3.0」総合在宅医療クリニック 代表 市橋亮一氏
● 「若者の力を大会に反映、TOKYO2020につなげるアイデアソン」第1回 東京2020 アイデアソン 実行委員会 今村高道氏(日本電信電話株式会社)
(順次、トーク内容を掲載予定です!)
この場の発案者の一人でもある孫泰蔵さんは、世界で一番電子化が進んでいるエストニアで生まれた、ブロックチェーンをつかった新しい金融のマーケットfunderbeamが生み出したシステム変革を例にあげながら、新しい時代についてこう語ります。
「これからの10年20年は、世の中ががらっと変わる変動期。自分たちの中に巣食う常識を疑うことです。キーワードは「斜め上」。例えば、”高齢化社会”という課題解決のために、平均寿命が100歳になるからこそ、60代がピークになる働き方を、と考えてみる。
2020年までに新事業を何とか立ち上げるぞという発想はやめたほうがいい。そうではなく、4年かけて仕込みをして、2020年以降にものすごいインパクトを起こす発想を、斜め上から考えましょうよ。今やっている延長で、大きなコレクティブインパクトなんてできるわけがない。常識にとらわれていない人たちのほうが、斜め上の発想をつくることができます。そういう関係性が生まれたらということで、この場を持つことにしました」。
また、渋谷区長の長谷部健氏は、次のように会場に声をかけます。
「渋谷区の基本構想のキーワードは、『ちがいを ちからに 変える街』です。ビジネスの部分では、『冒険に満ちたビジネス』。もっと渋谷で社会起業家の人たちに出てきてもらいたいし、その背中を押したいと強く思っています。
渋谷区には、下町もあれば、山の手と呼ばれる地域もある。まさに東京の縮図です。渋谷区の持つ社会課題が解決できれば、東京、日本、いろいろなところの課題解決に通ずると、図々しくも思っています。トライ&エラーを恐れず、多くの社会起業家たちに渋谷区と繋がっていただき、行政のリソースと共に社会課題を解決していく、そういったムーブメントをつくりたいと思っています」。
ワークスタイル・イノベーション、教育の未来、地域経済・自然資本に、新・資本主義。30に渡るアジェンダ!
トークセッションの次はアジェンダ別ラウンドテーブルの時間。
アジェンダとは、皆で解決に向けて語り合う課題のこと。30のテーブルの周りを立ち見の参加者が囲む中、とにかくすごい熱量とコミュニケーションの渦!渦! どのアジェンダもそれぞれ未来の日本と世界を創造していくであろう濃く深いテーマで、2020年とその先の社会について議論がかわされました。以下、7テーマ、30アジェンダの一覧をどうぞ。
1. ワークスタイル・イノベーション
・新卒一括採用の構造と未来
・首都圏から地方への若者人材還流によるありたい未来・地域を実現
・ライフステージに応じた雇用とキャリア
・ワークとライフが融合する企業戦略
2. 教育の未来
・個性を育む、世界に開かれた教育の場を創り出そう!
・高卒進路選択大学進学に限らない未来の働き方
・大学教育改革~学部制度の見直し等を通じたい次世代人材育成~
・地域×高校生~地域のロイヤリティを高める持続可能な仕掛け~
3. 地域経済・自然資本
・森林業の新しい価値の創出
・温泉街の未来を創る前向きな廃業支援と経営統合
・オープンイノベーションを生み出す特区戦略
・地域で家業・ファミリービジネスをつないでいくための仕掛け
4. 自助・互助・共助・公助
・在宅医療3.0
・民間・行政・地域がコラボレーションする仕組み
・自分の生活の幸福度
・ライフスキルの標準化~国境を越えた挑戦
5. ものづくり
・ICT・IoT×市民参加 ~テクノロジーとデザインでつくる緊急・防災時の共助システム
・ショート・ドキュメンタリー映像を活用した社会課題の発信とジャパンブランディング
・空間・場をプロデュース
・「IT×母子ヘルスケア×防災・減災」~熊本地震をケースに未来を考える~
6. ダイバーシティ
・世代やハンディキャップ、文化宗教民族などの壁をポジティブに越える!2020東京発「対話のミュージアム」の実現へ
・ライフスキルの標準化 ~国境を越えた挑戦~
・神社消滅の危機!日本の未来のために今すべきこと
7. 新・資本主義
・ソーシャルレンディング・ソーシャルバンクの可能性
・レベニューシェア型投資で創る 新たなお金の循環と、挑戦と創造が加速する社会
・社会的インパクト投資とセクター間の協同のためのインパクト評価
8. スポーツ2020
・スポーツ業界が次世代人材育成のプラットフォームへ
・「アスリートのセカンドキャリア創出」と「課題発見・解決型キャリア教育への応用」
・2020 未来に残すべきレガシーは何か〜協働で創る仕掛け方戦略会議
・すべての人と、ともに共有できる2020」の実現~医療 的ケアの必要なこどもたちをオリパラの観戦へ~
「消費者から生活者になるには」「副業を制度化」「地方と都市それぞれの幸せ」
「自分の生活の幸福度」のテーブルでは、クルミドコーヒー 店主の影山 知明さん、株式会社PubliCo 代表の山元 圭太さんら約25名が集まり、「消費者から生活者になるにはどうすればいいか」、「地方にしかない幸せ、都会にしかない幸せがないか、見つけられないか」、「自分の幸せとは、自分が生きる場所をうまくつくることなのものなのかもしれない。その場所でコミュニティの力をどうつくるか」などの言葉があがりました。
「オープンイノベーションを生み出す特区戦略」のテーブルでは、岩手県釜石市 オープンシティ推進室の石井 重成さん、一般社団法人シェアリングエコノミー協会の佐別当 隆志さんら、約15名が集い、「オープンイノベーションを生み出していく上でのボトルネックは?」を議題に、各地の事例や各国の取り組みからの学びをシェアし、シェアリングエコノミーから特区を考えてみる視点や、副業を制度化しては? などの視点が話されました。
ほかにも、「個性を育む、世界に開かれた教育の場を創り出そう!」のテーブルには、認定NPO法人Teach For Japan 代表理事の松田 悠介さん。
「ワークとライフが融合する企業戦略」には、株式会社ワーク・ライフバランス 代表の小室 淑恵さん。
「ライフスキルの標準化~国境を越えた挑戦」には、NPO法人かものはしプロジェクト 共同代表の青木 健太さん。
「世代やハンディキャップ、文化宗教民族などの壁をポジティブに越える!2020東京発「対話のミュージアム」の実現へ」には、Dialog in the Dark Japan 代表の志村 真介さん。
「地域×高校生~地域のロイヤリティを高める持続可能な仕掛け~」には、一般社団法人i.club 代表理事の小川悠さん。
「ソーシャルレンディング・ソーシャルバンクの可能性」にはソーシャルベンチャー・パートナーズ東京 代表理事の岡本 拓也さん、株式会社CAMPFIRE 営業企画・キュレーターの東藤 泰宏さんら。
「レベニューシェア型投資で創る 新たなお金の循環と、挑戦と創造が加速する社会」にはWorld In Asiaの加藤徹生さん、株式会社デジサーチアンドアドバタイジング代表取締役の黒越誠治さん。
などなど、ここでは挙げきれないたくさんの方々が、同じ時間、同じテーブルで、同じ課題を前に普段は繋がることのない方々とアジェンダを共有しました。
たくさんの予感に満ちたユースピッチの時間
ラウンドテーブルで活発な議論が行われている隣のホールでは、MakersUniversityのメンバーなどU-28の起業家たちによるユースピッチが行われました。
テーマは多種多様ですが、地域を舞台にしたものとして、「チャレンジしたくなる青森を目指したインターンシップ事業」(弘前大学 小寺将太さん)、「革新的なジーンズを瀬戸内から発信」(EVERY DENIM山脇耀平さん)、「長崎にプロラグビークラブを!」(長崎県庁 野瀬圭一郎さん)、「徳島でVR(バーチャルリアリティ)映画の世界映画祭を!」(MyDearest株式会社 岸上健人さん)などがプレゼンテーションされました。地域と若者の掛け算は無限の可能性があることを感じさせてくれます。
またマイノリティやダイバーシティに関わるものとしては、「自らのうつ体験から発想した働き方改革”とびたてうつ病JAPAN(佐賀大学山口諒真さん)、「災害時にも避難し合える繋がりを目指す障害者のコミュニティづくり」(埼玉大学 加藤みつきさん)のプレゼンテーションも、若い世代ならではのダイレクトかつ真っすぐな取り組みになりそうな予感。
そして一次産業をテーマにしたものとして、「農家漁師にファンクラブができる社会へ」(森山健太さん)、「頑張る漁業者がもっと評価される社会へ」(株式会社QuO 髙瀨拓海さん)、「日本のみかんを世界へ!」(株式会社みかん 清原優太さん)が提示されると、会場の仙台の水産加工の事業者さんから「ぜひいっしょに何かをやりましょう!」との声も。今後の展開に大期待です!
「探索型の学びが、これから社会の中の学びを深めていく」(参加者の声より)
参加者の方々からは、以下のようなコメントをいただきました。
「東京以外からもたくさんの人たちが集まっていて驚きました。みなさん熱い思いを持っていて、その方向性は一見違っているように見えて も、ソーシャルやイノベーションといった言葉を共通のキーワードのもとに、社会の課題をどうにか解決しなければ、という思いでつながっている。こうした個々の思いや活動が横でつながってうねりとなり、まとまって、より大きな、コレクティブ・インパクトが生まれていくといいなと思います」(企業参加者)
「すごい熱量ですね。朝からカツ丼を食べて、カレーを食べて、その後フルコースを食べた気分です(笑)。全世界でのうねりをすごく感じました。午前中のセッションからの学びは、探索型の学びが、これから社会の中の学びを深めていくんだということです。もう一度、私も自分の中の冒険をはじめていきたいなあと決意を改めました。そして、みなさんと一緒に歩める心強さをかみしめたところです。みなさん、一緒に頑張っていきましょう」(起業家)
「地方発でとにかく行動していこう。理念を話すだけでなく、常に行動していくことを大切にされている若い方たちに刺激を受け、自分も行動していこうと思いました」(行政参加者)
NPO法人ETIC.では、2020年を契機としたこのような有機的なアントレプレナーシップの連携が生まれる場を、今後も生み出していく予定です。今回はご一緒できなかった皆さまも、ぜひ次回お会いできることを楽しみにしております!
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