あなたは最近いつ、誰かを全力で応援しましたか?
挑戦することも、その挑戦を応援することも、ともに大切なアクション。
今回は、個人の意志ある挑戦を全力で応援するイベントを紹介します。その名も、「Beyondミーティング」(ビヨンドミーティング、以下BM)。
組織や立場の垣根を超えた化学反応を楽しみながら、予期せぬ出会いとアイデアで新しい未来を創っていこうと、毎月実施されています。企画運営はand Beyond カンパニー(*)、現在までに24回開催され、1700名以上が参加しています。
(*)ロート製薬、ヤマハ発動機、セイノーホールディングス、 マネックスグループ、花まる学習会、 アビームコンサルティング、江崎グリコ、竹中工務店、PwCコンサルティング、住友生命、OKWAVE、フェリシモ、YUIDEA、NPO法人ETIC.で構成されるバーチャルカンパニー(順不同)
本記事では、7月の開催レポートをお届けします。
【Beyondミーティング#23 タイムライン】
■日付/場所:
2020年07月17日(金)@Zoom
■タイムライン:
18:30 Zoomの使い方&お作法確認
18:40 オリエンテーション
19:00 アジェンダオーナー連続ピッチ
19:20 参加希望グループの入力・休憩
19:25 ブレストの楽しみ方
19:30 ブレスト Round 1
20:10 参加希望グループの入力・休憩
20:15 ブレスト Round 2
20:55 応援タイム
21:00 クロージング・告知タイム・集合写真
21:10 オンライン交流ブース
21:50 終了(流れ解散)
未来はいつだって、妄想から始まる。
BMは、「所属も年齢も性別も、あらゆる垣根を越えて、妄想をぶつけあえる場所」。
この場のルールはたったひとつ、「応援しあうこと」。
参加者のみなさんが行なうことは、「意志ある個人を、全力応援!」。
◆
BMに参加することで体験できることはたくさんあります。その中でもやはり象徴的なのは、「アジェンダオーナーのピッチを聞くこと」「ブレスト会議でアイデアを出し合うこと」。
「社会課題や新しい価値創造に挑む人」(=アジェンダオーナー)のプレゼンを聞き、刺激を受けることができ、「ブレインストーミング(*)(=略してブレスト)の手法を用いるグループワーク」(=ブレスト会議)でアイデアを出し合うことで、その挑戦を応援することができます。
(*)集団でアイデアを出し合うことによって相互交錯の連鎖反応や発想の誘発を期待する技法《Wikipediaより》
◆
今回は、6名のアジェンダオーナーが登壇。まずはそれぞれの挑戦とこの場で話し合いたいテーマについて、参加者総勢65名の前で3分プレゼン。その後、Zoomの「ブレイクアウトルーム機能」を活用し、6名がそれぞれの部屋に分かれます。参加者も同時に、自分の興味に合わせて1つテーマを決め、該当する部屋に入ります。
そこで集まったメンバーとともにブレスト会議を実施。部屋にはそれぞれ「応援コーディネーター」と呼ばれる、アジェンダオーナーの伴走役もいます。ブレスト会議のファシリテーションを担当し、部屋の雰囲気を見ながらそれぞれの参加者に話を振ってくれたり、盛り上げてくれたりするため、初めて参加する方々でも安心です。
そんなブレスト会議はイベント中に2ラウンドあります。つまり、参加者は6つのテーマのうち、好きな2テーマのブレスト会議を楽しむことができます。
BMの事務局が大事にしていること
BMで体験できる4つのこと
BMの過去実績
社会を変えていこうとする企業が集い、バーチャルカンパニーとしてBMを主催。以上、オリエンテーションの様子を抜粋してお届けしました。
BMの醍醐味「ブレスト会議」そのお作法とは?
BMの醍醐味は、なんといっても「ブレスト会議」。
アジェンダオーナーの話し合いたいテーマについてブレストするわけですが、その時間が盛り上がるためにも、参加者の主体的・積極的な関わりは欠かせません。そのためのお作法について、当日のオリエンテーションでのレクチャーをそのまま紹介します。
アイデアをたくさん出すからこそ、いつもと違った視点のアイデアも出てくる!
実現可能性は度外視で、思いついたアイデアをまずは声に出してみる!
人と違ったアイデアを言わなきゃと頭を抱えてしまう前に!
難しく考えず、楽しんだもん勝ち!
どうしてもアイデアが思い浮かばない時は・・・
個人の意志ある「挑戦」がここに集う。【連続ピッチ】
オリエンテーションの後は、アジェンダオーナー6名による連続ピッチ。企業経営者や大学生やアーティストなど多様な登壇者が揃いました。活動内容も、すでに事業として実施しているものもあれば、アイデア段階のものもあります。
プレゼン資料(それぞれの活動や設定したテーマ)について詳細をご覧になりたい方は、ぜひこちらからご確認ください。今回の記事では2名のアジェンダオーナーに密着取材。以降それぞれのブレスト会議の様子を紹介しますので、ぜひお楽しみください。
「世界の学校をつなぐ英語学習・国際交流プラットフォームを立ち上げる!」
野中 光さん(琉球ミライ株式会社)
「料理をもっと簡単に手間なく習える世界を作りたい!〜あなたが作る料理教室 yummy〜」
宮澤 優莉さん(立命館大学 学生)
「『循環する通貨』 ― 持続可能なベーシックインカム ―」
堂免 恵さん(株式会社 湧志創造)
「新しい音楽のフロウをつくる」
今井 瑠々さん(アミュジー)
「オンラインによる運動バインドプログラム アフターコロナに向けて、理想の生活習慣、体型を取り戻せ!」
古川 優人さん(任意団体コミッティ / 大阪大学大学院)
「『コミュニティにイロを!』モノ/コト/トキに寄り添うクリエイター/アーティストのミライ」
よしだ めぐみ さん(アーティスト / Creative Hub)
「料理をもっと簡単に手間なく習える世界を作りたい!〜あなたが作る料理教室 yummy〜」宮澤 優莉さん【ブレスト密着取材(1)】
アジェンダオーナーの宮澤さんは大学1年生。「マンガを読むくらい簡単に料理できる世界にしたい!」というビジョンで、yummy(ヤミー)というサービスを準備中です。
サービス内容は、冷蔵庫の中にある食材の写真を講師に送るだけで、献立を考え、調理方法をレクチャーし、後片付けまでフォローしてくれる、そんなオンライン料理教室に参加できるというもの。
現在ご自身が直面している課題が「一回の授業の料金設定」ということで、『このサービスに3,000円/1回払うには何が必要か?』『継続して使いたくなるには何が必要か?』というテーマでブレスト会議が行われました。
◆
- 会員制にして、たとえば3回参加すると1回無料になると、継続できそう
- お金を払ってでも料理を教えたい(=実績をつくりたい)講師もいるかも
- 生徒も講師も、RPGゲームのように、ゲーム感覚でレベルアップする感じもいいかも
- 一定のレベルに達すると、ボーナスとして地域の美味しい食材がゲットできる
- トーク上手な講師がいれば、何度も参加したくなるかも
など、当初設定されていたテーマに囚われず、35分間でたくさんの多様なアイデア(上記は一部抜粋)が出てきました。その中で宮澤さんは、「利用する回数が増えるごとに料金が安くなる料金形態にしたら継続してサービスを利用してくれるのではないか」というアイデアが特に印象的だったとのことです。
宮澤さんのブレスト会議の様子
「『コミュニティにイロを!』モノ/コト/トキに寄り添うクリエイター/アーティストのミライ」よしだ めぐみ さん【ブレスト密着取材(2)】
アジェンダオーナーのよしださんは、宮城県石巻市在住のパフォーミングアーティスト、空間演出家です。
現在「Creative Hub(クリエイティブハブ)」(使われていない地域資源を活用してクリエイターの卵の生活を支えながら、作品制作や事業づくりに取り組める環境を提供する仕組み)を使って活動中。
『アーティストのスキルが活かせそう、活躍できそうな仕事には、一体どんなものがあるのか?』というテーマでブレスト会議が行われました。
◆
- アーティストと子どもたちが全力で開催する、学校の運動会
- 病院の白い壁や、病室の窓から見える景色、天井がアートに
- 企業に一人ずつ専属アーティストがいるとか
- 一家に一人アーティスト、たとえば〇〇家のテーマソングを作ってくれたり
- 自分の持ち物や思い出の品を活用して、アート作品をつくってくれる
など、先ほど同様に、様々なアイデアが飛び出し(上記は一部抜粋)、ブレスト会議が盛り上がりました。その中でよしださんは、「プロのアーティストが全力で、リクエストに応えてアートにする(例:お葬式、日常の風景が刻々と変わるアートなど)」というアイデアが特に印象的だったとのことです。
よしださんのブレスト会議の様子
応援しあう文化は、さらなる広がりを
ブレスト会議が2ラウンド終わった後は「応援タイム」。参加者は各アジェンダオーナーと繋がることができます。
そして事務局アナウンス。最近の傾向としてリピート参加が増加傾向で、今回もリピーター3割とのことです。
最後に集合写真を撮影してイベントは終了しました。その後の任意参加のオンライン交流会も盛り上がっていました。
応援しあう文化はさらなる広がりを見せています。
応援しあう文化をつくることに興味ある方、まずはぜひ一度BMに参加してみてください!
最後に、集合写真をパシャリ
参加した人々の声【事後アンケート】
アジェンダオーナーの皆さんの熱意、行動力が素晴らしかったです。
誰でも気軽に意見を言えるところと、プレゼンテーションを聞いてから自分が参加したいところを選べるのが素晴らしいと思いました!
否定がなく、どんどん前に前に話し合いが進んでいくのを感じて、皆さんからとても前向きなエネルギーをいただきました。自分のやりたいことの実現のための勇気をもらえたと思います。
アジェンダオーナー【事後インタビュー(1)】
──密着取材したアジェンダオーナーの宮澤さんとよしださん(以下敬称略)に、今回の感想をお伺いしました。
宮澤 様々な年代の方から意見をいただけたり、実現性を考慮せずにユニークなアイデアがどんどん生まれていったり、とても嬉しかったです。プレゼンも緊張しましたが、失敗しても大丈夫な雰囲気で、安心感があってよかったです。
よしだ ブレストで発想の連鎖が起きたシーンは印象的でした。参加者の方々が忌憚なく意見を言っていただけるので、対話をしながらアイデアが広がっていきました。ひとつひとつの発言が積み重なり、発想が変化していくことが素晴らしいと思いました。
──読者の方々へのメッセージもいただきました。
宮澤 BMは、年齢や性別を超えて「誰もが主役になれる場」です。参加者のみなさんがあたたかく話しやすかったです。今後起業したい人やインパクトを起こしたい人に向いていると感じました。まずは一度、ぜひ気軽に参加してみてください。
よしだ さきほど連鎖という言葉も使いましたが、「アジェンダオーナーが出した発想を、参加者のみなさんとともに発展させていくこと」がBMの醍醐味だと思います。「発想の発展がつくれる時間」をぜひ体感してみてください。
応援コーディネーター【事後インタビュー(2)】
──宮澤さんの応援コーディネーターを務めた江原さん(以下敬称略)に、今回の感想をお伺いしました。
江原 宮澤さんと事前に打ち合わせをしたのですが、そのときに想像もしていなかったアイデアがたくさん出てきたことが印象的でした。色々な立場の人の意見を聞くことができ、自分自身も勉強になりました。
──読者の方々へのメッセージもいただきました。
江原 BMは、様々な意見を聞きながら「応援しあえる場」です。発言しやすい雰囲気で、とても居心地が良いです。ぜひ多くの方々に経験していただきたいです。参加してみると世界が広がっていくと思います。
事務局【事後インタビュー(3)】
──BMの事務局から倉辻さん、長塩さん(以下敬称略)に、BMに込めている想いをお伺いしました。
倉辻 毎月運営していて興味深いのは、多くのアジェンダオーナーから「勇気をもらえた」と言っていただけることです。人がものごとを実現していく時に、ヒト、モノ、カネ、情報の経営資源で語られますが、そこに「情熱」もあると私は考えています。情熱に火を灯し続けるのが難しいわけですが、BMを通じて、「応援という手段で、挑戦を後押しし続けたい」と思います。
長塩 「雰囲気づくり」を大切にしています。ブレストで参加者のみなさんが喋りやすい仕組みを考えたり、イベント冒頭にアイスブレイクの時間を確保したり、司会がブレストの様子をまずはデモンストレーションしてみたり。多様なアイデアが出ればアジェンダオーナーも参加者もハッピーだと思いますので、ブレストにはとても力を入れています。
──BMの象徴的なキーワード「全力応援」の発想はどこから来ているのかについてもお話いただきました。
倉辻 カマコン(*)にインスピレーションを受け、「カマコン・フォーマット」をカスタマイズしてBMを実施しています。「全力応援」や「ブレスト文化」はまさにそこから来ています。BMは全国に広がるカマコン主催者が集まる「八百万の会」の一員でもあります。
(*)神奈川県鎌倉市で始まった、鎌倉を熱くしていきたい人を全力で支え続ける地域活動。「この街を愛する人を、全力支援!」を合言葉に、「ブレスト」の手法を用いて毎月定例会が開催されている。すでに全国に広がっており全国30箇所以上の地域に展開。
──今後の展望と、読者の方々へのメッセージもいただきました。
倉辻 「答えがない時代の、社会インフラ」のようになっていければと思います。答えのない課題に対して、普段の考え方で行き詰まってしまった時には、ぜひBMにご参加いただければ嬉しいです。みんなでアイデアを出し合って、応援しあって、ひとりひとりのやりたいことが一歩ずつ前進していくと良いですね。
長塩 毎月の単発イベントで終わらないように、イベント後の参加者同士の繋がりも大事にしています。具体的にはFacebookグループを立ち上げ、今回からコミュニティ運営もスタートしました。またBMの型を横展開していく動きも以前から始めています。挑戦を応援しあう文化が自発的に生まれるようにしていきたいです。主催したい企業の皆様のお問い合わせもお待ちしております。
【参考資料】
Facebookページ(Social Impact for 2020 and Beyond)
※本記事の掲載情報は、2020年08月現在のものです。
立命館大学経営学部経営学科一回生/宮澤 優莉さん
2020年4月、立命館大学経営学部経営学科に入学。「めんどくさいは起業の種」をモットーに、現在、料理に関するビジネスを考案中。実践的にビジネスを学ぶために毎月ビジコンに参加してきた。TSG2020二次審査通過を目指し、奮闘中。
Creative Hubプロデューサー/パフォーミングアーティスト/空間演出家/イベンター/よしだ めぐみさん
幼少期より、多種多様な芸術文化に触れ育ち、児童劇団から演劇活動をスタート。高校生から作/演出/振付/制作と、主に東京を拠点に幅広い分野で芸術活動に携わる。パフォーマンスアーティストとして本格的に活動する。アシスタントとしても幅広い事業で活動中。2020年5月より宮城県石巻市に移住。宮城県を拠点に全国で活動。また、自身のスキルを使用し企業や学校と幅広くコミュニケーションワークショップも実施。
アビームコンサルティング株式会社 P&T Digital ビジネスユニット IESセクター 兼 CSRユニット コンサルタント/江原 由梨さん
2018年4月にアビームコンサルティングに入社。リース会社・住宅設備メーカーにてシステム導入支援を経験し、現在は総合商社の次期経営情報システム構築のPMOを担当。同時に、社会課題の解決を目指して、CSR・SCI(Social Contribution Initiatives)にてプロボノによるNPO支援や社内外への情報発信等を行う。
NPO法人ETIC./倉辻 悠平さん
大阪出身。立命館大在学時、フィリピンの貧困問題に取り組むNGOにて、医療支援プロジェクトの立ち上げなど。世界一周も経験。2009年㈱リクルートに入社。企画営業職として勤務し、全国表彰、リーダー職を経て2013年退職し、フィリピンへ。2014年、NPO法人PALETTEを創業。フィリピンのスラム地区に住む若者向けキャリア支援事業や、フィリピン留学事業「PALETTE SCHOOL」などの事業を展開。2015年にはNPO法人ETIC.の社会起業塾イニシアティブの特別生として選出。そのご縁から、2018年よりNPO法人ETIC.にも参画。現在に至る。
PwCコンサルティング合同会社 Technology, Media & Telecommunications/長塩 和宏さん
国内通信キャリアを経て、PwCコンサルティング合同会社に入社。PMI(業務統合、システム統合)、オペレーション改革、基幹システム刷新、RPA導入推進などのプロジェクトに従事。同社の社内制度、プロボノプログラムの一環でBeyond Meetingの運営に参画している。
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