※こちらは、「みてね基金」掲載記事からの転載です。「みてね基金」は子どもやその家族の幸せのために活動している団体を支援しています。NPO法人ETIC.は、「みてね基金」に運営協力をしています。
こんにちは。みてね基金事務局の関です。
「みてね基金」イノベーション助成*の採択事業、認定NPO法人3keys(以下3keys)さんが2021年5月にオープンしたユースセンターの施設訪問レポートをお届けします。
*イノベーション助成:子どもや家族にとってよりよい社会や仕組みづくりに向けて、他の団体や地域にも波及しうる革新的な解決策やアイデアを持つ事業に対する助成(「みてね基金」第二期助成)
【この事業の背景】
★ 全国には児童相談所という、子どもに関する相談や通告を受ける行政の窓口があります。
★ 2019年に全国の児童相談所が対応した相談対応件数は、約19万件。(1990年調査開始以来過去最多)
★ 約19万件のうち一時保護*になるのは約3万件。児童養護施設入所等の長期保護養育になるのは約5千件(相談対応件数約19万件の2.6%)。ほとんどの子どもは、何かしら課題を抱えていたり、家に居場所がなかったりしたとしても家に帰らなくてはならない状況です。
*一時保護:行政が必要とみなした子どもの安全を迅速に確保し適切な保護を図ること。
3keysさんは2009年からオンラインを駆使し、沢山の子どもたちの相談に乗ってきました。行政保護までは至らず、しかし家庭や学校などに頼れる人や、居場所がなく悩んでいる子どもたちが沢山いることを実感し、社会の枠組みの狭間で救いの手が届いていない10代の子どもたちに向けて、安心して一人になれる、学校でも家でもない10代向けの第三の居場所、ユースセンターを立ち上げました。
ユースセンター訪問当日は、「みてね基金」の運営支援をしているNPO法人ETIC.加勢さん、渡辺さんと現地で待ち合わせ、オープンしたての新しい施設にお伺いしました。加勢さん、渡辺さんとは、1年以上、共に「みてね基金」を運営し、毎週ZOOM会議でお会いする仲間(先輩)ですが、リアルで会うのは今回が初めてでした。
当日は、3keys代表の森山さん自ら施設をご案内いただき、さまざまなお話をお伺いしました。
この施設に来る10代の子どもたちの様子や、この施設を子どもたちにとってどのような場所にしたいか、などの想いをお伺いしながら、森山さんたちがいかに真剣に子どもたちの目線でこのユースセンターを作っていこうとしているかをひしひしと感じました。
こちらの2枚の施設の写真は3keysさんからご提供いただいたものです。施設での写真撮影は子どものプライバシー保護のためNGとなっています。(すごくいいと思うのです!)
↑リビングの写真(この写真はCGで本が置いてあるように見せていますが、実際には本が不足しています。施設のウィッシュリストはこちら)
↑キッチンの写真(スタッフさんが料理を作って子どもさんに提供することもあるそうです)
NPOの役割が、民間として、行政や自治体の救済措置が行き届いていない部分を見つけ、解決策を投じることと定義した場合、3keysさんのこの事業は、まさにまだ行政の救済の仕組みが届いてない部分です。このユースセンターは、もしかすると将来、行政主導の新たな救済の枠組みになるかもしれない実験的第一歩になるかもしれません。
日々悩める子どもたちに向き合ってきた3keysさんだからこそ生まれたこのユースセンター事業。本センターが、困っている子どもたちを救うモデルケースとなり、全国にこういった場ができ、たくさんの子どもと家族が救われるといいな、と思います。
子どもにとって、10代の大切な時期に、一人になったり、自分と向き合う時間が持てる安心できる空間があることはとても大切なことだと思います。 大人と違い、そのような場所を自分で作ることがむずかしい子どもたちが、この施設を見つけ、訪れ、少しでも羽を伸ばし、安心し、自分に向き合う時間が持てますように。
「ないがしろにしていい子どもはいません」というステートメントのもとに、「子どもの権利」が保障されない子どもをゼロにするために邁進される3keysさん。イノベーティブなこの取り組みに、「みてね基金」も微力ながらこれからも協力できればと思いました。
↓ 3keysさんの施設のウィッシュリストです。ウィッシュリストの中の本のセレクトを見ながら、施設に来る子どもたちがソファに横になり、ちょっと手にする本が、彼らの未来を開くきっかけになるといいなと思っています。
https://www.amazon.co.jp/hz/wishlist/ls/2UEEI3BSMS850
また書きます。
- 団体名
認定NPO法人3keys
- 申請事業
制度の狭間にいる10代向けの新しい形のユースセンター事業
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