「『やってみたい』という自分の気持ちに正直になったんです。今だからできることをやりたい」
社会課題の解決を通じた人材育成プログラムなどを展開するNPO法人クロスフィールズの濱田貴広さんは言います。大企業からベンチャー企業を経て、今年の春、入職しました。前職との大きなギャップや現職から受けている影響など、濱田さんが感じている自身の変化とは?
濱田貴広さん
聞き手 : 野田香織(DRIVEキャリアコーディネーター)
※DRIVEキャリアでは、特定非営利活動法人クロスフィールズの求人を掲載しています。
大きなターニングポイントとなった青年海外協力隊の経験
――クロスフィールズとの出会いを教えてください。
新卒で入社した人事部長の方からクロスフィールズの留職プログラムについて教えていただいたことが最初の出会いです。その後、1年間のボランティア休職を取り、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊に参加した頃は、協力隊のOBでNPOを起業した人として代表の小沼の名前をよく聞いていました。
小沼自身が協力隊時代の経験をもとにクロスフィールズの留職プログラムを考えたと知ってからは、クロスフィールズの活動内容に大きく惹かれるようになりました。とのいうのも青年海外協力隊の活動は、自分にとっても大きなターニングポイントだったと実感できる体験だからです。
――青年海外協力隊では人生で大きく印象に残るような経験をされたのですね。
海外で業務するのは初めての経験でしたが、まず「こんなにも自分の思いって伝わらないんだ」と痛感しました。周りを巻き込むにしても、文化が異なる人々と一緒にプロジェクトを進めるのは本当に難しかったです。何度もぶつかり、時には喧嘩して、いろいろな壁を乗り越えながらコミュニケーションをとるなかで、一つのイベントを実現させた時には大きな達成感があったし、今でも鮮明に思い出します。
同時に、現地の役に立てない自分と向き合う経験もしました。実は派遣前、「困っている人たちに何かをしてあげたい」という気持ちで渡航したのですが、実際には想定した通りには何もできなくて。そこで「自分は何のためにここに来たのか」とゼロから考えて、自分で仕事を作っていきました。海外に越境したことで、自分や仕事と向き合う機会にもなりました。
前職と大きく異なる仕事。課題を乗り越えるために
――クロスフィールズ入職後、前職との違いを感じることはありますか?
プロジェクトマネージャーとして人材育成の事業運営に携わっていますが、前職とは大きな違いを感じています。
これまで、自分は製品やサービスを通じた課題解決に取り組んでいましたが、クロスフィールズでは「人」の可能性をひらくことで課題解決に取り組んでいます。
そのため コーチングやファシリテーションなど、これまでとは異なるスキルが必要なシーンもあり、難しさと面白さを感じています。
また、長期的な視点を持って事業に取り組むこともクロスフィールズの特徴だと感じています。メンバーとはよく、「15年先を見据えて、社会変化を起こすきっかけになるような機会を提供できるといいよね」と話したり、時に長期的な戦略策定をしたり。組織全体として長いスパンでの価値創出にもこだわっていると感じています。
「自分らしい人生への歩み」に伴走。自分自身の活力にも
――やりがいを感じるのはどんな時ですか?
留職プログラムは、参加者が社会課題解決の現場を体感することで、彼らの価値観やその後の人生がより豊かな方向へ変わる可能性があると思っています。
「自分らしい人生の歩み」を目指して挑戦する参加者伴走をしたり、企業の変化に立ち会わせていただいたりすることは、僕自身にとっても活力になると感じています。自分の仕事が「誰かの人生の分岐点になるかもしれない」と思うと、やりがいを感じますね。
転職は「素直に学ぶ姿勢」が大事
――大企業からベンチャー企業、そして現在はNPOのクロスフィールズと異業種を転職してきた濱田さんならではの気づきや大事にしたいと思うことはありますか?
まず、これまでの「当たり前」は通用しないこともある、ということです。転職ではこれまでの経験が通用しない場面も多々ありました。もちろん今までの経験を活かせるシーンもありますが、過去の成功体験や自分の「当たり前」に囚われすぎると、新しいアイデアや柔軟な対応が難しくなってしまいます。転職先では自分の経験値を活かしつつ、変化に応じて柔軟に働いていくことも大切だと実感しています。
一方で、転職を決意する際は「何とかなるだろう」という気持ちが大切かもしれません。
ベトナム出張では様々なパートナー団体を訪問するそう。濱田さんは写真右(写真提供 : NPO法人クロスフィールズ)
――「何とかなる」ですか。
僕は「元気なうちにやりたいことをやる」と決めています。人生において「働ける時間」は限られているはず。この限られた時間で自分がやりたいことをやる、やってみたら何とかなる。そんな気持ちも、転職を踏み切った背景にありますね。実際にクロスフィールズの仕事はその時々に応じた対応が必要で、やってみないとわからないことばかりでした。
「偽らない自分」で生きていきたい
――将来、どんな自分でいたいですか?
業務を通じてソーシャルセクターのリーダーの方々の話を聞けるのですが、なかでも響いている言葉が、「自分らしさ、ありのままを大事にしたほうがいい」です。
クロスフィールズでも、「自分らしさ」「ありのまま」という言葉が日常的に使われていて、入職後は自分の言葉で話すことを意識するようになっています。
偽らない自分、自分らしさを全開で出していきたいと強く思っています。
――「偽らない自分」、心に響きました。
そのリーダーの方は「誰にでも凸凹はあるけれど、どうしても人は凸凹がないように見せてしまう」とも話していました。僕自身も似たところがありますが、そういう時は苦しさを感じます。
「凸凹をないようにしてしまう自分」を取っ払って、ありのままの自分で生きていけると、もっと活力が湧く働き方や生き方ができるのかなと。クロスフィールズには自分を飾らず等身大で人と向き合うメンバーが多いので、その影響も受けてこう考えるようになりました。
クロスフィールズのプログラムに参加する方々にも「自分らしいリーダーシップを取れる状態を目指してほしい」と話すことが多いのでまずは僕自身がそうありたいです。
<濱田さんの上司 クロスフィールズ 法幸勇一(ほうこう・ゆういち)さんから一言>
事業統括マネージャー 法幸勇一さん
クロスフィールズ内部ではあだ名で呼び合う文化があり、濱田さんは「はまやん」と呼ばれています。
そんなはまやんは入職してわずか半年ですが、海外案件を2回経験。既に重要なプロジェクトをいくつも引っ張る、大車輪の活躍です。加入直後からフットワークの軽さを発揮し、自分で仕事を掴むなど、何事にも素直に取り組む姿勢も含めて団体メンバーからの信頼も厚く、早くもチームに欠かせない存在になっています。
はまやんは特に2つの点で活躍しています。1つはこれまで培ってきたものを存分に発揮してくれていること。パートナー企業と真摯に丁寧に関係構築を進めてきた大企業での経験、スピード感と主体性を発揮してきたベンチャー企業の経験、海外ボランティアでより育まれた社会課題解決への想い、グローバル経験などを活かして成果を出してくれています。
もう1つはプログラム参加者や社会課題の当事者に対する「共感力」という、クロスフィールズで働くなかで芽生えた新たな強みが活きていることです。
難易度の高いプロジェクトを担当するなか、自身の課題が鮮明に見えてきた段階だと思います。はまやんの凹凸や自分らしさを大切にしながら、僕らも一緒に「成長痛」を乗り越えていきたいと思っています。人の可能性を拓き、持続的な社会課題解決を一歩ずつ進められるように一緒に頑張りましょう!
※記事の内容は2023年6月取材時点のものです。
濱田さんが働くNPO法人クロスフィールズでは、新しい仲間を募集中です。ご関心ある方はぜひ詳細をご覧ください。
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