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NPO転職!キャリア相談の現場から お悩み①「企業とNPOの働き方、違いはありますか?」

2022.05.09 

NPO転職!キャリ相談の現場から (6)

 

「NPO 転職」で検索すると、ずらりと並ぶ求人の数々。以前と比べると、NPO(Non-Profit Organization、非営利団体)で働くことが珍しくなくなりました。

 

一方で、企業からNPOへの転職は、まだまだハードルが高いと感じます。そこで、NPO・ソーシャルベンチャーに特化した求人サイト「DRIVEキャリア」によく寄せられる相談を記事にしました。初回の今回は、「企業とNPOの働き方ってどう違うんですか?」を取り上げます。

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企業とNPOの違い

 

まずは、基本的な違いから見てみましょう。他にも細かな違いはありますが、最も基本的なものに絞っています。

 

表

 

この前提の違いが、どんな特徴の違いになるのでしょうか?大まかに3つの観点があります。

 

1つは、収益に対する考え方の違いです。

 

NPOの活動の目的は「社会課題解決」なので、たとえ一つの事業が赤字であっても社会的に重要度が高ければ継続するという経営判断もありえます。もちろん、団体が持続可能であることが条件です。株式会社の場合も、投資のために赤字の事業を進めることもありますが、いつかは黒字になるのを見越してのこと。利益が出る見込みがない事業を進めることは、基本的にありません。経営上の優先順位の違いが、事業のかたちにあらわれます。

 

2つめは、ビジネスモデルの複雑さです。

 

NPOがサービスを提供するのは、主に困りごとを抱えた人たちです。子どもや障害を持った方、経済的に困窮している方など、サービスの対価を払うのが難しい人たちを対象としています。たとえば、八百屋さんであれば、野菜を売って、その代金をお客さんからもらいますね。NPOは、この「商品を提供して対価を得る」ということが成り立ちづらいのです。

 

そのため、行政事業を受託したり、企業と協働したり、助成金を使ったり、必要な資金をサービスの受益者以外から得ています。そのため、様々な組織が関わり、ビジネスモデルが複雑になる傾向にあります。

 

3つめは、組織の規模です。

 

NPOは困っている人たちを対象に事業やサービスを展開することが多いため、市場全体の母数が少なく、小さな組織が多いのが現状です。資金調達についても、銀行からの借り入れはできますが、株式会社のように株主から資金調達することはできません。資金調達力が弱く、事業拡大しづらい側面があります。

 

・・・さて、少し前置きが長くなりました。

 

ここまでは、組織全体の違いをお伝えしてきました。この違いが、職員の働き方や求められるスキルにどう現れるのでしょうか?

NPOへの転職者に現れるギャップには2つの軸がある

 

多くの方の相談にのる中で見えてきたのは、相談者のお悩みには2つの軸が混在しているということです。「組織規模の違い」と「営利・非営利の違い」です。

 

例えば、「NPOは、新卒での入社は難しいですよね?」と相談されることがありますが、そこはNPOと企業の違いというより組織規模の違いに拠ります。立ち上がったばかりの小さな組織は、人材育成の仕組みが整っていないことが多く、中小企業も状況は同じだと思います。

 

上述のとおり、NPOは小さな組織が多いので、この組織規模による違いが混ざりやすいのです。では、企業からNPOに転職するときに、どんなギャップが生じやすいのか。具体的に見てみましょう。

大きな組織から小さな組織に移るときに生じるギャップ

 

大きな組織から小さな組織に移るときに生じるギャップは、主に次の2つがあります。

 

①担当業務の幅が広い

 

小さな組織の場合、業務が定形化されていない、役割分担が十分にされていないなど環境的に整っていないことが少なくありません。人事・経理・労務・・とバックオフィス業務をすべて任されることもあります。特定分野のスペシャリストより、経験がない分野でも課題を見極めて取り組んでいける、ジェネラリストが求められることが多いです。

 

②組織基盤が整っていない

 

大企業であれば、人材育成、経費の申請、有給休暇の仕組みなどが整っているところが多いでしょう。当たり前すぎて整っていることにも気づかないかもしれません。しかし、小さな組織ではこれらの仕組みが未成熟なことも多く、分からないことは、自分で調べたり、人に聞いたりして自ら学んでいく必要があります。指示待ちにならず、混沌の中でも主体的に仕事ができるスキルやマインドが求められます。

営利団体から非営利団体に移るときに生じるギャップ

 

一方、営利団体から非営利団体に転職するときに生じるギャップは、主にこの2つです。

 

①成果が分かりづらい

 

経済的な成果は数字に現れるので一目瞭然です。よって、社員が達成すべき目標も明確になります。一方、社会課題解決の成果は、見えづらい上に時間がかかります。達成すべき目標も複雑です。NPO職員は、「利益は最優先じゃないけど、利益を上げなきゃ活動が続かない」「目の前の人を助けたいけど、社会の仕組みから変えないと課題解決にならない」など様々な矛盾を抱えながら、事業を推進しています。社会の仕組み、利益、課題の当事者などの間でバランスをとりながら、複雑な問いにチャレンジすることになります。

 

②変化が早い

 

困っている人に向けて事業やサービスを提供するのがNPOの役割ですが、状況は刻々と変化します。たとえば、コロナ禍では困りごとを抱えた人の問題が急に深刻化したり、企業の業績悪化や業務内容の変化によって寄付が打ち切りになった例がありました。NPOでは、「今、自分たちがすべきことは何か?」を考え、社会情勢の変化に合わせて、事業やサービス、日常業務をスピーディに変化させていくことが求められます。

NPOと企業の壁はなくなりつつある

 

気候変動や、SDGsへの意識の高まりを受け、昨今では企業の社会的責任が強く問われるようになりました。インパクト投資(※1)の市場規模は年々増加しており(※2)、社会課題解決をビジネスチャンスととらえる企業も増えています。また、NPOにおいても、事業収入を得て社会課題解決に挑む「事業型NPO」も出てきており(※3)、ビジネススキルが求められる人材募集も多々見受けられます。

 

「NPOでしか出来ないことはほぼなくなっている。NPOという組織形態を選ぶ意味は、自分たちの意思表示。『社会のために働く』という意志表示だと思う」

 

先日のイベントで、NPO法人ETIC.(エティック)の鈴木が話していた言葉です。組織形態にとらわれず、「誰の何の問題を解決するために働きたいのか」「どんな仲間と働きたいのか」ということが、仕事先を選ぶ上で、より本質的な問いになってきているのだと思います。

 

ここで書いたようなギャップもいつか無くなる日がくるのかもしれません。でも、今この段階においては参考になることもあると思うので、少しでも皆さんのお役に立てたらうれしいです。

 

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【参考資料】

※1 インパクト投資とは、社会や環境に良い影響を与える団体やプロジェクトに投資すること。「金銭的なリターン」と「インパクト(社会や環境に対する良い影響)」の両方を重視していることが寄付と異なる点です。

※2 『日本におけるインパクト投資の現状と課題 ―2020年度調査―』(出版:GSG国内諮問委員会 事務局:SIIF)

※3 「NPO=ボランティア」ではない!NPO法人クロスフィールズにみる「事業収入型NPO」の事業モデル

 

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この記事を書いたユーザー
乗越 貴子

乗越 貴子

1982年埼玉県生まれ。早稲田大学卒業後、塾講師、ネットサービスベンチャー企業を経て、NPO法人ETIC.参画。2児の母。志ある人と組織をつなげる求人サイトDRIVEキャリア(http://drive.media/career)で、事務局業務を担当しています。モットーは、「書くことと人をつなげることで、一歩踏み出す勇気を生み出せる人になる」

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