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#ローカルベンチャー

移住の事例から学ぶ!移住成功に不可欠な“ある存在”とは?【Eターン@厚真 後編】

2016.08.10 1,449view 

北海道の南西部に位置し、稲作を中心としつつ、ジャムやスイーツ、果実酒などの原料となるハスカップの栽培などの農業や林業が盛んなまち、厚真町。この人口4,700人ほどの町に近年、移住者が地方の資源を活かした事業「ローカルベンチャー」を立ち上げる例も増えています。(詳しくはこちらの記事をご覧ください。)

いったいなぜ、厚真町でこのようなEターン(起業型移住)の成功例が増えているのでしょうか。これまで「特集Eターン」では、厚真町の移住支援が“移住者目線”に立っていること、移住者に「地域を活用する」という意識があることを紹介してきました。

今回は、地域おこし協力隊として厚真町に移住し、林業に取り組む永山尚貴さんを取材。インタビューを通して、移住が成功するために重要な“ある存在”が見えてきました。

 

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※「Eターン@厚真 前編」「中編」も合わせてご覧ください。

●「求む、自分の幸せの開拓者」。起業家とともに悩み、ともに幸せになる覚悟をもつ町役場が北海道にあった【Eターン@厚真 前編】

●受け身はもったいない!移住&起業が成功するために不可欠な「ある発想」とは?【Eターン@厚真 中編】

林業は、おもしろい

永山さんは2013年6月に、地域おこし協力隊のなかでも「林業支援員」という、林業に関わる仕事をする人材として厚真町に移住しました。

永山さんの業務は、苗の植え付けや草刈り、木々の伐採、環境保全林の整備など多岐にわたります。

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「林業は昔ながらの産業であるようなイメージがありますが、イノベーションが起きていておもしろいんですよ。

例えば、機械を使うことが困難な狭い場所で、ロープを使った木登りの技術を用いて、人の力で安全かつ効率的に伐採を行う『アーボリカルチャー』という、新しい方法も使われ始めています。今後、ロッククライミングなどの技術を持った方が林業に関わるようになる、という可能性もあるんじゃないでしょうか。」

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ビル4,5階ほどの高さある枝も、ロープを巧みに利用して伐採していく「アーボリカルチャー」。

厚真町に行ってみたら、「すごくいい土地だな」と思った

現在では高度な技術を扱えるようになっている永山さんも、実は厚真町に移住するまでは、林業はまったく経験がなかったそうです。

環境関係の専門学校の卒業後、東京で害獣被害の調査員を経て、30代のころに出身地である福島県いわき市に戻った永山さんは、数年かけて有機栽培でぶどう園を準備していました。

しかしやっとオープンした1年後、震災と原発事故が起こります。永山さんも悩んだ末、移住を決意。自らを「好奇心が強い」という永山さんは、慣れ親しんだ農業ではなく、まったく新しい分野である林業の仕事の求人を探すなかで、厚真町で地域おこし協力隊の募集を見つけ、応募しました。

協力隊の面接を受けるにあたって、永山さんは一度厚真町を訪れたそう。

「奥さんと一緒に、車で厚真町をはじめ北海道をぶらっとする旅をしたんです。そしたら、『すごくいい土地だな』と。自然もたくさんあるし、私はウィンタースポーツが好きなので、冬も楽しめそうだなと。実際に移住をしてみたら、厚真町はウィンタースポーツよりもサーフィンが盛んな土地だったのですが(笑)。

やっぱり移住を考えているのなら、実際にその土地に行ってみないとわかんないことは多いですもんね。メディアで発信されているイメージだけであんまり惚れ込んじゃうと、『こんなはずじゃなかった』となることもあるんじゃないでしょうか。」

次の移住者のサポートをしたい

永山さんは移住した当初、林業はまったくの未経験。そんな永山さんを支えたのは、林業の先輩たちでした。永山さんが林の整備に興味があることを知った厚真町役場の宮久史さんが、地域で環境保全林の整備に取り組む方々を紹介してくれたといいます。

「宮さんの協力もあって、厚真町に来てから“いい縁”に巡り合うことが多かったです。特に、森林との関わりが少なかった人々に森林の楽しさを提供する『あつま森林むすびの会』というNPOの方々とつながれたのは大きかったですね。

木工やきのこが大好きな理事長をはじめ、みなさん遊びも仕事も楽しんでやっている方で。『森林を守るために、こういうことをしなくてはいけない』ではなく、『楽しいから一緒にやろうよ』というスタンスだったので、私も林業をすごく楽しめるようになったんです。」

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地域の先輩から、林業を楽しむというスタンスを学んだ永山さん。だからこそ、これから取り組みたいことがあるといいます。

「厚真町にこれから入る移住者の方をサポートしたいです。私自身、移住がうまくいったのは人とのつながりが大きかったですから。地域の先輩が私をサポートしてくれたように、私も次の移住者をサポートしていきたい。

特に地域おこし協力隊の制度は、若い人に活用してほしいです。移住するかどうか悩む方も多いと思いますが、若い人はやり直しがきくと思うので、一歩踏み出してみるのもいいと思います。協力隊の制度では、いきなり自分のやりたいことを見つけたり、事業を立ち上げるのではなく、私たち先輩や役場のサポートを受けながら、3年間“悩む”ことができる。その機会は貴重ですよね。」

移住が成功するために大切な“先輩移住者”の存在

永山さんの話から見えてきたのは、移住が成功する背景にある、“先輩移住者”の存在です。

以前「特集Eターン」で紹介した岡山県西粟倉村をはじめ、移住が盛んな地域では、移住者どうしの深いつながりがあります。移住者が地域にやってくると、先輩移住者がサポートする。そうして地域に溶け込んだ移住者が、また次の移住者をサポートする……。そんなサイクルが、移住者にとって溶け込みやすい地域を生んでいるようです。

その意味では厚真町は、明治期の開拓民から続く移住者の系譜があります。「何人かで集まって話していると、『そういえば、もともと厚真町にいた人間の方が少数派だな』とふと気づくことがあります」と永山さんが言うように、移住者がマイノリティにならない土地は、移住支援に取り組む全国の地域の中でも珍しいのではないでしょうか。

移住者の悩みを一番理解することができるのは、同じ経験をしたことのある先輩移住者かもしれません。そんな先輩が多く存在し、なおかつ永山さんのように「次の移住者をサポートしたい」という思いを持っているということは、これから厚真町を訪れる移住者にとって、とても心強いことでしょう。

 お知らせ

2016年、北海道厚真町はローカルベンチャースクールを開校します。東京での講習会も予定されているので、Eターンに興味を持った方はぜひ、ご参加ください。ご応募、詳細は以下から。

●2016年 西粟倉村・厚真町ローカルベンチャースクール 事前講習会

この記事を書いたユーザー

山中 康司

山中 康司

働きかた編集者。IT系ベンチャー企業にてオウンドメディアの編集者を経験したのち、現在はNPO法人ETIC.ローカルイノベーション事業部にて、「地方での働き方」に関するプロモーション業務等を担当。立教大学卒、東京大学大学院情報学環学際情報学府修士課程修了。

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