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「半年間は、給料がゼロでした」NPO法人G-net・秋元祥治さん―起業家七転び八起きvol.3

2014.10.23 4,123view 

今回は、岐阜にて長期実践型インターンシップのコーディネートを行っている、NPO法人G-netの代表理事・秋元祥治さんに、起業家人生の中で最も大変だったことと、そこから見出した大切な気づきについてお話を伺いました。

NPO法人G-net・秋元祥治さん

井上:これまでの起業家人生の中で、もっとも大変だったことは何ですか。

秋元:事業を続けていく上で苦労するのは、「人」と「お金」を集めることです。その中でも「お金」を集めることにはとても苦労しました。G-netは2001年に創業し、当初は地域でのイベントやフリーペーパーの発行を主な事業としていました。

しかし、「イベントやフリーペーパーの発行で、本当に地域を元気にできるのか」という問いを自分の中にずっと抱いていました。そんな中でETIC.が開始したチャレコミ(地域の経営者と若者が実践型インターンシップという形態で事業に取り組み、新たなイノベーションを起こすチャレンジコミュニティ創成事業)に出会って、「地域を元気にするのはこれだ!」と思ったのです。それがきっかけで、インターンシップのコーディネートをやろうと考え始めました。

井上:そこからすぐに事業の方向を変えられたのですか?

秋元:そこが上手くいかず、苦しみました。当然これまで取り組んできた事業への愛着もあり、従来の事業とインターンシップ事業を同時に展開できないかと考えたのです。しかし、全てが中途半端で、徐々に業績が悪化。2007年度には、売り上げが3千万円位で、支出が4千万円。つまり、1千万円の赤字となったわけです。この時が一番のピンチでした。

井上:スタッフの方のお給料はどうしていたのですか?

秋元:スタッフのお給料は、何とかやりくりをしていましたが、代表である僕と、現在も事務局長を務めている加藤の分は、お給料が出たその日に会社に貸し付けるという形にして、実質半年くらい、お給料がゼロの生活でした。

井上:その間、どうやって暮らしていたのですか?

秋元:日々、食べる物にも困っていました。コンビニに行って、お腹が空いたなと思って財布を見ても、小銭の数が足りない。引き出せる預金もない。ああ、どうしよう。お腹すいたな、という日もありました。

もうその頃になると、正気の判断ができなくなっていました。よく、携帯に送られてくる迷惑メールってありますよね。「あなたは選ばれた方です。無担保でお金をお貸ししますので、カードをお送り下さい。」みたいな。

井上:怪しくて、すぐに削除するような内容の迷惑メールですね。

秋元:正気の人なら、怪しくて見もしない。でもね、当時の僕は「ああ、これは神様が僕のために送ってくれたに違いない!」と思ったわけです。さらに、信じられないことに、実際に持っていたカードを送ってしまったのです。

井上:ええ!大丈夫でしたか?

秋元:当然、大丈夫ではありませんでした。お金のない状態の僕のカードなんで、使える額もたかが知れていますが、なけなしの金を使われてしまいました。

ただ、騙されたのは確かに辛かったですが、これも自分のせいです。「貧すれば鈍する」ということわざがあるけれども、今の自分がまさにそうだと思いました。これ以上誤った判断をしないようにしなければと、今思えば、正気に戻るための、いい勉強の機会となりました。

井上:そのような状況を、どう打開されたのですか?

秋元:まず、資金調達のために、親父のところに頭を下げにいきました。次に、NPOをたたむ事を覚悟で、初期の頃よりインターンシップを受け入れて下さっていた企業さんにも頭を下げに回りました。日ごろから支えて下さっている方に情けない申し出ですし、心苦しかったのですが、他に方法がなかったのです。

井上:どのような反応でしたか?

秋元:僕自身、自身の能力不足を晒すようで情けないし恥ずかしいし、と思いながら頭を下げました。すると、ある経営者の方は「なんや、そんなこと全然しらんかった。今頃言うなんて、水臭いやないか。すぐに数百万円は出せないけれど、50万や100万やったら、貸付と言わずに寄付するよ。」と言い、お金を用意して下さいました。

また、ある方は「分かった。また来週おいで。」と言われて、約束の日に伺い、社長室に通されたら、机の上に焼き芋が入っていそうな、厚みのある茶封筒が置いてあり、「これを持って行け。」とだけ言われました。「はい」と言いながら開けてみたら、中に資金が入っていたんです。

僕は、衝撃と驚きの中でお礼を言い、「このお金をいつまでに返したらいいでしょうか?また借用書はどうしたらいいですか?」と聞いたら、その方は、「借用書はいらない。君を信じて貸すんだから、返せる時がきたら返せばいい。頑張りなさい。」と言って下さいました。

井上:涙が出るようなお言葉ですね。

秋元:その時も感謝で言葉にならず、涙が出ましたが、時を経てお金をお返しした後にも、当時の事を人に話す際は、自然と涙が出ていました。この時に支えて下さった方々には、感謝をしても、しきれません。また、このことを通して、NPOの代表としても大きな学びを得ました。

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井上:それはどういったことですか。

秋元:それまで、経営上の課題を外に伝えることは、ネガティブな事だと思っていました。しかし、NPOにおいては、課題や悩みを伝える事によって、より多くの応援を頂くことができる。資金だけでなく、知恵や思いを持った方が集まり、力を貸してくれるんだという発見がありました。

もちろん、自分自身がベストを尽くした上での話ですが、リードする事のみがリーダーシップではなく、色々な方に支えて頂けるというのも、リーダーシップの在り方の一つではないかというのは、大きな気づきでした。

井上:その後、事業はどうなったのでしょうか?

秋元:資金繰りが何とかついた頃、たまたま大きな案件をお任せいただくことができ、そこで、何とかその年は事業をたたまずに済み、また、これまで同時並行で取り組んでいたイベントやフリーペーパーの業務は完全に辞めて、インターンシップ事業に絞りました。そこから4・5年かけてインターンシップ事業が徐々に軌道にのり、今に至るという感じです。

井上:苦しい時に支えになった言葉などありますか?

秋元:具体的な言葉ではありませんが、ETIC.の宮城さんの存在は大きいですね。宮城さんは答えを明確に教えてくれるわけではなく、自分の心を顧みて、整理するような問を投げかけてくれる。そこから毎回多くの気づきを頂いています。

また、チャレコミで出会った各地の仲間たちの存在も大きいです。あいつも自分の地域で苦しい戦いを頑張っているから、自分も頑張ろうと思える。まさに戦友ですね。

井上:支えとなる方の存在は大きいですよね。今日は、貴重なお話をありがとうございました。

起業家七転び八起きシリーズ

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この記事を書いたユーザー

井上 陽子

井上 陽子

1981年生まれ。早稲田大学商学部卒業。学生時代にNPO法人ETIC.にてインターシップを経験し、人生を変えるような出会いに恵まれる。2005年から約5年間、日本テレビにてアナウンサーとして活動。スポーツ、情報番組などを担当する。その後、配偶者の転勤により、香港にて生活。帰国後、2014年1月よりDRIVEに参画。一児の母。

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