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NPOを影で支える男の「仕事の流儀」NPO法人ETIC.経営管理部マネージャー・野村学さんインタビュー

2014.12.12 465view 

外資系コンサルティング会社を経て、NPO法人ETIC.*に転職。入職以来10年間、事業を支える経理・法務・労務の仕事を、ゼロから作りあげてきた野村さん。ETIC.に入職されるまでのお話や、普段注目されることが少ない「NPOのバックオフィス業務」の面白さについて、じっくりお話を伺いました。

*NPO法人ETIC.は、長期実践型インターンシップや社会起業家の創業支援などを通じて、社会をつくる次世代リーダーを支援するNPO。

NPO法人ETIC.経営管理部マネージャー・野村学さん

NPO法人ETIC.経営管理部マネージャー・野村学さん

有名外資コンサルを経て、NPO法人ETIC.へ

荘司:本日はお忙しいところお時間いただき、ありがとうございます。まず初めにETIC.に入職されるまでのキャリアについてお伺いしたいのですが、ETIC.に転職された経緯というのは、どのようなことだったのでしょうか。

野村:正式に職員としてETIC.に入職したのは2004年ですが、実は大学時代からETIC.とは関わりがありました。元々起業に興味があったため、大学入学前からETIC.が主催するイベントに参加しており、代表の宮城から「新入生にビラを配るので手伝ってほしい。」と依頼を受けたのが、最初のきっかけでした。

それからETIC.のオフィスで、電話番やイベント運営の手伝いなどをしていました。同時にテレビ局でホームページ制作のバイトをしたり、友人のネット系企業でシステム構築などを手伝っていました。

大学院進学後は、ビジネススクールでビジネス実務やファイナンスなどを学びながら、友人と起業したネット系の会社に、多くの時間を費やしました。対して、ETIC.での活動はさほど多くなく、大きなイベントの際にスタッフとして参加する程度でした。

当時のETIC.や友人の会社での仕事を通じて、自分自身が社長となって起業するよりも、トップを支える「バックオフィス業務の面白さ」に目覚めてきました。

荘司:大学院卒業後、一般企業に就職されるわけですが、当時のお考えを教えてください。

野村:友人の会社で働くことも考えたのですが、資金繰りが悪化してきており、継続的な経営が困難な状況となっていました。そこで一旦就職をしようと決め、外資系のコンサルティング会社に入社することになりました。

荘司:外資系コンサルティング会社に決めた理由はなんだったのですか?

野村:就職先を選ぶ判断基準としては3つありました。1つ目は給与水準が高いこと、2つ目はスキルが得られること、3つ目は万一退職したとしても、妥当な評価につながりやすいこと、でした。それらを満たす会社として、グローバルに展開する外資系コンサルティング会社を選びました。

また外資系企業の利点として、入社時期が1年の間に複数あったことも魅力でした。友人の会社にできるだけ長く関わりたかったので、通常よりも6か月遅い10月に入社することにしました。

"機会の希少価値"が高い選択肢を選ぶ

荘司:新卒で入社されてから1年経たない内に、ETIC.に転職することになりますが、どういったきっかけがあったのでしょうか。

野村:入社後、米国にも出張に行かせていただきましたし、大規模な案件を担当するなど、仕事自体は非常に充実していました。ただシステム開発の現場で繰り返される喧騒の中で、「ここで10年、20年キャリアを積むのも良いけど、ほかに面白いものがあれば、そちらに行ってもいいなぁ。」とぼんやり考えていました。

そんな時に、現在ETIC.の事務局長をしている鈴木より、「事務系スタッフを探しているので、誰かいい人がいたら教えてほしい。」と連絡を貰いました。バックオフィスに興味があったこともあり、「だったら自分がやればいいじゃないか!」ということで、ETIC.への転職を決めました。

荘司:有名大学、有名外資系企業から、まだ規模の小さかったNPOに転職するというのは、かなり思い切った決断だと思うのですが、迷いはなかったのですか?

野村:私はキャリアの選択肢を選ぶ時に、なるべく"機会の希少価値"が高い方を選ぶように心掛けています。当時外資系コンサルティング会社とNPOとで悩んだ時もそうでした。

外資系企業でエンジニアやコンサルタントとして働く方は、貴重とはいえ何万人もいるでしょう。一方、NPOでバックオフィス業務全てを担当できる人材は、そう多くありません。自分の選択肢をより大きくするという意味もあり、後者を選択しようと決めました。

荘司:すごい論理的に判断された印象を受けるのですが、年収の面などで不安は無かったのですか?

野村:確かに年収は下がりましたが、いくらお金があっても何に使うか、何がしたいかだと思います。幸いにも、必要最低限の生活はできると見込めてましたし、転職先も“古巣“のETIC.で業務もメンバーも分かっていたので、不安は少なかったです。昔のバイト先に転職する感覚ですかね。

荘司:なるほど、昔のバイト先に転職というのは分かりやすいですね(笑)。

NPOバックオフィス業務の重要性

荘司:ETIC.に入職されてから10年間、バックオフィス業務を担当されてこられたと伺いました。入職時に比べて、NPO業界全体でバックオフィス業務の重要性も高まっているように感じられますか?

NPO法人ETIC.経営管理部マネージャー・野村学さん

ETIC.オフィスでの、インタビューの様子。

野村:NPOの事業運営に、バックオフィス業務は必要不可欠だと考えています。実は株式会社立ち上げよりも、NPO立ち上げのほうが、大変なことが数多くあります。資金面はもちろんなのですが、法的規制の面でも非常に条件が多いです。

例えば株式会社の場合、非上場であれば一般的には税金を正しく納めていれば問題ないですが、NPOの場合、毎年事業報告書を都道府県などに提出する必要があります。万一提出しないと、NPO認可が取り消されてしまうこともあります。

加えて団体の定款を変更する際も、事前に管轄省庁に申請を出し、承認を頂く必要があります。ETIC.でも「インターンシップ」や「右腕派遣プロジェクト」などで、職業紹介のような事業を始める際に、定款を変更する必要があり、東京都から申請内容にご指摘を頂くなど、非常に苦労しました。

そういった理由でNPOが正しく事業運営するために、バックオフィス業務は必要不可欠ですし、事業規模が大きくなればなるほど、業務量も増えるので、事業の片手間ではなく、バックオフィス専任で対応するスタッフが必要になってくるかと思います。

荘司:なるほど、社会課題解決の活動基盤を支えているイメージですね。お話伺っていると、やはり法務系の業務が多いのでしょうか。

野村:確かに法務系の作業は多いですね。ただ財務に関しても、多くの方からお預かりした大事なお金ですので、非常に大事な業務です。お預かりした寄付金を正しく管理し、皆様にご報告する必要があり、業務責任は重大です。

バックオフィス業務に向いている人物像とは

荘司:NPOのバックオフィス業務には、どういう方が向いていると思われますか?

野村:やはりコツコツ系作業に苦手意識もっていないことが大事だと思います。当然ルーチンワークはある程度存在するので、イライラせずコツコツと、目の前の仕事をこなしていける方が向いていると思います。時には理不尽なこともありますが(笑)

またNPOで働きたい方の中には、現場の社会課題解決に想いを持った方が多いのですが、バックオフィス業務だと直接的な課題解決に繋がっている実感が持ちづらいため、自分で目標を設定し、モチベーションを保つことも大切だと感じます。

荘司:「バックオフィス業務」とだけ聞くと、「つまらない」「単純作業」と感じる方が多いと思いますが、バックオフィス業務を担当する「やりがい」や「メリット」って何でしょうか?

野村:(NPO業界は)まだまだ規模が小さい団体が多いため、バックオフィス業務と一口に言っても、法務・財務・労務など幅広い業務の経験が積めることですね。経験値を貯めるという意味合いでは、非常に有益な環境だと思います。

私も入職した当時、自分で試行錯誤しながら、幅広くバックオフィス業務に取り組んできました。担当する業務範囲が広く、歴史の浅いNPOというフィールドで、日々前例のないことに向かっていくことが、やりがいに繋がっています。

またETIC.の場合は、年々さまざまなプログラムが始まるなど、変化も多く、多くの刺激的な方々に、日常的に出会えることもやりがいの一つですね。

フルスロットルで走る組織だからこそ、心掛けること

荘司:色々な経験が積めることは、非常に魅力的ですね!日々働かれてる上で、大事にされていることはありますか?

野村:常に余裕を持つようにしています。もしかしたら良くない印象を持たれるかもしれませんが、常に100%を出し切っていると、万一トラブルや緊急事態が起きた際に対応できません。またバックオフィス担当の人数も少なく、私しかできない業務もあるので、何かあった際に最悪の事態に陥らない程度の余力は残すように心掛けています。

また無理をし過ぎると、それが間違いの原因にもなります。財務など絶対にミスの許されない仕事もありますので、常に余裕を持つよう心掛けています。

荘司:フルスロットルで活動されているイメージのあるETIC.だからこそ、野村さんのような立場の方が重要な気がします。入職から10年を経て、今後やっていきたいことはありますか?

野村:入職した当初は予算が1億円前後、スタッフ10人以下の組織でしたが、いまでは予算10億円前後、スタッフ40人へと、組織が大きく拡大してきました。

組織の拡大が自分自身の成長に繋がっている感じるとともに、内部統制や社内ルール整備等を必要性を感じています。属人的になっている一部業務も改善していきたいですね。まだまだ10億円規模のNPOも少数なので、日々模索しながら、他の団体の一つのモデルケースなれるよう頑張っていきます。

荘司:本日は貴重なお話ありがとうございました。

インタビューを終えて

NPOの活動では、やはり社会課題解決の現場に注目されがちですが、それらの活動を影で支える、「NPOのバックオフィス業務」にスポットライトを当てた、珍しいインタビューでした。

特に"機会の希少価値"が高い選択肢を選ぶ、というお話が非常に印象的で、多くの方のキャリア選択の参考になる言葉だと思います。小さい組織だからこそ、様々なバックオフィス業務を担当でき、それが確固たる専門性につながっていく。今後のソーシャルセクターの発展には、野村さんのような組織の屋台骨を支える方が、必要不可欠だと強く感じました。

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この記事を書いたユーザー

荘司 和宏

荘司 和宏

1989年生まれ、神奈川県横浜市出身。2012年慶應大学卒業後、現在はIT企業勤務。ブログ「ぼくなに日記」(http://bokunani.com/)を運営中。

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