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人材支援で育てた東北の「芽」を、世界とつなぐ!ap bankの復興活動

2013.07.09 

東日本大震災をきっかけに、”ap bank Fund for Japan”を立ち上げたap bank。ETIC.と協働して実施している「ap bank×ETIC.右腕派遣プログラム」をはじめ、ボランティアや、デザイナーなどの専門家を東北へ派遣し、人材による支援事業を行っています。今回は、東北復興支援担当である江良慶介さんに、事業の面白さや、何を大事にして働いているかについてお話を伺いました。

■東北にある可能性の「種」を、人材を通して育てていく

田村:まず、人材支援事業の概要についてお話いただけますか。 江良:ap bankでは、東日本大震災をきっかけに、"ap bank Fund for Japan"を立ち上げ、復興支援活動を実施してきました。そして震災3年目に入ろうとしている今年の2月に、復興にはまだまだ多くの人の力が必要であるということで、新たに「人材支援事業」を立ち上げたんです。ボランティア派遣、右腕派遣、専門家派遣の3つから成り立っていて、全部あわせて30件ほどの団体に人材を派遣してサポートしています。 田村:ETIC.や他の団体でも人材支援を行っているところはあると思いますが、ap bankさんならではの特徴って、どういうところにあるのでしょう。 江良:ap bankの「ap」って何かというと、「artist power」「alternative power」の略なんですよ。僕たちのやっている人材支援は、現地にあるプロジェクトが種だとすると、そこから芽をだすために人を入れていくということだと思うんです。しかし、厳しい環境下では芽が十分に育たない可能性があるので、持続可能なモデルにしていくために幹を太くしていくことが必要になってくる。そのために、多面的にボランティアや右腕、専門家を派遣しています。そしてこれからは、アーティストを東北にいれていくというのをやっていこうと思うんです。 田村:とても面白そうですし、ap bankさんならではの事業の形ですね。 江良:最終的には、東北で芽が出たものを、世界と繋いでいかないといけないと思っているんです。いいプロジェクトが、被災地支援に取り組む人たちの中だけでのみ知られているというのは、もったいない。東京や大阪、海外にも繋げていくことが、自分たちの役割としてあると思っています。その時に、音楽やアーティストの力を活かしたいんです。

■道なき道を切り開いていく、チャレンジャーとの出会い

田村:実際の仕事についてお聞かせいただきたいんですが、東北へはどれくらい足を運んでいますか。 江良:仕事のうち半分は、東北へ行っているような感じです。たとえば6月は、11日ほど東北へ行きました。ボランティアを派遣している団体を回ったり、東北でのイベントの打ち合わせや調整などを行っています。 田村:人材支援を担当していて、どこにやりがいを感じますか? 江良: 「役にたって嬉しかった」ってことはもちろんありますが、それ以前に人との出会いが面白いですね。ボランティアも、右腕で入る人も、現地で会うリーダーも、あまり東京にいないような人たちだなって思うんです。決まったレールの中で「まあこんなもんでしょ」みたいな感じじゃなくて、一般的なキャリアパスから踏み出して、道なき道を自分で触って感じてという積み重ねをしている人たちなんです。そういう人たちと会って仕事をするということが、ぐっと来るポイントです。そういう人たちを繋いでいく、自分の力でチャレンジしていく人たちといっぱい出会える仕事というのは、幸せだなと思います。まだこの事業を始めてから数ヶ月で、そんなにわかりやすい成果が出ているわけではないですが、人が絶対的に足りていない中で、こつこつと頑張っている人たちがいる。ひと月、ふた月と少しずつ形になっているんです。 田村:関わる人たちが魅力的というのは、今の仕事の面白さだなあと私も思います。逆に、中間的に支援をする中での難しさはどんなものがありますか。 江良:どこまでが支援で、何をやるべきで、地元の人との関係性はどうしていくかについては、考えます。震災当初は支援する人・される人という区別があったと思いますが、今はちょっと違いますよね。僕たちもやりたくて、地元の人たちもやりたいこと。対等なパートナーになれるということ。そういったことを大切にしています。あとは、時間をかけて丁寧に中に入っていくのも大事である一方で、外の人間だからできることをしていく、ということも大事。そういうバランスが難しいなって思います。

■「自分が本当にやりたいと思えるか、楽しめるか」を大切にする

田村:江良さんご自身が働く上で大切に考えていることは何がありますか? 江良:「僕がやりたいと思えるか、楽しくやれる仕事かどうか」ってことですね。東北を支援したいという想いはもちろんベースにあるんですけど、本当に自分が「やりたい」と思えないと、会社として「やりたい」とはまずなりませんよね。会社としておもいきり支援できなければ、現地の団体とパートナーにもなれません。本気でできるかで、まず自分の立ち位置ややれることが決まってくる。本当にやりたいと思わなければ、結果が出てこない。 田村:自分が心からやりたいかは、働く上でとても大事ですね。現在、人材支援を担当するスタッフを募集中ですが、職場の雰囲気はどのような感じなんですか。 江良:仕事のクオリティをすごく重視しますし、厳しい環境です。ap bankの仕事は、新しいことに取り組むケースが多いんですが、そんな中で、チームが求めているクオリティを出せるか。「お客さまの視点を持つ」とか、スタッフが大切にしてい価値観が共有できるようになるまでには、時間がかかるかもしれません。要求のレベルは高いし、心が折れることもあると思います。そこを乗り越えられるかが大事ですね。だからこそ、本当にやりたいことかどうかが問われます。 田村:大変そうですが、やりたいことにぴったりとはまれば、とても面白いんだろうなと思います。この人材支援事業は、いつまで続けようと考えていますか。 江良:今みなさんから預かっているお金がなくなったら終わりにするのかどうかは、まだはっきりと決まってはいません。ただ、芽が育つのには結構時間がかかります。その頃には「復興支援」という形じゃないかもしれないけど、今後10年位を見据えた活動として、現地と関わりを持っていきたいと考えています。 田村:お話を伺い、あらためて魅力的な取り組みだと思いました。ありがとうございました! ■ap bank 人材募集要項ページ ■ap bank 採用説明会を、7/12(金)に行います!

一般社団法人APバンク 東北復興支援担当/江良慶介

1999年慶應義塾大学環境情報学部卒。シスコシステムズ合同会社など外資系IT企業に5年間勤務の後、バックパッカーやフリーターなどを経て、2005年にクルックへ入社。2007年より、インドで農薬被害に苦しむコットン農家のオーガニック農法への移行を支援する「プレオーガニックコットンプログラム(以下POC)」を伊藤忠商事と共同で立ち上げ、現在約60アパレルブランドの協力を得て年間約1,500農家の支援をしている。 また、3.11以降、POCの活動で培った仲間と一緒に、津波により稲作ができなくなった農地にコットンを植え、雇用創出と地域再生を目指す「東北コットンプロジェクト」を発足させ、その事務局代表を務める。2012年3月より、グループ会社であるap bankの復興支援担当を兼務して、今、必要な新たな復興支援プロジェクトを構築中。

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3.11東日本大震災
この記事を書いたユーザー
田村 真菜

田村 真菜

フリーランス/1988年生まれ、国際基督教大学卒。12歳まで義務教育を受けずに育ち、野宿での日本一周等を経験。311後にNPO法人ETIC.に参画し、「みちのく仕事」「DRIVE」の立ち上げや事務局を担当。2015年より独立、現在は狩猟・農山漁村関連のプロマネ兼ボディセラピスト。趣味は、鹿の解体や狩猟と、霊性・シャーマニズムの探究および実践。

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