“新しい働き方”とはなんでしょうか?
この数年、国の後押しなどもあって、”働き方改革”という大きな旗が振られています。人口減少期に入り、生産者人口も減る、しかし社会保障は厚くなっていかざるを得ない段階に入った日本は、働くこと、稼ぐこと、そして自分らしく生きることを本質的に追求していく必要があるのでしょう。
こうした波は、都市圏から地方へも広がってるようです。UIJターンのような都市から地方への労働人口の移動はまだまだ小さな規模ですが、ライフスタイルも含めたその移動は、地方の新たな魅力や資源を再発見・再定義するなど、地方の産業や働きかたにも少なからぬ影響を与えています。
こうした背景を踏まえつつ、中部圏での新しい働き方を仕掛けようという意欲的なイベントが”はたレボ EXPO~99.7%を面白くするシゴト見本市”(主催:中部経済産業局/運営:NPO法人G-net)です。24日には名古屋で、30日には金沢で開催されます。
今回のイベントを企画運営するG-netは、2001年から岐阜県を中心にインターン事業を通して、地方の面白い中小企業の掘り起こしと、そこに若者を送り込み成長を支援してきた団体です。G-netの石田さんの話を通して、地方における新しい働き方の可能性、面白さについて考えてみます。
地域にはおもしろい中小企業がたくさんある
ーまずこのイベントを企画した意図を教えてください。
石田:地方の中小企業の経営者の皆さんにとって、学生が事業の推進役や重要な役割になるなどとはまだ思えなかった時代から、G-netはインターンシップの取組みを続けてきました。正社員採用でも中途採用でもない、学生の長期インターンシップという仕事への関わり方は、今考えると新しい働き方の一つだったと言えます。今回のイベントは地方における”新しい働き方”を拡大しようという意図がありますが、これまでずっと活動してきたことの延長だと言うこともできます。
地方には面白いことを仕掛けている中小企業がたくさんあり、魅力的な経営者がたくさんいるということも、インターンを通じて若者を送り込む先の企業さんとの関係を通して認識していました。今回のイベントにエントリーしてくださっているのも、三重、岐阜、愛知の東海圏で事業を展開している面白い中小企業さんです。みなさん、新しい人材の採択に関心をもって参加してくれています。
ーーー”新しい働き方”というのは具体的にはどんなことなんでしょうか?
石田:転職というのは誰にとっても簡単に決断できるものではないですよね。地域の中小企業についてとなるとさらに情報も少ないですから、いきなりフルタイムで新しい会社に、というのはハードルが高い。というわけで私たちは今回、フルタイムの正社員としての募集という形だけではなく、プロジェクトへのコミットというかたちでの募集や、時間に制限があったり別なことに時間を使いたい人のための時短勤務での募集、そして兼業副業を認めている企業さんの募集などを集めました。こういった多様な働き方、関わり方を増やすことで、若者と企業との接点が増えていくと考えています。
ーーー東京などでも時短勤務、兼業副業OK、フリーランスとしてプロジェクト的に関わる、などの新しい働き方は増えていますし、それに対応する企業さんも増えてきている印象があります。地域でもこういった動きが出てきているという実感はありますか?
石田:そうですね。東海エリアでは、仕掛けているところはまだまだ少ないですが、関心のある中小企業はたくさんあります。今後多くの企業は終身雇用ではなくなっていく。そうなると”二枚目の名刺”やパラレルキャリアを選ぶ人、選ばざるを得ない人が増えていくことになるでしょう。それに対応できる社内制度なども企業側は整えなくてはいけない。逆にそういう人を受け入れることができるようになると、企業もいい人材も取っていけるようになる。そういうことも仕掛ける側の意図としてはあります。
ーーー参加企業さんの顔ぶれを少し紹介していただけますか?
石田:企業さんのリストはウェブサイトを見ていただければと思いますが、いくつか紹介させていただくと…(企業名は敬称略)
・「刃物の町」である岐阜県関市のニッケン刃物株式会社。最近の話題では日本刀のカタチをしたハサミという商品がヒットしているメーカーさんです。今回の募集は新商品の海外への販路開拓プロジェクト。
・”削ること”のプロフェッショナルである三重の株式会社中村製作所の、チタン印鑑のブランド構築プロジェクト。
・入浴剤の開発からお風呂屋さんのコンサルまでしている株式会社日本温浴研究所。お風呂屋さんを地域のコミュティ拠点にするためのブランディング構築案件。
・郡上エネルギー株式会社の、自然資源を活かした地域内エネルギー循環という、都会では成立しないプロジェクトの募集。
などが参加してくださっています。どれも案件としても面白いものですし、働き方についてもバリエーションがあります。
ーーー分科会も行われるようですが、どんな内容になっていますか?
石田:新しい働き方に一歩踏み出してないけど興味ある人、そのための分科会です。一つ目は、「”my work design” ~ゲストに聞く、働き方の設計図とは~プロジェクトベースでこれから働き方を考える編」と題した分科会です。
ゲストは会社員として、フリーランスとして、会社の代表として、様々な働き方をしながら、東京と岐阜の二拠点居住をしてきた合同会社プロトビ・TILEmade代表の玉川幸枝さんと、「名古屋を盛り上げる」をモットーにキャリアを考えるイベントなどを企画運営しているNagoya☓Foreverのお二方。肩書を自由に変えて働いてきた先駆者のお話を伺います。
二つ目は、「自分の「働く」価値観を知る ―働き方をデザインする前にできること―2枚目の名刺を持つから始める編」と題した分科会。
ゲストは東海地方初のNPOバンクであるコミュニティ・ユース・バンク momoの小池さん。プロボノというかたちで今までとは違うキャリアをはじめよう、というお話になります。
——どちらの分科会も、”新しい働き方”に焦点を置いたものになっていますね。
石田:はい。はい。先日林業の六次化に取り組む企業さんの採用をお手伝いしたのですが、ひとりは時短勤務で週四日のWeb広報担当者。もうひとりは趣味がスノーボードで将来は自分のボードを自分で作りたい、だからその企業さんに関心を持ったという方で、週三日勤務での勤務でした。どちらもお互いに求めるところが一致した雇用のカタチになっていますが、こうした新しい働き方が、今後も増えていくと思っています。今回のイベントを通じてこうした働き方に少しでも触れてみてもらえたら嬉しいですね。
働く場所は中部圏ですが、中部圏以外の方の、U/I/Jターンという形での参画ももちろん歓迎しています。会場でお会いできるのを楽しみにしています!
(*本記事はPR記事として取材作成しています)
(*2017年9月26日更新:タイトルと文中の、"東海圏"を"中部圏"に修正しました)
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