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未来をつくる子どもたちに新しい価値観と多様な選択肢を届ける、キャリア教育コーディネーターという仕事

2018.01.04 581view 

皆さんは、近所の学校で子どもたちがどのような教育を受けているかご存知ですか?2020年に改訂される学習指導要領 では、地域社会とのつながりを重視する「社会に開かれた教育」が学校教育の中核の1つとして位置付けられます。未来をつくる子どもたちが、社会や世界に関心を持ち自らの人生を切り拓いていく力を育むために、社会や世界の状況を幅広く視野に入れること、地域の人的・物的資源を活用する必要性について明記されています。

子どもたちは、わたしたちの未来を創る大切な社会の財産です。学校の先生だから・親だから、という理由だけではなく、子どもたちの学びの機会をより豊かにするために、様々な人たちがちょっとずつできることを通して教育に関わる「学びの共同体」を創る必要性が高まっています。そのために、NPO法人アスクネット(以下アスクネット)では「キャリア教育」という切り口と、地域と学校をつなぐ「コーディネーター」という役割を通して地域の教育力を向上させる取り組みを行っています。現在、愛知県名古屋市に拠点を置くアスクネットでは地域社会の未来を変えるキャリア教育コーディネーターを募集中!今回は代表理事の白上昌子さん(以下白上さん)、理事の山本和男さん(以下山本さん)にお話を伺いました。

>募集の詳細はこちら「子どもたちを中心に「出会い×挑戦の場」を提供し、教育から、社会を変える。

「ホンモノ」に触れる体験。リアルな大人との触れ合いを通じた学びとは?

「キャリア教育」と一口に言っても、人によって持つイメージは様々。学校と地域とアスクネットの皆さんで作りあげるプログラムでは、実際どのようなことが行われているのでしょうか?

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実際の理科の授業の様子

例えば小学校5年生の理科では、電流の仕組みについて学ぶ授業があります。一般的な授業では、キットについてくる導線を使って電磁石を作り、電流の流れを学んだりエネルギーについての関心を高めていきますが、アスクネットのキャリア教育コーディネーターが学校と地元企業と一緒に作り上げる授業ではよりパワフルな体験を提供します。

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白上さん「私たちが本拠地を構える愛知県は、日本でも有数のものづくり企業が集まる地域です。その内、モーターなどを扱うメーカーでは特許開発した強烈な電磁波を作れる導線を持っていました。その導線を学校にご提供いただき、理科の授業を一緒に作ったことがあります。一般に学校教材として使われる導線と比べて非常に強いパワーを持っているため、モーターがものすごく速く回転するんです。子どもたちは、"すごい!"と非常に驚いて興奮するんですよね。その後、"じゃあこの導線をもっと巻いてみたらどうなるだろう?"、"試しにこういう方法はどうだろう?"とインパクトある本物の体験だからこそ試行錯誤や工夫が続いていきます。小学生の頃の体験は全てが原体験!感性を刺激し、情動を生み出すことを大切にしています。」

小学生から、新しい生き方・働き方のモデルを知る

理事の山本さんが「教育の経験があるとかないとかではなく、むしろ大事なのは"人を育てたい"という気持ちがあるかどうかなんです。」とおっしゃる通り、アスクネットとのプログラムづくりに関わるのは、企業やNPO関係者、アーティストやクリエイター、個人で活動をしている人まで、新しい「先生」になる人は本当に様々な背景を持つ方々です。そこには、子どもたちが普段出会わない大人に出会うという目的に留まらない、これからの時代を見据えた、より長期的な視点での狙いがありました。

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白上さん「大切にしていることは、子どもたちに多様な選択肢を見せて、すべての子どもたちが自分らしいキャリアを自由に描いていくことです。そのためには、従来の常識にとらわれない新しい生き方そのものをモデルとして見せていく必要があると考えています。例えば、小学4年生の社会科の授業でリサイクルや暮らしについて学ぶ単元があり、環境カウンセラーとして活動する市民の方を呼んで講義をしてもらいました。その方は、環境問題に取り組む団体や企業に属しているわけではなく、個人で活動をしている方なんです。興味関心のある分野でも、直接的に企業へ就職する形で関わる以外の選択肢を伝えたいと思って一緒にプログラムを作りました。

企業の方を呼んでキャリアについてお話をしていただく機会もあるのですが、例えば男性が多いと言われているIT業界でも、敢えて女性エンジニアの方をリクエストして講演をしてもらうこともあります。また、一般的に看護師は女性のイメージが未だ強いと思うのですが、男性看護師のいる訪問看護ステーションがあり、高校生以上対象のインターンシップではあえてそういった職場に高校生に飛び込んでもらったりもしています。

実際に働いてみると、力のいるお年寄りを持ち上げる介護の場面ではやっぱり男性が必要だったり、女性と男性のいいところがうまく活かされている職場を体験することで、直接的にダイバーシティを感じてもらえたらなという想いがあります。既存の働き方をポジティブに覆す、パイオニアの組織や大人にどんどん触れさせていきたいんです。これからの社会を担って行く子どもたちは、今ある職業そのものがなくなっていく可能性の高い社会を生きていきます。小さい頃からたくさんの大人のモデルを見ておくことで、”こういう大人になりたい!”という気持ちを少しでも育めればと思っています。」

キャリア教育は次のステージに

アスクネットの設立は1999年。設立当初はキャリア教育という概念も普及していなく、学校にプログラムを提案しても断られる場面も多くあったそうですが、最近では多くの学校が「やらないといけない」という意識に変わってきたとのことです。それに伴い、学校だけで企画から講師派遣の調整までできるというケースも増えてきているそう。アスクネットの皆さんに、今改めて「キャリア教育とは何か?」についてお話を伺いました。

白上さん「キャリア教育は、生き方教育ともいわれるように小中高校の間だけ必要なものではなく、死ぬまで必要なものなんです。究極的には、"死をどのように選択するか"を考えることにつながるとも思うんですよね。つまり、人生におけるターニングポイントで選択を迫られた時、自分らしく生きるためにどんな選択をするのか?ということを考えるための体験が必要です。そのためには、本物に触れること、たくさんの人生に触れていくこと、さらに、日常とは違う世界へ飛び込んでいくことが大切なのではないかと思っています。

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授業の様子

子どもたちには、何層にも積み重なっているはずの自分自身の内側の気持ちや考えを感じ取る経験が足りないのではないか、と感じます。なので、進路や職業選択などいざ人生の選択を迫られた時に、自分が乗り越えられるかもわからないし、手応えもないから不安、という子どもたちと多く出会います。小さい頃から多様な生き方のモデルに触れたり、そこから自分の感覚を見つける経験が足りていないのではないかと思います。"生きていくってこういうことなんだ!"を肌で感じながら、自分の足りない部分に気づいて欲しいなと思っています。

わたしたちの活動は、学校と連携して良い授業づくりをすることだけが目的ではありません。より良いキャリア教育とは何か?ということを考えた時に、講師と子どもたちが共通の何かを持っていることがポイントの一つなのではないかと思います。一番有効な共通点は、大人と子どもが同じ地域にいること。子どもたちと同じ地域に住んだり働いている思いをもった大人と出会わせることで、子どもたちはより親近感を持って大人に触れられ、自分ごととして生き方のモデルを捉えることができるんじゃないかと思うんです。わたしたちがやりたいことは、地域の大人ができることをちょっとずつ持ち寄り、地域の子どもの"見守り人"が増えていく循環を作りだすことで、学びの共同体を作ることです。子どものためだけではなく、最終的には大人にとっても良い学びの場や共生の場としての"地域"ができるのではないかと考えています。」

学校と社会をつなぐコーディネーター="地域の耕し人"の役割とは?

地域ならではのリソースを発掘し、リアルな大人の生き方や働き方を、子どもたちの「体験」として昇華させていくには間をつなぐコーディネーターの存在が非常に重要です。アスクネットのキャリア教育コーディネーターの皆さんは、実際にどのようにプログラムづくりを行なっているのでしょうか?

白上さん「世の中は国語や算数などの教科で区切られた社会ではないですが、学校は教科で区切られた世界です。キャリア教育コーディネーターの大切な仕事は、まず実際の世の中を教科に置き換えた時、"ここは理科につながる"、"国語につながる"、と変換することです。最近では学校が独自でキャリア教育を実施していますから、学校だけではやれないところを上手に役割分担して、さらにパワーアップさせデザインしていく必要があります。例えばある教科のカリキュラムに年間35時間という枠組みがあるならば、どの単元のどのタイミングで、どのくらいの時間でキャリア教育を実施できるか学校に提案することもキャリア教育コーディネーターの重要な仕事です。そのためには、"こう考えれば理科の学びにもつながりますね”、など実社会を学校の言語に翻訳し、共通言語で先生と会話できる力も必要になってきます。

ある1つの教科における新しい視点でのキャリア教育の提案も重要ですが、学びが分断しないよう、できるだけ教科横断的に学び全体をデザインする"カリキュラムマネジメント"の力も同時に必要です。全てが1本に繋がり、体験が経験に深まり、記憶が身体化することを狙いながら上手に学校へ仕掛けていくことが良いプログラムに繋がります。

わたしたちには、"各地域のリソースを活用する"ことで学びの共同体を作り上げたいという意識が第一にあるので、プログラムは基本的にオーダーメイドです。プログラムを作る上でのメソッドや手法もあまりないですね。ある地域を見たときに、"人口減少"や"担い手不足"や"少子化"など大きく一般的な社会課題の枠で捉えることもできますが、解像度を高く見ていけば、裏に潜む根本的な問題は地域ごとに様々なんです。1つ1つ地域の課題やニーズを紐解き、解決の糸口を見つけながら様々な地域リソースを巻き込んでいくことがキャリア教育コーディネーターの仕事です。」

教育と福祉の融合へ〜2022年までのビジョン〜

設立して15年以上経つアスクネットは、愛知県内の200以上の小中学校と、ほぼ全ての県立高校と連携することで、年間1500名以上の高校生がインターンシップなどに参加するなど長い歴史と実績があります。これまで「教育」「地域」の領域において活動をしてきたアスクネットでは、3年ほど前から「福祉」の領域とも連携した取り組みを始めたそうです。

白上さん「今、全国的にも子どもの貧困というテーマに注目が集まっていますが、愛知県でも教育をベースに活動を続けているうちに、貧困の問題は非常に根が深いということに改めて気づかされました。これは福祉の領域だけで解決できる問題ではありません。本当の意味で"全ての"子どもたちにより良い体験を届けていくには、様々な領域で考えていく必要がある問題だと強く感じました。

貧困の問題はしばらく続くでしょう。だからこそこれまで教育の分野で活動を続けてきたわたしたちももっと目を向けるべき問題であると考え、福祉の領域とも連携した取り組みをスタートしました。現在、愛知県の子ども青少年局と健康福祉局が県内27事業者による143箇所での学習支援を推進しているのですが、その取りまとめをアスクネットも参画しているコンソーシアムが行なっています。勉強ができるようになったことで学校にいくハードルが下がった子どもや、学習支援の場で学校ではできなかった友達ができるようになった子どももいます。

アスクネットさんの授業の様子

授業の様子

また、県内3自治体を拠点とし、行政のどの部署と連携するとどういった相乗効果が生まれやすいのか?ということについて実証事業も進めています。例えば、生涯学習に関する部署であれば公民館や図書館という地域の拠点と連携しやすくなります。福祉に関する部署であれば、ケースワーカーとの連携がしやすくなり、福祉的ケアが必要な子どもたちや生活保護家庭へのアプローチがしやすくなります。各々の価値や効果、課題を検証しながら、領域や行政の部署によって切り分けられている問題をつなげていきたいと考えています。子どもという存在をホリスティックに捉え、地域で見守られる存在にしていきたいのです。こういった地域という大地を耕していくことも、私たちにとって大切な仕事だと思っています。」

県内140箇所以上での学習支援の場を支援する面的な広がりを持つ活動と、より大きなインパクトを創造するための手段を構築・検証する実証事業の両面で活動を推進するアスクネットのみなさん。幅広い活動を続けていると、子ども側の様々なポジティブな変容だけではなく、大人側にも大きな変化が生まれることも珍しくないそうです。

白上さん「子どもを対象にした活動を通じて、地域の大人たちにも元気を与えているなと感じるケースがあります。学習支援の場が始まったことで、自分たちの住んでいる地域にも貧困の問題があることを目の当たりにした大人のみなさんが、独自に子ども食堂を作ったのです。この広がりは非常に嬉しいなと思いました。まず"知る"ことで個人が変わり、そのような個人が増えていくことでアクションが生まれ、最終的に地域が変わっていく、そんな流れをもっと作り出したいですね。子どもと大人が自然に創発的に学び合うことのできるコミュニティを作っていきたいですね。

愛知県はこれまで自動車産業に支えられてきた地域です。エンジンのない車、自動運転の車が普及したとき、どのような産業構造になり、それが私たちの住む地域にどんな影響をもたらしていくのか、誰にも確実なことは言えませんが、変容が求められていることは事実です。今まで通りのやり方では通用しません。お互いにできることを少しずつ持ち寄り、課題に向き合い、正解はないかもしれないけれどみんなで"納得解"を見つけていくことが大事だなと強く感じます。いくらテクノロジーが発達しても、生身の人間にしかできない感性があるとわたしは信じています。地域の価値を見出し、地域の人に喜びや嬉しさを見出してもらうことを促す、人間だからできるコーディネートを続けていきたいと思っています。」

アスクネットの中期ビジョンは「2022年までに主体的な18歳を社会に送り出す仕組みづくりとその実現に向けた活動をする」

選挙権を持ち、高校を卒業する人生のターニングポイントである18歳になったときに、主体的に自分らしく進路選択をできる子どもを増やしたい、そんな願いが込められています。授業などの教育プログラムを作るだけではなく、福祉の領域に活動を広げ、行政との連携をさらに深め、キャリア教育を軸にどんどん進化を遂げていくアスクネット。キャリア教育コーディネーターとして働くことにご興味を持たれた方は、ぜひ募集の詳細をご覧ください!

>募集の詳細はこちら「子どもたちを中心に「出会い×挑戦の場」を提供し、教育から、社会を変える。

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