※取材は3月上旬に行ったものです。現在、学習支援塾ビーンズでは対面でのサービスを停止させていただいております。
小学校高学年から浪人生までが通う塾
一言で表すなら、子どもたちの視野が広がるきっかけの生まれる場所。子どもたちと大学生、社会人とを学習や様々なイベントを通してつなげながら、子どもたちの悩みや「やりたいこと」に寄り添うなど、常識にとらわれない塾の形をつくる。それが学習支援塾ビーンズ(運営アップシードビーンズ株式会社)です。
2015年に学習支援塾「ビーンズ」をスタート。学校に長い間行っていない、勉強に苦手意識をもっている、発達に特性をもつなどの子どもたちを対象に、「学び治しの授業」を行っています。生徒数は約40名。小学校高学年から中学生、高校生、浪人生など幅広い年齢層が集まり、マンツーマン授業を中心に、ときに集団授業で肩を並べて勉強し、ときに生徒主催のイベント企画などで盛り上がります。
今回、そんなビーンズで働くスタッフが大切にしていることや業務内容を取材。東京・新宿区にある学習支援塾ビーンズにお邪魔してお話を伺いました。
外観は、おしゃれな雑貨屋のような雰囲気のビーンズ。目印は、白い枠のドアと、鮮やかな緑をバックに白で「BEANs」と書かれた看板。壁には、代表取締役・塚﨑康弘さんの私物だというオレンジ色の自転車が立てかけられています。
>>アップシードビーンズでは塾教務スタッフの方を募集中です!
http://xs737720.xsrv.jp/career/job/25964
科目勉強だけではない、社会を知る場にしたい
今回、インタビューにご協力いただいたのは、代表取締役の塚﨑さんとと講師兼インターンリーダーの長澤さん、教務主任の加々見さんです。
左から代表取締役の塚﨑さん、長澤さん、加々見さん
インタビューではまず、塚﨑さんに「子どもたちにどのような場所を提供したいと思い、ビーンズを始めたのか」をお聞きしました。すると、ビーンズの存在意義として「子どもたちがいろいろな大人との出会いを得られること」があると分かりました。
「普段の生活では、子どもたちは社会を知る機会をなかなか持つことができません。それなのに、受験スケジュールに合わせて進路を決めることが求められている。それはどんな子にとっても大変なことだと思うんです。ビーンズでは、子どもたちにとってリラックスできる場でありたいと思っています。ゆったりとした雰囲気の中で、いろんな大人たちと出会うことで、無理なく社会に触れて、何かのきっかけにしてもらえたらと思っています」
境目のないワンフロアに4つのテーブルとこたつが置かれたビーンズ。ここでは、大人同士の話し合いも、子どもたちが勉強をするそばで行われます。方針を決める会議や経営に関する会議、さらに融資の話も、子どもたちも過ごすフロア内でするなど、とてもオープンなのです。(各ご家庭、お子様の個人情報やプライバシーに関する話題については、職員間で厳密に取り扱います)
「経営会議などの教務間ミーティングも子どもたちがいる場で行っています。『仕事をする』ということに興味を持っている生徒は多く、特に経営に関しては関心がある生徒が多いみたいです」と塚﨑さんは話します。
ビーンズの大きな特徴は、子どもたちがチームを組んで、企画を立ち上げ、実践していく「居場所」を提供していること。生徒たちでオリジナル新聞を作ったり、修学旅行を企画したり、教務スタッフがアドバイスをしながらそれぞれの企画を進めていきます。
進行中の企画が一目でわかる一覧表。子どもたちが自主的にやりたいことを尊重している
ビーンズ新聞の創刊号
「もともとは僕自身が子どもたちと一緒に楽しいことをやりたいなと思って昨年始めました。生徒たちにとって『同世代の子どもたちと共同作業をして、成功する』という経験は、彼らの自信につながります。この『居場所』を実施してから、塾に来る回数が増え、前向きになっていく生徒たちを目の当たりにしてきました。
また『居場所』での活動や成功を軸に進路を考えるきっかけを得た生徒もいます。直接的に進路を考える時間を持つ、勉強する時間を持つよりも、生徒によっては効用があると、僕自身、学んでいるところです」と塚﨑さんは話します。
タイムスケジュールと、ビーンズの教務として「うれしいこと」
教務主任の加々見さんは、大手の教育出版社と個別指導塾を経て、2017年8月にビーンズに入社しました。「人の弱いところもより理解したい」との思いが、ビーンズのビジョンと重なり、入社を決めたそうです。
現在は、塾の運営全般を担当、主に生徒やアルバイト講師のスケジュール管理、学習指導などを行っています。
そんな加々見さんのある日のスケジュールを教えていただきました。
出社後、まずするのが教室の清掃。生徒が自ら手伝ってくれる場合もあるそうです。
ビーンズの授業は、1日を通して5コマ入るように時間割が構成されています。講師は子どもたちのペースに合わせて授業を進めます。目的は、受験勉強、進学相談などさまざま。「この子にはこの方法で」といったマニュアルも特になく、個別指導、集団授業など状況をみながら臨機応変にやり方を変えていきます。
加々見さんは、昼食は外食が多いとのこと。「ビーンズは、人とつながり合うことを大事にしている空間なので、一人の時間を大切にしたい休憩中は外に出るようにしています 」
お休みは週休2日制で、現在、木曜日と日曜日を定休日にされているそうです。
この日は、17時50分からボドゲ部での活動。子どもたちと一緒にボードゲームを楽しみました。その後、19時30分に退勤です。
※4/1の活動は新型コロナウイルス感染防止のため、中止となりました
子どもたちの学習指導者としてうれしいことを聞いてみると、こんなふうに答えてくださいました。
「体験入学などでビーンズに来てくれた子たちと、好きなことの話をした後、その子が、『行きたい』と言ってくれた時が一番うれしいですね。『行かなければいけない』ではなく、『行きたい』から行く。授業がなくても子どもたちがビーンズへ来てくれるのもうれしいです」
「やりがいはどんな時に感じますか?」との質問には、次のように答えてくださいました。
「小さな組織なので、自分がやったことの成果がダイレクトにわかることです。プレッシャーでもあるけれど、やりがいを感じますね。またビーンズには、立場に関係なくディスカッションできる環境があります。教育は正解のない世界。みんなで考えるんです」
入り口そばには「くじびき」と書かれた箱が。大人と子どもが同じ場を楽しめるユニークなしかけがあるのもビーンズの特徴
ビーンズのビジョンは、「キミのやりたいことを見つけて、キミの未来を『カタチ』にする」こと。教育に正解はないですが、ビジョンを実現するために、メンバーで共有している価値観がありました。
大切なのは、人と人との深いつながり
「子どもたちにビーンズが提供したい環境として、すべての根っこになると考えていることは、人との深いつながりです」と、代表の塚﨑さん。続けて「最初は子どもとの1対1のコミュニケーションで、子どもから信頼を得られるようにします。少しずつでも、子どもが『この先生だったら話をしてもいいかな』と思ってもらえるように」と話してくれました。
講師の長澤さんが続けます。
「僕は生徒と対等でいたいといつも思っているのですが、生徒からすると僕は大学生だし、歳も少し上。
生徒から対等と思ってもらうために一番手っ取り早いのは生徒たちを頼ること。たとえば僕は授業や企画のアイデアに煮詰まった時、生徒に話を聞いてもらったり、アドバイスをもらいます。掛け値なしに本当に助かっています。こちらがお世辞を言っていないことは生徒側も気づきますから、生徒も嬉しいし、自信にもつながります。最初は僕のことを手伝ってもらうだけですが、その内、生徒自身で何かをしたいという気持ちが芽生えてきます」
塚﨑さんは言います。
「今、目の前の大人が自分にアドバイスを求めてきていても、それが教育的な行為なのか、それとも本当に自分のスキルや知識が求められているのかは、子どもに伝わります。後者だったら子どももうれしいですよね。
子どもからもらったアドバイス内容が自分の知らないことだった場合、僕は正直に驚きますし、子どもへ教えを請います。とにかくすぐにフィードバックすることを心がけています。時間はかかるかもしれませんが、子どもと丁寧な対話を繰り返すことで、結果的に子どもが一人で物事を進められるようになる自信と行動力を得ることに繋がっていくと思います」
最初は、講師と子どもの1対1のコミュニケーションで始まる信頼関係づくりも次第に他の塾生同士にも広がっていき、ビーンズ内ではいろいろな話が繰り広げられるそう。ビーンズでは、塾生同士で進路を語り合う場をつくるなどして、子どもたちが不安や迷いなどの気持ちも言語化できるようサポートしています。
では、子どもたちが講師や他の塾生たちと信頼関係を築き、物事を一人で進められるようになった後、子どもと講師の関係はどのように変化するのでしょうか?塚﨑さんはこう教えてくれました。
「受験は時期が決まっているので、もちろん応援したり、スケジュールを作ったりもありますが、成長には失敗経験も必要だと思っています。たとえば、何かの締切に間に合わないと、子どもたちが感じたとします。そこで僕たちが大事にしているのは、むやみに締切へ向けて子どものお尻を叩くのではなく、締切り日の2日後に、子どもから『どうしよう』と泣きついてくれる関係をつくることです。
その日のために僕たちがすることは情報収集。『こういう方法があるよ』『大丈夫だよ』と次の選択肢を提示できるように、こっそり準備しておきます」
もし人間が計画を完璧に遂行できるのであれば、この世に虫歯もダイエットのリバウンドも存在しません。大人でもできないことを子どもに求めて責めるのではなく、失敗から子ども自身が学べるようサポートしています。
「よくスタッフに言うのは、『子どもにとって継ぎ目のないスロープを作ろう』ということです。気づいたら自分がゆるやかに変化していた、振り返ったら結構昇っていたと、子ども自身がそう思えるようなしくみを塾内につくりたいと思っています」
課題、そしてこれからについてこう語ってくださった塚﨑さん。塾を立ち上げてから5年経ち、勉強を通して、子どもにとって安心感のある大人との関わりや、将来をポジティブに考えられる場場が、ビーンズには実現されています。
その背景には、まず大人同士の信頼関係があり、大人側の綿密な準備があり、そして子どもと接する時は「大人ぶらずに、力を抜く姿勢」があるのだと分かりました。そして、そのような「子どもたち同士やスタッフとの関係性をつなぐ丁寧さ」があるからこそ、今のビーンズはあるのだと感じた取材でした。
最後に、「新型コロナウイルスの影響で、通塾や子どもたちが集まる企画が難しくなりませんか?」と伺ったところ、既にオンライン上で大人も子どもも集まり、つながれる仕掛けを用意しつつあるとのこと。詳細は追って発表とのことですが、「緊急事態を楽しもう」を合言葉に、通塾ではできなかった面白い取り組みを進めていくそうです。
塾の粋を超えた一つひとつのチャレンジを重ねる学習支援塾ビーンズをこれからも応援しています!
※こちらの記事は、2020年3月中に取材したものです。
学習支援塾ビーンズで働きたい人、募集!
学習支援塾ビーンズ(運営アップシードビーンズ株式会社)では、代表の塚﨑さん、長澤さん、加々見さんと一緒に働く教務スタッフを募集しています。子どもととことん向き合いながら自然な成長に寄り添い、大人自身も大きな学びを得られるこの仕事にご関心ある方、ぜひご応募ください!
<アップシードビーンズ株式会社 募集概要>
- 募集ポジション
教務スタッフ
- 雇用形態
正社員
- 給与
月給210,000〜250,000円
(フルタイムの場合)
- 勤務地
東京都新宿区新小川町5-22 マンション豊友 1F
(最寄り駅:飯田橋駅)
- 応募資格
・25歳~40歳くらいまで
(年齢よりも塾雰囲気との相性を重視します)
・3年以上の長期間にわたって勤務できる方
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