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地域の未来をつくるキャリアへ。自分を変える一歩を踏み出す〜「共創型観光産業展開プログラム」参加者・松田悠さんインタビュー

2020.07.27 

1枚目(サムネイル画像)

 

キャリアを積む中で、自分を変えたいとき、あなたならどのような決断をしますか?

 

様々な選択肢がある中で、「地域」というキーワードを思い浮かべた方もいるのではないでしょうか。地域への移住、二拠点生活や多拠点生活、都市部に住みながら地域で副業など。「地域」という言葉ひとつとっても、多種多様です。

 

そんな中、「大学の客員研究員として専門教員の指導を受けながら、地域企業で課題解決にチャレンジするという選択肢」を選び、新しいキャリアを切り拓いた方がいます。

 

今回は、金沢大学など5機関共同で実施した「共創型観光産業展開プログラム」に、2019年10月〜2020年3月の6ヶ月間参加し、自分を変える一歩を踏み出した松田悠(まつだはるか)さんにインタビューを実施。プログラム参加を通じて、どのように自分を変化させていったのか。松田さんの“想い”に焦点を当てながら語っていただきました。

 

また、松田さんの受入企業の代表・小西さんと、現地コーディネーター・田中さんにも同席いただき、あわせてお話をお伺いしました。

 

 

「共創型観光産業展開プログラム」の2020年度版「共創型企業・人材展開プログラム」現在募集中。詳細はこちらから。【締切:8月10日(月・祝)】

>> http://ikoc.net/kyoso_kanazawa/

 

 

(※本記事は、共創型企業・人材展開プログラム事務局の依頼により作成されました)

 

 

■共創型観光産業展開プログラムとは:

観光産業に焦点を当てて、首都圏の中核人材を地域企業にマッチングし、定着を図る事業です。

 

北陸・金沢は観光のポテンシャルが高く、観光産業の持続的な発展が求められています。マッチングされた中核人材は、当初6ヶ月間、観光関連事業者の課題解決に従事しつつ、観光ビジネスに関するリカレント教育を受けて、能力向上を図ります。中核人材は、金沢大学の客員研究員として、専門教員の指導を受けながら、地域観光産業の課題解決と高度化プロセスの研究に携わります。

 

大学の教育・研究力、人材仲介機関のコーディネート、地域の自治体・金融機関のサポート、中核人材の専門性、観光関連事業者の経営戦略が一体となった「共創」こそが本事業の特徴です。この事業を通じて、地域観光産業が共創的に発展する新しいモデルを創出し、全国に普及することを目指します。

 

WEBより抜粋

 

■松田さんに期待されたミッション:

「ICTを活用した 次世代型観光産業創出」

 

地域資源と、豊かな生活資源をもとに、そこに向かうインバウンド需要、外部への商品 流通などの仕組みをICTを用いて実現することにより、新しい時代の生活基盤を地方に 作り上げることを目標に、現地ニーズを拾い上げながら強い収益性と社会性を両立した 事業創出をスピードをもって具現化する。

 

成果報告レポートより抜粋

 

■受入企業・株式会社Asian Bridgeについて:

企画、設計、開発とワンストップの開発体制をもったITソリュー ション事業をコアとしつつ、デジタルグラフィックス、飲食、旅行 といった事業ポートフォリオ、ベンチャーのフットワーク、地方と首都圏の2拠点といった特徴を活かして事業展開を行っている。

 

成果報告レポートより抜粋

 

自分を変えるきっかけとして、一歩を踏み出した

 

――本日はよろしくお願いいたします。まずはじめに「共創型観光産業展開プログラム」にエントリーした経緯をお聞かせください。

 

松田:大学卒業後、民間企業やNPO法人での勤務を経て、企業のCSRのコンサルティングなど、「自分のまちのことを考える人が増えたら」という想いで仕事をしていました。自分自身も目の前の社会課題に対してアクションしようと、「転勤妻のくらししごと支援(*)」も行なっていました。

 

(*)松田さんは、転勤妻のくらししごと支援「転勤ノオト」を立ち上げ、富山県主催とやま起業未来塾で最優秀賞を受賞されています。

 

エントリー当時はちょうど、「自分のビジネスや人生の歩みも考えないといけない」というタイミングでもありました。そんな時、WEBの記事で『共創型観光産業展開プログラム』を知ったんです。人生を見つめ直しながら、同時に生計を立てるためにビジネスもしていかないといけない――このプログラムならそれが実現可能だと思い、自分を変えるきっかけとしてエントリーを決意しました。

 

――プログラムを知った後、すぐにエントリーしたのでしょうか?

 

松田:実は何事もギリギリの性格でして(笑)、エントリー締切日にギリギリ申し込みました。というのも現在の住まいが富山で、プログラム参加が決まった場合、石川に通うことになることがわかっていました。さらに子どもが2人いて、まだ幼いということもありました。そのような暮らしの中、大学や受入企業に迷惑をかけずに、プロジェクトをしっかり遂行できるのかという点で、最後の最後までとても悩みました。

 

――最後、エントリーの決め手は何でしたか?

 

松田:「今のままじゃダメだ」「一歩、歩み始めないと」という想いでした。

 

――受入企業を株式会社AsianBridgeに選んだ理由もお聞かせください。

 

松田:自分のパフォーマンスが発揮できる企業」という観点から2社を選びエントリーしました。最終的に株式会社AsianBridgeを選んだのは、小西社長の会社説明で、「地方をきちんと変えたいんだ」という想いを強く感じだからです。

 

「私は何ができるのか」と、自問自答を繰り返す日々

 

――プログラム参加中の様子は、いかがでしたか?

 

松田:今回同期の研究員が、私含め8名いて、とても濃いメンバーでした。私自身、周りの人から「変わっているね」と普段よく言われるのですが、そんな私からみても、良い意味で「変わっている」メンバーばかりでした(笑)。年齢層も幅広く30代〜60代まで。そんな中、みなさん「一歩、歩もう」と同じ志を持っていて、6ヶ月間一緒に過ごせたのはとても励みになりました。

 

あと、大学のゼミの先生が、担当で一人ついてくださいました。私にとって非常にありがたい存在でした。私に対して、「本当に必要な情報」と「本当に必要な壁打ち」をしてくださいました。出会った最初のタイミングで、「松田さんに必要なのはきっと壁打ちだから、私は壁打ちに徹します」と先生が仰ってくださり、とても心強かったです。

 

――プログラム参加中、どんなことを大切にされていましたか?

 

松田:受入企業がこのプログラムに参加する意味」を常に念頭に置いていました。このプログラムは、私のためだけのものではありません。「受入企業が参加して意味のあるものにするために、どこに注力して、そしてどのようにゴールを迎えるのか」について考え続けていました。

 

私が参加した時、受入企業の株式会社AsianBridgeは、「金沢LAB(石川県金沢市にある、AsianBridgeの拠点)自体を今後どうしていくと良いのか」という壮大な問いに向き合っている最中でした。その中で「私は何ができるのか」と、プログラム期間中、自問自答を繰り返す日々でした。

 

そこでまずは、地方企業のニーズを改めて探ろうとリサーチに注力しました。しかし、リサーチ結果をもとに「実行する」という段階を、プログラムの半年間で行なうということがどうしても難しかったです。つまり言うなれば、「取っ散らかした状態で、私は最後去ってしまうのか」ということを悩んでいました。

 

――最終的には、どういう形で打破したのでしょうか?

 

松田:小西社長と田中さんが、私に一番向き合ってくださいました。「あなたはどうしていきたいのか?」と問い続けてくださり、整理できたと思っています。

 

2枚目

プログラムの様子(リカレント教育の1つ、総合演習。企業課題のアセスメント等を実施)

 

3枚目

プログラムの様子(研究員の課題整理及び発表へ向けてのディスカッション)

 

「地方を変えたい、課題を解決したい」

 

――6ヶ月間のプログラムを終え、結果、どのような現在に至ったのでしょうか?

 

松田:現在、株式会社Asian Bridgeの正社員としてジョインしました。金沢LABのラボ長、そして北陸統括部長として働いています。「地方を変えたい」という強い想いを小西社長から常に感じており、そこに私も一緒に歩めると、「地方が本当に変わるのではないか」と思えたのが入社の理由です。

 

私自身も、「地方を変えたい、課題を解決したい」という想いを強く持ちながら、現在働いています。

 

――具体的にどのようなことをしていらっしゃいますか?

 

松田:弊社として、地方でサービスを作りたいと思っています。受託開発だけでなく、「地方でサービス持つ」ことが大切です。

 

現在「キャリターン」というサービスの準備を進めています。新卒だけでなく中途の方も参加できるプログラムで、中途の方は土日など1泊2日程度、地方企業でインターンシップをするという内容です。地方企業の人手不足解消とともに「インターンシップを経て入社する文化」が根づけばいいなと思っています。LINEで申込み導線も工夫し、それをまず北陸三県で形にしていきたいです。

 

キャリターン

https://careetern.com/

 

また、「NOTOteMA(のとてま)」というECサイトを運営しており、石川県能登の"手間ひま"をかけてつくった温かみのある商品をお届けしてきました。そして今回、新型コロナウイルスの影響を受け、「北陸応援プロジェクト」という企画を立ち上げました。北陸の様々な企業の商品を掲載し、30以上のメディアに取り上げていただきました。直近では、金沢の醸造所とともにビールを作り、そちらも話題になりました。

 

北陸応援プロジェクト(NOTOteMA)

https://nototema.com/user_data/cheering

 

ヒメネコビール

https://himenekobeer.com/

 

地方における「ハブ的なサービス」をきちんと持てる企業になりたいと考えています。今後富山オフィスも構える予定です。地方×ITを戦略的に取り入れながら地方企業とともに歩んでいきたいです。一緒に歩んでくれるメンバーも見つけていきたいと思っています。

 

行動力のある松田さんと一緒に働きながら、「我々は何ができるんだろう」と見直すことができた(株式会社Asian Bridge代表取締役・小西さん)

 

――受入企業側のお話もお伺いできればと思います。まずはじめにプログラムへのエントリー者の中から、松田さんを選んだ理由をお聞かせください。

 

小西:一言でいうと「行動力」です。みなさんいきなり地方に来て、「どう動き、どう結果を出していくといいのか」正直分からないと思います。その中で、もし何も動けなかった場合、ただ時間が過ぎていくだけでプログラムが終わってしまいます。

 

松田さんの経歴を見て、行動力のある方だと思い、直接会ってみました。そして活動的であることが伝わり、一緒にやろうと思いました。

 

――プログラムの6ヶ月間、小西さんにとっていかがでしたか?

 

小西:松田さんと向き合う期間」でした。受け入れ当初からそのような予感はしていました。半年間で成果を出してやりきるというのは、そこに時間を集中して割ける能力がないと難しいと思います。またやるからには、お互い成果を出して良かったと言えないと、イマイチであるとも考えていました。

 

その中で、松田さんを受け入れてから、どう接すると良いのかとても悩みました。「何かを決めて、段取りもした上で、仕事を任せる」というやり方もありますが、「言われたからやる」というのは本人にとって逃げになってしまいます。「本人が納得すること」「自分で決めてやる」ということを大切にしながら、松田さんと一緒に仕事を進めました。

 

――プログラムを終えてみて、どのような収穫がありましたでしょうか?

 

小西:正直、3年間ほどずっと、事業のことで本当に悩んでいました。思いつく限り様々なことにチャレンジしてきました。しかし、ビジネスにならないと継続できませんし、やっている意義がありません。まさにその悩みのど真ん中にいる時に、松田さんがやって来ました。

 

自分の中で手詰まり感がある中、松田さんと一緒に富山や石川を回り、「地方に何があって、我々は何ができるんだろう」「地方は何に困っていて、我々は何ができるんだろう」ということを、視点を変えながら見直すことができました。とても大きな収穫でした。

 

また、基本的に一人で突っ走る性格でもあるため、「どうしたら良いのか」ということを松田さんと一緒に考えられたことも、自分にとって大きかったです。松田さんは尻込みせずどんどん意見を言ってくれる性格で、それもとても良かったです。

 

地域をよく知ることができるプログラム。ぜひ自分を変える一歩を踏み出してみてください!

 

――松田さんが参加された「共創型観光産業展開プログラム」は、今年度は2020年10月〜2021年3月までの6カ月間、「共創型企業・人材展開プログラム」として実施されます。興味関心があったり、エントリーを検討されている読者に向けて、みなさんメッセージをお願いいたします。

 

田中:このプログラム自体が、その名の通り「共創型」です。金沢大学と協同組合全国企業振興センター(アイコック)および株式会社北國銀行が共同で実施します。受け入れ体制もしっかりと整えています。松田さんも仰ってくださったように、同期生が必ずいます。また大学の研究員になりますので、半年間のプログラムを経て修了証書も発行されます。

 

研究費・日常生活支援として月30万円の支給がありますし、さらに例えば、お子さんとご一緒の場合、すぐに保育所に入れるように準備いたします。また住まいについても、半年契約をしなければいけませんので、理解ある不動産会社を紹介いたします。理解ある方々が地域でお待ちしておりますので、安心していただければ幸いです。

 

小西:受入を経験した立場からすると、このプログラムを通じて、外部から「新しい何か」が入ってきますので、必ず「変化のきっかけ」になると思います。また入ってきたから成果が出るというものでもありませんので、「どこまで一緒に走ることができるのか」ということが大切だと考えています。

 

松田:地域のことをよく知れる」プログラムだと思います。実際に参加して感じたことは、「何者かわからない私たちにとって、大学の研究員という肩書きが大事な役割を果たした」ということです。富山でAsian Bridgeの名前がまだ浸透していなかったこともあり、企業と大学との両方の立場があることで、地域の中で動き回りやすかったです。

 

またすでに、私の知り合いから続々と、このプログラムのお問い合わせを個別にいただいています。「このプログラムへの参加を通じて、私が変わった」と感じてもらっているからだと思っています。

 

最初の面接から、最後の出口まで、真摯にサポートしてくださいました。このプログラムは私にとって、とてもありがたい機会になりました。ご興味持った方、ぜひ自分を変える一歩を踏み出してみてください!

 

――みなさん、本日はありがとうございました。

 

「共創型企業・人材展開プログラム」にチャレンジしたい方、募集中!

 

松田さんは、2019年10月〜2020年3月「共創型観光産業展開プログラム」にご参加されていらっしゃいました。

 

今年度は「共創型企業・人材展開プログラム」として、2020年10月〜2021年3月までの6カ月間、金沢大学と協同組合全国企業振興センター(アイコック)および株式会社北國銀行が共同で実施します。

 

応募締切日は、2020年8月10日(月・祝)

 

松田さんのように、地域の未来をつくるキャリアへ、自分を変える一歩を踏み出してみたい方、必見です!

 

共創型企業・人材展開プログラムの詳細はこちらから

>> http://ikoc.net/kyoso_kanazawa/

 

4枚目-2

プログラム運営イメージ《金沢大学プレスリリースより抜粋》

 


 

 

【参考資料】

 

共創型企業・人材展開プログラム

http://ikoc.net/kyoso_kanazawa/

 

金沢大学プレスリリース(共創型企業・人材展開プログラム)

https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp-content/uploads/2020/07/200708.pdf

 

※本記事の掲載情報は、取材を実施した2020年07月20日現在のものです。

株式会社Asian Bridge北陸統括部長/松田悠さん

日本の真ん中を転勤等で1周した転勤経験から、転勤妻のくらししごと支援「転勤ノオト」を立ち上げる。富山県主催とやま起業未来塾で最優秀賞を受賞。その後、記事紹介プログラムで金沢大学客員研究員となり、転勤だけではなく地方の社会課題を全力で解決したいと、ITベンチャー企業『㈱Asian Bridge』へ入社。

株式会社Asian Bridge代表取締役/小西広恭さん

石川県金沢市生まれ。石川高専卒業後に大手電機メーカーシステム開発を経験し、2007年に東京でITソリューションの企画/開発/運用を手掛けるベンチャー『株式会社Asian Bridge』を設立。2017年に地元である石川県にLABを設立。得意とするITを活用し、北陸の企業と共に地方創生に取り組む。

協同組合全国企業振興センター代表理事理事長/田中尚人さん

事業協同組合は営利法人と公益法人の中間に位置付けれれている中間法人です。私共はこの特性を活かして中間法人だからこそ、できる事業展開を進めており、その1つが産学官金連携で行っている共創型企業・人材展開プログラムです。今の時代、協働での事業化がより必要と考え、日々取り組んでいます。2020年6月に協同組合全国企業振興センター(通称:アイコック)代表理事理事長に就任。

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地方創生
この記事を書いたユーザー
Ryota Yasuda

Ryota Yasuda

1989年生まれ。早稲田大学スポーツ科学部卒業。執筆・編集する、アート作品をつくる、ハンドドリップでコーヒーを淹れる、DJする、など。「多趣味多才」をモットーに生きている。2015年よりETIC.参画(〜2023年5月末まで)。DRIVEでの執筆記事一覧 : https://drive.media/search-result?sw=Ryota+Yasuda

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