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「好きなこと」はボランティアで?仕事で?【未来をつくる仕事への転職インタビュー:株式会社クオル】

2020.09.24 

人材不足と言われるシステムエンジニア。エンジニアの経験がある方は引く手あまたで、エンジニアとしての転職先は選択肢にあふれています。今回は、大手IT企業でサーバーサイドエンジニアとして働かれ、ITのスキルを活かしてまちづくりを行う株式会社クオルに転職した平出 将之さん(27)にお話を伺いました。

1.平出様

 

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「好きなこと」へのルートは1つじゃない

 

大手IT企業に勤めながら、まちづくりのボランティアにも関わられていた平出さん。まちづくりのどんなところに惹かれたのでしょうか?

 

「昔から、人の暮らしを考えるのが好きだったんですね。最初のきっかけは、間取りだったと思います。この間取りだとこういう物を置いて、こういう生活ができる、というのを妄想するのが、割と好きだったんですよ。その延長線上で、家の中だけでなく、家や施設が集まるまちそのものに対しても興味を持つようになりました」

 

間取りとまちづくりにはどんな共通点があるのでしょうか。

 

「配置されるものや空間の形で、人の暮らしがつくられるところでしょうか。家の中だったら間取りですけど、まちづくりだったら施設の配置とか、駅や住宅街の場所になりますね。そういった中で、まちでの暮らしぶりに興味を持つようになりました」

 

大学生になると、まちづくりを学ぶゼミに所属。地域の方に話を聞いたり、研究したりする中で、自分の興味をより明確に意識するようになったそう。新卒で大手IT企業に就職した後も、まちづくりのボランティアに参加。仕事では、サーバーの保守運用やプログラム開発などを行っていたと言います。

 

結果的に、平出さんの「ITスキル×まちづくり」の経験がクオルの仕事でも生きているそうなのですが、ここで2つの疑問が湧きます。

 

2.社内WSの様子

社内で行われたワークショップの様子

 

まず1つ目は、新卒で大手IT企業に就職した背景です。興味関心のあった「まちづくり」を本業にする選択肢もあった中で、IT企業を選んだのはなぜでしょうか。

 

「建築科とか、そういう理工系の学部で学んだわけではないので、そういった中でもまちづくりに関われる形ってないかな、と考えていました。

そんな中で、『東京R不動産』というリノベーション物件を扱うウェブサイトを見かけたんです。新しく建物をつくらずとも、今あるものの価値を再発見しWEBを活用してその魅力を伝えることで、まちでの暮らしぶりをつくっており、ITという側面からでもまちづくりにアプローチする方法があるんだと気づきました。それから、IT業界でも求人を探すようになり、不動産系のWEBサービスを取り扱っていた企業に縁あって就職したんです」

 

まちづくりの仕事が出来るのは、まちづくり会社だけではない。ITという側面からも関わることができる。その気づきが平出さんの道を開き、結果、そこで身に着けたITスキルがキャリアの強みになっています。

 

「好きなこと」をボランティアでやるのか、仕事でやるのか。その違いは?

 

疑問2つ目。本業でIT企業に勤めながら、「まちづくり」はボランティアとして続ける道もあったはずです。なぜ転職を志したのでしょうか?

 

「複合的にいろんな要因が重なっています。まず、転職をしたのが社会人3年目だったんですが、『これからどうしようかな、一度他の会社も見てみたいな』と考えていたタイミングでもありました。まちづくり系の求人をネットで探していたら、たまたまDRIVEキャリアでクオルの求人を見かけたんです。そこが、きっかけの一つではありました。

 

他にも、当時担当していた仕事は誰かの役に立っている実感が持ちづらかったりとか、 『大きな会社で働いていたので、次は小さな会社で働いてみたい』と思ったことだったりとか、そういうことも関係していると思います」

 

小さな会社で働いてみたい、と思ったその背景を詳しく聞きたいです。

 

「大きい会社だと自分が担っている業務は一部分です。自分の目の前の仕事は分かっても、仕事全体を俯瞰して業務を進めていく経験がなかったのでトライしてみたいと思いました

 

前職と比べると、社員数は少なくなったと思うのですが、実際クオルに入ってみてどうだったのでしょうか?

 

「大きい会社だと、どうしても業務が縦割りになり、なかなか横の連携(異なる業務をしている部署との連携)が難しいんです。一方、クオルは全社員の顔が見え、すぐそばにいるので連携しやすいです。仕事を進めるスピード感に違いを感じています」

 

3.6月に引っ越した新オフィスにて

オフィスの様子

 

今、平出さんは地域の人たちがコミュニティ施設を運営する際に使うITツールを開発しています。前職のスキルを活かして「まちづくり」に取り組まれているわけですが、仕事として関わるのと、ボランティアで関わるのとでは、どんな違いがあるのでしょうか。

 

「あくまで個人的な意見なんですけど、まちづくりにおいて、営利企業と非営利組織はお互い役割が違うので、両方経験できるのはありがたいな、と思います。

 

営利企業が取り組む場合は、資金力があるので大きなアプローチができます。色々な人の目に触れるような施策がやりやすい。逆に、非営利組織は時間をかけてゆっくりとまちに入っていくことができます。企業が取りこぼしてしまうような小さなことに取り組むことができるので両方大事ですね」

 

4.新旧住民の交流イベント

新旧住民の交流イベント(企画・運営:株式会社クオル)

 

5.屋外でのシアターイベント

屋外でのシアターイベント(企画・運営:株式会社クオル)

 

仕事として関わる方が、責任やできる事がボランティアより広がるのかと思っていましたが、「役割が違う」という平出さんの答えは新鮮でした。営利事業も非営利事業も、どちらもそれぞれの役割がある。両方を経験されている平出さんだからこそ、説得力があります。

 

ITツールでコミュニティ施設の運営を手助けする

 

平出さんが今されているお仕事についても詳しく聞かせてください。

 

「コミュニティ施設の運営をサポートするツール開発に取り組んでいます。地域の人が集まって交流できる場所の必要性は高まってきているんですが、実際に立ち上げようとすると運営面で手間がかかります。まちづくりは、まだまだアナログな世界で非効率なことも多いです。

より多くの人がコミュニティ施設を立ち上げたり、イベントを企画したりしやすい環境をITのツールを使ってサポートするのが今の仕事のミッションです

 

コミュニティ施設を運営しやすくするITツールって例えばどんなものでしょうか?

 

「なかなか一言では言えないんですが、例えば施設でイベントを開催する時に使う申込フォームや参加者管理、施設の予約システム、利用者とのコミュニケーションツールなど多岐に渡ります。PeatixやGoogleフォームなど、既に世に出ている単体のツールはたくさんありますが、コミュニティ施設の運営という視点で見ると意外とパッケージ化されておらず、使い分けが煩雑になっている印象があります」

 

平出さんが担当されているのが、新宿にある『みちくさくらす』というコミュニティ施設です。日々の困りごとを聞いて、システム化できるところを設計、開発されているそう。他のコミュニティ施設でも使えるような汎用的なものに仕上げ、いずれはパッケージ化して配布できるようにするそうです。

 

6.みちくさクラス

新宿区のコミュニティ施設『みちくさくらす』のホームページ

 

自分のスキルや経験とまちづくりが上手くマッチし始めている、そこにやりがいを感じていると言う平出さん。今後の夢や展望はありますか?と聞いてみるとこんな答えが返ってきました。

 

シンプルに『人に求められる人でありたい』とは思いますね。自分で大きなビジョンを描いて先陣切って進めるというよりは、「誰かのために」っていうのが、今のところの自分の軸なのかな、と思います。求められたらそれに応じられる人でありたいと思っています」

 

最後に、自身の転職を振り返って良かったことを平出さんに聞いてみました。

 

転職で、視野がとても広がりました。会社が変わるといろんな視点を知ることができます。一つの企業で働くのもいいですが、別のところに移ることで見えてくるものがあると思うので、1回くらいは転職してもいいんじゃないかな、とは思いますね」

 


 

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乗越 貴子

1982年埼玉県生まれ。早稲田大学卒業後、塾講師、ネットサービスベンチャー企業を経て、NPO法人ETIC.参画。2児の母。志ある人と組織をつなげる求人サイトDRIVEキャリア(http://drive.media/career)で、事務局業務を担当しています。モットーは、「書くことと人をつなげることで、一歩踏み出す勇気を生み出せる人になる」