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組織にとらわれない自立的なキャリア、どうつくる?これからの価値の出し方、働き方が見えてくる記事まとめ

2021.01.19 

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コロナ禍の影響で、「会社に依存せずに自分のキャリアをつくりたい」というムードが高まっています。内閣府の生活意識調査では、20~30代の約6割がコロナ禍で新しいことにチャレンジし、その内容は「ビジネス関係の勉強」が最も高い割合を占めていました。

 

 

コロナ禍を経て、個人のキャリアのつくり方はどう変わるのでしょうか。DRIVEメディアの過去記事を読んでみると、これからの時代の働き方のヒントがありました。

※注:引用した記事に登場する方の肩書や所属は取材当時のものです。現在は異なっている方もいらっしゃいますのでご了承ください。

※2021年1月25日記事の内容を更新しました。

新しい価値を生み出すために大切なこと

 

働くということは、仕事を通じて何らかの価値を出すということ。

 

会社に依存しないキャリアを考えることは、自分がどうやって社会に価値を出していくのか考えることです。これからの時代に価値を出すために大切なことについて「ローカルベンチャーサミット2020」のレポートが参考になります。

 

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企業にイノベーションを起こすのは「戦略的不良社員」!?〜ローカルベンチャーサミット2020レポート(4)

 

早稲田大学ビジネススクール教授 入山章栄さんが、「先が見えない不確実性の時代には、とにかく変化してイノベーションを起こす、つまり新しい価値を生み出すことが必要で、その重要性がコロナ後はさらに高まる」と、語っています。

 

さらに、イノベーションを生むには「知の探索」と「知の深化」のバランスが重要、と続けます。

 

イノベーションの根本原理は、『知と知の新しい組み合わせ』だ。人間の認知には限界があり、どうしても目の前のものだけを組み合わせてしまうが、ずっと同じ業界で同じ人に囲まれていると、目の前のものの組み合わせはすぐに尽きる。それを突破するには、なるべく遠くにある知を幅広く見る必要があって、それが『知の探索』ということだ。例えば北海道と島根などという地理的な距離でもいい、とにかく離れた知と知を組み合わせる。そして、会社は当然利益を出す必要があるので、その組み合わせの中からこれが儲かりそうだと思ったら、次はそれを深掘りして磨き込む。それが『知の深化』だ。この探索と深化のバランス(両利きの経営)が重要なのだが、どうしても深化の方に偏ってしまいがちになる。効率を重視すれば、目の前の儲かっているところを深掘りしたくなるし、しかも探索には大変な労力を要するからだ。」

 

この話を読んで、「ガラパゴス携帯(ガラケー)」を思い浮かべました。着うた、着メロ、ワンセグ……と日本独自の付加サービスが増えるものの、技術的には制作可能だったはずのスマートフォンが日本で生まれなかったのは、「知の深化」に偏った結果なのかもしれません。

 

では、どうすれば、「知の探索」を実現できるのでしょうか? 実際に、組織を越境して働きながら、新たな価値を生み出している人たちの話も見てみます。

 

都市部と地域をつなぐミツバチ的働き方で、新規事業の花が咲く

 

株式会社フェリシモで新規事業開発を担当していた三浦さんは、総務省の「地域おこし企業人」という制度を活用して、2017年4月より3年間、北海道の厚真町役場で働きました。

 

三浦様顔写真
都市と地域をつなぎ、次々に事業を創る会社員・フェリシモ三浦さんに聞く、ニューノーマルな働き方

 

厚真町の特産品であるハスカップを使った「GOTOCHI SOAP」の商品化を皮切りに、町のコンテンツを活かしたツアーの企画や、厚真のジンギスカン居酒屋の期間限定神戸出店など、都市部と厚真町をつなぐ数々の事業を生み出します。

 

事業だけでなく、新しい会社も生まれました。当時のエピソードが記事の中でこう語られています。

 

「そんな中で起きたのが、2018年9月の北海道胆振東部地震です。僕も厚真町にいて被災しました。被害も大きく、この先どうなるかもわからない。そんな中でも、あちこちでもう一度立ち上がろうとする人達がいた。どんな状況にあっても、人は未来を想像し、希望を創造できるんだということを目の当たりにしたんです。希望と未来をデザインする会社を厚真に作りたいという思いから、フェリシモ100%出資のCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)『株式会社hope for』が生まれました。もともとフェリシモの方で、将来性のあるベンチャー企業に投資する子会社を作りたいという計画があったので、それとうまくかみ合った形です。現在はこちらのhope forで取締役としても活動しています。」

 

記事の中で「ミツバチのような形が仕事になった」と三浦さんが話されています。入山教授の話されていた「知と知の新しい組み合わせ」が、ミツバチ役の三浦さんを介して行われたからこそ、次々とプロジェクトの花が咲いたのだと感じました。

 

複数の事業を掛け持つからこそ、生まれるメリットとは?

 

塩尻市には、民間企業と協働で地域の課題解決を行う「MICHIKARA」というプロジェクトがあります。フェローである麻生要一さんは、複数の事業を手掛けるパラレルワーカーです。

 

麻生様顔写真
「ビジネスでは解けない課題」に挑むことで、世界を捉える解像度が変わる。塩尻市のMICHIKARAで次世代リーダーが生まれる理由

 

企業内インキュベーションプラットフォームを手がける株式会社アルファドライブを創業、医療レベルのゲノム・DNA解析の提供を行う株式会社ゲノムクリニックを共同創業、ほかにも株式会社UB VENTURESではベンチャーキャピタリスト(投資家)として、株式会社ニューズピックスの執行役員など、多岐にわたる分野の第一線で活躍していらっしゃいます。

 

麻生さんは複数の事業を手掛けることで生み出せる価値を、記事の中で次のように語っています。

 

「複数の事業を手がけているのは、やりたいことがひとつに絞れなかったからです(笑)。2つの企業でオーナーシップをもっているほか、非常勤執行役員、社外取締役、VCなど様々な立場で同時多発的に仕事をしていますが、いろいろな顔を持ちながら仕事をすることで価値が生み出しやすいなと感じています。たとえば、とあるベンチャー企業の社長と会って話をしたときに、営業もできるし、投資家としても話ができる。いっしょにやりましょうという提携の話もできるし、ソーシャルアントレプレナーズアソシエーションという社会起業家支援の一般社団法人のフェローもやっているので、純粋にアクセラレーションプログラムとして応援することもできる。あらゆる接点の持ち方ができるので、相手との関係性でなにをやったら一番価値が産めるのかをピュアに考えることができる。新しい価値の創造を生業にしているので、つきつめるとこういうカタチになったんだなと。」

 

多様な視点とスキルがあるからこそ、目の前の人のために本当に役に立つことを考えられるのですね。「やりたいこと」の掛け合わせで「知の探索」が実現できていることも興味深いです。

 

「多様な仕事経験」を自ら取りに行く、という発想

 異分野への経験を自身のキャリアに活かす例として、新卒で商社に3年勤めた後、NPO法人ETIC.に転職した赤尾紀明さんへの取材記事も参考になります。

 

記事サムネイル
「大企業からNPOへの転職。給料、仕事の進め方、時間の使い方はどう変わった?赤尾紀明さんの経験談

 

赤尾さんは、自身のキャリアプランを次のように語られています。

30歳くらいまではお金を積極的に貯めるのではなく、やりたいことをやって自分の価値を高めていきたいと思っています。お金は生きていける分だけあればよくて、お金を貯めるより面白いことに挑戦したいです。最近の若い人に多い気がしますが、もし困ってもまた稼げばいいという考え方です。こう考えるのは、今後必要とされるスキルを得るために時間とお金をかけて人に会うとか、経験・知識を増やしていくということは後々の資産に繋がっていくと思うからです。現に、前職を続けていたら知らなかった世界を見ているし、ベンチャー企業の支援等、会社の中にいたら得られないスキルを身につけられているなという実感もあります。

 

規模の大きな企業ほど、人材育成を目的に、社員に多様な業務を経験させるジョブローテーションがあります。組織にとらわれずに自分のキャリアをつくろうと考えると、「多様な仕事経験」を自ら取りに行く、という発想も必要かもしれません。会社から用意されるジョブローテーションは、自分の全く興味がない部署に配属される可能性もありますが、自身で選べば、自身の関心テーマに沿って自由に経験を積んでいくことができます。

 

「新公益連盟ソーシャルセクター組織実態調査2017」の記事では、ソーシャルセクターでの仕事は、裁量の高い業務を通じた短期間でのスキルアップができる、と紹介されています。3年前の記事ですが、ソーシャルセクターでの働き方が総括されていますのでご興味ある方はご一読ください。

 

新公益連盟ソーシャルセクター組織実態調査2017
ソーシャルセクターの給与・働き方・キャリアとは? ~新公益連盟ソーシャルセクター組織実態調査2017より~

 

キャリアのセルフチェックに有効な、2つの問い

 

さて、ここで1つ疑問が湧きます。

自分とは遠いところにある「知」を得る大切さは分かりました。でも、あれもこれも手を出し過ぎてスキルアップが疎かになることはないのでしょうか。

「知の探索」と「知の深化」のバランスの悪さは、どうやって自分自身で気づけるのでしょうか?

 

日本人材機構 代表取締役社長(当時)の小城武彦さんの講演レポートの中で、興味深い質問がありました。「次の2つの質問に、バシッと答える人が多いほど企業は輝いていて業績もよく、逆にモヤモヤしている人が多い企業は業績が悪かった」というのです。

 

三浦様顔写真
地域によそ者として入り、新しい仕事をつくるときに必要な4つの心得

 

その質問とは、1つ目は、「あなたはなぜ一度しかない貴重な人生を現在の仕事のために使っているのか?」ということ。

2つ目は、「あなたは現在の仕事を通じて成長している実感がありますか?」ということ。

 

「人生色々なので、モヤモヤすることもあると思います。でも、これらの問いに答えられないというときは、何かがおかしいということ。ぜひ皆さんにはこの質問を覚えておいてほしいと思っています。」と、小城さんは話されています。

 

この2つの問いにクリアに答えるには、自分の仕事や自分自身を客観的に見ることが必要ではないでしょうか。また、視野だけ広がって、何も上達していなければ、成長実感も乏しいでしょう。

 

「知の探索」と「知の深化」のバランスをセルフチェックするのに、小城さんの質問は参考になりそうだと感じました。皆さんは、どうでしょうか?

 

◆◆◆

 

「未来を創る」仕事に特化した求人メディア「DRIVEキャリア」では、現在、「雇用のカタチにとらわれない 専門性を活かすソーシャルな仕事」特集をおこなっています。業務委託などで関われる、地域やソーシャルセクターの案件をご用意しています。自分の専門性を生かしながら、今とは違うところに飛び込んでみませんか?

ずっとやりたかった仕事にチャレンジするもよし。自分のキャリアのポートフォリオをつくるように、業務の幅を広げるもよし。ぜひとも、ワクワクした気持ちと共に、あなたらしいキャリアを考えてみてください。

 

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乗越 貴子

1982年埼玉県生まれ。早稲田大学卒業後、塾講師、ネットサービスベンチャー企業を経て、NPO法人ETIC.参画。2児の母。志ある人と組織をつなげる求人サイトDRIVEキャリア(http://drive.media/career)で、事務局業務を担当しています。モットーは、「書くことと人をつなげることで、一歩踏み出す勇気を生み出せる人になる」

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