DRIVEでは、NPOやソーシャルビジネスで働きたいと思っている若者の意識や実態に迫る調査を行いました。調査結果サマリーはこちら。
本記事では、NPOやソーシャルビジネスで働くことに関心のある人たちにはどんな特徴があるのかを、詳しくご紹介していきます。
20代・30代の若者の17.0%は"NPO・ソーシャルビジネスで働いてみたい"
NPO・ソーシャルビジネスへの就業意欲(n=1,024)
「働いてみたい」「やや働いてみたい」「既に働いている」をあわせると、17.0%の若者がNPO・ソーシャルビジネスでの就業に興味があるという結果になりました。
「どちらともいえない」や「働きたくない」と比較するとまだまだ低い水準ではありますが、17.0%というのは意外に高い結果ではないでしょうか? 次に、この結果を性年代別に見ていきましょう。
性別・年代別の就業意欲(n=1,024)
男女で異なる就業意欲の傾向、「男性の寿退社」の傾向も?
男女でやや異なる傾向が見られました。男性では「働きたい」との回答が20代前半で最も高く、20代後半?30代前半、30代後半と年代が高くなるにつれて下がる傾向にあります。30代後半は「働きたくない」との回答も52.7%と、他と比較して際立って高いのも特徴的です。
一方女性は30代前半で「働きたい」との回答が最も高いという結果になりました。性・年代別に職業を確認したところ、今回の調査対象者においては20代前半男性のうち4割が学生であったのに対し、20代前半女性においては「無職・専業主婦」が多いという特徴がありました。この職業構成も、20代前半男性においてNPO・SBへの就業意向が高くなった要因のひとつとして考えられます。
今回の調査からは就業意向の理由まではかり知ることは出来ませんが、年代が上がるに連れ男性のNPO・SB就業意向が下がるのは、経済面や生活を考えた現実的な声を反映しているかもしれません。
NPO業界では、「男性の寿退社」という言葉を耳にすることがあります。これは、NPOで働いている男性が、結婚を機により高い収入を求めて転職していくことを指します。NPO法人かものはしプロジェクト山元さんのDRIVEラボ記事「NPO・ソーシャルベンチャーに転職する時にぶつかる3つの壁」でも指摘された点ですが、NPO業界の年収は200~300万円台と、家族を養うことを考えると厳しいものがあります。
そのような業界内の実態がどこまで世間に伝わっているのかは別として、これから家族を持つ、あるいはすでに家族を養っている立場にある人の多くなる30代を迎えると、現実問題としてNPO・SBで「はたらく」という選択は考えにくくなるのかもしれません。
一方女性においては、男性と反対に年代が上がるにつれ就業意向が高まる傾向が見られました。こちらもあくまで仮説ですが、女性はライフステージの変遷に連れ、職場・家庭・地域・子どもの学校等、社会との関わりが多面的になっていくことで、若い頃より社会への関心が高まることが考えられます。また経済面においても、夫婦共働きであれば年収の低さもそこまでネックにはならないのかもしれません。
NPO・SBで働きたい人が多いのは、「未婚」と「学生」
次に、「働きたい」「働きたくない」それぞれの層はどんな人たちなのか、特徴を詳しく見ていきます。なお、ここでは各層の違いをより明確に見ていくため、"働きたい層"は「すでに働いている」「働きたい」と回答した人、"働きたくない層"を「あまり働きたくない」「働きたくない」と回答した人と定義して結果を見ていきます。
まずは、未既婚や職業を見てみましょう。
NPO・SBへの就業意向別の未既婚(n=1,024)
NPO・SBへの就業意向別の現在の職業(n=1,024)
NPO・SBへの就業意向別の最終学歴(n=1,024)
NPO・SBへの就業意向別の専攻分野(n=318)
"働いてみたい層"は全体と比較して未婚者、職業は学生や自営業、そして学歴は大卒者が多い傾向が見受けられました。また、サンプル数は少ないものの、専攻はいわゆる文系が多いという傾向も見られました。次回の記事にて掲載予定ですが、"働いてみたい層"は「学生時代の授業や研究でNPO・SBでや社会問題を取り扱った」経験をしている割合が多いというデータもあり、大学時代の経験がキーとなる可能性が考えられます。
NPO・SBで働きたい人は、情報感度が高い
最後に、利用メディアについて見てみます。以下のグラフは、普段利用するメディアについて、"働きたい層"と"働きたくない層"の差分が大きかったものを抜粋して掲載したものです。
NPO・SBへの就業意向別の接触メディア(n=1,024)
"働きたい"層は、facebookやtwitterの利用率が50%以上と非常に高いのが特徴的です。また、新聞やインターネットのニュースサイトの接触率も高い傾向にありました。普段から情報感度の高い人物像が浮かび上がります。
次回の記事では、過去のどんな経験がNPO・SBへの興味関心に繋がったのか、"働きたい"層がどんな価値観を持っているのかに迫ります。
続き:学校やテレビで社会問題を取り扱うことが、NPOの担い手増加につながる?続・NPOソーシャルビジネス就業意識調査
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