2023年3月2日、東京の日本郵政グループ本社にて「Social Co-Creation Summit Liquid 2023 企業は社会のすき間を満たせるのか」と題したフォーラムが開催された。
本イベントは、「課題は人と人の間、つまり社会のすき間にある」という認識のもと、「すき間だらけ」の地域社会と向き合い、持続可能な未来をデザインするため、ユニバーサルサービスの可能性を探る目的で企画されたもの。様々な角度で地域や社会の課題解決に取り組む実践者30名以上が登壇した。
その中から本稿では、2014年の「地方創生」本格開始以来、その“本丸“で活躍してきた4名による基調セッションの内容を要約・編集してお届けする。
左から﨑田恭平氏、矢田明子氏、増田寬也氏、村上敬亮氏
■基調セッション登壇者
・ デジタル庁統括官 国民向けグループ長 村上敬亮氏
・ 株式会社飫肥社中 代表(前宮崎県日南市長)﨑田恭平氏
・ 日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長 増田寬也氏
・ Community Nurse Company株式会社代表取締役 矢田明子氏(ファシリテーター)
(以下、文中敬称略。詳しいプロフィールは記事の最後に掲載)
「地方創生」10年、これまでとこれから
矢田 : まずはこの10年間、どういうお立場で地方創生に関わってきたのか、自己紹介を兼ねてお願いしたい。
村上 : 石破大臣の着任とともに内閣官房に出向し、最初の「まち・ひと・しごと創成総合戦略」の草案作りに携わらせていただいたのが8年前。交付金の仕組みづくり、プロ人材事業など、地方創生の枠組み作りに取り組んだ。
その後、内閣府地方創生推進事務局で地方創生に資する規制改革や地方創生臨時交付金の創設に取り組み、1年だけ戻った経産省ではコロナ対策と地域の中小企業対策を、そして2021年9月に発足したデジタル庁では、「デジタル田園都市国家構想」(以下、「デジ田構想」)を担当。都合8年、ずっと地方に向き合ってきた。今、デジタルで地方創生は加速できる。だいぶその方向性が見えてきた。今日は課題とともにいろいろお話ししたい。
﨑田 : 2013年から日南市長を2期8年務めた。ちょうど国が「地方創生をやるぞ」と旗を振ってくれたタイミングで、いろいろやりやすかった。私が在任中に手掛けた中でよく知られているのは、油津商店街の再生だ。人どころか猫一匹歩いてないといわれたシャッター街に、従来とは違う方法で東京のIT企業を誘致した。
そのほか、飫肥城下町の文化財を民間とコラボして旅館に改装し、保存に関する課題解決につなげるなどした。退任後は、データというエビデンスを使って社会を変革するチャレンジを始めている。たとえば、何かの給付金を配布して、それが良かったのか悪かったのか検証しないまま次の選挙の前にまた配ってしまうという現実がある。ちゃんとデータを使って分析し、エビデンスをもって世の中に広げていくための研究機関(一般社団法人Data for Social Transformation、以下DST)を、いろいろな人たちと一緒に立ち上げた。
増田 : 私が2010年の国勢調査の分析をベースに「地方消滅」という論文をまとめたのは、2014年5月だった。同年9月に初代の地方創生担当大臣が誕生して「地方創生」の流れができ、あらためて法律を整備したりしていろんな政策が出てきた。デジ田構想の中身は「まち・ひと・しごと創成総合戦略」とほとんど同じだが、デジタルを使ってそれを推進していこうという考え方だ。
結局のところ、国がどんなに旗を振って仕組みを作っても、自治体が使いこなせなければ意味がない。とにかく「人口を増やせ」ではなく、自分たちの地域をどうしていきたいのか、そこをきちんと定めるのがキモになる。その上でいろいろ仕掛けていく際には、外部のリソースをもっと使うべきだ。
ここで紹介すると、いま郵政グループでは選りすぐりの社員を全国各地のベンチャーなどに派遣して受け入れてもらっており(※)、矢田さんのところでもいま一人鍛えてもらっている。私は2020年1月に郵政グループの社長になり、それまで国の立場で見てきたものを企業の立場でどうしていくか、ずっと考えてきた。企業の社会的責任を果たすためにも地方創生にきちんと関わり、力を発揮していきたいと思っている。
※日本郵政株式会社は2022年2月に「ローカル共創イニシアティブ」というプロジェクトを立ち上げ、若手・中堅職員8名を、地域課題解決に先行して取り組む地域のベンチャー企業などへ派遣している。
矢田 : 増田レポートの「消滅可能性都市」のインパクトは大きかった。地方をなんとかしなければ、という話は昭和の頃からあったが、税収をどう分配するかの議論が中心だったと思う。それが、「これからはがんばる自治体しか応援しません」と。それで自治体も目が覚めた。大きな意味のあったレポートだったと思う。
私は雲南市という一地方都市でコミュニティナースに関する事業を10年くらいやっているが、それが「地方創生の取組み」として紹介される場面が増えてきて、これが地方創生というものなのかと後から気づいた。考えれば、その背後に「鳥の視点」で仕組みを作ってくださった存在がいたわけだ。私のように現場にいるだけでは見えないものを、みなさんはひとつ高いところから見て10年間仕掛けてこられた。あらためて増田さんに、いま何が課題だととらえているかお聞きしたい。
増田 : 地方創生は「地域」の問題であり、県レベルよりも市町村単位でどうしていくかが大事。そして、そこにいる企業ほか構成員が、それぞれの単位で何ができるかということを、真剣に自分ゴトとして考えることが必要だ。すぐ出てくるのがお金と人の問題だが、お金のほうは、地域の金融機関だけでなくいかにリスクマネーを集めるかがポイント。人の面では、地方大学などが地域のなかで役割を果たしてほしい。
たとえば地元企業の経営内容を将来も持続可能なものへと改革する、そのために首都圏から右腕人材を持ってくる、そうしたことをいろいろな手助けを得ながらやっていくべきだろう。調べてみると、実は東京にはそうやって地方で自分の力を発揮したいという人が相当いるらしい。でも実際どこにどんなニーズがあるのかわからない。
その間をつなぐ機能、外から地域にうまく入り込んでいけるルートをつくることがとても大切で、まさに矢田さんのCommunity Nurse Companyもその役割を果たしていると思う。まずはそういうところへ首都圏の企業から人を送りこみ、地域での活用に着地させていくのが大事ではないか。
市町村単位 + 外部リソースで投資文化を
﨑田 : 自治体の立場から大事だと思うのは、まず自分の町の課題をちゃんと分析できているか、だと思う。そのうえで、自治体の方からもっとその課題を発信すべきだ。たとえば首長が今日のような場に出たとき、我がまち自慢だけでなく「うちはこういう課題がある」という話をすべき。それができていると、企業の方から「それならこういうふうに解決できますよ」というマッチングが生まれやすくなる。
私が市長になってから、民間人材を登用して地域の分析をした。その内容を行政の言葉ではなく、企業人に伝わる言葉で発信していったことが、シャッター商店街にIT企業を呼ぶことができた理由の一つだ。その人材の最大の機能は、行政と民間の間に「通訳」として入ったこと。それによって地域の課題が見える化され、外部リソースも入りやすくなった。逆に企業から見たとき、そういう勘所がわかる自治体を相手にしないと時間の無駄になる恐れはあるのかなと思う。
矢田 : お話を聞いていて、課題は市町村単位でどう突破するか、そこに意志ある民間のリソースをどう絡めていくのか、ということころかと感じた。一方、﨑田さんがおっしゃった「ちゃんと自己分析できているか」というのは、市町村単位ではすごくレベルの高い要求だと思う。それも含めて、村上さんは向こう10年の課題をどう捉えているか。
村上 : 「分配文化」を「投資文化」へ変えていく必要がある。地方自治の仕組みは公平な分配には強いが「選択と集中」は苦手だ。たとえば観光振興。大半の地域は歴史でも食でも体験でもどんな観光戦略でもいける。しかし、「今年は『体験』、来年は『食』、その次は『歴史』」、これをやっては絶対にいけない。『歴史』なら『歴史』と決めて、5年間そこに賭けてみるべきだ。皮肉なことに、観光資源が豊かな地域ほど、それを実行するのが難しい。
人口が増えて経済のパイ全体が拡大している時なら、分配に強ければ生き残れる。でも今の時代、たださえ減るパイの分配を待っていたら、地域がみんな共倒れになる。人口が減ると、例えばバスの乗客は減る。バス会社の経営は必ず苦しくなる。タクシーもお医者さんも学校もそうだ。そしてそれらのサービスがなくなれば、住めない地域が増えていく。暮らしのインフラを失えば「地方消滅」だ。地域に選択と集中に耐えるだけのコミュニティ力があれば生き残れる。域内の公平性のために、あれだけはダメ、これだけもダメと、自分で自分の可能性の芽を摘んでいってしまったら、全員が死んでしまう。
地方交付税交付金の基本は、基礎財政需要に対して自治体の自前財源で足りない差額を補填すること。各自治体の大切な仕事は、財源を不公平感が出ないよう全セクターに配り切ることだ。
しかし、公平な分配を続けているだけでは、もはや地域には何も残らない。自分たちは何をテーマに生きていくのか、VISIONを絞りこむ。地方創生推進交付金を、敢えて通常の地方交付税交付金の枠組みの外側に置き、地域が自分で地方創生のために取り組む事業を選択してからでないと取れない仕組みにしたのも、そのためだ。どんどん選択と集中を進め、投資に強い地域に変えていくこと。いつになったらカネが配られるんだと待っている人に、「決めたテーマに一緒に挑戦しなければ、ただ配られるお金はない」、そう言い聞かせる文化を地域に根付かせていくこと。それが私たちの大事な仕事だと思っている。
増田 : 自治体は基本的に、弱い部分をできるだけ無くしていく、という発想をする。税金を使っているわけだから。でも、これからいろんな制約が強まる中では、むしろ強いところをさらに伸ばして特色を出していく、という方向へ切り替えないといけないと私も思う。もちろん弱いところはぜんぶ切り捨てろ、というわけではない。自治体として最低限やるべき仕事はある。でも、やり方としては強いところをきちんと見極め、それを磨いて伸ばしていかないとこれからは通用しないだろう。その際、市町村という小さい単位で物事を動かすためには、ぜんぶ自前主義でなく外部のリソースをうまく呼び込み、いろんな仕掛けをしていくのが大事だ。
矢田 : ある種の「えこひいき」をして、そこを投資的な視点で、外部のリソースを入れながら伸ばしていく。それを増田さんはいま民間の立場でやられている、ということか。
増田 : 雲南市では矢田さんたちが活躍しているが、ほかにも全国でいろんな動きがある。「ローカル共創イニシアティブ」では、うちの職員をそうしたところへ派遣して一定期間住み込んでもらう、そういうベーシックなところから始めている。やはり入り込んでいかないと地域のことはわからないからだ。
もうひとつ、日本郵政には全国各地域にきめこまかい郵便局のネットワークがある。ある意味で情報の宝庫のようなもので、それをうまく活用していきたい。そういう(郵便局のような)自社のネットワークを持っていない企業はどうしたら地域との接点が作れるかと、他社からよく聞かれるが、やはり地域の中で強いところや目立つところ、実績のあるところから切り拓いていくのが大事かと思う。「入り方」のブレイクスルーができるとすごく広がっていくだろう。
データで語ることの重要性
矢田 : そうやって地方に入っていく民間事業者にしても、相手の自治体にしても、自身の課題を客観的に分析するのはかなり大変なことで、個々のプレイヤー単位ではかなり難しい能力が要求されると思う。﨑田さんがやっておられるのはまさにそこではないか。データドリブンの社会インフラを作るという、その辺をもう少し詳しく聞きたい。
﨑田 : まず、データをどう分析しエビデンスとして次に生かしていくかが大事だ。増田さんが強みを伸ばすとおっしゃったのとまったく同じ意味で、弱みこそが強みになる。弱みや課題はそれを解決できた瞬間に強みになるのだから、そこをどうやるか。そして、「いい事例がひとつできた」だけで終わらず、いくつかの事例を比較分析し、何がどうよかったのか検証すること。それを日頃からやること。要するにEBPM(Evidence-Based Policy Making=エビデンスに立脚した政策立案)をやろうということで、そのためにDSTという組織をつくり、経済人や研究者らを集めて政策を研究していこうとしている。
それから、これはまだアイデアベースだが、企業版ふるさと納税を使った自治体の施策の比較検証事業を考えている。たとえば、複数の自治体をA~C群に振り分けて認知症対策の異なる施策を打ち、成功したモデルを「〇〇市モデル」という形で全国へ広めていく。そこに企業からの原資を入れて民間といっしょに検証していくことで、世の中を変えていきたい。国が動くの待つのではなく、企業と現場の自治体とやろうということで、いま参画企業を募集しているところだ。
矢田 : こういう流れの中で「デジタル」というのはどう貢献していくのか。
村上 : データは本当に大事だ。オープンデータがないと地方創生はできないと断言すらできる。理由のひとつは生産性向上にデータが不可欠だから。たとえば、あるバス会社があって、観光客が3倍に増えても、従業員も3倍に増やしたら生産性は変わらず給料も上げられない。逆に従業員数は同じまま売上が0.8倍になったら、給料を下げるしかない。生産性を維持・向上しなければ、今の給与水準すら保てない。今、迎えに来てほしい人がどこにいるのか、リアルタイムで需要を把握し、限られたドライバーと車を効率よくそこに配置できる仕組みを作るしかない。そのためには需要側の動向に関するデータが絶対に必要だ。
しかし、そのためのデジタル投資を単独で行うのは難しい。まず回収できないだろう。では、交通事業者間で一緒になって取り組めるか。そこには地域の柵が待っている。地域の同業者同士は仲が悪い場合も多い。加えて、そもそも病院、学校、子育てなど需要側の事業者の協力も必要だ。その間に入ってデータ共有の基盤をつくろうとしても、やる・やらないの議論だけで話が先に進まない。その突破口としても客観的なデータが必要だ。データだけで結論が出せるわけではないが、データがあればコミュニケーションの入口には入れる。どんどんデータを使って柵の内側に入って議論を起こし、早くデータ共有の仕組みを作って、需要動向に合わせたサービスの提供ができるようにならないと、事業は必ず行き詰まる。
矢田 : そういうデータはどう集めるのか。
村上 : たとえば、スマートシティ・インスティチュートという団体が、(約140の指標で構成される)各自治体の「暮らしやすさ(Livability)」の客観・主観データを公表しており、サイトから無料でダウンロードできる。ただ、こういうデータは使って初めて意味があるので、私たちはこういうデータを集めて、かつわかりやすいチャートに落とし込めるようなツールもあわせて提供しようと考えている。
実は探せばデータは身近にある。市役所の中にだってものすごくいろんなデータがある。でも、たとえば喫煙率データのように、あってもなかなか外に出てこない数字も多い。かといって国の統計資料を一般の人が読み込むのは大変だ。これらを大胆に公開すること。そして、普通の人が普通に使えるよう、データを公開するサイトも熟れていく必要がある。
増田 : たとえば東日本大震災のとき、平常時からさまざまなデータを使って地域の将来像を議論していたところほど、復旧が早い傾向があった。あれほどの被害が出て心理的にも動揺している中で、ゼロからまちづくりを考えてもなかなか話がまとまらないのだ。
また、雲南市では30の地域自主組織が長年、小規模多機能自治をやっていて、そういう素地の上で矢田さんのような団体が活動できている。データは市役所の中にいっぱいあるが、(住民の側が)それをどう使って何をしていくのか。そこが地域力の違いとして現れる。その一歩を踏み出すきっかけは地域の自主組織でもなんでもいいが、そこまで進んでいかないと地方創生の果実は得られないと思う。
これからの地方創生に必要なものとは
村上 : 人間は「見せる自分」と「見られている自分」がバランスしているとき、気分が落ち着くものだ。いくらアピールして「見せ」ていても、わかってもらえないと感じるときは不幸だし、その逆も気持ち悪い。その「見る・見られる」のバランスが大事なのは、実は地域も同じだ。しかし、地域の場合、そもそも見られることを拒否しているケースが多い。見られる自分がいないとオシャレもしないし服装も洗練されない。そういう緊張感がないと、地域社会もどんどんいい加減になっていく。
だから、地域はもっと意識的に発信したほうがいいし外から取材された方がいい。そして、アピールしたとおりに見てもらえないなら、どういう言語を使えば理解してもらえるのか悩んだ方がいい。その際も、理解の入口として客観的なデータが大事だ。こういう社会課題に対してこういう取組をしたらこうなったとデータで説明されれば(例えば三豊市の観光客が5年間で100倍になったと聞けば)、聞いた方は興味を持つ。そうやって話を聞いてくれる人がいれば、もっとがんばらなきゃ、となる。そこを充実させていくと元気のいい地域ができてくる。
矢田 : 今のはすごく繊細な部分の話だと思う。私は現場に近い立場なので、課題はこうでデータはこうだ、という文脈だけでは取りこぼしが見えてしまうこともある。エビデンスデータを使いつつ踏み込んで対話をしていくわけだが、そこはいろんな感情が沸き出す繊細な場だ。そこに「見られている私たち」をつくっていくという、非常に壮大なアドバイスと受け止めた。最後にみなさんから一言ずついただきたい。
増田 : このフォーラムを主催した意味も含めて、郵便局の話をしたい。地域の人たちにはいろんな悩み事や相談事があるが、これからも地域に存在し続ける郵便局は、そういうことを相談できる場所でありたいと考えている。
もちろん、すべての問題を直接解決できるわけではないが、これはここに行けば解決できる、あそこにいけばもっといい答えが得られる、そういうアドバイスができる存在になりたい。そういう機能が地域にないと、コミュニティは絶対どんどん衰えていく。また、企業のみなさんも、地域へ入っていく方法がわからない、どこにどういう情報があるのかもわからないというとき、地域の信頼できるパートナーとして郵便局を使ってほしい。
﨑田 : これまでとまったく別の視点で言うと、地域で大事なのは人、つまりリーダーだと考えている。地域を変えるには首長を変えるのが早いと思っているので、私はDSTのほかにもうひとつ、首長養成塾をスタートさせた。すでに全国から仲間が集まっている。民間からも参加可能なので、みなさんの周りに候補者がいたらぜひ推薦していただきたい。
村上 : 最後に、リディラバの安部さん用語だが、「藻場(もば)をつくる」という言葉を覚えてほしい。(海底にある海藻が茂る群落の)藻場のように、いろんな人を地域に抱き込んで「隠れて溜まっていられる場所」をつくるということ。一発必中プロジェクトに外から専門家を連れてきても、地域で衆人環視のど真ん中に置かれたら、どんな優秀な人でも気が引ける。
そうではなく、必要なときに藻場からひゅっと出てきて仕事をして、終わったらひゅっと藻場に収まる。そうやって、地域に「よくわからないけど最近いろんなやつが何かやってるね」という状態をつくる。そうすると、一見相反するようだが、データで語るとか対話するとか今日議論したことが実はやりやすくなっていく。
矢田 : これからの地方創生、ぜひ各地に「藻場」をつくっていきたい。今日はありがとうございました。
<登壇者プロフィール>
■村上敬亮氏/デジタル庁統括官 国民向けグループ長
2014 年に内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局参事官として、国家戦略特区も含め地方創生業務を担当。地域創生イニシアティブ「まち・ひと・しごと創成総合戦略」を主導。このときの取組が称えられ、2020 年度「Agile50」(公共部門を変革する世界で最も影響力のある 50 人)に選出。2021 年からは内閣官房情報通信技術総合戦略室内閣審議官として、デジタル庁の創設に取り組み、同年 9 月から、デジタル庁統括官として、政府情報システムについて共通の基盤・機能となる「ガバメントクラウド」「ガバメントソリューションサービス」の利用環境や整備・運用に取り組むほか、準公共分野(健康・医療・介護、教育、農業・水産業、モビリティ、防災、港湾、インフラ)で国や独立行政法人、地方公共団体、民間事業者などがサービスやデータを連係させやすい環境の整備に取り組む。
■﨑田恭平氏/株式会社飫肥社中 代表(前宮崎県日南市長)
1979年5月生まれ、九州大学工学部卒業後、宮崎県庁、厚生労働省を経て、2013年4月に33歳で日南市長に就任。2期8年を務め、3期目は出馬せず、2021年4月に退任。「日本一組みやすい自治体」をキャッチコピーに掲げ、民間人の登用や官民連携による地域課題の解決策を積極的に実行に移し、その行政手腕は全国から注目を集めた。
2021年5月、株式会社飫肥社中の代表取締役に就任。人財育成を軸に事業をスタート。2022年11月、一般社団法人Data for Social Transformation(略称:DST)を、高島宏平氏、宮田裕章氏らと共に立ち上げ、常務理事に就任。「データに基づく客観性、正確性、即応性の⾼い取組みを各ステイクホルダーが連携し、速やかに社会実装することが、持続可能な社会保障の仕組み構築に繋がる」という考えのもと、新たなチャレンジに取り組んでいる。
■矢田明子氏/Community Nurse Company株式会社代表取締役
島根県出雲市出身。Community Nurse Company株式会社代表取締役、一般社団法人 Community Nurse Laboratory 代表理事。2014年島根大学医学部看護学科を卒業、人材育成を中心に事業を運営する『NPO法人おっちラボ』を立ち上げ。雲南市が主催する課題解決人材育成事業「幸雲南塾」で地域に飛び出す医療人材によるコミュニティづくりを提案。2016年5月より「コミュニティナースプロジェクト」でその育成やコミュニティナース経験のシェアをスタート。2017年にCommunity Nurse Company株式会社を設立。2019年2月『コミュニティナース ―まちを元気にする“おせっかい”焼きの看護師』が木楽舎より刊行。2020年 一般社団法人Community Nurse Laboratory 創業。2021年には厚生労働省「重層的支援体制整備事業(参加支援事業)」調査事業 有識者委員をつとめる。
■増田寬也氏/日本郵政株式会社 取締役兼代表執行役社長
1977年4月建設省入省。1995年4月岩手県知事(3期12年)、2007年3月に退任。2007年8月総務大臣、内閣府特命担当大臣。2009年野村総合研究所顧問(~2020年1月)、東京大学公共政策大学院客員教授(~2022年3月)。2020年1月日本郵政株式会社代表執行役社長に就任。2020年6月より現職。デジタル田園都市国家構想実現会議構成員。
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