※この記事はDRIVEインターンからの転載です。
ちょっとやらしい笑顔での登場で失礼します。大学生ライターの片山です!
今回も先輩起業家のもとへ、ぶつかり稽古に参りました(これまでのぶつかり稽古はこちら)。
突然ですが、日本の文系大学生を代表して、ひとつ言わせてください。
いきなり「就活して入りたい会社を選べ」って言われても、かなり難しくないですか?
4年生の6月から就活だよー!みんな一斉スタートだ!と言われても、かなりの無茶振り。就活でわかることはほんの表面上のことだったりします。「これがやりたい!」と思って大企業に入ったとしても、その仕事にたどり着くまで何十年とかかったりします。キラキラベンチャー企業に入社して、入社前のイメージと実際が全く違ったなんてことは、ざらに聞きますよね。どうすれば、働くことを通して、幸せに生きられるんだろう…。と、悩んでいる人が多いのではと思います。私たちは、何を判断基準に、仕事や職場を選べばいいのでしょうか。
ある日、イベントに参加した片山は、家入一真さんのこんな言葉を聞くことになります。「最近、どう働くかみたいな議論がよくされていますが、若い人は、“自分がどう生きたいか”を考えて、働き方より生き方を選ぶべきだと思います」
「人生を通して、自分がどんな生き方を表現したいかを考えることって、小手先で入りたい会社とか働き方を考えるより大切だよなあ」と、激しく同意した片山は、どうしても直接お話を伺いたくなり、今回インタビューをさせていただきました。
片山:家入さん、今日はよろしくお願いします!
家入:はい、よろしくお願いします。
生き方を選んだ人が集まる、海士町の話
片山:家入さん、いきなりなのですが、「働き方より生き方を選べ」ってどういうことですか?
家入:ぼく自身ここ数年で、働き方とか仕事に関して、色んな講演してきました。それなりに悩んでいる人が集まって、メモ取ってくれたりするんですけど、これで何か変わるとは思えないなあと思って。やっぱり働き方とか仕事で悩んでいる人は減らないし、心を病む人もいる。ぼくの中でずっと、もやもやしていたんですよね。働き方を論じても、何も変わらないなあって。
片山: なるほど。だから、働き方ではなくて、もっと根本的なことを考えようって話ですね?
家入:そうです。働き方だけ考えていても、結局上手くいかない。「これからの働き方はこうです!」って言っても、「結局上手くいかねえじゃないか!」って、それの繰り返しになる気がするんですよね。例えば、独立しようみたいな動きも、「失敗したらどうするんだ!」ってよく叩かれるじゃないですか。そんなの不毛だなと思って。
片山:たまにネット上でそういう議論が盛り上がっていますよね。特にブロガー界隈でよく見かけました。
家入:働き方だけを考えるから、そうやって躓くんじゃないかって。まずは、「どう生きるか」という問いとしっかりと向き合って、仕事を見つけて働き方を考えないと、うまくいかなくなると思います。
片山:生き方を考えるって、テーマが壮大な気が…。
家入:片山くん、海士町ってご存知ですか?
片山:あまちょう…。移住で有名になった海士町でしょうか?
家入:そう、その海士町です。人口2000人ぐらいで、人口の2割が県外からの移住者の島です。去年ぐらいに海士町に行くことがあって、色んな方々と話しました。
片山:どんな方々がいらしたんですか?
家入:さまざまです。移住してきて、図書館の司書をしていますとか、観光協会で働いてますという方。彼らと話してると、なんとなくその“移住してきた理由”がわかってきたんですね。この人たちは仕事を探して、ここに来たのではなくて、「海士町で生きる」という選択をして、結果的に仕事や働き方を見つけた人たちなんだなって。彼らは海士町に移住するという生き方を選んで、確かに収入とかいろんなものは減るかもしれないけど、17時には仕事終わって、海見ながらビール飲めたら最高ですよね。まさに、生き方を選んでいると思いませんか?
片山:えっ!確かに。収入は減っても、海士町で自分が大切にしたいことを大切にできるんですね。
自分の「幸せの尺度」を知ると、生き方を選べる
家入:ぼくは東京に住んで、東京でやっていくつもりですけどね。今のところは(笑)
片山:そうなんですか!(笑)
家入:結局、幸せの尺度は多様化しているって、よく言われるじゃないですか。海士町の方々のように、「こういう生き方が幸せだと思う」と見つけた人は、幸せになれると思うんですよ。こんな職場だったら楽しいとか、楽しく働けそうとか、みんな細かい選択肢で悩むけど、自分にとっての幸せを考え直すところからやっていかないと難しいじゃないかなと思います。 自分の幸せの尺度が曖昧だったら、働き方だけ変えてもうまくいきませんよね。
片山:幸せかぁ。家入さんにとって幸せってなんですか?
家入:ぼくは、本当に大事なものは、足元にあると思っています。あいつが喜んでくれて嬉しいなあとか、笑ってくれてよかったなあという感覚です。個人的に、この感覚はすごく大事だと思っていて、多くの人が持っている感覚だと思います。でも、みんなすぐ忘れてしまうんですよ。
片山:灯台下暗しですね。
家入:はい。そして急に、もっと遠くにいる不特定多数の人たちを喜ばせることに、力を注ごうとする。自分に関係のないどこかの場所で、自分じゃない誰かになって、会ったことのない知らない人たちを喜ばせようとする。要するに、ワープしようとしてるんです。
片山:ワープ…!?
自分の人生を1冊の小説だとしたら、次の1ページをどんな風に描きますか?
家入:でも結局、ワープはできないんですよ。自分から遠い人や出来事に承認欲求を求めるから、自分の幸せがわからなくなってしまう。一旦足元に目を向けて、身近な幸せを拾い上げるってことをしないと、いつまで経っても、満たされないと思うんですよね。ぼくは新しい事業をつくるときも、その感覚を大切にしています。
片山:えっ、事業となると、市場規模とかニーズ調査を徹底的に調査するんじゃないんですか?
家入:「自分がやったらあいつ喜びそうだな」とか、「あの人使ってくれそうだな」とか、顔が思い浮かぶ相手に対して、手紙を書くようにビジネスをつくります。
片山:手紙を書くように?
家入:「背景●●様 こんなんつくってみたけど、どうでしょう?」みたいな感じです。それが思い浮かばないまま、ビジネスをしようとする人が多い気がします。20代女性にウケる事業とか、30代男性に向けのメディアとか。でも、具体的な顔は全然思いついてないんです。それって結局、刺さらないまま終わるケースが多いと思います。もちろん、うまくいくケースもあると思いますが。
片山:顔が思い浮かんでいる人は強いでしょうね。壁にぶち当たっても、辞めない気がします。
家入:事業の場合、ぼくは誰かの顔が思い浮かばなかったら、他の誰かがやればいいと思っているんですよ。確かに生きていると、これやりたいあれやりたいって出てきて、アイデアも思いつくんですけど、ぼくがやるべきじゃないことが、多いんですよね。やらないことを決めて、やるべきことを絞っていかないと、選択肢がいっぱいある状態で、心理的に散らかっちゃうじゃないですか。
家入:顔が思い浮かんだその人の先に、似たような課題を抱えた人たちが世界中にいて、「待ってました!」と言う人がいるかもしれない。そんな人たちがいなくても、そのひとりが喜んでくれたら良いじゃないですか。事業も仕事も、それぐらいの気持ちでいいと思うんですよね。何度も言いますが、ワープはできないんです。
片山:必然性みたいなお話ですよね。
家入:そうです。必然性のないものはやるべきじゃない。起業を含めて色々な相談乗りますが、ぼくは必ず生い立ちを聞くようにしています。どんな家庭で生まれて、どういう人生を経て、今に至るのか。その中で感じたことや辛かったこと、コンプレックスがあるじゃないですか。そんな自分だからこそやるべきことがあると思います。片山くんはどんな人生を送ってきたの?
片山:ぼくですか…!ぼくは大阪の岸和田というところで生まれて、4人の家族のもとで育ちました。9歳上の姉がいて、母が2人いるような環境で。そこから和歌山の中高を卒業して、いろいろあったんですけど、大阪にある大学に進学して、教育福祉領域における対人援助を学んでいます。それから、若者のキャリア支援をしたいと思い、今は大学を休学して、2年間ほど東京に来てインターンしています。
家入:へー!いいじゃないですか。
片山:ありがとうございます!!
家入:みんな、自分のこれまでの人生をすっ飛ばして、こんな人を喜ばせたいみたいなことを言うんです。でも、ぼくが「なんで?」って聞いたら、「困ってる人がたくさんいるから」って言うんですよ。「なんであなたが助けないといけないの」って聞くと、「う〜ん」って言う。それって本当にあなたがやるべきことですかって話になるんですよ。その課題と自分の人生の文脈が、繋がってない。だったらそれは、文脈が繋がっている他の人がやった方がいい。
片山:人生の文脈…。考えたことありませんでした。
家入:自分の人生を一冊の小説だとしたら、自分だから描ける、次の1ページがある。人生は繋がっていて、これまでの延長線上にあることを意識すれば、その先に景色が広がるはずです。仕事において、いつか宝くじが当たったらいいな、みたいな考え方は絶対うまくいかない。成功者の話って表に出やすくて、彼らはいきなりワープしているように見えるけど、全然ワープしていなくて、みんな一歩一歩進んでいます。そこを勘違いしてはいけない。次の1ページを意識して、人生を描いてほしいと思います。
人間は前のめりになると、自然と1歩が出る
片山:まさしく、BASE(ベイス)は鶴岡さん、CAMPFIRE(キャンプファイヤー)は家入さんの実体験に基づいて、スタートしたサービスになりますよね。
家入:まさにその通りで、CAMPFIREはぼくが貧乏だったり、ひきこもりだった頃にあれば良かったというサービスです。最初のきっかけは、BASEの場合は、当時大学生だった鶴岡くんのお母さんが大分で洋服屋さんをやっていて、「ネットショップをやりたいけどわからない」って言うから、お母さんでも使えるサービスつくればいいじゃんって話になり。鶴岡くんが起業したんです。
家入:そしたら他にも困っている人がたくさんいて。サービスが広がっていきました。そんなふうに、まずは誰かひとりを喜ばせるってところからはじめるといいなって思います。みんな一気に全部解決したがるんですけど、まずは目の前の人を喜ばせられるものにしないと、絶対うまくいかない。
家入:ところで、片山くんはこれからどんな道を選ぶんですか?
片山: ぼくは大阪を拠点に、若者のキャリア支援をしたいと思っていますが、まずどこから始めようか…。1歩目に悩んでいます。
家入:あのー、片山くんね。1歩踏み出そうとするから悩むんですよ。
片山:1歩踏み出そうとするから悩む?
家入:やらざるを得ない状況に、自分を追い込むといいですよ。ぼくの場合、思いついたらいろんなところで言っちゃうんですよ。そうすると、「手伝わせてください」って人たちが出てくる。来ないこともあるけど。(笑) そうするとやらざるを得なくなるし、ぼくの場合はもう勝手にはじまってたりする。
片山:!?もう勝手にはじまってる!?
家入:はい、誰かが始めてしまってるんです(笑)でもそれでいいと思っています。自分がやらなくていいことっていっぱいある。 人間の体って、前のめりになると自然と一歩が出るじゃないですか。だから、それが必要だと思ってるなら、やっちゃえばいいんじゃないですか。一歩踏み出せば、違う景色が見えるよ。悩んでいるうちは、世界は広がらない。一歩踏み出して、初めて世界が広がる。
家入:やっぱ違ったなって思ったら、辞めてもいいと思うんですよ。1回やった以上、最後までやり通せっていう固定概念が、日本人のよくないところな気がしていて、逆に事なかれ主義につながっていると思います。責任感とか、1回やったからには最後までやれとか、途中でやめるのは無責任だとか、甘えだとか。じゃあ、何の一歩も踏み出さないことが正解なのかって話じゃないですか。ぼくは1回やったことを辞めてもいいと思うんですよ。
片山:ありがとうございます。 踏み出さないと、まさに絵に描いた餅状態で、現状は変わりませんよね。まずは1歩。踏み出してみます。
さいごに
片山:最後に学生へのメッセージをお願いします。
家入:ぼく、それできないんですよ(笑)
片山:えっ!?
家入:よくイベントとかに登壇して、「最後に一言お願いします」って言われるんですけど、ぼくそれできなくて。笑 最後に一言って、不特定多数へのメッセージになるじゃないですか。あの人へのメッセージだと言えるんですけど…。(笑)
編集後記
世の中には、いろんな仕事が溢れていて、選択に迷うということは、誰にもあることです。きっと目の前には、いろんな選択が広がっていて、どれが良いかは、ほんとに自分次第です。十人十色の選択があるでしょう。
人生は一度きり。5年後、10年後に笑っていられるような選択をするには、「自分はどんな生き方をしたいか」じっくり考えてみると、納得のいく選択ができるかもしれません。人生の文脈を意識して、「自分だから描ける次の1ページ」を描く。どんな選択をしようとも、自分が心底納得しているならば、そんな最高なことないじゃないですか。
「これからどうしよう」と思った時は、家入さんのように、自分が表現したい生き方と向き合ってみれば、自分らしい道を選択できるのではないかと思います。
それでは、またどこかでお会いしましょう!
あわせて読みたいオススメの記事
#ワークスタイル
#ワークスタイル
#ワークスタイル