動画や音声メディアが幅広い年齢層に浸透している今、社会課題解決を大きな目的とした非営利組織やスタートアップが情報発信ツールとして活用することも増えました。
今回、各団体・企業がどんなメディアを通じて、どう社会課題や伝えたいことを発信しているのか、テーマ別に特徴を紹介します。広報担当の方には動画・音声メディア活用の参考に、社会課題に関心のある方にはより興味・関心を深めるきっかけになれば幸いです。
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事業の紹介を通じて社会課題を幅広い層に伝える
■YouTube
・認定NPO法人カタリバ「@katariba-official」
https://www.youtube.com/@katariba-official
「意欲と創造性をすべての10代へ」をミッションに、「カタリ場」など10代の成長に伴走する教育プログラムを展開する認定NPO法人カタリバ。YouTube公式チャンネルでは、10代のための教育探究支援「カタリバオンライン」、メタバース空間を活用した不登校支援「room-K」などの事業や、カタリバのスタッフ、利用者、関係者の声も紹介し、活動を通じて10代やその周辺をとりまく社会課題を伝えています。1分、3分など短縮版も。
・認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ
https://www.youtube.com/@musubie_official/featured
全国のこども食堂のネットワーク支援を行う認定NPO法人全国こども食堂支援センター・むすびえ。YouTube公式チャンネルでは、多世代が交流する地域の場所「こども食堂」の特長、役割や現状、今後期待されていることなどを、国の統計・団体独自の調査結果や事業の紹介を織り交ぜながら伝えています。こども食堂で過ごす子どもたち、またボランティアスタッフの笑顔も印象的です。
■podcast
podcast「『非営利』のポッドキャストランキング」のトップ画面。非営利組織が発信するPodcastから人気番組を選べる
・NPO法人となりのかいご「となりのかいごのラジオ」
https://podcastranking.jp/1498081812
「誰もが最期まで家族と自然に過ごせる社会」をビジョンに、介護支援コンサルティング、普及啓発を事業の柱として、制度やプロに頼りながら家族に愛情を注ぐ「となりのかいご」の考え方を提唱するNPO法人となりのかいご。podcast公式チャンネルでは、代表理事の川内潤(かわうち じゅん)さんが、介護福祉士兼フリーアナウンサーとともに、リスナーから寄せられる家族の介護の相談に答えています。さらに報道や政府の動向から社会問題化している介護の課題について知る・考えるきっかけを提供しています。
・一般社団法人フロムエド「社会課題を身近に考えるフロムエドラジオ」
https://podcastranking.jp/1620394538
「社会課題を解決しやすくする」をコンセプトに、社会課題解決に取り組む民間ソーシャルセクターに、経理財務アウトソーシングなどの支援事業を展開する一般社団法人フロムエド。podcast公式チャンネルでは、代表理事の吉嵜文保(よしざき ふみやす)さんたちメンバー同士が日常的な社会課題に関する話などをリラックスした雰囲気で展開。過去の放送内容では、「お金の教育」「発達障害」「妊娠期の課題」などをテーマに取り上げ、課題の背景やその解決に取り組む人々の活動を各テーマで数回に分けて紹介されています。
・特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLAS「国際協力ラジオ」
https://podcastranking.jp/1631502799
「取り残された子どもたちが前向きに生きられる社会をめざす」をビジョンに、HIV/エイズ、貧困家庭、子ども・10代の若者支援などを行う特定非営利活動法人エイズ孤児支援NGO・PLAS。podcast公式チャンネルでは、代表理事の門田瑠衣子(もんだ るいこ)さんと理事・事務局長の小島美緒(こばやし みお)さんが話し手。「たった50円からできるサブスク寄付『エイドル』」、また駐在や駐在制度、ジェンダーギャップ指数など国際的な社会課題についてとてもわかりやすく説明されています。
課題の解決策を探している人たちへ役立つ情報や応援メッセージを発信
■YouTube
・株式会社Kaien「Kaien公式チャンネル」
https://www.youtube.com/@KaienJp
発達障害の強み・特性を活かした就労移行支援等を展開する株式会社Kaien。YouTube公式チャンネルでは、医師など専門家を招いたセミナー、共同創業者・代表取締役の鈴木慶太(すずき けいた)さんによる「お悩み解決」などを公開。発達障害×仕事・生活・自立で知っておきたい情報や最新情報が場面別・特性別といったきめ細やかな切り口から紹介されています。動画数がとても豊富なのも特徴的です。
・キズキグループ「キズキ 不登校・中退の方のゼロからの学び直しTV」
https://www.youtube.com/@kizukikyoikujuku
不登校・中退からの学び直しを考える方に向けた個別指導塾「キズキ共育塾」、うつ・発達障害による離職者のための就労移行支援「キズキビジネスカレッジ」などを展開する株式会社キズキ。YouTube公式チャンネルでは、「キズキ共育塾」のコンテンツとして、「キズキが大学受験を応援するワケ」「高卒認定試験の対策と勉強法」、「不登校の塾の選び方」、また不登校・引きこもりの悩み、症状・特性・状況別のその後の人生をつくる選択肢や大切なポイントなどがとても的確にわかりやすく紹介されています。
・株式会社LITALICO「LITALICO Inc.」
https://www.youtube.com/@litalicoinc.7986
「障害のない社会をつくる」をビジョンに、発達障害のある子どもたちに向けた学習教室の運営、働くことに障害のある人向けの情報提供・就労支援などを展開する株式会社 LITALICO(りたりこ)。YouTube公式チャンネルでは、感情のコントロールが難しい子どもとの向き合い方、椅子に座るとそわそわしてしまう子どもの学習法など保護者に向けた子育てアドバイスを発信。また、子どものための「お金の計算が身につくゲーム」など実用的な動画、プログラムの紹介などを1分~3分ほどで観ることができます。
・NPO法人ADDS
https://www.instagram.com/npo_adds/
ABA(応用行動分析)に基づいたエビデンスの方法で児童発達支援を行う特定非営利活動法人ADDS。Instagram公式チャンネルでは、実践しやすい子育て情報を発信しています。「子育て中の多忙な保護者に少しでも情報が届きやすいように、すぐに使える具体的なものを」という想いで制作されているそう。例えば、多く寄せられるという「子育てにご褒美は使ってもいいの?」という悩みには、共同代表の熊 仁美(くま ひとみ)さんが「うまく使ってください。大丈夫です」と一言。その後で具体的な活用ポイントを数分ほどで紹介するなど、ホッと安心感がもてる動画になっています。
代表や理事が自身の経験や考え方を発信
■voicy
・小沼大地さん「NPO経営者の最前線10分レポート」
特定非営利活動法人クロスフィールズ共同創業者・代表理事
「社会課題が解決され続ける社会へ」をビジョンに、留職プログラム、社会課題体感フィールドスタディなどを展開する特定非営利活動法人クロスフィールズ。voicy公式チャンネルでは、「スタートアップとNPOの競合関係?」「僕がPTAや町内会にハマる理由」など、代表理事の小沼大地(こぬま だいち)さんが自身の仕事や日常生活、報道などからリスナーに知ってほしい社会課題について、10分ほどでとてもわかりやすく語られています。周囲からの知見も踏まえた率直な考え方を得られる点が特徴的です。
・入谷佐知さん「#明日どんなふうに生きてゆく?」
認定NPO法人D×P(ディーピー)理事 ディレクター/COO
安心できる場や所属先を失った時に起きる「10代の孤立」を社会課題に活動を続ける認定NPO法人D×P(ディーピー)。理事・ディレクターの入谷佐知(いりたに さち)さんが広報・ファンドレイジング担当時代に発信していたため、情報自体は新しくありません。ただ、「ひとり広報の最初の一歩!」「広報PRのシゴトは、経営者の翻訳者であり現場の翻訳者」など、広報としての情報発信やコミュニケーションについて課題感や考え方など今でも参考になりそうです。
動画・音声メディアとの提携イベントも
認定NPO法人カタリバとTikTok Japanは、この夏、連携イベントの第一弾として「オンラインの“こどもの居場所”」について考えるイベントを、対面とオンラインのハイブリッドで開催しました。
>> プレスリリース
カタリバは、東日本大震災以降、被災地で学校や家庭以外の「こどもの居場所」を立ち上げて以降、自治体など様々なセクターと連携しながら全国に居場所づくり事業を展開してきました。
ショートムービープラットフォーム「TikTok」を運営するTikTok Japanは、NPOや専門家とともに、様々な環境に置かれた子どもや若者たちが自らの声を社会に発信する居場所としての取り組みを続けています。例えば、「当事者クリエイター塾」や「不登校生動画選手権」など、子どもたちの主体的なアイデアと行動を企画を通じて応援しています。
今回、ともに子どもの居場所づくりのノウハウをもった両者が協力し合い、新しいかたちの居場所づくりを本格的にスタートさせたことになります。夏のイベントでは、専門家やゲストを招き、居場所について考える時間がつくられました。
カタリバとTikTok Japanのように、今後は、団体や企業単体での発信だけではなく、メディア、またソーシャル団体・企業同士がお互いの強みを活かし合った切り口やスタイルで、特徴的な発信に挑戦することも増えていきそうです。
ここまでソーシャルセクターの団体・企業が発信する動画・音声メディアを紹介してきました。目的や伝えたい層、事業内容に合わせて、伝えたいことをメディアの特徴に合わせてどう伝えていくか、それぞれ工夫も見られます。今後、動画・音声メディアでの情報発信を検討されている方々は参考にしてみてください。
「DRIVE」を運営するNPO法人ETIC.(エティック)でも動画・音声チャンネルを運営しています。ご興味ある方はチェックしてみてください。
>> DRIVE事務局(NPO法人ETIC.)
https://www.youtube.com/@drivecareer
ソーシャル転職の求人メディア『DRIVEキャリア』で開催した採用イベント、3ヵ月間のお試し社会課題解決プロジェクト『Beyonders』、採用説明会など、ソーシャル系団体・企業の特徴やソーシャルセクターの採用動向などを知ることができます。
>> 『MAKERS UNIVERSITY』
https://www.youtube.com/@makersuniversity9224/featured
「全校生徒、革命児。」をキャッチフレーズに、就職ではなく、起業家の道を選んだ次世代のイノベーターが集い、 理想を追い求める私塾『MAKERS UNIVERSITY』。YouTube公式チャンネルでは、チャレンジャーたちのビジョンや思いが語られています。
>>『TOKYO STARTUP GATEWAY』
https://www.youtube.com/@tokyostartupgateway874
400字のアイデアから社会を変えるスタートアップコンテスト『TOKYO STARTUP GATEWAY』の舞台裏や、参加者・スタッフの和気あいあいとした雰囲気の中で見せる熱い思いやリアルな素顔をのぞくことができます。
※2023年11月16日に記事を更新しています。
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