TOP > 社会・公共 > 社会課題解決や災害被災地支援で「寄付したい」と思った時に知りたいこと―日本ファンドレイジング協会 事務局長 小川 愛さん【前編】

#社会・公共

社会課題解決や災害被災地支援で「寄付したい」と思った時に知りたいこと―日本ファンドレイジング協会 事務局長 小川 愛さん【前編】

2024.02.21 

「寄付をしたい」

 

自分の中に芽生えた思いを社会により良い形へと変えるために、自分自身が「寄付してよかった」と思えるために、まずどうすればいいのでしょうか。

 

もしかしたら、最近の傾向や気を付けた方がいいことなどを知ることで、より納得できる寄付へと近づけるかもしれません。認定NPO法人日本ファンドレイジング協会 事務局長の小川 愛(おがわ あい)さんにお話を伺いました。

 

認定NPO法人日本ファンドレイジング協会 事務局長 小川 愛さん

日本アイ・ビー・エム(株)でマーケティング、広報宣伝、社会貢献事業などに携わった後、2019年9月に認定NPO法人日本ファンドレイジング協会に入職、翌年4月に事務局長に就任。一般社団法人全国レガシーギフト協会の事務局長も務める。社会貢献教育ファシリテーターとして子どもの寄付教育事業に関わるなど、積極的に寄付や遺贈寄付の啓発活動などを行っている。

 

※DRIVEキャリアでは、資金調達/ファインドレイジングの求人を多数、掲載中です。

>>>求人一覧を見る

最近の寄付を表す2つの傾向とは?

 

――寄付について、最近の傾向として感じることがあれば教えてください。

 

生活のいろいろなところに寄付が溶け込んできている気がしています。以前からよく見かけるのは、コンビニのレジ横にある募金箱や街頭募金などですが、特徴的な流れとして、大きく2つの傾向があるように感じています。

 

1つは、若い人たちが自分の思いをもって、スマホアプリなどからオンライン寄付をしたり、寄付を募ったりするケースが増えていることです。

 

<参考記事>

>>オンラインで気軽に寄付!初めての方にもおすすめの寄付プラットフォームまとめ http://xs737720.xsrv.jp/posts/31497

 

もう1つは、遺贈寄付(自分の死後、遺産を寄付すること)や富裕層の方からの寄付が増えている印象があります。

 

遺贈寄付については、おひとりさま、またお子様のいないご夫婦が、自分たちがいなくなった後のことを考える機会が増えてきたのかとも思っています。

 

私は、一般社団法人全国レガシーギフト協会の事務局長も務めていますが、全国レガシーギフト協会では2020年から毎年9月に「遺贈寄付ウィーク」というキャンペーンを行っています。9月13日は国際遺贈寄付の日となっており、欧米を中心に様々な啓発活動が行われていて、日本でも行うことにしましたが、2020年以降、新聞や雑誌でも遺贈寄付広告特集が多く組まれるようにもなりました。

 

寄付をしたことのある方が増えると、人生最期の寄付として、ご自身のお金や財産をどうすればいいのか考える方が徐々に増えていて、その一環で相続寄付を含む遺贈寄付も増えてきているのではないかと思っています。

 

遺贈寄付の例としては、公益財団法人長野県みらい基金に、以前、視覚障がいがあるという地域の方からご連絡があり、「自分の財産を同じような障がいのある子どもたちの教育に使ってほしい」と託された遺贈寄付があります。この遺贈寄付を原資にに助成金を出し、長野県在住の視覚に障がいのある方たちへの奨学金に使われています。(参考:信州eye基金)

 

また、富裕層の方や企業オーナーの方の寄付としては、ご自身の財産を、ご家族に遺すのとは別に、「自分らしいお金の使い方をしたい」と思われる方が増えてきているのを感じます。多額の寄付をすることもあれば、基金を作られることもあって、いろいろな形でご自身のお金や財産の使い方を考える方が表れているように思います。

寄付先を選ぶ時に大切にしたいこと

 

――一般的な寄付の場合、寄付先を選ぶ時に大切なことはありますか?

 

まずご自身が、これからどんな社会になるといいか、どういった人たちを支援したいか、を考えることだと思います。

 

例えば、自宅で犬を飼っていらっしゃる方が、動物の殺処分といった課題解決のために活動する動物保護団体などに寄付をしたい、と思ったら、そのような活動をしている団体がまず支援先の候補になると思います。

 

次に、団体がホームページなどで発信するメッセージのどこに共感できるか、また、受け取った寄付をどのような目的に、どんな方法で活用しているかを発信しているか、は、大事な判断基準となるかと思います。

 

 

こうしたメッセージなどから、ご自身で「この団体がいいかもしれない」と思えるところに、まずは一度、一定額を寄付する“お試し寄付”もできると思います。

 

寄付をすると、お礼状や報告書が送られてくるかと思いますが、報告書などは、団体から寄付した人へのお手紙のようなものなので、お手紙から受けた印象で寄付先を絞ることもできると思います。そうして、「ここには長く寄付してみたい」という思いが生まれたら、毎月一定額を寄付することを決めるなど、ご自身が寄付でどんな団体を応援したいかを決めていけのではないでしょうか。

 

また、大きな支援が必要な際の緊急的な寄付やクラウドファンディングもあります。その場合、募集元の団体が描く社会が、自分の「こういう世の中になってほしい」と思う社会と近いようでしたら寄付をしてみる、ということもあると思います。

 

寄付をする前に知っておきたい注意点は?

 

――寄付をする時に気を付けた方がいいことはありますか?

 

これはNPOなど団体側も気を付けなければいけないことですが、「いただいた寄付をどう使わせていただいたか、寄付によって何が達成できたのか」といった報告がされているかどうか、見ていただければと思います。

 

クラウドファンディングでは、寄付を募る段階で、寄付で集まったお金をどのような目的に、どのように使いたいのかを具体的に表現することで、共感や賛同してくれた人たちが応援をしてくれます。なので団体側は、その後、きちんと当初の予定通りにお金を使い、報告していくことが大事です。

 

寄付をする前には、そういった報告がされている団体なのかどうかを調べてみること、またホームページなどに団体の活動報告や財務諸表が掲載されているかを確認することは大切だと思います。

 

――寄付によっては確定申告に申告できるものもあると思いますが、注意点やアドバイスはありますか?

 

寄付の税制優遇については、具体的な金額は収入によって変わりますが、税制優遇を受けられる団体かどうかは、寄付先を選ぶ参考になるかもしれません。対象は、認定NPO、公益財団法人、公益社団法人、自治体関連などですが、領収書が送られてくるので、処分せずに保管しておくことが必要です。

 

>> 後編へつづく

 


 

小川さんが事務局長を務める認定NPO法人日本ファンドレイジング協会では、14回目となるファンドレイジングカンファレンス「FRJ2024(ファンドレイジング・日本 2024)」を2024年2月21日(水)から3月31日(日)の40日間にわたって開催します。

3月9日(土)のリアル(対面)とオンラインの融合形式で行います。 詳細はこちらをご覧ください。

>> 社会のお金の流れを変える「FRJ2024|ファンドレイジング・日本~新たにつながろう、共創の未来へ。」 2024年2月21日(水)開幕 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000028.000059179.html

 

3月9日(土)に開催される特別対面イベントへの参加つきチケットは2月29日までの販売です。 オンライン視聴限定チケットは3月19日までの販売となります。

いずれもお申し込みはこちらの特設サイトから https://jfra.jp/frj/index.html

 


 

<寄付に関する記事はこちら>

>>はじめての寄付控除入門〜NPOへ寄付したら、税金が安くなる?(2020年版) http://xs737720.xsrv.jp/posts/14338

 

>>はじめての災害寄付入門~遠方からの祈りをどう支援の力に変えるか?(西日本豪雨への支援について) http://xs737720.xsrv.jp/posts/20997

 

<日本ファンドレイジング協会に関する記事はこちら>

>>世界と日本で生まれている新しいお金の潮流とは?常識にとらわれない「財団」のチャレンジ http://xs737720.xsrv.jp/posts/32229

 

>>寄付、そして「お金の流れ」に起きている変化。いま求められるファンドレイザーの役割とは? http://xs737720.xsrv.jp/posts/27900

 

<寄付先を選ぶ参考情報>

>>社会課題を解決するために活動中の団体や活動内容がカテゴリー別に一覧できる「社会課題解決中MAP」もあります。寄付先を選ぶ参考にしてください。 https://2020.etic.or.jp/

 


 

NPO法人エティックでも寄付を受け付けています。

https://kifu.etic.or.jp/

 

 

この記事に付けられたタグ

遺贈寄付寄付ファンドレイザー
この記事を書いたユーザー
アバター画像

たかなし まき

愛媛県生まれ。松山東雲短期大学英文科を卒業後、企業勤務を経て上京。業界紙記者、海外ガイドブック編集、美容誌編集を経てフリーランスへ。子育て、働く女性をテーマに企画・取材・執筆する中、2011年、東日本大震災後に参画した「東京里帰りプロジェクト」広報チームをきっかけにNPO法人ETIC.の仕事に携わるように。現在はDRIVEキャリア事務局、DRIVE編集部を通して、社会をよりよくするために活動する方々をかげながら応援しつつフリーライターとしても活動中。いろいろな人と関わりながら新しい発見をすること、わくわくすること、伝えることが好き。