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#経営・組織論

「どうあるべきなんかなんて存在しない、ありのままを解放するのが起業家」アメリカン・エキスプレス・サービス・アカデミー”社会起業家問答セッション”レポート

2013.10.07 222view 

2013年7月21日から23日にかけての3日間、アメリカン・エキスプレス財団とNPO法人ETIC.により、「アメリカン・エキスプレス・サービス・アカデミー」が開催されました。このプログラムは、3日間の合宿を通して、ソーシャルベンチャー・NPOが「サービス」の様々な側面をビジネス、NPO双方のフロントランナーから学び、社会が本当に必要とするサービスのあり方や、それを実現するためのビジネスプランを練る場となっています。

2011年に始まり、今年で第3回となる今回は、教育、医療、地域活性、途上国支援など、様々な分野で活躍するソーシャルベンチャー・NPO 29名が一同に会し、対話や内省、プレゼンテーション等を通して、顧客や社会のニーズに対する理解を深めました。

アメリカン・エキスプレス・インターナショナル マーケティング副社長 須藤靖洋さんによる講義「カスタマー・エキスペリエンスへの挑戦?良いサービスを届ける為に?」、社団法人プレゼンシングインスティチュート コミュニティージャパン代表理事 由佐美加子さんによる「メンタルモデル」など、様々なコンテンツが用意されており、全て内容を紹介したいところですが、今回は2日目に実施された「社会起業家問答セッション」のダイジェストから、「社会起業家って、どんな人?」をお伝えしたいと思います。

まず、セッションに登場する3名の起業家を紹介します。一人目は、NPO法人ケア・センターやわらぎ代表理事の石川治江さん。1987年立川市に「ケア・センターやわらぎ」を設立し、日本ではじめて24時間365日の在宅福祉サービスを開始して以来、介護サービスではじめてISO9001を事業で取得するなど実績を積み上げ、介護保険制度の土台となる仕組みを作り上げた、介護福祉サービスのパイオニアです。現在は、立教大学21世紀社会デザイン研究科特任教授としてもご活躍されています。

次に、株式会社西粟倉・森の学校代表取締役の牧大介さん。人口1,600人の岡山県西粟倉村にて、森林・林業、山村に関わる新規事業の企画・プロデュースを、地域の人々とともに進めています。これまでに50人以上の西粟倉への移住をサポートした「村の人事部」や、地域の森林資源を守り活用するための「共有の森ファンド」、そして西粟倉育ちの美しい産品を販売する「ニシアワー」など、地域発の画期的なサービスを生み出し、他の地域活性化の取り組みにも大きな影響を与えています。

そして最後に、NPO法人ETIC.代表理事の宮城です。早稲田大学在学中の1993年に学生支援の全国ネットワーク組織としてETIC.を創設以来、若者が自ら社会に働きかけ、仕事を生み出していく起業家型リーダーの育成に取り組み、これまで約400名の起業家を輩出しています。

ここからは石川さんが投げかける問いに対して、第一線で10年以上それぞれの道を歩んできた牧さんと宮城が答えます。

起業の原点には、原体験があった。

石川:まずは牧さんと宮城さん、ふたりの今の活動に至った動機を聞いてみようかな。

宮城:実は、原点は正直あまり覚えてないんです。でも、団塊ジュニアとして、とても恵まれた時代に育った私たちにとっての幸せってなんだろうということは、物心ついたときから考えてましたね。

石川:物心ついたときっていうのは?

宮城:でも中学生くらいでしょうか。

石川:中学生のころから幸せについて考えていたんですか?かなり大人びた中学生ですね。

宮城:そうですね。小学生のころに大学生に間違えられたことがあるくらいなので。昔から見た目があんまり変わっていないのかもしれません。

当然ながら、当時も、お金は少ないより多い方がいい、田舎より都会がいいという考え方があたりまえでした。その頃から、「世間の常識と、本来あるべき姿の間には、ちょっとギャップがあるんじゃないか」という感覚がありました。たとえば、私は早稲田大学にはいって、音楽、演劇、政治それぞれの道に邁進する、とても尊敬できる人達にたくさん出会いました。でも、そんな素敵な先輩方も、最後は偏差値的な就活システムに取り込まれていくのを目の当たりにしました。

その時、「もったいないな」とすごく思ったんですね。ちょっとしたあとで、色々きっかけがあり、自分で仕事をつくる「起業家」という極めて能動的な生き方があることを知ったんです。それで、「人は自分で自由な生き方を選べる」ということを伝えたくて、起業家たちに協力してもらいながら、大学で勉強会をはじめるようになったのがETIC.のはじまりです。

石川:牧さんの、今に至る経緯はどうですか?

牧:僕は昔から人よりも、昆虫が好きだったんですよ。だから山で生活をしていたんです。そして、山に住む人々と少しずつ関わるうちに、自然と色々な問題が頭の中に浮かんできたんですね。

石川:宮城さんは大学卒業直後から起業しているけど、牧さんは卒業後、最初はシンクタンクに就職していたんですよね。どうして最初の仕事をやめようと思ったんですか?

牧:当時気になっていた問題が、時間が経つにつれてより鮮明になってきて、あるとき、それに取り組まなきゃと思ったんです。シンクタンクの仕事は、とても自由にやらせてもらっていて、すごく好きでした。でも、シンクタンクでは、問題を調べたり分析することはできるけど、それ以上は踏み込めないのです。僕は、人・モノ・お金を動かして舞台をつくる、プロデューサーになりたかったんです。だから、仕事は辞めました。

石川:あるサービスを中心に、舞台をプロデュースする。これは、ひとつのキーワードですね。

「起業家のあるべき姿」なんて存在しない

石川:では、ここで参加者からも質問を取りたいと思います。質問のある人?

参加者:起業家として成功する人の要素はなんですか?

宮城:そもそも起業家は多様なので、これという決まった要素はないと思います。今まで、私は多様な起業家たちをみてきました。リーダーシップのあり方は、ひとつではなく、その人にあったスタイルがあるのだと思います。

牧:僕は、ひとつのテーマに対して強い思い入れのある人だと思います。

石川:私は、そもそも「どうあるべき」なんて存在しないと思います。他者の評価なんかにとらわれていたら、自分の思いなんて見失ってしまう。だから、私たちはまず世間からどう見られるかということから脱却しなければなりません。

まずは、自分を解放して、ありのままの自分を受容してあげること。起業家一人では何もできないけど、その一人の思いがなければ、何も始まらないでしょう?大事なのは、そういう殻を自分でどれだけ剥がせるかでしょうね。そうしたら、もっと自然体でいられると思います。ありのままで。だから、キーワードはありのまま。その先に、起業家としての真価が問われるわけよ。着飾らずに、勝負する。別に病気になるほど働く必要はないから。あなたはあなたでいいんですよ。そういう覚悟でやればいいと思います。

石川:ところでふたりは今までの人生で後悔したり、失敗したことってありますか?

牧:基本的に僕はわがままなので、誰かに止められてもやってしまいます。だから、後悔はありません。

宮城:私も、事業についてはありません。ただ日常的には、あの人とこう向き合えばよかった、こんな言葉をかければよかったと後で思い返すことはあります。

石川:なるほど、ふたりともこうみえてわがままなんですね。

個性を活かして、人を巻き込む

参加者:日々のお仕事の中で、大切にしていることはありますか?

牧:地元の方々に教えてもらうことです。僕に唯一才能があるとしたら、弟子になる才能だと思います。元々僕は「こいつは教え甲斐のある奴だ」って思ってもらえることが多くて、受験生時代には有名な講師に無料で個別指導してもらったこともあります。大学院生時代には、気が付いたら自分の研究をサポートしてくれるグループができていたこともありました。

宮城:自分自身が面白がってやることでしょうか。やっぱり自分自身が面白がれないと、他に面白がってくれる人はいないですから。何をやるときも、「この人は、ともに面白がってもらえる人だろうか?」ということを大事にしています。やっぱり自分で面白がって、意思決定しないと、気持ちを入れられない。それは自分自身も、協力をお願いするパートナーも、プログラムでご一緒している起業家も、ETIC.のスタッフも同様です。各々が、「自分がやりたい、やるべきだ」って思えるかがどうか大切なんだと思います。

3名の起業家の鼎談からは、起業家のあり方は実に多様であるということを感じました。ただ、彼らに共通点があるとすれば、石川さんの言葉にあったように、「ありのままの自分らしさを解放して、自らのこだわりを追求し、他者の個性も受け入れる」点にあるように思います。そんなリーダーと働く職場では、きっと彼らと同じように、苦労しながらも、やりがいのある仕事を見つけられるのではないでしょうか。

この記事を書いたユーザー

大西 菜月

大西 菜月

NPO法人ETIC. DRIVE インターン /1991年生まれ、千葉っ子。幼少期はUKで過ごす。現在、上智大学国際教養学部4年生。模擬国連参加、People Treeの学生団体School of Fair Trade参画、被災地の女性たちの手仕事サポートなどに取り組む。いかに日本のソーシャルビジネス界の人の流れを変えられるかを妄想する癖があり、現在DRIVEにて修行中。マイブームはフラッシュモブ。

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