皆さん、「ティール組織」という本をご存知ですか?
“数万人規模のグローバル企業から先進的な医療・介護組織まで、膨大な事例調査から導き出した新時代の組織論”について執筆された書籍(*)です。人類の歴史における組織の発達段階の変遷が描かれており、その最新の組織モデルに名付けられたのが「ティール組織」──
(*) 引用元 : 書籍「ティール組織」(著 : フレデリック・ラルー、訳 : 鈴木立哉、解説 : 嘉村賢州)の帯より
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さて、当メディア「DRIVE」を運営するNPO法人ETIC.(エティック)は、2021年6月から組織体制が大きく変わります。その一環として、1993年の団体設立から28年間、代表を務めてきた宮城がこの度退任いたします。
「エティックの組織の進化を最大化させたい」という想いからの決断でしたが、最初に聞いた時は社内でも大きな驚きがありました。一方で、これまで進めてきた組織変革がさらに加速していく──そんな予感がした瞬間でもありました。
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今回、エティックの組織変革をサポートくださった嘉村賢州(かむら・けんしゅう)さんをゲストにお招きし、「組織変革から代表退任に至る経緯と、その思い」について、宮城との対談形式でお届けします。
賢州さんは書籍「ティール組織」の解説者で、今回の組織変革も「ティール」という言葉とともに進んできました。「ティール組織」の本を読んだことがある方にもこれから読みたいと考えている方にも、本記事を通じて、ティールの基本的な概念やエティックの組織変革とティールとの関係性について、理解を深めていただけるかと思います。
※約2万字とボリュームがありますので、読了までに少々お時間をいただくことになります。内容を簡潔に知りたい方は、【ダイジェスト版】をお読みいただければ幸いです。
※本記事の掲載情報は、2021年05月現在のものです。
宮城 治男 / NPO法人ETIC. 代表理事
93年学生起業家のネットワーク「ETIC.学生アントレプレナー連絡会議」を創設。2000年にNPO法人化、代表理事に就任。11年、世界経済フォーラム「ヤング・グローバル・リーダーズ」に選出。文部科学省参与、中央教育審議会 臨時委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議構成員等を歴任。
嘉村 賢州(かむら・けんしゅう)さん / 場づくりの専門集団NPO法人「場とつながりラボhome’s vi」代表理事、東京工業大学リーダーシップ教育院特任准教授、『ティール組織』(英治出版)解説者、コクリ!プロジェクト ディレクター(研究・実証実験)
集団から大規模組織にいたるまで、人が集うときに生まれる対立・しがらみを化学反応に変えるための知恵を研究・実践。研究領域は紛争解決の技術、心理学、先住民の教えなど多岐にわたり、国内外を問わず研究を続けている。実践現場は、まちづくりや教育などの非営利分野や、営利組織における組織開発やイノベーション支援など、分野を問わず展開し、ファシリテーターとして年に100回以上のワークショップを行っている。
2015年に1年間、仕事を休み世界を旅する中で新しい組織論の概念「ティール組織」と出会い、今に至る。最近では自律的な組織進化を支援する可視化&対話促進ツール「Team Journey Supporter」を株式会社ガイアックス、英治出版株式会社と共同開発。2020年初夏にサービスをローンチした。
組織変革、その前提にあるストーリー
──宮城さんの方からはじめに、ETIC.の組織変革の経緯をお聞かせください。
宮城 : エティックがなぜ起業家精神(アントレプレナーシップ)を大事にしているのかが、今回の組織変革を語る上でもキーになるので、そこから話しますね。
エティックは、1993年の設立以来、起業家やチャレンジをする人を応援し、そういう生き方の選択肢を社会に伝え続けてきました。その背景には、空前の豊かさと自由と、日本でいえばおそらく平和が当たり前にある、そんな先人の理想が実現したような社会に生きながら、多くの人が自分で自分自身の生き方や働き方の可能性を限定してしまっている──それを解き放っていきたい、という願いがありました。
背景をもう少し詳しくお話すると、設立当時、本当は必ずしも自分にとって大切なものかどうかわからないもののために、随分と自分の人生の時間を費やしてしまっている人が多いという感覚がありました。例えるならば、社会の誰かが作った過去のものさしの奴隷になっていると。
1997年のエティックの様子《中段左から3人目 : 宮城》
その後、エティックとしては、起業する、社会課題を解決するという「Doing(やること)の部分」をずっと応援してきた面があります。それによってそういう生き方を社会に伝えていくことを続けてきました。
ITなどの進化もあり、小さなひとりの思いが一瞬で世界に届き、お金も動く時代になりました。ただ、Doingの自由が拡大した一方で、社会における「なんのために挑戦するのか」、「なんのために生きるのか、働くのか」という、どちらかというと「Being(あり方)の部分」の価値観やものさしは、依然として結構古いままになっていたりします。20世紀的というか、お金の面での成功だとか権力を得ることが重要みたいな、「パワーのものさしの呪縛」から抜けられてない──そういう矛盾を設立当初から感じ続けていました。
28年前を思って、私の目からみれば、すでに一人ひとりの人が社会に与えられる影響力が、当時とは比べようもないほど大きくなっているようにみえる。本当は自分が理想とする生き方や社会も、自分たちで創り出していける。ある意味エティックが目指してきた、「一人ひとりがアントレプレナーシップを持ちうる時代」が現実に近づいてきているとも感じています。ただそんな軽やかに生きれるはずの時代なのに、せっかく手にした自由も自分のものにできてない。楽しめていないというか。
これはエティック自体にも当てはまることでした。エティックのスタッフたちは、時に自分たちの思いは後回しにして、組織やプロジェクトのミッションのために仕事をしてくれます。しかし、このやり方は古くなってきているのではないかと感じ始めていました。
むしろエティックで働いている一人ひとりが自由な生き方を体現し、それが自然に伝播していく──そして多くの人とともにそれを分かち合っていくスタイルの方が、インパクトが大きくなる時代なんじゃないかと。
スタッフ集合写真。過去のエティック新年会にて《写真中央:宮城》
そういうあり方の進化とか組織の進化を考えた時に、エティックの組織自体が古いなと。要するに、エティックに集っている人たちの価値観の進化に対して、組織のあり方の概念みたいなものがなんか古いままだと。それをもうちょっとアジャストしていかないと、歪(いびつ)な構造になっていくなという気がしました。
実際に、エティックが大事にしている価値観と実際の組織のあり方のギャップの中で痛みを感じる人も出てきました。これはもう待ったなしで組織自体の変化に向き合う時だということを思ったのが、4〜5年ぐらい前でした。
その後、組織変革に取り組みはじめてから1年ほど経過した頃に、「ティール組織」が出版されました。自分がアントレプレナーシップについて伝えたかったことが、社会のパラダイムの進化とともに整理されている気がして、すごく心に刺さりました。ティールの概念を取り入れることは、エティックの組織の進化のてこになるんじゃないかと思いました。
そして、「ティール組織」日本版の解説者である賢州さんともご縁が深まり、この変革に伴走いただくことになりました。
組織の発達段階《賢州さんから提供いただいた資料》
進化型(ティール)組織の「三つの突破口(ブレイクスルー)」
- 自主経営(セルフ・マネジメント) : 大組織にあっても、階層やコンセンサスに頼ることなく、仲間との関係性のなかで動くシステム。上司からの指示命令や承認プロセスがなくなり、助言プロセスなどを活用し現場の個人や役割が自己決定して活動を進めていく。
- 全体性(ホールネス) : 役職における専門性や職場において暗黙に求められる振る舞いという仮面をはずし、ありのままの個人として存在、表現できる職場を実現している。普通のビジネスでは歓迎されなかった感情、直感、精神性や個人の持っている多様な側面などが歓迎される。
- 存在目的 : 進化型(ティール)組織はそれ自身の生命と方向感を持っていると見られている。組織のメンバーは、将来を予言し、統制しようとするのではなく、組織が将来どうなりたいのか、どのような目的を達成したいのかに耳を傾け続け、事業内容や組織構造を変化させ続ける。
《参照元 : 書籍「ティール組織」(著 : フレデリック・ラルー、訳 : 鈴木立哉、解説 : 嘉村賢州) ※一部、賢州さんに加筆・修正いただきました》
ヒエラルキーの構造があることが、ヒエラルキーの上にいる人も下にいる人も関係性を複雑にしていた。
──さて、ここからは賢州さんと共にお話を進めていただければと思います。
賢州 : 宮城さんの中で、「待ったなし」がありありと感じられたエピソードがあったんですか。
宮城 : 一つの出来事という感じでもないんです。自分が日々見ている景色の中に、組織のヒエラルキー構造があることが、ヒエラルキーの上にいる人にも下にいる人にも関係性を複雑にしている感じがありました。
例えば、組織のヒエラルキー構造に関係なく、ボランタリーな状況でやれる仕事は、まったく儲からなくてもみんな嬉々として楽しくやっているのに、仕事になった途端にそのヒエラルキーの硬直した構造の中にはまってしまう。「上司が言っていることは勝手だ」「これ誰か他の人がもっと頑張れよ」のように相手を責めてしまったり。
エティックで働いている人たち同士が人間対人間として向き合ったらとても仲良しで楽しくやっているのに、組織の構造の中での関係になると、ギスギスしたり、疑心暗鬼を募らせたり、ストレスを溜め込んだりする場面を見たりもしました。
自分とか手を差し伸べ続けていくことは大事なのですが、この構造の中で一人ひとりを個別にケアし続けることでフォローする限界も感じ、構造自体を進化させないことにはそれが再生産され続けるので、手をつけないとと思いました。どうしてもこの現状を変えたいと。
賢州 : なるほど。まさにさっきおっしゃられていた負の遺産が組織内にはびこって、みんなが自分らしく働けていない状況や人間としての繋がりや喜びを感じられていない状況に悲しさを感じたということでしょうか。
宮城 : そうですね。一人の人間同士として向き合うと仲が良かったり、遠慮しあっているだけだったりもするので、見ていて余計切なかったですね。
賢州 : そうですよね。
宮城 : 自分たちが作り上げてきてしまった組織構造がそれを生産し続けているということを見て、そこにこそ向きあわなければならないと。
賢州 : すごくよくわかります、組織変革の旅路の始まりがそのあたりにあったのですね。
あらゆる策には、失敗も成功もなくて、あらゆる一歩が学び。
──続いて、賢州さんにもサポートいただきながら進めてきた、エティックの組織変革の旅路について、お二人にお話いただいてもよろしいでしょうか?
宮城 : 賢州さんにも手伝っていただきながら、ヒエラルキー的な構造に囚われるのではない、それぞれが自分で考えて意思決定していける組織に向けた改革を、「ティール組織」の勉強会などをしながら進めてきました。
「ティール組織」は、自分の中では「当然そうなる」ということが書かれている本なので、スタッフみんなで読んで、すぐ理解をしてもらって、ここに書いてある通りに組織を変えていけたらいいなって思ってましたね。
「すぐにティール組織に変えられないんですか」「管理職はすぐ廃止にしましょう」という議論も実際ありました。
しかしどうしても、組織の構造そのものにいきなり手を付けるという風にはならなかったです。できたらいいなと思いつつも、その前に一人ひとりの価値観や意識の変容に向き合う必要があったからです。
賢州 : そうですね。サポートしながら特にお伝えしていたのは、「あらゆる策には失敗も成功もなくて、あらゆる一歩が学びである」ということでした。
よくティール組織は目指すべき何か正解の構造があるとか、何か具体的に導入する仕組みがあるように思われがちなのですが、それは誤解です。同時に割と多くの組織がまずは組織を大きく変えようとする。ティール組織化という運命の選択を迫られている気がしてくる。そのような理解で永遠に続くように見える仕組みを導入しようとすると、みんな慎重になってしまって良い悪いの話になります。
しかし、実際にはティール組織かどうか以上に大切なことや解決したいことがあって、それに対してあくまで一歩実験してみるというだけの話なのです。そこには失敗も成功もなくて、その実験を通じて気付いたことで、また次の実験に繋がっていく。そう考えると一歩が踏み出しやすくなるということもお話しました。
また、グリーンの罠(*)の話もしました。これは多くのソーシャルセクターで起こっていることでもあり、エティックでも同様なことが起こっていたかもしれません。
(*) グリーンの罠 : 多様な意見や価値観を尊重するグリーンの段階を経ることが、ティール組織に近づくうえでは必要なステップになるが、「ひたすら会議する」「行動の後押しを求める(意思決定が遅くなる)」などの副作用が起きて組織の前進を阻んでしまうことがある。《参照元 : 『自主経営組織のはじめ方』⑤ 第7章コラム:グリーン組織の罠を越えて(嘉村賢州)》
多様性を尊重しましょうという時代背景のもと、組織の中でも多様性の尊重を重視していく。そのこと自体は問題ないのですが、運用を間違えると一気に機能不全を起こしていく。多すぎる会議に始まり、色々な声を気にしすぎることで身動きがとりづらくなってしまったり、いろんなアイディアを取り込みすぎて企画が丸くなってしまったり。実は多様性を受け入れているように見えて、「あの人はあの人」「私は私」「あなたはあなた」というように、バラバラで多様性を活かせていない組織も多くなってきました。
そこで、個人の「テンション」(*)を起点とすることを大事にすることを提案しました。
(*) テンション : ありたいと思う理想に対して現状にギャップがある状態。その状態がモヤモヤ、不安、怒りといった感情となって現れてくる。今までの組織ではそういった感情は抑えるものやコントロールするものとされてきたが、ティール組織においてはあるべき姿に近づくメッセージとして大切に扱われる。必ずしもネガティブなものだけでなくワクワクなどのポジティブなテンションもある。《賢州さんからいただいた説明より》
なんとなく全部の意見を抽出して合意形成するのではなく、リアリティのある現場の一人の「テンション」をどう解決するかを大事にすることで、組織を進化させるための試行錯誤が動き出しましたよね。あらゆるテンションが他から否定されることなく、個人や組織のありたい姿に近づく上での大切な宝物として扱われるようになってきました。
組織変革の旅路の中で可視化された、エティック社内の現状《2018年当時》
「結構自分の中では新鮮なひらめきだったんですね。なぜならば、代表を退任するなんてことを今まで真剣に考えたことがなかったんですよ。」
──続いて、宮城さんの退任の話に進められればと思います。
宮城 : 組織変革の旅路を歩みはじめ数年がたち、徐々にエティックの組織のあり方が「耕されてきた」感覚はありました。新しい事業が生まれやすくなったり、人やお金の課題を自律的に解決していくような動きも進んでいました。しかし、「何かが足りない」「もう一歩で壁を越えられる」というジレンマも感じてはいました。
そんな時、「ティール組織」の著者、フレデリック・ラルーさんが2019年に来日され、リトリート(日常を離れてリフレッシュしたり内省をするプログラム)に参加しました。その一泊二日の研修の中で、彼の生き方自体がティールの概念を体現している人だなと感銘を受けました。
直接的にどの言葉というよりは、彼のセッションを受けつつ、「自主経営をやっていくのって、そもそもこの組織が誰のものなのかっていうところが出発点になっちゃうよな」と思ったんですね。誰かの顔色を伺うのではなく、スタッフ一人ひとりが組織が本来何を世の中に提供していくかや自分が何をして世の中に貢献していくかを自ら問い続け行動していく状態にならないのであれば、なんか取ってつけた改革だなと。
賢州 : なるほど。
宮城 : これ、表現が難しいんですけど、エティックってやっぱりよくよく考えて、突き詰めると、「宮城のもの」になってしまうのかなと思ったんですよ。
28年前に始めて、ずっと創業経営者でやってきて、その役割分担として代表なので当然表に出るし、それでいうと、誉(ほま)れもリスクも、最終的に自分が握ってしまっているところがあるなと。
特にフレデリックの言葉で言えば、リーダーの役割を分解していただきましたよね。意志決定するとか、責任取るとかはもういらなくて、残るはロールモデルであり、自主経営の守り神であり。あと大切なのはソース(*)の役割だと。
(*) ソース : 卓越した成果を出しているプロジェクトや組織には必ずたった一人存在すると言われている役割。創業者がその役割を担うことが多い。存在目的から呼びかけられるラジオのような声を一番近くで聞くような立場。誰にでも聞こえるはずだがソースの役割はそのセンスが強い。決してトップダウンの権力は持たないが、組織には必要な役割。《参照元 : 【フレデリック・ラルーとの回想録①~一番忘れたくないもの 嘉村賢州】 ※一部、賢州さんに加筆・修正いただきました》
もうそれら以外のものはこれから全部手放せみたいな話をフレデリックがしてくれて。そういう話を聞きつつ、確かにそう考えると「この組織、誰のものだ」っていった時に、その責任とか喜びとかの一番大事なところをやっぱり自分が握ってしまっていたのかもなという感覚があって。
で、これは、あくまで究極的な表現をしているので、(エティックという組織は)それぞれのものでも当然あったと思うんですけど、極論すればということだと思うんですけど。
それが要するに、ヒエラルキーの構造を表しているのかなと思ったんですね。ヒエラルキーの構造の頂点に自分がいてっていう中で、「これを手放してしまうっていうのがなんか一番早いかも」っていう風に思ってしまって、その時に。求めてきた答えがでた、って気がしてしまった。
結構自分の中では新鮮なひらめきだったんですね。なぜならば、代表を退任するなんてことを今まで真剣に考えたことがなかったんですよ。まったくもって「代表にしがみつきたい」みたいな感覚はなかったんです。むしろ「まあこんな役回り誰もやりたくないだろう」「だからやれるところまで走り続けるしかないだろう」と思っていました。
賢州 : なるほど。
宮城 : その後、ディレクターに話し、マネージャーに話し、そして2020年の末に全スタッフにシェアしっていうプロセスを踏みました。この改革も、助言プロセス(*)としてみんなの意見を聞きながら進めていきたかったからです。そんなプロセスを1年半ぐらいかけて踏みつつ、現在に至っています。
(*) 助言プロセス : 組織内の意思決定に関して、次のような原則に則って進める仕組み。「組織内の誰もが、どのような意思決定でもおこなうことができる」「ただし、意思決定の前に、関係するすべての関係者と、その問題の専門家に助言を求めなければいけない」「意思決定に際して、すべての助言を組み込む必要はないが、その助言内容を真剣に検討しないといけない」。《参照元 : 『自主経営組織のはじめ方』⑥ 第8章コラム:ティール組織における意思決定プロセス(吉原史郎)》
賢州 : どうしても「組織=創業者のアイデンティティ」になってしまって、過剰に組織の痛みが個人の痛みになってしまっているケースはありますね。その状況下で組織経営が属人的になっている組織は多いです。
ティール組織の観点から言うと、「組織として、この世に何を表現(実現)していくのか」という存在目的の声を聞くことや、「新しい世界観で組織を運営していく」というあり方的なことと、旧来のマネージメントという言葉で想起する「数値を追いかけるとか業務を確実に遂行させる」という管理的な部分を一人が両立していくことは、本当は不可能と言えるぐらいだと思います。
今回のプロセスは「世界の価値観は変わってきていても、自組織が人の自由度を全然生み出せていない」という違和感を出発点に、宮城さん自身の組織での多層な役割を一つ一つ問い直し、剥がしていったプロセスだったんだなと改めて理解しました。
宮城 : ありがとうございます。
補足的に言えば、フレデリックは、主に組織の代表が集まっているリトリートでしたけど、別に代表に辞めろとは言っていません。「(ティール的な組織運営における)リーダーとして必要のない役割は手放せ」「すっきり手放してしまうことでティールの進化が起きていく」っていうことが言いたかったんだと思うんですけど。自分はその話を受け取りつつ、自分自身が手放すという方向の結論になっちゃったんですよね。
ただそうひらめいてしまったら、代表という役割を手放すことに対してもう良いイメージしかわかなくて、二度と自分のなかで覆ることはなかったです。エティックというちょっと変わった、志だけで集っているような組織が、この時代に次のステージにいくためには、そうするしかなかったのだろうなと、今では思っています。
一人ひとりのやりたいことがちゃんと選択できる構造の旅路への「最後のパズルのピース」
賢州 : 退任についてお伺いしたいことが、三つあります。
一つは、エティックという組織の声を聞いていく中で、「最後の一歩が自分が抜けることなんだ」ということを明確に感じたのかどうか。次に、組織の変容が進んでいく中で「(抜けてしまっても)大丈夫そうだ」という感覚があったのかどうか。最後に「宮城さん自体が新たな呼び声(自身の新しい目的)を感じているのか」どうかです。
宮城 : 自分自身については、「次にやりたいことがある」みたいな感覚はなくて、そこから始まったわけではないんです。しかし「手放すことでみんなが進化する、自分も含めて」と招かれている感じはあります。
そして前二つはやっぱりありましたね、決断した時点で。「なんかそろそろ、そのタイミングが来たな」という感じはあって。
退任については昨年一年かけてスタッフのみんなに話したのですが、その過程で組織が成熟してきていたんだなということもすごく感じました。思った以上に、みんながちゃんと受け止めてくれました。組織変革の旅路の前だったら、全く違う反応だったのではないかと思いました。
まず「宮城さんが自分で決断した」ということそのものを尊重してくれました。これはうちの組織の優しさだと思います。「次のステージに進むんですね」「なんか新しい可能性がそこから生まれてきそうでワクワクします」と言ってくれる人もいました。
代表を退任するというステップが、ある種、組織として新しいステージにいくことだったり、これまで前提としてきたヒエラルキーみたいなことからの解放される、一つの許(ゆる)しのような、そういうインパクトがあったのかもなということを感じました。
また自分は毎年、年始の挨拶みたいな感じでスタッフ一人ひとりにメールを書いているのですが──今年はこれ最後だと思いながら書いたんですけど──そのリアクションの中に、「実は私もこういうことをやりたくて準備を始めてるんです」みたいなことを返してくれる人が結構たくさんいました。
「自分は『なんでも話して!』っていつも言っているつもりだったんですけど、組織の構造の中でトップにいる人間に対して、自分の企みや本当の思いはそんなに言えなかったんだな」と思いました。このプロセスを通して、みんなに「自分が本当に大事だと思うことはやっていいんだ」という自由な感覚を得てもらうきっかけになったのかなという気がして、とても嬉しかったです。
賢州 : なるほど。興味深いですね。
冒頭におっしゃっていた、「一人ひとりが主役というか、一人ひとりが生き方の選択肢というものを持って欲しいけど、今の日本社会はそうなっていなかった。だからこそ、アントレプレナーシップということを伝えていった」という観点で言うと、宮城さんが今回飛び出すということで、エティックにいる一人ひとりがやりたいことがちゃんと選択できる構造に変容する旅路への「最後のパズルのピース」というかそんな一手な感じですね。
その人らしい生き方を追求・解放していく。
賢州 : 宮城さんに聞くことではないのかもしれないですけども、こういう風に変化してきたエティックは今後、エティックが今まで世の中に表現してきたものと変わってくるのでしょうか。それは多分、現場が考えていくことではあるとは思いますが。
今後こういうことを表現していく、世の中に問うていく組織に変わっていくのではないかという予測や期待はありますか。
宮城 : まさにおっしゃっていただいたように、結論としては「自分が手放した後、みんなで作っていくものだな」という風には思っていて、何かコントロールしたい気持ちはありません。
ティールの概念の中の「ホールネス(全体性)」(*)という言葉を聞いた時に、「これは自分がアントレプレナーシップという言葉を通じて言いたかったことでもあるな」と思いました。アントレプレナーシップの場合は、実際に事業を立ち上げるっていうDoの部分が強く想起されるのでそこが目立ちますが。
(*) ホールネス : 役職における専門性や職場において暗黙に求められる振る舞いという仮面をはずし、ありのままの個人として存在、表現できる職場を実現している。普通のビジネスでは歓迎されなかった感情、直感、精神性や個人の持っている多様な側面などが歓迎される。《再掲》
自分やエティックに集う人が、自分で自分の人生を選んで切り拓いていくような感覚、それをアントレプレナーシップと表現していますが、むしろホールネスという言葉の方が正しく表現してくれているかもしれないという感じがあります。
ホールネス、そしてエティックがアントレプレナーシップと表現して大事にしてきたことが、一人ひとりのスタッフがそれぞれのありようで体現していくことを通じて、広がっていくと思います。
エティックには、これから社会において、組織や人々の働き方・生き方が変わっていくことを体現し、伝播し、醸成していくような役割を担っていくイメージを持っています。
賢州 : なるほど。
先ほどの年始のメールの話にあった「こういうことがやりたいんですよね」という思いが、上司や組織の空気に影響されることなく、一人ひとりからもっともっと溢れる社会を体現していくような組織にすることが、集まる意味でもあるということを感じました。
宮城 : そうですね。
だから、エティックが伝えてきたアントレプレナーシップという概念が──とはいえ特別な人のものという感覚もあったものが──ホールネスという言葉ももらいつつ、みんなのものに、エティックのそれぞれが自分で持ちうるものになったという感覚があります。
賢州 : イノベーター主体の時代から、より全体に広がったやわらかさがありますね。
宮城 : そうですね。Doingやイノベーションを実際に起こしていくということそのものは、今後も我々は大事にしていきます。
けれど実はエティックに集う人たちは、Beingのあり方の進化も大切にしている人たちだと思うんですよね。そこをより正直に体現していくことで、エティック自体が次のステージにいけるという感覚はあります。
我々、起業家を応援するとか社会課題を解決するということをオフィシャルな意味で掲げつつ活動してきた面もあるんですけど、その背景に、「あり方の進化や、その人らしい生き方を追求していく、または解放していく」という願いがある組織なんだろうなと思います。その隠されていたアジェンダ(Hidden agenda)がむしろ表に出るような転換です。
その中には例えば、イノベーションを起こす突破口を開くような役割の人として、体現する象徴として起業家のみなさんがいるみたいな。エティックに集う人たちからするとそっちの方が自然体で。そこに改めて立ち戻るというか、正直に向き合えるようになるのかなという気もしています。
賢州 : よくわかります。
自分たちが価値があると思えることに、さらに誇りを持って正面から向き合える。
宮城 : 今回のエティックの変革を客観的に見ていただきつつ、エティックに今後期待する役割や、今回の変革自体が与えるであろうインパクトなど、もし何かあればいただきたいなと思いました。
賢州 : ありがとうございます。
ソース(*)や存在目的(**)の話に通じますが、より一人ひとりの全体性(ホールネス)を発揮する組織に進化していくのだろうなと感じます。そしてそれを社会全体に広げていく。フレデリックの影響を受けている人にパーカーパーマーという教育研究者がいるのですが、彼は全体性についてこのように説明しています。
一人ひとりの中には魂という野生動物がいて。本当は粘り強くてウィットに富んで、元気いっぱい大きく活動するエネルギーがありつつも、野生動物だから臆病で逃げていってしまう──出てこいって言ったら逃げていってしまうんですと。それぐらい一人ひとりの心の中に眠っているものはちょっとした組織の力学で隠れてしまうのです。
(*) ソース : 卓越した成果を出しているプロジェクトや組織には必ずたった一人存在すると言われている役割。創業者がその役割を担うことが多い。存在目的から呼びかけられるラジオのような声を一番近くで聞くような立場。誰にでも聞こえるはずだがソースの役割はそのセンスが強い。決してトップダウンの権力は持たないが、組織には必要な役割。《再掲》
(**) 存在目的 : 進化型(ティール)組織はそれ自身の生命と方向感を持っていると見られている。組織のメンバーは、将来を予言し、統制しようとするのではなく、組織が将来どうなりたいのか、どのような目的を達成したいのかに耳を傾け続け、事業内容や組織構造を変化させ続ける。《再掲》
《賢州さんから提供いただいた資料》
そこで、その野生動物をあらわにできるよう、エティックが産婆役のようになっていく。本当に世の中が心待ちにしているような事業やビジネスがどんどん生まれてくる。
現在はみんな野生動物を引っ込めた状態で、頭で考えたポジショニングとか個人的な承認欲求とかを起点にしたビジネスが増えてしまっています。
そんな今の状況の中で、一人ひとりの野生動物を育む支援をできる役割が求められているのだと思います。今までのエティックの活動は父性的な支援で、そこにもう一つ母性的なものが加わりそうだなと感じています。
エティックは、本当にこの世の中をより良くしていきたいという想いを持つ日本中の仲間たちの生態系を作ってきており、それは同時に「セーフティーネット」だと思うんですよ。「もしかしたらお金にならないかもしれない」「誰も言ったことがないことを表現する」というのは孤独であり、なかなか踏み出せない。それをエティックが「やってみたらいいじゃん」って言ってくれるから、思い切ってやれるみたいな。
「あらゆる人がソースになれる」とか「野生動物が現れる」というところの支援は、なかなか多くの組織ができる仕事ではなくて、エティックだからこそだと思います。
その時に、エティック内部の実態が一致していないのではなく、「エティック自体が母性と父性が溢れてて、個性は尊重されつつもバラバラではなく、集まったときの力がすごいから物事の実現力もある」と。多様性と人のありのままを表現する時に伴う弱さ(バウネラビリティ)を受け止める穏やかさとやる時はしっかりアウトプットできる力強さとを兼ね備えた組織になれば日本中に勇気を与えるのだろうと思います。
宮城 : ありがとうございます。
これまでの成功とか成長の概念って父性的な価値観が支配してたとは思うんですよね。要するにその方がわかりやすいわけです。組織を大きくするとか、インパクトを最大化するっていうのは、数で測ってパワーを誇示しなきゃいけなかったという感じです。
そういう意味では、エティックに集っている人たちは多分、本質は母性的なところを大切にしたい人たちである気がします。でもそれって、世の中の既存の価値のものさしからすると、非常に測りづらいわけですよね。社会も自分もお互いに認めにくい。なので常に葛藤があったと思うんですよ。
そんな中、世の中の既存のものさしやお金では評価できないけれども大切だと思うところに、勇気や情熱を持って取り組んできたことが、エティックの役割であり価値だったんだろうなとも思います。
今の賢州さんのお話を聞きながら改めて、そのような、一見わかりにくいけれども、自分たちが価値あると思えることに、今まで以上に誇りを持って正面から向き合うことに、次のステージは進んでいく気がしました。
生まれようとしている未来に対して、一緒に耳をすませて──
賢州 : 最近海外で、フレデリックの講演会後に参加者から質問があったそうです。「最近流行りのステークホルダー・キャピタリズムに関しては、どう思いますか?」って。
フレデリックはそれに対して、「すごくいいものだとは思うんだけれど、それって『グリーン』(*)なんだよね」というようなことを回答していて。要は、「多様な人たちを調整するっていうのはグリーンなんだ」「調整では実はうまくいかない」と。つぎはぎのお互いの利害を調整するって実は違うと。
(*) 組織の発達段階の中のグリーンのこと《図・再掲》
やるべきことは、「多様な人が集まっているそのシステムに一緒に耳をすませるという行為」だと。そこに現れてくるシステムの痛みや出現し始めている未来の声に耳をすまし、あゆみをすすめると自ずと調整されていくということであって、調整することにベクトルを合わせたらダメなんだよというような話をしていて。
宮城 : なるほど。
賢州 : 色々なステークホルダーと繋がりのあるエティックは、それらを調整し合って「グリーンの罠」にはまるというのを避け、その奥にある「生まれようとしている未来に対して、一緒に耳をすませて、アテンションを向ける」という組織になっていくんだろうなと思っています。
宮城 : わかります。
確かに、エティックは「耳をすます場を提供する役割」として、何かの刺激を提供しつつ、そこから何が芽生えるかに耳をすまし、それを本人と共有していく。あるいは自らが自らの本当に声に耳をすますことをアシストする。そんなやり方をしてきたのかなと思いました。
従来のものさしで見ると本当にわかりにくく自他ともに認識しにくい気はするのですが、その役割を、もっと開き直って自覚していいんじゃないかなとは思いますね。
賢州 : 「調整力が大切」っていうのは世の中的に言われ始めていると思うので、調整ではなく「その先なんだ」ということを、おっしゃる通り、開き直って体現できるフェーズに来始めてる気がしますね。
宮城 : エティックのニュートラルなNPOとしてのスタンスが、その耳をすませるみたいなことで言うと、すごくワークする面があるのかなとは思いますね。
結果を出すべくコントロールしたりマネジメントしたりすることは、多分お金になりやすく、ものさしとして測りやすい価値を生み出しやすいです。しかしそれよりも「一人ひとりがありのままの自分の情熱を表現できることに耳をすましていくことの方がインパクトを大きくすると信じていく」というのがエティックの立ち位置なんでしょうね。
賢州 : なかなか共有しにくい概念だと思いますけど(笑)
でも、これからの時代においては「調整役を一歩越えた存在」になるというのは、ものすごく大事な感じがしますよね。
宮城 : そうですよね。確かに見えにくい(笑)
皆さんが今の自分や組織に向き合い、考えていくきっかけにもなれたら
──宮城さんは、エティックとこの後どのような関わり方をしていきたいと思っていますか。
宮城 : 次にやりたいことがあるから代表退任を考えたといわけではないんですよね。どうしても「エティックの組織の進化を最大化させたい」思いがあって。
そして自分が手放すという選択を思いついたとき、これが答えだ、と腑に落ちてしまって。そこからスタートしました。スタッフのみんなに話して、受け止めてくれてというプロセスを経つつ、肩が軽くなっている自分もいました。
自分でだいぶ背負い込んでいたことを、下ろしてみて初めてわかりました。自分の中であまりにも当たり前すぎて、自覚することさえなかったのでしょう。とても新鮮で「なるほど」と思いました。
自分の中で一旦リセットして、今まで抱えていたものを手放した時に見えてくる世界に対してフェアに向き合いたいと思ってます。
また、エティックの創業者でありソースとして、「みんなが未来を考えていく時に、ヒントや可能性を提供しうる存在でありたい」と思います。ともに仕事をするという方法ではないかもしれませんが。
というのも、自分の中では「仕事としてはきっちりと区切りをつけよう」と思っています。最初は、退任してもいつでも相談に乗れる形で支えていこうと考えていました。しかしこのタイミングで「しっかりと手放す」ということが、組織にとっても自分にとっても、次のステージに進んでいく上で必要だと感じました。
その前提の上で、その場にいなくても、これまで体現してきたこと、存在していることそのものが、みんなのソースのひとつになれるような。そんな存在として今後もあり続けられたらとは願っています。
──この記事の読者の皆さんに伝えたいことはありますか。
宮城 : 自分が代表を退任して、エティックは「全員が主体となって、全員で作り出していく、全員で経営していく場」になります。
そしてこの変革は、組織の枠組み、垣根を取り払い、皆さんに参画いただきつつ、大きなエコシステムをつくりだしていきたい、という狙いもあります。よく「次の代表は誰なんですか?」と聞かれるわけですが、「エティックに関わる皆さん一人ひとりなんです」と言いたいくらいです。
プログラムに参加してくださった人たち、エティックに関わってくださる人たち一人ひとりも、新しい時代が求めているような生き方を体現していく大切な存在なのだと思っています。
エティックで生まれるご縁が、社会を良きものにしていくことを共に広げていく仲間という意味で、オープンに開放される。そして関わる人それぞれが当事者として一緒に社会を創っていける──そんな場にみんなで進化していく契機となればと思っています。
今回の変革が、「自分たちの組織のあり方は、どうしていこう」「自分の人生や仕事で、本当に大切にしていきたいことは何なのか」など、皆さんが今の自分や組織に向き合い、考えていくきっかけにもなれたらという願いもありますね。
真にエティックらしい新しい進化の旅路が始まろうとしている──
賢州 : エティックは今回、「ティール」という言葉と共に旅をしてきました。
旅の最初の方は「ティールをゴールに設定したこと」によっての葛藤や試行錯誤があったと思います。
しかし現在、ティール組織の旅路がある程度進んだというより、試行錯誤のプロセスを通じて、真にエティックらしい唯一無二の新しい進化の旅路が始まろうとしている感じがします。
宮城 : そうですね。賢州さん同様、自分のスタンスも一貫して、ティールという概念は、それそのものを目的にするというより、変革のためのてことして活用させてもらいました。
さて最後になりますが、賢州さん、何か言い残したことはありますか。
賢州 : 僕の理解では、ソース役がいなくなるって実はやばいんですよ。
セオリー的には、ソース役はちゃんと次の誰か個人に継承しないと、組織として難しくなると思っています。ですので今回の対談冒頭は、「どうなっていくんだろう、エティック」と正直思っていました。
ただ対談が始まってまず思ったのが、「一旦明確に宮城さんが組織を離れる(中途半ばに関わりを続けない)という決断が素晴らしいな」と。次のエティックを作っていく一人ひとりが「組織のdeepest potential (組織の潜在的に持っている最大の可能性)」を自分ごとで考えて、自分の内側の軸を持って日々決めていく。「日々の仕事の時間においても一人ひとりが本当の自分の人生を生きて、その上で仲間メンバーと一緒にやっていく。大きなものを仕掛けていく。」ということがとても大事なので。
いくら理想的に語っても、組織の代表がソースとして存在することでヒエラルキーができてしまう可能性は非常に高い。どうしても判断を仰いでしまう。だから、一切頼らないという意味で「一回抜ける」っていうのが大事だなと。
それは宮城さんにとっても同様だと思います。一度組織の枠組みを離れ、前をひきずらないことで、より次の社会を想像したり色々な声を聞くことが可能になると思います。離れた方がより聞こえるようになるのでしょう。
それで1年や2年が経った時に、すごく研ぎ澄まされた宮城さんと、自分の内なる軸を持っているエティックメンバーが本当に対等に話せる機会が来ると思います。その時に、宮城さんとエティックとの新しい関係ができるのではないでしょうか。
エティックメンバーから見ると宮城さんと対話することはより良い未来を妄想する上でとても参考になる。同時に宮城さんに影響を受けてそのまま全てやるというよりは、自分も真剣に考えているから「取り入れるところは取り入れるし、取り入れないところは取り入れない」というイメージです。そういう対等な関係になると面白い。
対談冒頭は「エティック、大丈夫かな」と思いましたが、本当の意味でヒエラルキー構造ではない、ソースと組織の関わりが生まれるきっかけになりそうだなと思えて、すとんと腹落ちしました。
メッセージサイトもぜひご覧ください。
以上、嘉村賢州さんと宮城との対談でした。
非常にボリュームのある記事でしたが、最後までお読みくださりありがとうございます。宮城も話していた通り、この記事を通じて「自分の人生や仕事で、本当に大切にしていきたいことは何なのか」と、自分自身に向き合うきっかけになれたら幸いです。
◆
さて最後に。今回のエティックの組織変革を皆さまにお知らせする特設サイトを作成しましたのでご紹介します。組織体制・経営体制の変更に関する詳細のほか、エティックのスタッフや今までご縁をいただいた皆さまからのメッセージを掲載しています。この記事を読んでくださった皆さまもぜひ一言、これからのエティックに期待することなどをお寄せいただければと思います。
本記事から3ヶ月後の「ETIC.の現在地」をお伝えする記事も公開。ぜひあわせてお読みいただければ幸いです。《2021年08月26日追記》
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