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【どすこい起業家ぶつかり稽古#3】スマスタ代表の塩山諒さんに聞いてみた「人生にファイティングポーズをとる」ってどういうことですか?

2017.01.29 

※この記事はDRIVEインターンからの転載です。

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かための笑顔で失礼します。先輩起業家のもとへ、三度目のぶつかり稽古にやってきました(これまでのぶつかり稽古はこちら)。

お伺いしたのは、大阪にあるNPO法人スマイルスタイル(以下スマスタ)。今回はそのスマスタの代表理事 塩山諒さんにお話を伺います。 スマスタは、「ふつうのしあわせをつくる」をテーマに、あらゆる境遇の人たちがしあわせを感じながら生きられる社会づくりのために活動している、ソーシャルデザインカンパニーです!

そのスマスタが、昨夏こんなことを仕掛けました。

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このビジュアル、大阪府が主催の移住促進プロジェクトなのですが、府が主催にしては、刺激的過ぎませんか!「ボケない大阪移住プロジェクト」”ボケない”と言いつつ、明らかに”ツッコミ待ち”です。

このビジュアルを目にした片山は、大阪で生まれ育ったコテコテの大阪魂に火がつき、昨年の11月に見事大阪にツッコんで、スマスタで数日間インターンをしました(半分はただの里帰り)。

 

その際に、片山は塩山さんから、こんな叱咤激励をうけることに。

 

起業するかどうかに関わらず、片山くんは自分の人生にファイティングポーズをとれてないね」

 

もっと自分の人生と向き合って、覚悟を持たないといけない・・・。

自分の人生にファインティングポーズ・・・取れてないかもしれない・・・・。

ん?でも「ファイティングポーズをとる」って、いったい全体どういうことなんだ!?と思った片山は、もう一度お話を伺いたくなり、インタビューをさせていただきました。

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片山:塩山さん、よろしくお願いします!

塩山:こちらこそ、よろしくお願いします!

最終学歴小3→キャベツマスター→かばん持ち→起業

片山:まずはスマスタを起業したきっかけをお伺いしたいです。いったい、どんなきっかけで起業されたのでしょうか?

 

塩山:まず、いきなりなんですが、ぼくの最終学歴は小3なんです。

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片山:小3・・・。はじめて伺いました・・・。(これは類い稀な経歴の方に取材をお願いしてしまった・・・。なんでもっと心の準備をしてこなかったんだ)いったい全体、何があったのですか?

 

塩山:学校の担任の先生と折り合いがつかず、不登校になってしまいました。周りには灘中→灘高→東大を目指す同級生も多い中で、自分はすごくみじめな気持ちでいました。(詳細はこちら)

 

片山:・・・。

 

塩山:それでも、ずっと家にいると焦りみたいなものがあったんです。みんなは学校に行ってるけど、ぼくは行ってない。学校の勉強は一切してない。だって、ぼく小3で頭止まってるんですよ。みんな成長していくけど、ぼくは漢字もわり算もわからない(笑)「お前はこのまま行くと、不登校ニートひきこもりホームレスやな」と散々に言われました。でも反骨心だけはあったのか、それだけは嫌やなと(笑)

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片山:まさにそのような人生を歩んで来られたからこそ、あらゆる境遇の人たちがしあわせを感じながら生きられるようにしたいと思われたのですね。

 

塩山:まさに。だからこそ、ちゃんと勉強したいと思うようになりました。興味関心はたくさんあったので、本を読んだり色々調べてみるんですけど、情報だけじゃ全然頭に入ってこないタイプで(笑)実際に体を動かして勉強するために働こうと思い、15歳からフリースクールのスタッフをはじめたんです。自分が不登校だったので、だからこそできることがあるんちゃうかと思って。

片山:15歳で仕事・・・!

塩山:他にも色々なお店でアルバイトを経験しました。一番強烈だったのは、キャベツマスターですね(笑)昼はフリースクール、夜はキャベツマスターという毎日でした。

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片山:キャベツマスター!?なんですか、それ!?(笑)

塩山:毎日何万というキャベツを切るんですよ。夜、ダンボールからどーんとキャベツを出して、芯を取るために割って、スライサーに流す作業を全部一人でするんですよ。それがパック詰めされて出荷されていく。西日本全部のキャベツの流通を担っていました(笑)

片山:(笑)

片山:(これは長くなりそうだから話を切り替えよう)フリースクールではどんな経験をされたのですか?

 

塩山:「自分と同じように、社会のレールから外れた子どもたちが、まっとうに生きられる社会にしたい」と思っていました。これは今も変わらない信念です。しかし実際に働いていてみて、「現場」で頑張っても変えられることが少ないと思ったんですね。それで「政治」に関心を持ちました。自分の課題意識を伝えるために。政治家の人に手紙を送りまくったんです。これが長文で、「小学校もまともに行ってない」って書いたので、めちゃめちゃ怪しまれて(笑)それでもなんとか会ってもらって、「勉強させて欲しい」とお願いをすると、かばん持ちをさせてもらえるようになりました。1年間くらい政治を教えてもらいました。

片山:政治家のカバン持ちをされてたんですね!(まさに「どすこいぶつかり稽古」だ・・・!)1番の学びは何だったんでしょうか?

塩山:ひとつは、当時の政治家たちが「やっていること」がはっきりとわかりました。ふたつめは、社会課題は地続きになっていて、ひとつの問題を解決しても社会は良くならないということでした。かばん持ちでの1番の学びは、自分の道は政治家ではないということです。教育の現場を変えるという自分の目標を達成するには、政治家になることがいちばんの近道かもしれないという仮説を持って挑んだのですが、実際の検証結果は違ったんですね。

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片山:フリースクールも政治家のかばん持ちも、実際に関心のある現場に飛び込んでみて、自分のキャリアの仮説検証をされたんですね・・!

塩山:そうですね。実際に体験して自分が何者になるべきか少しづつ見えてきました。これはキャリアを考える上でとても大事なことで、キャリアの仮説検証の繰り返しで自分のポジションが見えてきます。一方で、かばん持ちをきっかけに、様々なジャンルの人と会うことができました。20歳ぐらいのときに、ある民間の会社が音頭をとって、若者支援の政策をつくるための勉強会があったんですね。ひきこもりやニートなど、一般的に言うと「社会のレールから外れている若者」を支援するにはどうしたらいいかという議題で、不登校の当事者としてぼくが講演することになったんです。

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片山:その勉強会では、どういう結論になったんですか?

塩山:そこには政治家や官僚、有識者の人たちが集まって議論していたんですけど、民間の会社のビジネスマンたちが、しっかりと企画書にまとめて国に提言していて。それで多額の予算をとったんですよ。当事者のお母さんたちが署名活動をして国に“陳情”を持っていっても変わらなかったのに、ビジネスマンが関係者を取りまとめ、戦略的に提案することでプロジェクトが動き出したんです。そういう一連の出来事があって、社会課題を解決するためには関係者を調整したり、企画をチューニングしながら、音頭をとってムーブメントを推進させる人が必要なんじゃないかと思いました。それが今から10年前の話で、スマスタ創業に至りました。

自分の人生にファイティングポーズをとって、今いちばんやりたいことを貫く

片山:以前塩山さんに「関西でキャリア教育事業をしたいんです!」とプレゼンしたら、「わかったからとりあえずやってみ」と言っていただいたことを鮮明に覚えています。

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塩山:そうやったね(笑) キャリアの探求も起業も似ていると思っていて、頭の中で考えているだけじゃ、いつまで経っても絵に描いた餅。「●●したいです!」と言っている時は“下書き状態”なんです。サッカー選手だと試合に出ないと技術は上達しないし、料理人だと実際にお客さんに食べてもらって反応をもらわないと腕が上がらないじゃないですか。そうやって、キャリアとか人生に関わる大きな意思決定って、自分で動いて身を持って経験して感じてみないと、わからないことが多い。いつまでも頭で考えていても仕方がない場合が多いと思っています。

片山:「まだファイティングポーズがとれてないね」と、叱咤激励していただきました(笑)塩山さん、「ファインティングポーズを取る」ってどんなことですか?

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塩山:起業するかどうかに限らず、人生と向き合うこと、責任をもつ意識は忘れてはいけないということです。それ相応の覚悟とメンタルが必要やけど、人生と向き合って、自分自身と戦う姿勢を持つからこそ、いっそう自分の人生が楽しくなってくると思います。基本、人間ってサボっちゃうじゃないですか(笑)

片山:ぼくもよく楽な方に流されちゃいます。「人生にファイティングポーズをとる」という言葉は家訓にしたいレベルで大切にしていて、自分の本音と向き合って、日々行動するようになりました。

塩山:そう思うと、ちょっと変わったね。

片山:ありがとうございます!

塩山:「変化する」ことは、人間が生きていく上でもとても重要なことです。「現状維持」は後退で、「変化する」から成長を実感できると思っています。

片山:まさに「変化こそが成長」という価値観が、塩山さんを起業につなげたのですね。

塩山:そうですね。それと、ぼくの行動基準は、「今いちばんやりたいことを貫く」ことなんです。あとで絶対に悔やみたくない。起業するときは、100人の大人にプレゼンしたら99人から「アホかお前!何言ってんねん」って叱られて、「宇宙人」とさえ言われていました(笑)とことん相手にされませんでしたね。でも、数十年後に人生を振り返って「なんであっちの方向に進めへんかったんや!」って後悔したくないじゃないですか。「宇宙人と言われても、今いちばんやりたいことを貫きたい」と思っています。

憧れは「ジブリ映画」“スマスタ流”ソーシャルデザイン

片山:ずーっと伺いたいと思っていたのですが、「『ジブリ映画』みたいなソーシャルデザインをしたい」っておっしゃっていましたよね。あれって、どういうことですか?

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塩山:スマスタをつくる時に、『スタジオジブリ』みたいな会社にしたいなと思いました。ジブリ映画って、現代社会の問題や矛盾を、圧倒的な描写で表現しているじゃないですか。そして見た人がどんどん夢中になっていく。同じように、社会が「もっとこうなればいい」っていうのを、ソーシャルデザインでリアルに表現したいと思っています。

 

片山:まるでアートみたいですね・・・。 スマスタが手がけるものは、どのビジュアルもすごく親しみやすく、引きが強いです。

塩山:たとえば『ハローライフ』は、「日本中のハローワークがこうあればいいんじゃないか」という世界観を、スマスタなりに表現してみました。

2011年に「大阪ニート100人会議」を開催して、声なき声を集めるために、10時から18時過ぎまで丸一日かけて、理想の働き方やそれに向けた課題、必要な就労支援策についてディスカッションしました。その中で「ハローワークは病院っぽいし、理想的な情報が手に入らない」という声がたくさんあがりました。

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(スマスタが運営する『ハローライフ』のWebサイト )

片山:ハローワークって、とても無機質な雰囲気がします。

塩山:期待を持って社会に出たけど、人間関係のつまずきや何かしらの事情があって、ちょっと落ち込んでいる状況でハローワークに行くわけじゃないですか。何か変化を求めて次なる情報や出会いを求めて行くのに、ターニングポイントとなるハローワークに、人生を好転させて行くための情報や出会いがない。ハローワークをもっとカジュアルに、親しみやすくしたいと思い、「あなたの人生にいい予感を運ぶ、仕事ライブラリー」というコンセプトで、『ハローライフ』を始めました。あらゆる境遇の人たちがしあわせを感じながら生きられる社会づくりのために活動しています。

片山:『ハローライフ』って、すごくコンセプトがわかりやすくて、親しみやすくて、個人的に大好きなんです!

塩山:ぼくは、ソーシャルデザインって総合芸術なんだと思うんです。

片山:総合芸術?

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塩山:たとえば、スラム街を変えようと思うと、就労支援の仕組みもいるし、教育も必要だし、街の景観も変える必要があるかもしれない。社会を変えるためには、プロフェッショナルたちが集まって、地域が一体となって問題を解決していく必要がありますよね。だから、総合芸術なんです。多くの人が協力して、はじめて社会を変えられる。スマスタがすることは、そのプロデュースなんです。

片山:究極的な目標は、何なのでしょうか?

塩山:どのような立場や状況の人でもその人にとってのしあわせな生き方ができる社会をつくることです。そのためには、多様な学びや生き方が肯定されていないといけません。そんなムーブメントを起こしていきたいですね。肯定されて、多様な選択肢が当たり前にあると、ぼくが過去に苦しんだ「不登校」という概念なんかもなくなるじゃないですか。

最後に

片山:最後に学生へのメッセージをお願いします!

 

塩山:「学生」というパスは、有効活用してほしいと思っています。学生の時って、まだ何者でもないし、肩書きもないですが、だからこそいろんな人と会えるじゃないですか!変化して成長していこうと思うと、誰と出会えたかってすごく大きいことだと思うんです。それこそファイティングポーズをとっている大人たちと会ってほしい。 「学生パス」は本当に羨ましいなあ。

片山:塩山さんの場合は、学生パスが使えなかったですもんね(笑)

塩山:ほんまやで!起業する時は、かなり怪しまれたからね(笑)

片山:他にはありますか?

塩山:ユニークセリングポイントを考えてほしいと思います。自分は何者で、何に突き抜けていくのか。しっかりと向き合うことで、社会での自分のポジションが見えてくるので。

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編集後記

受験・就活・転職、人生のターニングポイントでは、未来のことだからわからないことが多くて、実際に体感してはじめて、わかることが多いと思います。

最終学歴小3→キャベツマスター→かばん持ち→起業。塩山さんは稀有なキャリアを歩んできたように見えますが、自分の人生にファイティングポーズをとって仮説検証することは欠かしませんでした。

踏み出すのが怖い時は、居ても立っても居られなくなって、自分の身体が動き出すまで、待っていてもいい。でも、「自分の道はこっちなんじゃないかな」と思った時は、塩山さんのようにファイティングポーズをとり、その仮説に体当たりで挑んで検証することを意識すれば、自分が心から納得する道を定められるかもしれません。

それでは、またどこかでお会いしましょう!

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