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「課題解決に立ち上がるリーダーを増やしていきたい」 Teach For America代表ウェンディ・コップ氏×Teach For Japan代表松田悠介氏 講演レポート【後編】

2016.01.07 195view 

前編では、Teach For America代表ウェンディ・コップ氏×Teach For Japan代表松田悠介氏 講演レポートをお届けしました。後編では、講演後に行われた参加者とのやりとりをシェアできればと思います。

>>前編はこちら

対談のようす

大人たちのマインドセットを変えること

Q:Teach for Allとして世界に広がる仕組みになった中で、ウェンディさんが感じた困難とはどのようなものでしたか?

ウェンディ氏:講演の際にも少しお伝えしましたが、あるパキスタンでの会議で「何がこの国特有の問題なの?」と聞いたところ、「ここにいる皆と一緒だ」と言われました。でも聞いた当初は、そうは言ってもそんなことないだろうと考えていたました。なぜなら、私が知っている限りのパキスタンでの二つの大きな課題は、1日2時間しか子どもが学校に行かない、教師が4時間しか学校に来ないというものだったからです。このような環境は他国とまったく違うと思ったとき、「これはマインドセットの問題だ」とパキスタンのTeach For Allのメンバーに言われました。つまりは、子どもが成功できると信じていない大人たちが多すぎるのです。わたしたちが戦っているのは、このような意識を変えることです。

ウェンディ氏

多くの国で大人たちに高い期待を抱かせない教育システムになっているように感じています。だからこそ、他文化からその国の教育に関わるようになった人は子どもたちに高い期待・愛情を持つようになります。システム内の人を悪く言うつもりはないですが、最初どんなに期待を抱いていても文化に染まってしまうようです。

目指す世界観を持つ教師を増やしていきたい

Q:アメリカにおけるリーダーシップと日本におけるリーダーシップの違い

ウェンディ氏:文化によって異なるパラダイムはありますが、TFAは優秀な教師とそうでない教師を分析しています。私たちは、リーダーシップとは方向性を定める能力、先導力に優れていることだと考えています。また、人間関係を築く能力に長けていることもですね。高い目的意識を持って周囲を巻き込み、何としてもビジョンを実現するというパワーも必要です。

松田氏:「リーダーシップ」という言葉はビジネスの文脈でも多く語られているものの、何を言っているかまだ多くの人はピンときていないのではないかと思います。日本ではとても新しい言葉ですから。私自身、日本の大学の教職課程ではリーダーシップという言葉を聞いたことがありませんでした。教師たちは、子どもへの思いがあっても、行動をドライブするためのビジョン作りを学んでこなかったがゆえに多くの壁にぶつかっています。学校現場において、個々の先生方がどの山を登るのかはっきり示せていないという現状です。

松田氏

ここでいうビジョンとは、例えば「どういう先生を目指しているのか?」という問いに対する答えのようなものです。自立するってどういうことなのか、生き抜く力ってどういうことなのか……深掘ると明確な答えを他者に伝えられない教師が多いです。現場の苦悩を解決する鍵はここにあるのではと感じています。目指す世界観を持っている先生方を増やしていきたいですね。

Q:もし「自分は大学にいかないですぐ夢にチャレンジしたい、進学しないで働きたい」という子供がいたらどうしますか?

ウェンディ氏:子どもが職業訓練を受けたいなどと言ったら、その想いを大切にしなければなりません。私たちの目標は、「私たちが働いている地域の家族がどんな価値観・コミュニティーなのかを大切にして、すべての子ども自身がより良い選択をできるようにする」ということです。自身の志にもとづいて望んだ場合には、ネガティブな反応はしません。国によっては、子どもたちは必ず大学進学しなければならないという圧力がある国もある。この状況に対しても取り組んでいきたいと思っています。

ウェンディ氏

教育システムの再設計が必要な時代

Q:日本の仕組みは保守的です。変わりたくないという気持ちが大きい。格差社会からの「報われない」という気持ちもあります。社会への関心が低い教師が多いとも思っています。このような日本の現状に対してどう思われますか?

ウェンディ:このような問題は日本だけではありません。変化に対する抵抗は、世界中のほぼすべての国に共通していることです。大幅なシステム改革が必要だと思っています。

現在、世界中で基礎学力を養うことだけが「教育」であるかのような状況になっていますが、基礎学力だけでは未来を創るのには十分ではありません。まだこの世に存在しない未来を創り出すためには、リーダーシップが鍵となります。こどもの未来のために何が必要なのかをもう一度考え直し、教育システムを再設計する必要があります。この問題に率先して取り組むことで、日本が課題解決の先進国にもなれると思っています。

会場のようす

Q:素晴らしい教育とは何だと思いますか?

ウェンディ:国や地域によって異なると思います。ネパールの村にいるのか、東京のような都心にいるのか。社会が一体となって、子どもと一緒に考えることが重要です。一種の粘り強さですとか、共通するものはあります。でも、子どもにどんなことを経験させることが良いのかも場所によって異なると思っています。

リーダーシップを高める、挑戦の場としてのTFJプログラム

Q:リーダーシップは大人になっても身につけられるものなのでしょうか? TFAやTFJの教師たちは研修2年間でリーダーシップを高めたのか、もともと高かったのか教えてください。

ウェンディ:最初にある程度の基礎的なリーダーシップは持ち合わせていると思います。教師として、まずは子どもたちと向き合う準備があることは大切ですので。志を持って頑張っていること、困難に立ち向かった経験など、リーダーシップを発揮した経験を基礎として、研修などを通してリーダーシップはいつまでも高めていけると思っています。

松田:TFJでは、リーダーシップは訓練可能なものだと考えています。大人になって自分の価値観から一歩踏み出し、ビジョンを共有する仲間を巻き込みながら成長していく。最終的にどういった状況でも自分が考えた目標を実現していくことがリーダーシップです。このプログラムはそのための一つの場です。ぜひチャレンジして欲しいと思っています。

松田氏

Q:最後に、ウェンディ氏よりTFJのプログラムへの参加を迷っている方へ向けて一言メッセージをお願いします。

ウェンディ:さまざまな現実的なハードルがあるかもしれませんが、この2年間に参加して決して後悔することはないと思います。プログラムが終わった時点で、次の選択をできる機会がありますから。この2年間は、それ以降の人生を意義あるものにする非常に大きな基盤になります。行動を起こし、一歩踏み出すことが大切です。大人が行動を起こしている、その景色が子どもへの勇気になります。

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この記事を書いたユーザー

Kristina Gan

Kristina Gan

1988年にフィリピンで生まれる。来日以降神奈川県横浜市在住。早稲田大学卒業後、テレビ局に就職。私立病院の国際部へ転職したが、書きたい!伝えたい!という思いを捨てきれず、4月から新聞記者に転職予定。 人生のモットーは、「一つでも多くの世界を見たい」。趣味は、何かと刺激的な国に行くこと。

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